「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

感染を制御しつつ、子ども達の学び・育ちの環境づくりをして行きましょう!病児保育も鋭意実施中。子ども達に健康への気づきを。

在外邦人は選挙区に生活の本拠ないが投票できる、ならば、実家に住民票残す親元離れた下宿生もできるはず

2016-06-30 17:40:45 | シチズンシップ教育

 選挙権は、最も重要な権利のひとつです。これを獲得し有効に行使するためにこそ、表現の自由が存在しているとも言い得ます。 

 その選挙権は、法律上、住民台帳に登録がなければ得ることができません。

 東京の下宿生で、地元出身県の実家にそのまま住民票登録が残っているひとは、地元出身県では、居住実態はないため、住民登録があったとしても、原則、その親元に投票用紙が届いていない可能性があります。もしくは、調査漏れで、生活実態があるとみなされ、投票用紙が親元に届いていることも、あるかもしれません。

 


 この場合に、居住実態があって、住民登録がなされていない東京選挙区で投票できるか、考え方が分かれるところです。

 ただし、地元出身県であれ、東京都であれ、参院選全国区の比例区選出については、候補は同じわけであるから、投票できると考えるのが当然ではないでしょうか。

 なお、現在、在外邦人は選挙区に生活の本拠はないが投票できることになっています。

 新聞記事では、岡田信弘・北海学園大法科大学院教授が、選挙制度の不備と述べられておられますが、まさにそのとおりであると考えます。

 制度の不備がある中、今のところは、少なくとも各地域の選挙管理委員会が裁量判断で、全国区だけでも、下宿生に選挙権を与える配慮がなされることを願います。

 下宿生の皆さん、大事な投票権を、絶対、失わないで下さい!下宿のある区の選挙管理委員会に問い合わせをして、事情を説明し、必ず自分の選挙権を獲得してください!
 東京都中央区の場合は、ご相談下さい。一緒に中央区選挙管理委員会に行きましょう。 
 
 以下、朝日新聞による問題提起です。

*********朝日新聞20160629***********************
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12432304.html 


下宿生の一票、割れる選管 住民票が実家のまま→投票できぬ例も

2016年6月29日05時00分



 実家に住民票を残し、親元を離れて大学などに通う下宿生は投票できるのか。「18歳選挙権」で注目される今回の参院選で、選挙管理委員会の判断が割れている。


 ■名簿登録されず

 高知県香南(こうなん)市、三原村選管は参院選公示日前日の21日に18~20歳の計106人を選挙人名簿に登録しなかった。大半が外に出た大学生や短大生という。

 香南市は新たに選挙権を得た18~20歳に文書を送り、市内に住んでいるか確認。登録しなかったのは「住んでいない」と返信があった95人だ。返信がなかった297人を含む570人はそのまま登録した。

 5月末に文書を送った三原村も全25人から回答を得て、17人を登録しなかった(その後、転居から4カ月未満の6人を補正登録)。

 公職選挙法では、居住実態のない住民は投票できないと定め、市町村選管には調査の権限がある。総務省はこれまでも国政選挙時などに「適切な調査」を求めているが、どこまで調査するかは選管の判断に委ねられている。複数の県選管によると、人口の少ない自治体では以前から詳しく調査する傾向があるという。

 両市村の今回の調査は、18歳選挙権も踏まえて総務省が4月に出した通知をもとに行われた。これまでも定期的に調査してきたが、選挙権年齢の引き下げで、登録されない若者がほぼ倍増したという。

 北海道では少なくとも10町で新たに有権者となった18~19歳の計283人が名簿に登録されていないことがわかった。総務省選挙課は「生活実態に疑義があれば各選管としては調べる。一方で投票できるかどうかは個別事情を踏まえて判断されている」としている


 ■不在者投票でも

 地元を離れている人が不在者投票で一票を投じることができるかについても、選管の判断が分かれる。愛媛県宇和島市の女性は今月中旬、東京に住む20歳と19歳の子どもに不在者投票をさせようと市役所に出向いたが、断られた。

 市選管が根拠とするのが、1954年の最高裁の判例だ。学生寮が住所(生活の本拠)となるかが争われ、「親元を離れて居住する学生の住所は寮または下宿先」と認定された。小島健治係長は「下宿の事実を告げられたら、できないと言わざるを得ない」と話す。


 横浜市は市内の下宿生向けに、住民票を移すよう求める一方、「移していない人は不在者投票を」と呼びかけるリーフレット2万部を市内の27大学で配った。投票用紙を地元の選管に請求すると、最寄りの選管で投票できる、と説く。

 市選管の橋本幹雄・選挙課長は「個々の生活実態までとても把握できない。棄権を減らす取り組みをするのが現実的」と説明する。


 ■制度上の不備

 選挙制度に詳しい岡田信弘・北海学園大法科大学院教授の話 選挙権は行使して初めて意味がある。制限するには「やむを得ない理由」が必要だ。比例区が全国単位の参院選で生活実態をどこまで厳格に調べる必要があるか、疑問が残る。在外邦人は選挙区に生活の本拠はないが投票できる。それぞれの選管の意向で投票できるかどうかが違うのは不平等で、制度上の不備。若い有権者が住民票を移さなかったことに問題がないわけではないが、不在者投票で一票を行使できるようにするべきだ。

