本日、私の属する「防災等安全対策特別委員会」が開催されます。
その前に、昨年の決算特別委員会の自分の質疑を整理しておきたく、掲載します。
赤字、下線は、小坂による。
*****決算特別委員会 衛生費より*****
○小坂委員
では、衛生費について質問します。よろしくお願い申し上げます。
今回のテーマは3つです。新型インフルエンザに関して、テーマの2つ目は食育に関して、テーマの3つ目は人のライフステージに沿った医療のあるべき姿ということで、これに関しては予算特別委員会と同じような流れになっております。その経過がどうなっているかというあたりを問うていきたいと思っております。
まず、最初の新型インフルエンザ対策に関しましては、医療レベルではパワーポイントを示しながら話す内容でございますが、できるだけわかりやすく伝えることができればと頑張ってみます。
では、最初の新型インフルエンザ対策に関してお伺いさせていただきます。
新型インフルエンザ対策の柱というのは何かといいますと、それは2つに分けて考えられます。まずは医学的な対策。これは、ワクチン、タミフル、医療体制を整備する、これが柱のその1。柱のその2は、非医学的な対応、対策。これは、社会的に接触を減らす、集団で集まる場所に集まらないようにしたり、学校を閉鎖したり、出勤しなくしたりと、そういうことです。この2つの柱が成り立って新型インフルエンザ対策ができます。これを政策面で言いかえるのであれば、新型インフルエンザ対策の主な課題というものは、その1、ワクチン、抗インフルエンザ薬の研究開発、製造、備蓄の強化。2、ワクチン接種の対象者、優先順位の明確化。3、水際対策の現場レベルでの具体化。4、自治体の取り組み体制の強化、地域医療体制の整備。5、企業や政府における事業継続計画の策定など、社会機能維持のための条件整備。6、国民に対する広報啓発。これらが新型インフルエンザ対策の主な課題となります。
ここで御質問させていただきますが、ここ中央区でも中央区新型インフルエンザ対策行動計画というのが策定されておりまして、きちんとマニュアル化されつつあるんですけれども、そこで各レベル、各フェーズでの医療提供体制をどのように整備し、その医療提供体制に対して、区民がどのように医療にかかるようになっているのか、その辺をわかりやすく御説明ください。
○大地健康推進課長
中央区におけます新型インフルエンザ行動計画に基づきまして、まずは初期の都内の大流行までのいわゆる封じ込め段階までの時期でございますけれども、こちらにつきましては、まず中央区役所の裏に陰圧テントを設置しまして、いわゆる発熱センターでございますが、そちらに熱等がある方、感染の疑いがある方につきましては、まず電話で保健所に相談の上、発熱センターを受診していただきます。発熱センターでトリアージをした結果、感染疑いのある方につきましては、外来協力医療機関という医療機関に搬送いたします。そこで診断の結果が出るまで、ウイルス検査の結果が出るまで一時的に隔離をするという流れになっております。
それ以降、いわゆる封じ込めができない、いわゆるパンデミック時期につきましては、今度は当初の発熱センター1カ所と、それに加えて発熱センターを合計で4カ所設置をする計画になっております。合計で4カ所の発熱センター、それから医療機関に御協力いただいて6カ所の発熱外来を設置いたします。合計4カ所の発熱センター、プラス6カ所の発熱外来で、まず発熱のある方は皆さんそういったところを受診していただくんですが、そこでは封じ込め対策が解除された段階では、重症度に応じたトリアージを今度行います。軽症の方につきましては、その場でタミフル、抗ウイルス薬を処方いたしまして、自宅で療養していただきます。重症の方につきましては、その後、指定の医療機関に収容するという流れになってございます。
以上でございます。
○小坂委員
もう少し感染が拡大した場合、その動きは変わりますか。
○大地健康推進課長
今、国のガイドラインあるいは東京都の行動計画に基づきまして、医療の振り分けの仕方については、現状で考えられているのは、今申し上げましたとおり、封じ込め期と封じ込め解除期と、2通りでございます。
