本会議での一般質問を終えました。
中央区の直面する喫緊の課題12項目を質問致しました。
課題の多さをわかっていただけると思います。
まずは、原稿の全文をお示し致します。最終的な発言内容は、後日出される議事録をご参照ください。こちらは、あくまでも原稿です。
後日、ネットから映像配信されますので、本番の様子はそちらでご覧ください。
*なお、中央区の課題は、10月の決算特別委員会の討論も踏まえ、分析をしています。
課題の重複を避けたり、不十分な部分は再度質したりしています。
トータルで中央区の課題を見るために、決特の際の意見を、最後に再掲します。
山ほど中央区の課題がございます。
喫緊の課題として書かせていただきましたが、皆様が感じている中央区の問題は、なんなりとお声をお届けください。
*****H30.11.27中央区議会 本会議 一般質問 原稿全文*********
子どもを守る会の小坂和輝です。10月の決算特別委員会(以下、決特と言います。)の議論を踏まえた内容も含め質問させていただきます。真に開かれた区政を作るべく、明解なるご答弁をお願いします。再質問は留保致します。
●1、全ての子どものための「ゆりのき」と医ケア児等放課後デイの仮開設
待望の子ども発達支援センター「ゆりのき」が4月にスタートした。
NHKのある調査では、3分の1の親が我が子の発達障害を心配になったとのことである。発達障害の診断がついていない場合においても、ちょっとした親御さんのご不安を解消するにあたっても、相談対応として機能するべき施設であることを期待する。①「ゆりのき」は、すべての子どもの健やかない発達を支援する施設であることを、平成28年予算特別委員会議会答弁でいただいているところであるが、現在もその認識で間違いはないか?②「軽症であるから受入れの対象の子ではない」と線引きをすることなく、軽症や疑いの発達の支援をしていただける施設と認識してよいか。③現在、発達相談をご希望のかたが、相談を受けるまでの待つ期間は、平均どれほどかかるのか。④重症度に応じたトリアージをしたり、心理士スタッフ等を増員し、特に初回の面接までの待つ期間を短縮するべきではないか。
「育ちのサポートカルテ」も本格運用が開始された。⑤希望者全員に発行ができているか。⑥横の連携のためには、保育園・幼稚園・学校の保育士・教師や医療機関の医師もまたその存在を知り有効活用が図られるべきであるが、それぞれにどのように認知度を高めて行く考えか。
本年、12月には、「医療的ケア児も含めた重症心身障害児放課後等デイサービス」が開設予定であったが、開設場所の折り合いがつかず、延期される見通しである。開設まで時間が相当要することが予想される。⑦開設場所が見つかるまでの間、仮の場所として、福祉センター内の場所をタイムシェアなどして有効活用することで、サービス実施を開始し、利用を待ちわびている区民へのサービス提供を少しでも早くすべきと考えるがいかがか。
●2医ケア児就学コーディネーター
自立支援協議会に本年新たに「医療的ケア児等支援連携部会」が新設された。同部会では医療的ケア児の就学が課題のひとつであり、医療的ケア児の3人に2人は、保護者が学校生活や登下校に付き添っているという国の調査結果も出されている。
①本区では、医療的ケア児者の全員の把握は、継続されているところであるが、今後も引き続き、医療的ケア児者の全員のかたを把握し、ニーズへの対応を行う区の姿勢であるか。②就学のニーズなどへの対応を考えた場合、関係機関との調整が必要であり、医療的ケア児を支援する医療・福祉・教育の分野で幅広い知識を持つコーディネーターを配置する必要があると考えるが、本区の対応は。③医療的ケア児を受け入れにあたり、当該学校への看護師の配置も今後検討すべきであると考えるが、いかがか。
●3タワーマンション(タワマン)型地域包括支援システムの構築
11月17日開催の在宅療養支援シンポジウムのディスカッションにおいても、オートロックのため中に入っていけないということが議論になった。
