「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

感染を制御しつつ、子ども達の学び・育ちの環境づくりをして行きましょう!病児保育も鋭意実施中。子ども達に健康への気づきを。

小児科医師らが、ワクチン予防接種の大切さを伝えるために市民啓発デモ!

2009-09-01 17:57:04 | 小児医療
 予防接種は、小児科医にとって、子どもたちを守るためにとても大切な仕事です。

 8月30日日曜日の早朝、予防接種の重要性を市民啓発するためにデモを行いました。
 9時から学会が開催されるため、午前7時からの開催。

 参加者約50名。

 選挙の日でしたが、当然、どこの政党支持とか、一切ない、行動する小児科医師らの集まりです。

 誰と戦っているか、わかりますか?
 麻しんウイルスや、風しんウイルスや、インフルエンザ桿菌や、水ぼうそうウイルスや、おたふくウイルス、インフルエンザウイルスなどと戦っています。


****以下、デモのプレス発表****


青森から沖縄まで全国から集った小児科ドクターや市民有志が
麻しん(はしか)ゼロ作戦! のデモ行進

小児科医や市民有志が、麻しん撲滅を啓発するためのデモ行進を実施します。

1.日 時:8月30日(日) 午前7 時~午前8時

2.場 所:埼玉県 JR大宮駅から大宮区役所/大宮区役所からJR大宮駅

3.テーマ:麻しん撲滅、啓発パンフレットの配布


麻しん(はしか)ゼロ作戦!とは
 昨年も1万人以上が麻しんにかかりました。重症の麻しん患者さんは、最先端の医療を施しても救命できず、麻しんの対策は予防接種しかありません。現在、国では、「2012 年にはしかをゼロに!!」を目標に、1歳、小学校入学前の予防接種に加え、中1、高3を対象に緊急定期接種が実施されていますが、中高生の接種率は、目標数値を大きく下回っているのが現状です。
 すべての国民は、予防接種法により、予防接種を受けるよう努力する義務があり、また同時に予防接種は子どもに与えられた権利なのです。


主催団体:日本外来小児科学会 会員有志 「アドボカシーは市民の中へ」
「アドボカシー」とは「代弁者」のこと。「子どものように弱く発言力がない人たちに代って、一肌ぬいで仕事をしよう」という志のもとに集ったメンバーです。「すべては子どもたちのために」を合言葉に、小児科医・看護士・保育士・教員・市民(保護者)・学生など30 名を越える有志が、麻しんの予防接種を呼びかけます。
アドボカシーは子どもに関わる仕事に従事する人だけのものではありません。誰にでもできる、やりがいのある楽しい仕事です。より多くの人が手を組んで働きかけるようになれば、子どもたちのために、より大きな力を発揮できます。アドボカシーの輪をもっと拡げていきたいと願っております。

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アドボカシーは、市民の中へ

2009-09-01 16:24:07 | 小児医療
 平成21年8月30日、日本の歴史が動いたその日、日本小児科学会の下部組織として位置づけられる日本外来小児科学会の全国大会が開催されました。
 鹿児島で勝利の感動を味わいたかったのですが、後ろ髪を引かれながら、大宮へ。
 理由は、下記のワークショップに参加したいがためでした。

 日本外来小児科学会は、小児科医師だけでなく、看護師、養護教諭、大学生、検査技師、医療事務、市民団体、、、、子どもたちにかかわるあらゆる業種が、子どもたちの育ちをいっしょになって考える大会です。

 アドボカシーの意味については、以前もブログでご紹介いたしましたが、念のため、一番下に掲載します。


ワークショップ:アドボカシーは、市民の中へ

内容:アドボカシーをさらに進めていくときに、例えば、予防接種の推進を、地域運動・市民運動としてまで盛り上げていこうとした時に、その対象は、ママ、パパ、祖父母、サラリーマン、学生、フリーターと、立場も地位も社会的属性も一括りにできない。
 こういった集団(または集団に属さない市民)に、どう働きかけるか?
 「麻疹撲滅」の横断幕をかかげて、他流試合として市民の中に飛び込んで行った自転車レースやマラソンなどスポーツイベントでの、市民の共感性を振り返りつつ、さらなる共感の場を求めて、医療者からも、非医療者からも、発信の出来る真摯なワークショップを目指して行きたい。


ワークショップに参加して学んだこと:

 子どものためのアドボカシーは、子どもの代弁者となり、子どもの目線で、子どもの育つ環境をよりよいものにしていくことを目的としています。

 代弁者として、誰に伝えるのか。
 行政に伝える場合、それなりの団体や立場をもって伝える必要がある。
 親に伝える場合、親の訴えを聞きながら、共感をもつなかで伝える必要がある。
 それは、社会に伝える場合でも同様で、共感を生む中で伝える必要がある。

 伝え方として、共感を生む対話の中でつたえるだけでなく、社会への発信ということであれば、マスコミを通じて、学術誌を通じて、ネットを通じて、デモやチラシ配布を通じてなどがある。

 難しいのは、心を開かず、無関心な人への伝え方であろう。
 コミュニケーションスキルを磨くこと。
 あいさつをし、会話を通じて、一瞬の心が開いた瞬間にうまく入っていくことが突破の糸口になる。その瞬間に、100%でなくとも、1%でも、相手の関心ごとに関連付けて、伝えていけばよい。
 まずは、相手との信頼関係作りからはじめ、あせらずに、ゆっくり伝えていけばよい。