ただ、医療施設につきましては、患者数に応じまして、指定医療機関だけではなくて、例えば結核病棟等の陰圧室を整備されている医療機関あるいは公立病院あるいは公的機関とか、そういったところに拡大するということを検討してございますけれども、基本的な振り分けの考え方は今申し上げた2通りでございます。
○小坂委員
ありがとうございます。
今のが医療体制に関してです。
私がここで取り上げたいと思っておりますのは、リスクコミュニケーション、国民に対する広報、啓発に関してです。新型インフルエンザのリスクコミュニケーションというのは、1つにはいつ、どこで起こって、その感染力がどれだけあって、どれだけ広がるか。というのは、リスクが余り確かでなく、未確定であった。リスクが読めないという点で、1つ特異性があります。もう一つ、リスクという点で特異性があるのは、これはちょっと地震とは違うんです。地震のリスクであった場合、大ざっぱに言いますと、地震の場合のリスクというのは、発生したときにリスクが確定するんです。これは断定的に言っていますが、細かい部分ではちょっと違いますけれども、地震の場合のリスクというのは、発生したときに被害が確定します。新型インフルエンザの場合は、発生は天災ですけれども、その後に人がどのように対応するか、人と人との感染ですから、人がどのように対応するかによって、被害の大きさというのが変わっていくんです。対応が悪ければ、それは爆発的に被害が大きくなっていきますし、うまく対応できれば小さくて済むというところが、地震のリスクコミュニケーションとこの新型インフルエンザのリスクコミュニケーションのところで大きく異なる点です。
このリスクコミュニケーションとは専門家がその専門の知識、情報を住民なり、利害関係者に正確に提供して、それらの方々と情報を共有します。その後、住民、利害関係者から意見の提供を受ける。その意見が反映される。その双方向のやりとりがリスクコミュニケーションのあるべき姿です。
従来からのリスクコミュニケーションというのは、一方的なリスクコミュニケーションでした。行政が、これが安全だからということで説得していくというリスクコミュニケーションでしたが、これからのリスクコミュニケーションのあり方、この新型インフルエンザの場合特になんですけれども、双方向性というのが大事になってきます。このあたりのことが、私はとても大事だと思っておりますし、今回取り上げた理由でもあります。このリスクコミュニケーションによって正確な情報を行政が提供し、パニックを起こさせないようにすることがとても大事です。
ここで御質問させていただきますけれども、実際に新型インフルエンザが発生した場合を想定して、広報のあり方なんですけれども、どのようにリスクコミュニケーションを行っていきますでしょうか。その場合、どのような点が課題になりますでしょうか。
具体的に11月12日には区民、企業向け講習会を行う予定ですけれども、どのような会にすることをお考えでしょうか。このあたりについて教えてください。
○大地健康推進課長
今、委員の御指摘のレベルに応じた相談体制ということだと思いますけれども、これにつきましては、昨年度作成しました新型インフルエンザ行動計画の中にも、今後マニュアルとしてきちんと整備をしなければいけない項目の一つになってございます。委員御指摘のとおり、現段階、発生前の段階、また海外で発生した段階、そして流行し、またパンデミックになった段階ということで、それぞれのレベルによって情報提供の方法や手段がかなり違ってくるかと思われます。その辺については、やはり早急に相談体制、広報のあり方ということでは検討する課題だと認識しておりまして、準備をしているところでございます。
また、その一つの準備といたしまして、御質問にもありました今年度11月12日に大会議室で予定しております区民や企業向けの講習会でございますけれども、そこでは本区としましては初めて、区民参加で新型インフルエンザについての情報提供と、それから意見交換等ができればというふうに考えております。また、さらに平成21年1月には区民参加による実地訓練等も予定をしておりますので、そういった中でどういった情報提供方法があるのかということも検討してまいりたいということも考えております。
○小坂委員
ありがとうございます。
各フェーズによって変わってくるということであります。