今後、建築されるタワーマンションにおいては、その建築段階から、地域包括ケアシステムができる仕掛けを組み込めないかと考えるところである。
隣の港区白金一丁目にある分譲マンション地上42階581戸では、管理組合が中心となって、居住者の高齢化に対応してデイケアや在宅介護・看護など支援するシステムをマンション内で構築し、トレーニングルームとリハビリセンターを兼用にして介護予防策を取ると共に、「自宅で看取る」ところまで医療・看護・介護面でのサポート体制を充実させようとしているという。管理組合の「民主主義革命」を通じてなされたと新書『マンションは日本人を幸せにするか』の中で成功事例として住宅ジャーナリスト榊淳司氏が記載されている。
区内でも、管理員室につながる緊急の押しボタンが、各戸の寝室、トイレ、ふろ場に付けられていて、それがおされると管理員は、訪問看護ステーションに連絡を取り緊急対応とる仕組みが作られている集合住宅があるし、防災訓練などを通じて、マンションのコミュニティづくりに取り組むマンションも多くある。
マンション居住者が大多数となって来た本区のおいて、各マンションにおいて地域包括ケアシステムの構築への取組が進められることが求められる。①最新のデータとして、マンション居住の区民の割合は何割か。②救急隊や介護者などスムーズに入館できるよう各マンションのオートロック問題への個別具体的な対策の推進を早急にすべきではないか。さらに、③計画段階にある超高層大規模再開発においては、「タワーマンション型地域包括ケアシステム」を構築できるしかけを計画段階である準備組合の段階から議論できるように都市整備部と福祉保健部が恊働して指導をしていくべきであると考えるが、いかがか。
● 4、AI導入で保育園選考の時短とAI技術者の区職員としての採用
人工知能(以下AIと言う。)を用いて保育施設の入所選考作業を短時間で完了する自治体が出始めている。高松市では申込者2300人を約100の保育施設に割り振る選考にAIを活用し、職員4人が約1か月延べ600時間であった業務を数秒で終わらせるという。
①本区では、保育園選考に延べ何時間を要しているか。②AIを用いて時短を試み、労力と人件費の節減を行う試みはいかがか。
さらに言えば、現在、企画部情報システム課は、一般採用職員が担当して業者頼みのICT運用をしているところを、③AI技術者を区職員として新たに採用し、保育園選考プログラム自体を自前で開発運用するとともに、学校・図書館など教育機関や障害福祉分野含め本区全体のICT環境の整備やAIの積極活用をさらに円滑に進める取り組みをしてはいかがか。
●5一校一国運動協力区民と学校のマッチング、五輪後の交流の継続
一校一国運動で、各校それぞれのメイン交流国が選択され、学校も担当の先生が配置されている。
各国との交流のお願いに対し大使館により対応の温度差があるという。一方、その国の出身者であったり、きっと交流に協力をしたい区民がおられるはずである。①その協力したい区民がうまく学校と繋がれるようなマッチングの仕組みを早急に構築し、どの学校においても積極的な交流がなされることを臨むが、いかがか。
また、②せっかくの交流は五輪終了後も続けていき、五輪レガシーのひとつとするべきと考えるが、五輪後も引き続き交流を続けるのか否か。
●6、いじめへ転校対応時の考慮要素
いじめ対策については、全校において、第三者も加わって構成される「学校いじめ対策委員会」が主導して早期対応の取組がなされているところである。
私も小児科医師として、いじめによる不登校の相談を受ける。そして、転校が有効な手段であり、転校を契機に、問題なく登校することができるようになった事例を数例経験している。いじめ対応策としての転校は、取り得る“最後の手段”であるとしても、早急なる解決策を講じて行くべきである。