*********新聞記事引用の最高裁判所 1954年昭和29年 判決*****************

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/190/056190_hanrei.pdf

主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。

         理    由
 上告人訴訟代理人弁護士坂千秋、同渡辺泰敏の上告理由は末尾添付のとおりであ
る。
 上告理由第一点について。
 論旨は、原判決は、公職選挙法九条及び二〇条に規定する「住所」の解釈を誤つ
た違法があるというのである。
 およそ法令において人の住所につき法律上の効果を規定している場合、反対の解
釈をなすべき特段の事由のない限り、その住所とは各人の生活の本拠を指すものと
解するを相当とする。
 本訴の争点は、被上告人等四七名が昭和二八年九月一五日現在において、その日
まで引続き三箇月以来a村の区域内に住所を有していたかどうかの一点にあるので
ある。そこで原判決が確定した事実によれば、同人等はD大学の学生であつて、a
村内にある同大学附属E寮にて起臥し、いずれも実家等からの距離が遠く通学が不
可能ないし困難なため、多数の応募学生のうちから厳選のうえ入寮を許され、最も
長期の者は四年間最も短期の者でも一年間在寮の予定の下に右寮に居住し本件名簿
調製期日までに最も長期の者は約三年、最も短期の者でも五ヶ月間を経過しており、
休暇に際してはその全期間またはその一部を郷里またはそれ以外の親戚の許に帰省
するけれども、配偶者があるわけでもなく、又管理すべき財産を持つているわけで
もないので、従つて休暇以外は、しばしば実家に帰る必要もなく又その事実もなく、
主食の配給も特別の場合を除いてはa村で受けており、住民登録法による登録も、
本件名簿調製期日にはB外五名を除いては同村においてなされていたものであり、
- 1 -
右六名も原判決判示のような事情で登録されていなかつたに過ぎないものというの
である。以上のような原判決の認定事実に基けば、被上告人等の生活の本拠は、い
ずれも、本件名簿調製期日まで三箇月間はa村内E寮にあつたものと解すべく、一
時的に同所に滞在または現在していた者ということはできないのである。従つて原
判決が被上告人等は本件a村基本選挙人名簿に登録されるベきものとし、これに反
する上告人委員会のした決定を取り消したのは正当であるといわなければならない。
 論旨は、国会議員の選挙権と普通地方公共団体の議会の議員及びその長の選挙権
とは、その本質において前者は単に成年以上の国民であれば足るのに反し(公職選
挙法九条一項)、後者は右の外に当該地方公共団体の人的構成員たることの要件、
即ち住所要件を具備することを必要とする(地方自治法一〇条、一一条、一八条及
び公職選挙法九条二項)、しかるに公職選挙法は右両者の選挙人を一の選挙人名簿
によることとしたため前者についても住所地をもつて選挙権行使の地とするに至つ
たのである(公職選挙法一九条)、しかるに原判決は公職選挙法上の住所(即ち国
会議員の選挙の場合の住所)のみを考慮し、地方自治法上の住所(即ち地方公共団
体の選挙の場合の住所)について考慮をしていないと非難する。しかしながら前示
のような事実関係のもとにおいては、被上告人等は、日常a村内E寮を本拠として
生活しているのであつて、これを同村の住民と解することに少しも支障はないので
ある。郷里またはその他の入寮前の居住地こそ、入寮後の日常生活においては直接
に関係がないのであつて、特段の事情のない限り、それらの土地になお生活の本拠
があると認定することこそ却つて失当であるというべきである。また、公職選挙法
二七〇条二項は、病院その他の療養施設に入院加療中の者に対してはその場所に住
所があるものと推定してはならない旨を規定しているけれども、学生と入院加療中
の者とではその原居住地えの復帰の蓋然性その他日常の生活の態様を異にし、右二
七〇条二項をもつて学生の場合を律することはできないものといわなければならな
- 2 -
い。何れにせよ同条項は療養者にのみ適用ある規定であるから、在寮学生を療養者
と同一視しなかつたことだけは明らかであるのである。論旨はまた、原判決が学資
の出所如何は住所の認定に無関係である旨判示しているのは失当であると非難する。
しかし論旨摘録の原判示は、学資の出所のみによつて住所の認定が左右さるべきわ
けのものではないとの判旨であつて、学資の出所如何は住所の認定上全然無関係で
あるとした趣旨とは解されないから、論旨の非難は当らない。
 上告理由第二点について。
 論旨は、原審は審理を尽さずして住所を認定し、またその理由において不備があ
り且つ判断遺脱の違法があるというのである。しかし、原判決は当事者の主張及び
立証に基き且つ所論すべての点をも考慮に入れたうえ、被上告人等の住所がa村に
ありと認定判断したものであることは、一件記録に徴し十分肯認できるのである。
そしてもし右修学地以外の場所に生活の本拠ありとすべき特別の事実が存在する場
合においては、かかる事実の存在を主張する当事者において主張立証すべき事項で
あつて、その主張立証のない以上、原判決に所論の各違法ありとはいい得ない。
 以上のとおり、原判決はその理由において以上説明と多少異るところがあるけれ
どもその結論は結局正当に帰し、本件上告は理由がないからこれを棄却すべきもの
とし、民訴三九六条、三八四条、九五条、八九条に従い主文のとおり判決する。
 この判決は裁判官全員一致の意見である。

     最高裁判所大法廷
         裁判長裁判官    田   中   耕 太 郎
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    斎   藤   悠   輔
- 3 -
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    岩   松   三   郎
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    谷   村   唯 一 郎
            裁判官    小   林   俊   三
            裁判官    本   村   善 太 郎
            裁判官    入   江   俊   郎
 裁判官霜山精一は退宮につき署名捺印することができない。
         裁判長裁判官    田   中   耕 太 郎
- 4 -

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舛添都知事の問題を繰り返させないために。監査制度改革としてのひとつの方法

2016-06-30 16:47:05 | 議会改革

 舛添都知事の問題を繰り返させないためには、監査委員を機能させる必要があり、そのためには、首長選挙の次点落選の者を監査委員とする(その者が希望すれば)のは、ひとつの手かもしれません。

 政敵に監査をさせるのだから、たいへん厳しい監査になるはず。


 世界7月号、神戸大名誉教授・弁護士阿部泰隆氏、片山善博氏より

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小規模保育事業所A型・B型・C型、保育所型事業所内保育事業所、小規模型事業所内保育事業所の施設基準の強化

2016-06-29 18:19:17 | 子育て・子育ち
 私の所属する福祉保健委員会(6月29日)では、以下、2議案の審議が行われました。

1)議案第44号 中央区行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用及び特定個人情報の提供に関する条例の一部を改正する条例

2)議案第46号 中央区家庭的保育事業等の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例


 ここでは、2)議案第46号 中央区家庭的保育事業等の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例に関連して、書きます。

 「建築基準法施行令」が改正され、それに基づく「家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準」が改正されたため、それに合わせ、区の基準も改正するものです。