 伝える内容は、相手にわかりやすい内容で。論理的に。時に、厳しく、やさしく。
 
 アドボカシーに取り組む態度、それは、できるひとが、できるときに、できる形で伝えることであろう。
 本人自体が、まず、興味が沸くことで取り組んでいけばよい。
 楽しんでやっているうちに、継続されていくであろう。

 組織として動く場合、会社全体や学校全体や、社団法人などでは、どうしても決定までに時間がかかる。
 組織のトップがどのような考えでいるかにも、大きく左右される。
 その中で、一人取り組むには、どうしても限界があるかもしれない。支援者を地道に増やしていくこと、組織外の応援者の手助けも得ること必要であろう。
 継続が大事であるが、一人取り組んでいたひとが、転出してしまうと、往々にして、その組織の取り組みが、ゼロに帰してしまうことがある。そうならないためにも、マニュアル化することが大事である。ただし、いくら、マニュアルがあっても形骸化する。形骸化しないためには、フィードバックの仕組みまでも作ったマニュアルである必要がある。
 組織のよい取り組みを、マスコミなどが拾い上げていただけると、やっている組織も、モチベーションが上がる。

 集団をつくって、アドボカシーをするには、そのリーダーの存在が大きい。

 活動の具体例として、
 広島市民球場の看板に「ワクチン打って、麻しん・風しん完封」という広告を出して、市民にワクチンの重要性を啓発。
 マラソン大会、富士スピードウェイでのママチャリレースにおいて、「麻しん・風しん撲滅」Tシャツを着て参加し、市民に啓発。
 子どもの事故防止のために、事故情報を集め、行政に働きかけをする。
 子どもの病気の知識を親御さんに伝える情報発信や講座を会を組織して伝える。
 「ワクチン啓発デモ」をする。
 などが、紹介された。

 写真は、ワークショップの風景。子どもと関連した異業種が、意見交換の最中です。
 
 
 


****話された内容の箇条書き******

*アドボカシーを行う人
医師だけでない

*アドボカシーの行動
誰が、誰に対して、誰の代わりとして

リーダーになる人が必要、そのひとがいなくなっても続く体制を

ネットで発信

社団法人であれば、行政は聞く

組織は遅い、

楽しむ、出来る範囲で

通達を出しておわりではなく、フィードバックを

情報交換をする、風通しのよい組織

モデルケースの共有

社会の認知を挙げる




*伝え方
あいさつ大事、

共感を生むように

コミュニケーションスキルをもつ

厳しく伝える役割も必要か

聞こうとしない人にいかに伝えるか。

硬い行動
医学論文発表

軟らかい行動
ビラ配布、デモ
Tシャツを着る

*内容
事実が書かれる
わかりやすい
いろいろな情報
伝える文章から、伝わる文章へ


*****アドボカシーとは何か?******
小田原の横田俊一郎先生が書かれた文章(2005年)を記載します。

◎アドボカシー

 子どもの代弁者として発言する

 「アドボカシー」という言葉をご存知ですか。アドボカシーには代弁者という意味があり、「ある考えや政策を、自分のためにうまく言い出せない人たちのために、別の人が声を大にして外部に訴える行為」と説明されています。
 わかりやすく言うと、「子どものように弱く発言力がない人たちに代って、一肌ぬいで仕事をする」ということです。
 単に奉仕をするだけではなく、その人に代わって訴える、という所がボランティアとの違いです。


◎子どもの事故予防

 昨年話題になった回転ドアの事故については、その原因が子どもの不注意でも、親の不注意でもないことが明らかになってきました。
 回転ドアそのものの発想や構造に原因があったのです。
 このことは子どもには訴えることができません。誰かが訴えないかぎり、事故が起こっても子どもや親の不注意として片づけられ、次の犠牲者が生まれてしまうのです。
 回転ドアの問題を訴える行為こそがアドボカシーなのです。


◎小児科の取り組み

 子どもに関係したアドボカシーは小児科医の大切な仕事です。
 なぜなら子どものことを最もよく知っている職業の一つだからです。
 米国では若い小児科医に積極的に教育されていますし、私が活動している日本外来小児科学会でも委員会ができ、活動が広まっています。
 子育ての相談にのってあげる、安全な通園通学路を確保するというような身近なことから、子どもをタバコの煙から守る、有害なテレビ番組から守るというような社会的な活動まで、仕事は山ほどあります。
 日本外来小児科学会では社会的な活動として、自己負担金のある市町村への麻疹ワクチン完全無料化の働きかけ、警視庁へのチャイルドシート取り締まり強化の要望書提出、厚生労働大臣への子どもの事故予防のための要望書提出などを行ってきました。


◎アドボカシーの輪を広げよう

 アドボカシーは無報酬で自発的に行うものですが、その行動を通して達成感や自己の存在感を味わえます。
 自己犠牲に上に成り立っているようで、結局は自分にプラスになって返ってくるように感じます。
 アドボカシーは小児科医だけの仕事ではありません。誰にでもできる、やりがいのある楽しい仕事なのです。
 小児科医と保護者の方々が手を組んで働き掛けるようになれば、子どもたちのためにより大きな力を発揮できますし、小児科医と保護者の方々の輪がもっと拡がっていくはずです。


***以上、掲載終わり****


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