いじめの不登校の解決策としての転校を認める“要件”自体は、いじめの背景が多様であるため列挙することは不可能であるとしても、“考慮要素”の提示は可能であると考える。例えば、①いじめの重大性、②本人の心的状況や希望、③「学校いじめ対策委員会」を通じての学校の対策とその結果状況、④家族関係、⑤スクールソーシャルワーカーの指導とその成果などの考慮要素を総合的に勘案して、本児にとってベストであるとする結論が得られた場合に転校への手続きを速やかにとるべきものと考える。
いじめによる不登校の解決策として転校を希望する保護者から申立てがあった場合(学校教育法施行令第8条)、早期対応に資することや検討すべきことがらの項目をわかるようにするために、その転校の是非を判断する教育委員会における“考慮要素”を明確にするべきと考えるがいかがか。
まちづくりに移ります。
●7、超高層再開発から小規模開発へ
昨今、タワーマンションが林立し人口過密に応じた社会インフラが追い付かず社会問題となっている地域が出始めている。
前述の住宅ジャーナリスト榊淳司氏の講演会が、月島の再開発問題に取り組む「愛する月島を守る会」主催で11月20日に『タワーマンションは月島を幸せにするか』と題し、開催された。講演会において榊氏は、タワーマンションのリスクとして、(1)妊婦の流産率・体調不良・心肺停止の生還率等の健康リスク、(2)学力・外遊び・高さの感覚麻痺・近視などの子育てリスク、(3)暴落の可能性・大規模修繕問題・建替え不可など資産リスク、(4)雨漏り・遮音性・強風での揺れ・南向きの灼熱地獄など構造リスク、(5)停電・避難困難など災害リスク、(6)いじめ・高層ヒエラルキーなどメンタルリスクなどを指摘され、供給過剰、コミュニティの断層を踏まえると、既存の街にタワーマンションを作るべきではなく、古き良き月島を幸せにしないと結論づけられていた。
既に、建っているタワーマンションに暮らす多くの住民へはそのリスクを極力減らせるような手立てを先手先手で打っていく必要がある一方で、これから超高層タワーマンションの手法を用いた再開発をしようとする住民へは、そのリスクも十分に分かっていただいて上で、後悔することのないようなまちづくりをして行く必要がある。
①区は、タワーマンションのリスクをどのように分析をしているか。②榊氏は、6つのリスクを述べたが、それぞれのリスクに対する区の見解は?③健康リスク、子育てリスク、メンタルリスクは、本区においても統計的に明らかにし、そのリスクを軽減できるように対応策を講じる必要性を感じるが、それら調査の必要性についての見解はいかがか。④既存の健康調査、子育て調査おいて、居住階層の因子を入れた分析は行わないか。
現在の中央区内での建て替えは、結果的に一人でやるか、百人規模の再開発事業をやるかの二択しかない構造のもと、小さな共同化や長屋のリノベーションが可能ではないかと「同会」は、参加する一級建築士のご指導のもと代替案の検討を行っている。小さな共同建て替えにおいて、ディベロッパーを介さないコーポラティブ方式であれば、中間経費を抑えることで、小規模でも還元率の高い建替えが可能である。工事期間も1-1.5年であり、着工から4-5年要する再開発に比べ期間も短いため仮住まいの期間も短く、負担が小さくなる。④決特でも議論したが、国の「密集市街地総合防災事業」補助金を、小規模の共同建て替えへと投入できる補助制度を早急に本区も設けるべきと考えるが、いかがか。
⑤区も権利者であった「八重洲二丁目北地区再開発」では、城東小学校建物が約2億円と評価され権利変換された。減価償却の結果出された額により評価することは、建物価値の評価手法として妥当であるか。
●8、月島三丁目両再開発による路地へ車両流入問題と月一小増築問題
月島一丁目と三丁目の区画において三つの超高層再開発(住戸合計2413戸、車の駐車場合計746台)がなされようとしている。現状からさらに一日に2000台の車両の流入があると資料から予測される。月島の路地は、狭く一方通行も多い。多量の車両流入は、路地を歩く歩行者の交通の妨げになるだけでなく、交通事故が増加することが考えられる。