 「家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準」が、どう改正されるかですが、官報平成28年2月19日付で公布され、平成28年6月1日施行となりました。

 官報では、

改正前:「外気に向かって開くことのできる窓若しくは排煙設備(建築基準法施行令123条第三項第一号に規定する国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものその他有効に排煙することができると認められるものに限る。)を有する付室」

改正後:「付室(階段室が建築基準法施行令123条第三項第二号に規定する構造を有する場合を除き、建築基準法施行令123条第三項第二号に規定する構造を有するものに限る。)」

 となっています。

 建築基準法施行令123条第三項第二号の文言とは、「屋内と階段室とが付室を通じて連絡する場合においては、階段室又は付室の構造が、通常の火災時に生ずる煙が付室を通じて階段室に流入することを有効に防止できるものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものであること。」

 なかなか、イメージが湧きませんが、避難の階段に通じる部屋、もしくは、避難階段そのものに、煙を処理する装置をつけることを義務付けるものと理解します。

 
 いずれにしろ、今回の区の改正により、施設(小規模保育事業所A型・B型・C型、保育所型事業所内保育事業所、小規模型事業所内保育事業所)の構造が、より火災に強いものにしていくという内容のものです。
 もちろん、子ども達の安全が大事であり、改正案に賛成の立場を表明したところです。


 私の質問に際しては、区側から、小規模保育事業所A型・B型・C型、保育所型事業所内保育事業所、小規模型事業所内保育事業所についてのそれぞれの本質的な違いの部分について、ご説明いただきました。わかりやすいご説明に感謝いたします。
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マイナンバー制度が始まったのであるから、例えば、障害者手当申請書類への課税情報の記載は不要では?

2016-06-29 16:13:29 | 医療

 私の所属する福祉保健委員会(6月29日)では、以下、2議案の審議が行われました。

1)議案第44号 中央区行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用及び特定個人情報の提供に関する条例の一部を改正する条例

2)議案第46号 中央区家庭的保育事業等の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例


 ここでは、1)議案第44号 中央区行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用及び特定個人情報の提供に関する条例の一部を改正する条例に関連して書きます。


 東京都規則第215号(東京都公報 平成27年12月28日号)において、「東京都重度心身障害者手当条例施行規則」の一部を改正する規則が改正され、同手当条例施行規則6条1項に、「(これらの証明書により証明すべき事実を公簿等によって確認することができる場合は、当該書類の添付を省略することができる。)」という文言が付け加えられました。

 このことで、都の事務である「重度心身障害者手当」に関する申請を受け付ける区としては、申請受理にあたり、マイナンバーを用いることが可能になりました。マイナンバーを利用して、申請者の情報を閲覧し、課税証明書を本来添付すべきであったことを不要とすることができるということです。

 そのためのマイナンバーを用いて課税情報を得ることの許しを条例で今回規定する条例改正の審議でした。

 以下、申請書類の現物です。課税情報の記載欄が、申請書類の左側にありますが、せっかく、マイナンバーを用いて情報を即座に獲れるのであるから、記載不要にしてもよいのではないかと考えるところです。

 申請書類の見直しをどうかよろしくお願いいたします。


<申請書類 左側の記載は不要では?>


東京都重度心身障害者手当条例施行規則

(受給資格の認定の申請)

第六条 申請を行う場合は、重度心身障害者手当受給資格認定申請書(別記第一号様式)に、申請者に係る住民票記載事項証明書(別記第一号様式の二)及び課税証明書を添えて行わなければならない(これらの証明書により証明すべき事実を公簿等によつて確認することができる場合は、当該書類の添付を省略することができる。)。
  
2 次条ただし書の規定により判定を行うことが申請時に明らかな場合は、前項に規定する申請書に当該申請者が条例別表に定める程度の重度の障害を有する者であることを証する書類を添えなければならない。
 
(昭五九規則七・平一一規則三九・一部改正、平一二規則三二四・旧第二条繰下・一部改正、平二七規則二一五・一部改正)

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出光、創業家が合併反対 昭和シェルとの計画「社風」違う、その社風の意味するところ

2016-06-29 08:56:09 | 社会問題
 本日6/29、日本経済新聞第一面の記事

 「出光、創業家が合併反対 昭和シェルとの計画「社風」違う」
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ28HZO_Y6A620C1MM8000/

 昭和シェルの社風を、私は、まったく存じ上げないけれど、そして、合併の是非についても何もわかりませんが、「社風が違う」というところは、なんか、すとんと自分には落ちました。
 
 私の知る出光さんは、大いに百田尚樹氏の解釈に依存しておりますが、以下です。

***********私の知る出光さん、以前記載のブログより******************************
出光興産創業者 出光佐三氏が今の日本に生まれていたらー日章丸事件

http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/22f9080161438ef9cf943ffcecd4043a

      
 出光佐三氏及び出光興産社員の敗戦直後の活躍に感謝したい気持ちである。


 「石油の一滴は血の一滴」と言われ、日本は、石油のために太平洋戦争をし、石油のために敗れた。大きな要因として石油があったことは言い得ている。
 戦後、第二の敗戦として、石油業界が外国の石油資本7大メジャー(7人の魔女)に日本の各社が飲み込まれるも、出光は、日本全体が蹂躙されてしまうことを防いだ。


 その出光の創業以来の社是は、「社員は家族」「非上場」「出勤簿は不要」「定年制度は不要」「労働組合は不要」。小さな個人商店ならわかるが、大企業がこのような社是とは、驚きと、社員は大丈夫かとふと思いたくなる。しかし、社員は、なんら文句を言うこともなく、逆にいきいきと、例えば、GHQから指令されたが、どの企業もやることに手を上げなかった石油タンクに残った油のくみ出しを、出光社員の人海戦術でやりとげたのである。


 なぜ、社員がそこまでできたのか。佐三氏の魅力やその精神すなわち「人間尊重」、「和の精神」、「国のためを第一に考えること」につきる。
 戦後の焼け野原となった日本において、失業者があふれる中、佐三氏は、1000人の社員を一人と首にすることなく、家族のように養った。事情が事情なのだから、社員を縮減して企業存続を考えるであろうが、佐三氏の発想はそうではなかった。なんとか仕事を探し、ラジオの修理の全国展開を銀行から多額の借金をしてもやろうとした。