そこで、リスクコミュニケーション、きちんとこれをやっていかなくてはなりません。この目的というのは、先ほども申し上げましたが、この対策の有効性を高めるということ、イコール、被害を最小化に持っていくということになりますので、このリスクコミュニケーションというのはとても大切になってきます。
フェーズによって異なってくるということでしたけれども、それは大きく言えば、リスク発生前と発生後というところで分けられます。発生前のリスクコミュニケーションは、住民の関心を高めること、とるべき行動について正しい認識を得てもらうこと、対策実施協力に対する納得性を高めること、国民、医療従事者、自治体などから意見を聞いて、それらを反映すること。
大体新型インフルエンザがもし発生したら、外に出たら危ないですよねとか言いながら、でも、出ても、こういうふうにしていたら大丈夫なのではないかというやりとりをするような、大体そんなイメージです。これが発生前のリスクコミュニケーションです。
それが一たん発生すると、発生後のリスクコミュニケーションは、別名クライシスコミュニケーションといいますけれども、その場合のリスクコミュニケーションはどうなってくるかといいますと、これは迅速・的確な情報提供をしていく必要があります。また、とるべき行動について正しい認識を得てもらう。これは前も一緒ですけれども、とても大事です。そして、不安を助長するような情報はんらんが起こります。無根拠な情報やデマなども含まれます。それらの中から必要な情報を収集していかなくてはならないというところです。ですから、先ほどみたいに、外に出たらだめよね、いや、いいのではないかとか、そのようなやりとりから、今度はもう行政の側から、外に出るなと、このような情報に変わってきます。このあたりの発生前、発生後でリスクコミュニケーションという形は変わってきます。
実際に情報提供となってくると、これはとても難しいんです。中央区の行政の方々もこのチラシをつくってくださいました。まず、現段階の一つのやり方として、これでいいかもしれませんが、この情報提供は本当に難しいと思います。その難しい点というのは、対象範囲が広いということがあります。小さい子からお年寄りまでという伝えるべき対象、相手が広い。その方々は、さまざまな感受性を持っているわけです。その理解力や感受性に合わせて情報提供をしていかなくてはならない。また、独居高齢者や外国人など、情報弱者も存在する。そのようなさまざまな広い対象者を相手に情報を提供していかなくてはならないという性質の情報です。
2つ目の情報提供の注意点としましては、これはだれがうつしたとか、どこの企業の人がインフルエンザを持ち込んだとか、そういうふうな風評被害を起こすような情報になってきますので、そのあたりの偏見や差別的な反応、また風評被害、これらを極力減らしていくような伝え方をしなくてはなりません。だれもがうつし、だれもがうつされる可能性がある、そのようなことを伝えていく必要があります。情報を伝える3つ目のポイント、注意点といたしましては、各フェーズにおいて個人の対応が異なってくるということを理解してもらわなくてはなりません。外来への発熱センターに電話して済ませればいい、もしくは外来センター、発熱センターに行って、ちょっと熱があれば、それでいきなり入院させられるというフェーズから、もっといっぱい患者が発生してきたら、そうではないんですよね。ちょっとした熱の人は家にいてください。新型インフルエンザにかかっても、重症者だけ病院に入院させるというふうな行動のパターンが変わってくるんですよ。同じかかった人でも、軽症であれば家にいなさいというふうに行動のとり方が変わってくる。そのあたりを理解してもらわなくてはならない。
4つ目の注意点としては、リスク、リスクといっても自分の問題として、実感がわかないんです。自分のこととして受けとめにくいという状態があります。罹患率25%、最大死亡者64万人、こんなことを言われても、だれも実感として持てないんですよね。4人に1人かかってしまうとかいうふうな伝え方とか、64万人というのは、平成19年度の総死亡者数、111万の半分である、このような伝え方をすると、ちょっとわかってくるというふうな、実感がわかないものをいかに実感がわくように伝えていくかというところの注意点があります。