①三つの超高層再開発に伴い、区は、何台車両流入が増加すると予測しているのか。
そもそも、交通利便性のよい月島の居住者にとって必ずしも車の所有は必需ではない。立体駐車場は、将来的に修繕積立金を圧迫する要因にもなり、上述資産リスクに繋がる。②車の駐車場台数を減らすべく超高層再開発における車の駐車場附置義務緩和の検討をするべきではないか。
また、人口増加に伴い、月島第一小学校の増築が必要となると教育委員会は分析をしている。しかし、お分かりの通り、月島第一小学校の運動場は狭く、その運動場をさらに狭くするような増築をする余地はないと考える。
③月島路地の許容量を超えた車の流入となり、また、月島第一小学校の許容する以上の児童数増加を招くことを考えただけでも、三つの超高層再開発の規模は、その妥当性がないと考えるが、認識はいかがか。
月島三丁目両再開発では、地元からの発案により中央区が主体的に運営する協議会情報が平等に住民に届けられないまま進められた。憲法15条2項の大原則が示す通り、中央区は、一部の奉仕者ではなく、全体の奉仕者なのであるから、④準備組合の前段階である区が主体的に運営する協議会などのまちづくりの会議体は、広く関係する住民に知らせて開催されるべきではないか。ご見解は。
7月30日の都市計画審議会において、まちづくり専門の委員から、地区計画を変更する場合、何らかの上位計画で変えなければならないとして、地区計画の変更における「法の組み立て」に対し疑問が呈されたところである。月島三丁目両再開発を許容する地区計画の変更では、月島ガイドラインが地区計画の上位計画であるとする文言が、都市計画審議会への計画説明書に記載がなされている。⑤『月島ガイドライン』が地区計画の上位計画であると中央区が考える法的根拠はなにか。
●9、日影受忍限度は四時間であるか
太陽の光は、健康な生活を送るうえで欠かせないものである。現在、公法上は、日影規制はないとしても、一定程度の日の光が享受できるようにまちづくりにおいては配慮がなされるべきである。実際に、「晴海五丁目西地区再開発」においては、4時間以上の日影を生じないようにすることの文言が環境影響評価書にある。4時間の受忍限度が採用されている裁判例もある。一方、前述の「月島三丁目北地区再開発」では、周辺マンションに日影を4時間以上もたらすことが一級建築士による分析で明らかになっている。
①中央区は、日影の受忍限度を何時間においているのか。また、本来、月島には、日影規制自体も存在をしていた。情報公開をし、その際の説明会の資料や規制をなくす際に出された意見を調査しようとしたが、資料が存在しないとしている。②そもそも、その撤廃において、当時、どのように地元の住民に説明をしたのか、地元住民がその日影規制を撤廃することに対しどのような意見を出したのか、果たして納得をされたのか、中央区の見解はいかがか。③その見解の根拠とした資料のありかも同時に示して頂きたい。
●10、佃月島へホテル誘致禁止と元佃周辺等の歴史的街並みの保存
平成29年度から中央区全域の地区計画の変更の取組がなされている。その一つにホテルの誘致策が入っているが、多くの地域でホテル誘致には否定的な見解が出されている。ホテルと住環境は、明確にゾーニングされて別の場所に存在することが理想である。佃・月島地区おいても、現在、「中高層階住居専用地区」の指定が間接的な要因となり、ホテルが存在せず、良好な住環境が保たれている。事前の「月島まちづくり協議会」からもホテル誘致を求める声は出されておらず、先日の11月開催の都市計画案説明会の場においても、否定的な意見が大勢を占め、ホテル誘致を求める声は出されなかった。
①原案に対する意見書では、佃・月島地区のホテル誘致に対する意見は反対と賛成の割合はどの程度であったか。②佃・月島地区においては、住宅街としての地域特性にそぐわないためホテル誘致は行うべきではないと考えるがいかがか。