 石油の業界団体に加わっていなかったことから、周囲の妨害も並大抵のものではなかった。偽の情報からGHQには「公職追放」と指定され、石油配給公団の指定する「販売業者」からはずされかけ、イランへ送るタンカーを借りる契約を直前に破棄され、石油販売の配給比率のメジャーを有利にする制限など、同業者からも、政府からも、国際石油カルテルからも標的にされた。


 悲しくなるのは、自らの企業の利益や組織の存続という点にのみ目を向ける他企業の幹部や政府役人の存在である。佐三氏は、無私無欲で、日本のためにしているにも関わらず、情け容赦のない妨害をしてきた。


 和の精神の佐三氏、そして社員は家族の出光興産は、それら妨害につぶされることなく、乗り切った。朝鮮戦争が勃発し、「特需」とともに石油消費の需要もあったという運もあったが、それだけではない。
 難題を乗り切ろうとして必死に努力をする社員と、佐三氏が有する信頼できる人脈が、危機を回避し、交渉を実りあるものへと変えて行った。


 出光興産の大きな偉業のひとつは、イランからの石油の買い付けである。
 その名も、「日章丸事件」。
 イランは、7大メジャーに長い間支配されて来たことに闘って、モサデク首相のもとイギリスの国策会社アングロ・イラニアンを自国の会社とした。そのために厳しい経済封鎖をかけられ、イランの石油を運び出そうとする船舶は、イギリスの軍艦により拿捕される状況にあった。
 佐三氏は、隠密裏にイランとの交渉を進め、自社の日章丸をイランへ送った。日章丸の乗組員さえ行き先を正しく教えられることなく航海した。
 イランへ行き先を変更したとき、「イランの石油を購入することでイランを助け、日本の石油業界の未来に貢献する」という佐三氏の檄文を船長が読み上げると、戦場に赴く危険な任務を明かされたのにもかかわらず乗組員から「万歳」の声が何度も轟くのであった。
 無事、イランの石油を輸入し、正当性が国際法上も認められた。
 その後、メジャーの逆襲、すなわち、アメリカCIAの仕組んだクーデターで、パーレビ国王が元首とされ、モサデク首相がひきずり降ろされ、イラン革命までの間、イランの石油は、メジャーの手に落ちる。
 そのことからすると日章丸の石油の輸入はほんの一矢にすぎないが、イランと日本の友好関係が続いてほしかったと思うところである。


 「99人の馬鹿がいても、正義を貫く男がひとりいれば、間違った世の中にはならない。そういう男がひとりもいなくなったときこそ、日本は終わる」佐三氏の言。
 たとえ、組織の内向きの論理でつぶしにかかっても、正しいことを行っている以上、そのことを見ている人は必ずいて、救いの手は差し出されるし、運命も見方する。
 佐三氏の人生は、そのことを証明してくれる。さらにいうなら、佐三氏の正義は、単なる主義という漠然としたものではなく、人間の尊厳から出てくるものであった。


 出光興産の社是は、今も通じるように思う。それこそが、日本の企業の理想とすべき姿と考えるがいかがか。


 今、私は法律を学んでいる。小児科医として、子ども達の育つ環境を政策的にも制度的にも街づくりからもよくするためには、法律という“刀”が必要であると考えるからである。
 法律では、民主主義、自由主義など主義という言葉が多用され、思考のはじめに○○主義から入って行こうとしていた。
 佐三氏は、「主義の奴隷になるな」と言う。主義を主張する一方で、人間尊重、和の精神に立ち返ることを忘れずにもちたいと思う。人間尊重、和の精神は、敗戦後の最も困難な時期でさえ通じたのであるから、今も通じるはずである。


参考文献
『海賊とよばれた男』  百田尚樹 著 
『マルクスが日本に生まれていたら』 出光佐三 著


********日本経済新聞20160629***********************


出光、創業家が合併反対 昭和シェルと「社風違う」

2016/6/29 1:03




 石油元売り国内2位である出光興産の創業家は28日、同社が2017年4月に予定する同5位昭和シェル石油との合併に反対を表明した。企業文化や事業戦略に大きな違いがあり、合併しても相乗効果が得られないとしている。創業家は議決権ベースでの出光株保有について、株主総会で合併などの特別決議に拒否権を行使できる33.92%であると主張。この影響力が低下することへの懸念も背景にあるようだ。合併計画は不透明となり、国内エネルギー業界に大きな影響を与える可能性が出てきた。


 創業家の代理人は28日、出光の株主総会で、10人の全ての取締役の再任案に反対するかたちで態度表明した。創業家は全取締役が合併を推進しているとした。取締役の再任は賛成多数で可決された。

 創業者の故・出光佐三氏の長男で出光社長も務めた昭介氏のほか、創業家の企業で出光筆頭株主である日章興産など、創業家は33.92%の議決権を持つとしている。創業家は両社の具体的な違いとして、出光には労働組合がないが昭シェルにはある、出光はイランと親密だが、昭シェルにはサウジアラビア国営のサウジアラムコが出資している、などを挙げている。

 両社は15年7月、経営統合することで合意。統合形態は継続協議としたが、同11月に「合併」で合意したと発表していた。創業家には企業文化や事業戦略のほかに、保有する出光株が希薄化してしまうことへの懸念があるとみられる。このため、出光幹部と創業家は11月以降、話し合いを続けたが、折り合いがつかなかったという。

 創業家は同12月から数回にわたり、合併に反対する意見書を提出したが、出光側から明確な回答がなかったため、株主総会での議案に反対する形で意見を表明した。

 両社の合併については現在、公正取引委員会が審査している。早ければ9月中にもまず出光が英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルから昭シェル株約33%を取得。その後、16年末にも臨時株主総会を開き、17年4月に両社の株式を交換する形で合併する方針だった。