5つ目の注意点としては、自分が感染するのか、自分が治るのかということをまず思い描いてしまう人たちを説得していかなくてはならない。公衆衛生的な観点からいえば、ワクチンとか抗ウイルス薬使用というのは、限られた医療資源ですので、優先順位をつけて配分していかなくてはならない。一たんかかってしまえば、薬をくれ、くれという状況になる可能性がある。そういう国民に対し、住民に対して、こうこうこういう理由だからこの人に使うんだよというふうに納得してもらわなくてはならない。そのような伝え方の難しさがある。
また、最後に、感染者の自由な行動が感染拡大をする原因になるということで、公衆衛生的な対策のためには、共同責任として、社会の利害を考えた場合はそういうのを差し控えなくてはならない。そういう自由な行動は制限します。そういうふうなことを伝えていかなくてはならない。
ということで、伝え方は非常に難しいというふうな状況があります。それですので、実際、情報提供の課題といえば、新型インフルエンザ対策は、行政ばかりでなく、国民一人一人が取り組むべきものであるということや、2番目に限られた医療資源をどう分配するか、その原則を国民が納得のいくように伝えることが必要であること。
3つ目に、医療だけではなく、新型インフルエンザのリスクを、医療だけではリスクをゼロにできない。マスクをしてもうつる場合がある。そういうようなこともうまく伝える必要がある。外出の自粛や学校の閉鎖、企業活動の縮小など、これらの社会的な対応が不可欠であるということを、理由も添えてわかりやすく伝えていく必要がある。
5つ目に、感染封じ込め対策から蔓延をしのぐ対策へと切りかえるところで医療資源の分配方針が変わる。先ほど言いましたが、重症な患者さんを、ちょっとした熱の人でも入院させるというのが最初のフェーズでしたが、その後、重症者だけ入院させるというふうに、感染が爆発したら変わってきますから、そのような医療資源の分配方針が変わるという点をはっきりと伝えていく必要がある。これは、新型インフルエンザで情報提供の課題があると私は認識しております。
ですので、新型インフルエンザ、これは単にこのパンフレットを配るということだけでなく、これらの課題を丁寧に伝えていくということが必要ですし、それを伝えることによって、それを得た住民が意見交換をしながら納得して、その行動をとってもらうというところまでが担保された伝え方をしなくてはならない。ここがとても重要になってきます。このあたりのことをきちんと対策をとっていっていただければと思い、今回取り上げさせていただきました。
単なる情報提供で終わらせてはいけないと思うんです。これが本当に実際に新型インフルエンザが来た場合に、人と人との感染をなるべく起こらないようにしていく。人が感染拡大を起こさない、行動を自粛する、行動変容を起こすような伝え方をしていっていただければと思います。そのためには、住民と行政との信頼関係を基盤にするようなリスクコミュニケーション、信頼関係を構築するようなリスクコミュニケーションが必要と思われます。このあたりをぜひとっていっていただければと思いまして、まずこのリスクコミュニケーションということを取り上げさせていただきました。
これは衛生の話では、すべて実は通じるところであります。性教育の問題でありましても、これはこうこうこういうリスクがあるから、こういう行動をとったらだめというふうに、大人であればリスクコミュニケーションをすることになるでしょうし、メタボリックシンドロームでも、こうこうこういうふうな生活をしていたら、こういうことになるから自粛しなさいという情報提供をしなくてはならないし、禁煙に関しても、また大気汚染の問題でも、またサーマルリサイクルの話でも同じだと思うんですよね。サーマルリサイクルして、それで大気が汚れるかどうか、それを住民が納得して初めてリスクコミュニケーションができると思います。すべてにおいて、このリスクコミュニケーションというのは行政課題に通じると思いましたので、今回取り上げさせていただきました。今後のリスクコミュニケーションに関しての、新型インフルエンザは特になんですけれども、整備のほう、よろしくお願い申し上げます。
(次のテーマに移ります。今後掲載します。)