 人口減や省エネ推進を背景に国内石油市場が縮小するなか、元売り各社は有力な打開策として再編を加速させている。17年4月に出光・昭シェル、JXホールディングス(HD)と東燃ゼネラル石油がそれぞれ合併する予定になっている。JXHDと東燃ゼネはガソリンの販売シェアで50%を超えるだけに、出光と昭シェルの合併交渉が白紙になれば業界の再編全体への影響も懸念される。

 今年に入り、企業の重要案件に創業家がからむケースが相次いでいる。特に大型再編について、株主総会日に反対を表明するのは異例。株主との関係など、改めて企業のあり方が問われることになりそうだ。
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完成直前のマンションの建築確認を、その安全面の問題から東京都が取消した事例

2016-06-29 08:30:32 | 街づくり
 中央区も他人事ではない話かもしれません。

 まちづくり基本条例を有効活用し、住民の合意形成を得ながらのまちづくりを心掛けていかねばなりません。



*********毎日新聞(20160628)*************************************
http://mainichi.jp/articles/20160628/k00/00e/040/228000c

東京・小石川のマンション
完成直前に都「建築不許可」



毎日新聞2016年6月28日 12時39分(最終更新 6月28日 13時34分)



近隣住民ら請求、業者取り消し求め提訴

 東京都文京区で建設中の大型マンションの建築確認が、都建築審査会の裁決によって完成直前に取り消され、半年以上工事がストップしている。審査を請求した周辺住民は「住民の疑問に応えず工事を急いだ結果だ」と業者側の対応を批判。これに対し、建築主2社は5月、裁決の取り消しを求める行政訴訟を東京地裁に起こした。紛争解決の糸口は見えず、建築の可否は司法の判断に委ねられる。30日に第1回口頭弁論が開かれ、都側は全面的に争う見込み。


 問題のマンションは文京区小石川2でNIPPO(東京都中央区)と神鋼不動産(神戸市中央区)が建設する「ル・サンク小石川後楽園」(107戸)。2012年7月に建築確認を受け、13年に着工。地上8階、地下2階の建物はほぼ完成したかに見えるが、高さ約2メートルの白い囲いに覆われたままだ。完売していたが、工事が止まったため2社は購入者に総額22億円の解決金を払って解約した。

 建設計画が浮上した04年以降、周辺住民は業者に安全面や景観面の懸念を繰り返し指摘してきた。住民側は建物が急坂に面していて駐車場の出入り口の安全面に問題があるとして、建築確認から2カ月後で着工していない段階の12年9月、都審査会に建築確認取り消しを求めた。

 都審査会は昨年11月、マンション1階の駐車場と道路の高低差が最大2・5メートルある点などから、1階は災害時に屋外に直接出られる「避難階」には当たらず、避難階段もなく安全基準を満たさないとして建築確認を取り消した。都審査会では5年ぶりの判断という。

 一帯は区の決定で14年3月に建築物の高さが22メートル以下に制限された。新たな建築確認を受けるには2階分(約5メートル)低くする必要があり、2社は裁決を取り消す判決を得て従来の計画のまま工事を再開したい考えだ。

 審査請求人の一人で地元住民の戸波江二さん(69)は「確認取り消しは住民が求めた設計の見直しを認めずに工事を急いだ結果だ」と強調し、設計変更を求めている。

 文京区では傾斜地などで建設を巡る紛争が相次ぎ、11の住民団体が5月、着工前に住民、自治体、事業者3者の利害調整の場を作るよう区議会に請願した。請願人代表の中山代志子弁護士は「画一的な規制では地域事情が反映されず紛争を生む。地域の声が取り入れられる公平で透明性の高い調整の場が必要だ」と話している。【伊藤直孝】
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自主避難 住宅支援継続を!

2016-06-28 23:00:00 | 防災・減災

 重要な意見書と考えます。

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中央区におけるマイナンバー法

2016-06-28 06:44:16 | シチズンシップ教育
マイナンバー法=「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成二十五年五月三十一日法律第二十七号)」の中央区で、用いる場合の規定

条例は、以下のマイナンバー法の各条文に基づいて作られる必要がある。

 マイナンバー法9条2項
(利用範囲)
第九条
2 地方公共団体の長その他の執行機関は、福祉、保健若しくは医療その他の社会保障、地方税(地方税法 (昭和二十五年法律第二百二十六号)第一条第一項第四号 に規定する地方税をいう。以下同じ。)又は防災に関する事務その他これらに類する事務であって条例で定めるものの処理に関して保有する特定個人情報ファイルにおいて個人情報を効率的に検索し、及び管理するために必要な限度で個人番号を利用することができる。当該事務の全部又は一部の委託を受けた者も、同様とする。


 マイナンバー法19条9号
(特定個人情報の提供の制限)
第十九条  何人も、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、特定個人情報の提供をしてはならない。
九  地方公共団体の機関が、条例で定めるところにより、当該地方公共団体の他の機関に、その事務を処理するために必要な限度で特定個人情報を提供するとき。
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東京都中央区における家庭的保育事業、小規模保育事業、居宅訪問型保育事業、事業所内保育事業

2016-06-27 23:00:00 | 子育て・子育ち
児童福祉法24条2項に規定⇒家庭的保育事業等(家庭的保育事業、小規模保育事業、居宅訪問型保育事業又は事業所内保育事業をいう。以下同じ。)

児童福祉法34条の16第1項⇒

第三十四条の十六  市町村は、家庭的保育事業等の設備及び運営について、条例で基準を定めなければならない。この場合において、その基準は、児童の身体的、精神的及び社会的な発達のために必要な保育の水準を確保するものでなければならない。

○2  市町村が前項の条例を定めるに当たつては、次に掲げる事項については厚生労働省令で定める基準に従い定めるものとし、その他の事項については厚生労働省令で定める基準を参酌するものとする。
一  家庭的保育事業等に従事する者及びその員数

二  家庭的保育事業等の運営に関する事項であつて、児童の適切な処遇の確保及び秘密の保持並びに児童の健全な発達に密接に関連するものとして厚生労働省令で定めるもの

○3  家庭的保育事業等を行う者は、第一項の基準を遵守しなければならない。


 上記、児童福祉法34条の16第1項の規定に基づいた中央区の条例⇒「中央区家庭的保育事業等の設備及び運営の基準に関する条例(平成26年10月17日条例第24号)」


 中央区の場合、どのような方針で、保育がなされるか。同条例の5条

(家庭的保育事業者等の一般原則)

第五条 家庭的保育事業者等は、利用乳幼児の人権に十分配慮するとともに、一人一人の人格を尊重して、その運営を行わなければならない。

2 家庭的保育事業者等は、地域社会との交流及び連携を図り、利用乳幼児の保護者及び地域社会に対し、当該家庭的保育事業等の運営の内容を適切に説明するよう努めなければならない。

3 家庭的保育事業者等は、自らその行う保育の質の評価を行い、常にその改善を図らなければならない。

4 家庭的保育事業者等は、定期的に外部の者による評価を受けて、その結果を公表し、常にその改善を図るよう努めなければならない。

5 家庭的保育事業所等(居宅訪問型保育事業を行う場所を除く。次項、次条第二号、第十四条第二項及び第三項、第十五条第一項並びに第十六条において同じ。)には、法に定めるそれぞれの事業の目的を達成するために必要な設備を設けなければならない。

6 家庭的保育事業所等の構造設備は、採光、換気等利用乳幼児の保健衛生及び利用乳幼児に対する危害防止に十分な考慮を払って設けられなければならない。

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美しき日本人

2016-06-26 23:00:00 | 仲間・先生

 高校での卒業作品。

 あの頃1985年から、「美しき日本人」と言ってる。安倍首相が言いだすより、自分のほうが早いと思っています。

 

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ワークライフバランスに取り組む先進的な企業4社のお話

2016-06-25 22:48:11 | 子育て・子育ち

 ワークライフバランスに取り組む先進的な企業4社のお話をシンポジウムでお伺いできました。

 ○ダンクソフトさん

 ○クエスト・コンピューターさん

 ○サンプラントさん

 ○クデイラアンド・アソシエイトさん


 ひとつ特徴的なところは、ICTを有効活用していたこと。

 例えば、クラウドでのデータ共有と企業内ペーパーレス。テレワーク。

 欧米の社員がおられて、もともと、「仕事と家庭をどちらを選ぶか」という概念自体がないというところもありました。

 
 たいへん有意義なシンポジウムでした。

 登壇された各社のやり方をさらに詳しくお伺いしたいと思いました。

 
 6月の福祉保健委員会で私の質問に対して行政側のご回答もあって、育休期間の柔軟な取り方ができる社会がどのように行政として作っていけるのかについて、考えていきたいと思っています。


 

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26(日)急病対応は変則的11:00~こども元気クリニック・病児保育室月島3丁目5547-1191

2016-06-24 23:00:00 | 朝日新聞スクラップ
〇6/26(日)9:00-9:45、11:00-11:30 変則的ではございますが、 こども元気クリニックは、急病対応致します。
 (地域町会の防災訓練があり、消防団員として協力するため10:00-11:00の間、クリニックを抜けて近所の公園に出動します。)

 ヘルパンギーナ、アデノウイルス感染症など、夏風邪が増えてきました。
 お腹にくる嘔吐下痢のお風邪(嘔吐下痢症)少しと、お咳のお風邪も、あります。
 あと、お熱のかぜ。

 体調崩されておられませんか?
 特に、保育園に行きだした多くの子ども達が、お風邪をもらっている状態が続いています。

 おとなも、こどもの風邪をもらいます。
 そのような場合、お子さんとご一緒に、親御さんも診察いたしますので、お気軽にお声掛けください。



〇なおったお子さんには、日曜日、祝日に、インフルエンザ治癒証明などの登園許可証も記載します。
 翌日、月曜日朝一番から登園できますように、ご利用ください。


〇合わせて、平日なかなか時間が作れない場合でも、休日も、予防接種を実施いたしますので、ご利用ください。

 例えば、乳児の保育園児は、はしかワクチンは、早期に打っておくことがよいと私は考えます。


〇いじめ・不登校、発達障害、障害・慢性疾患のある場合の保育園・幼稚園・小中学校への登校に関して等、ご相談があれば、お受け致します。

 中央区の就学相談も開始されてくる頃です。特別支援学校、特別支援学級、特別支援教室&通級学級などに関連したご相談もお受けいたします。


以上
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本当に幸福なときとは、幸福とは何かという問いも消えているとき

2016-06-24 09:00:24 | 朝日新聞スクラップ

 ひとつの真理を言い得ていますよね。

 「本当に幸福なときとは、幸福とは何かという問いも消えているとき」

 もちろん、他の原因で、例えば忙しすぎて、幸福だけでなく他の事がらの問いも消えざるをえないような状況ではない場合において。
 すなわち、いろいろと考えるべきテーマを自由に選択できる状態であるにも関わらず、幸福とは何かという問いが考えるテーマの優先順位としてものすごく下か、考えるべきテーマの枠外になっている場合なのかな。


***********朝日新聞**************************
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12424404.html 

「ある」幸せがあるなら「ない」幸せがあったっていいじゃない。

 (稲垣えみ子)

    ◇

 モノ、金、健康。もしこれらを手に入れるのが幸福だとすれば、病と死は不幸の極み。人は「不幸にまみれて」一生を終えるほかない。でも、持つことと幸福とは別。そう気づいた元記者は、以後、「ある」幸福へのこだわりを捨て、電気を極力使わずに暮らす。本当に幸福なときには、幸福とは何かという問いも消えるのだろう。TBS系「情熱大陸」(4月3日放送)から。

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舛添都知事辞職の一方で、中央区長の理由のなきロンドン・パリ視察は許されるのか?地方財政法に抵触?

2016-06-23 16:32:09 | 財務分析(予算・決算)

 さて、明日6/24、いよいよ、中央区議会本会議で、問題の中央区長のロンドン・パリ視察(区長他6人パリロンドン1週間1118万6千円)が含まれた補正予算案の採決がなされます。

 私は、先日、このロンドン・パリ海外視察は、理由がないと、書きましたが、その点について、詳述します。

 すなわち、3月の予算特別委員会において、来るべき東京五輪について予算審議したばかりにも関わらず、降ってわいたような東京五輪準備のための海外視察の補正予算は、ある意味、地方財政法上、違法ではないかとさえ考えています。

 以下、違法と考える理由を述べます。

 まず、補正予算は、どのような場合に出せるのか?

 地方財政法は、予算編成について3条1項で、「地方公共団体は、法令の定めるところに従い、かつ、合理的な基準によりその経費を算出し、予算に計上すること」を、地方公共団体に義務づけています。

 補正予算の場合の法令の定めは、地方自治法218条1項に該当し、その内容は、「予算の調整後に生じた事由」に基づき、当初予算に追加等の変更をする必要が生じたときに、首長によって調整され、議会に提出される予算であることとなっています。すると、「予算の調整後に生じた事由」がなく補正予算が議会に提出された場合は、その補正予算は、法令の定めに反することになり、地方財政法上違法な予算編成となります。


 この海外視察費について、「予算の調整後に生じた事由」があるかについて検討してみるに、6月21日22日の本会議において、他会派からの質問に対し、区長答弁では、予算の調整後に生じた事由として、1)平成28年3月開催のオリンピック・パラリンピック区民協議会の分科会での意見が出されたことと、2)平成28年3月末に東京都による晴海のまちづくりビジョンが公開されたことの二つを挙げられていました。

 一つ目の事由、オリンピック・パラリンピック区民協議会の分科会での意見は、地域の文化芸能団体など各種団体がオリンピック・パラリンピックの開催に当たってどのように係わっていくとよいのかという主旨のものであり、同様の問題提起は、すでに第一回のオリンピック・パラリンピック区民協議会でも出されていました。


 二つ目の事由、東京都による晴海のまちづくりビジョンの公開についても、その公開された内容は、すでに都市計画審議会で決定したまちづくりの方向性の域を超える内容ではありませんでした。


 加えて、各種団体の五輪への関わりについてや晴海のまちづくりビジョンを含め東京五輪に関連したテーマについても、3月の予算特別委員会で十分討議がなされた結果、同委員会では、海外視察の必要性にまで言及された議論は出されなかったところであります。


 よって、本会議で区長が述べた二つの事由は、補正予算を組む事由としての「予算の調整後に生じた事由」にはあたらないと考えられるので、海外視察費には、提出に当たって必要な「予算の調整後に生じた事由」を欠いており地方自治法218条1項に反した形での補正予算案であって、そのこと、すなわち、地方財政法上違法な予算編成となる可能性があるのではないかと考えます。(違法となるかどうかの判断は、最終的には裁判官であり、断定まではいたしません。)
 

 海外視察により、観光施策、多言語対応、大会後のまちづくり、まちの安全・安心の取り組み、受動喫煙防止の取り組みなどを視察し、関係者と意見交換を行い、区政に生かすその目的は理解するところでありますが、今この時期のパリ・ロンドンでなければならないのか再検討することや、ロンドン・パリの行政幹部と会談などの「都市外交」をするのであれば、補正を組んだ急な訪問ではなく、書状のやりとりなど手順を踏んでしっかりとした形での外交をすることを求めるところです。

 違法な(可能性のある)予算を含んでいる以上、私は、明日は、6月補正予算案に反対の態度を表明する所存です。

 もちろん、6月補正予算案は、海外視察費含め全部で4件セットで出されていますが、他の3件の予算につきましては、賛成だけれども、違法な1件のため、やむを得ず予算案には反対します。
 次回の9月第3回定例会で、他の3件は、再提出されることを区に求めます。


********地方財政法*******

(予算の編成)
第三条  地方公共団体は、法令の定めるところに従い、且つ、合理的な基準によりその経費を算定し、これを予算に計上しなければならない
 地方公共団体は、あらゆる資料に基いて正確にその財源を捕そくし、且つ、経済の現実に即応してその収入を算定し、これを予算に計上しなければならない。


********地方自治法*******
(補正予算、暫定予算等)
第二百十八条  普通地方公共団体の長は、予算の調製後に生じた事由に基づいて、既定の予算に追加その他の変更を加える必要が生じたときは、補正予算を調製し、これを議会に提出することができる
 普通地方公共団体の長は、必要に応じて、一会計年度のうちの一定期間に係る暫定予算を調製し、これを議会に提出することができる。
 前項の暫定予算は、当該会計年度の予算が成立したときは、その効力を失うものとし、その暫定予算に基づく支出又は債務の負担があるときは、その支出又は債務の負担は、これを当該会計年度の予算に基づく支出又は債務の負担とみなす。
 普通地方公共団体の長は、特別会計のうちその事業の経費を主として当該事業の経営に伴う収入をもつて充てるもので条例で定めるものについて、業務量の増加により業務のため直接必要な経費に不足を生じたときは、当該業務量の増加により増加する収入に相当する金額を当該経費(政令で定める経費を除く。)に使用することができる。この場合においては、普通地方公共団体の長は、次の会議においてその旨を議会に報告しなければならない。



6月補正予算案⇒ https://www.city.chuo.lg.jp/kusei/kohokotyo/press/puresuheisei28/20160603press.files/2806hoseiyosan.pdf



***************産経新聞**********************************
http://www.sankei.com/region/news/160603/rgn1606030046-n1.html 

2016.6.3 07:02

中央区長ら来月欧州視察、1週間で経費1118万円


 ■ビジネスクラス使用「正当な支出」

 中央区は、平成28年度一般会計6月補正予算に、矢田美英区長、押田満理子区議会議長ら計6人が7月に1週間、パリ、ロンドンを視察する経費約1118万6千円を計上した。舛添要一知事の高額海外出張費が問題となったばかりだが、区は正当な支出としている。

 「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた海外視察」は、7月3日から9日までの日程。区長、区議会議長のほかは区議1人、区職員3人が同行する。

 2020年東京五輪・パラリンピックでは、区内に選手村が設置される予定で、区は視察の目的を「ロンドンでは五輪の選手村跡地の活用」と説明。パリについては、「築地市場の豊洲移転をかかえるため、舟運の状況について視察する」としている。

 視察費用のうち、旅費は約460万円で、区長、区議会議長、区議と議会事務局の職員が羽田-パリ、ロンドン-羽田でいずれもビジネスクラスを利用。五輪関連部署の区職員2人はエコノミークラスを使う。

 区の規則では「飛行機旅費に関して8時間以上かかる場合には最上級の直近下」とされ、ファーストクラスは区長も利用できない。五輪関連部署の職員2人はビジネスクラスの利用が可能だが、「諸般の事情を鑑み、節減に努めた」という。

 宿泊費は約150万円を見込んでいる。スイートルームなどは使わないが、視察期間はテニスのウィンブルドン選手権、サッカーの欧州選手権の開催時期が重なるため、割高になるとしている。他の費用はレンタカー代や、通訳への費用などと説明している。

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28.7.10参院選 立憲主義を語れない者、語らない候補者は、論外です。

2016-06-23 08:57:23 | 国政レベルでなすべきこと

 日本の行く末を決する、最も重要な選挙のひとつが、昨日平成28年6月22日公示されました。

 その初日の様子を、各主要紙は、どうとらえているか。

 
 参院選挙後に来るのは、改憲議論であるから、少なくとも立憲主義を守る意思のある候補者を是非、選んでください。
 立憲主義を語れない者は、語らない者は、論外。

 憲法や法律は、私たちの生命、健康、財産、学問そして自由を守るために存在しています。
 その大前提として、立憲主義があります。
 国が暴れだし、私たちのそれら大切なものが壊されぬように、国を縛るのが、立憲主義。

 残念ながら、昨年平成27年9月19日、国が暴れ出し立憲主義の枠組みが一部壊されたことを、私たちは経験しました。



 

******朝日新聞*************
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12422641.html


憲法、避けずに議論を 参院選公示 政治部長・立松朗

2016年6月23日05時00分


 これまでの選挙に比べて安倍晋三首相の演説に勢いがない。気のせいか聴衆も冷めているように感じる。

 なぜだろうか。

 問うべきこと、問いたいことを避けているからだと思う。

 首相が「問うべきこと」とは約束をたがえたことへの評価だ。2014年衆院選で、首相は「消費増税延期の是非」を問うとし、引き上げ時期も約束して圧勝し、信認された。再び増税先送りの「新しい判断」で信を問うという。もとより税をめぐる政策変更は重く、真剣に論じるべきではある。だが、国民にまず語るべきは公約違反の責任ではないか。

 辞任しないのであれば、まず判断を誤ったとわび、「アベノミクス」の限界も認める。それを抜きに「最大限ふかす」と言っても、説得力を欠く。

 そして、首相が本来、国民に「問いたいこと」は憲法だろう。なのになぜ、避けるのだろうか。

 首相は在任中の憲法改正をめざすとしている。同調する議員が衆参そろって改憲を発議できる3分の2を超える――。かつてない政治状況が生まれるかもしれない重い選挙である。そもそも国論を二分し、違憲だという批判が根強い安保法制を成立させてから初の選挙でもある。

 改憲の「是非」を問うべきだというのではない。改憲したいのはなぜか、どう変えたいか、国民に問いかけ、論議を喚起しない理由はないではないか。

 選挙後に議論するから選挙では問わない、というのは理解できない。国民投票までは意見を聞く必要はない、黙ってみていろということだろうか。憲法を見つめ直し、国のありようをともに考える機会にするべきだ。

 候補者も問うてほしい。政権を決める衆院とは違い、再考の府ともされる参院は政党の枠組みにとらわれず、議論を深めることが期待されている。語らず、問わず、ただ発議に加わればいいと思っているとしたら、寂しい話である。

 首相の「新しい判断」に、与党の政治家はほとんど黙って従った。政治家一人ひとりの判断の集積でなければ、「3分の2」の改憲発議に意味はない。

 一人の政治家として意思を持ち、思考し、主張する人を選ぶ。そんな選挙であってほしいと思う。


*********毎日新聞******
http://mainichi.jp/senkyo/articles/20160623/ddm/001/010/166000c

参院選

公示 これまでとは違う=政治部長・末次省三
 
 

毎日新聞2016年6月23日 東京朝刊
 
 参院選は「政権選択の選挙」ではない。このため、衆院選に比べて軽くみられがちな傾向にあり、それが時に有権者の「冒険」を誘発してきた。


 「政権交代までは望んでいないが、政権党にお灸(きゅう)をすえたい」。こうした投票意識が衆参両院の多数派が異なる「ねじれ」を生んだことなどから、参院選は衆院選よりもむしろ政局を左右する選挙と位置づけられてきた。

 衆院選の時期はほとんど、時の首相が「解散権」を行使して決める。これに対し、参院選は3年ごとに半数ずつが改選されることが確定しており、時期は政権与党の思惑や都合に左右されない。つまり、参院選は衆院選よりも「首相の恣意(しい)が働かない任意の民意」が示される。

 参院選を語る場合、従前ならばここまでで済んだと思う。だが、今回は明らかに違う。ただの参院選ではない。より重要性が増している。「憲法改正」という戦後日本で長きにわたって封印されてきた政治テーマが、具体性を持つ初の機会となるからだ。

 最大の焦点は、与野党の勝ち負けではない。すでに衆院で憲法改正の発議に必要な3分の2以上の議席を確保している改憲勢力が、参院でも3分の2に届くのかどうかだ。

 毎日新聞が今月18、19両日に実施した世論調査では、参院選で最も重視する争点として「憲法改正」を挙げた人は10%で、「年金・医療」24%、「子育て支援」13%に続く3位にとどまったが、選挙結果は個別政策を超える大きな動きをもたらす可能性がある。

 安倍晋三首相の言う「決めるのは国民投票」はその通りで、3分の2以上による発議はあくまで前段にすぎない。ただ、3分の2以上が現実となれば、土壌が整うことは間違いない。しかも、憲法改正を宿願としている安倍首相の下でのことだ。

 ある意味、今回の参院選は政権選択より重い審判となる。「国のかたち」をじっくり考える機会にしなければならない。


 

 

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