さらに佃では、元佃及びその周辺は、月島地域の心のよりどころとする原風景が残っている。③そこにも開発の波が来ようとしており、歴史的景観を守り更新に資する補助制度や、都市計画制度の導入を早急に行うべきと考えるがいかがか。
街路樹も良好な街並み形成の重要な要因である。地元に反対する声が多数であったにも関わらず、関東大震災後に復興を願い地元の篤志家が植えられ立派に成長した日本橋の銀杏並木が昨年八月に伐採された。④地元の要望を聞き入れ、一部の銀杏の木を移植予定ということだが、⑤現在その銀杏はどこに存在し、移植先はどこであるのか?⑤晴海通りの街路樹は保存されるとのことであるが、他地域において、今後も、大規模な街路樹の伐採計画は存在するのか。
●11、築地カジノ誘致禁止とアスベスト問題及び晴海客船ターミナル存続
東京五輪に向け築地及び晴海選手村の開発は大きく進む。東京都へオール中央区で要望していくべきこととして、築地や晴海のまちづくりがある。
築地市場には、83500㎡と広範囲にアスベストが、それも約7割にも上る大部分が最も処理が難しい「レベル1」の状態で存在する。地元には不安に思う住民が多数おられ、都にアスベスト工事に関する工事説明会開催を要望している。①同説明会を開催するように監督者である中央区は、『中央区建築物の解体工事の事前周知に関する指導要綱』第七条第三項に則って、東京都に要求すべきでは。
築地市場跡地の五輪駐車場計画は、規模がバス850台含む合計2700台に上り、恒久施設であった場合は、環境影響評価が求められる規模である。②7月の都による解体工事説明会において実施する旨を都が答弁していたが、築地市場跡地の五輪デポの排気ガスに関する環境影響評価或はそれに類するアセスメント調査はなされたのか否か。
築地のまちづくりにおいては、IR法適用の候補地とされるかもしれない。③本区としては、カジノは検討の余地なしとした断固とした意思表示を示しておくべきでは。
築地ブランドの存続のために、「土壌汚染対策工事と地下水管理に関する協議会」を通じ豊洲市場の汚染地下水の管理を監視する必要がある。④同協議会は開催されていないが、開催を都に要求すべきでは。
選手村跡地開発HARUMI FLAGでは、5632戸人口約1万2000人の街ができる。⑤その街の防災面の向上を考えるなら、災害時の物資供給拠点として晴海客船ターミナルの港機能を残すことを都に要求すべきでは。さらに⑥晴海地区新設小学校中学校建設準備協議会において、特別支援学級の設置の必要性については議題として話し合われていないため、話し合うべきでは。
● 12、区民財産として公文書適正管理
築地市場移転の背景には、行政から情報が適切に都民に届けられなかったことがある。公文書管理とその適切な公開は、民主主義の大原則であるが、前述したように日影規制の撤廃における適正手続きを示す資料を調査したが、情報が得られなかった。超高層再開発に伴う風害に対し、過去において約700万円をかけ調査報告書が作成されたにもかかわらず、情報公開したが、資料を破棄したと言う回答であった。
①都市計画審議会で提出された『計画概要書』や調査資料等まちづくり関連の公文書は、まちの成り立ちを後世に示す行政資料・地域資料として情報公開コーナーや図書館に保管・保存され、将来の検証作業などに備え積極的に情報提供されていくことを期待するところである。ご見解は。
併せて、公文書を適切に公開するべき観点から質問をするが、②都市計画審議会等の審議会では、音声録音されているが、音声録音データは公文書として情報公開の対象であるか。また、③本会議で一般質問に対し区長が答弁する際に用いる「答弁書」も公文書であり、部分公開含め情報公開の対象であるか。
以上、一回目の質問を終わります。
*******ご参考:決算特別委員会の際の態度表明文(H30.10.12)********
平成29年度決算は、公会計制度導入の初年度で、財政指標及び各財務諸表から読み取れる指標からは、その健全性を確保している。しかし、城東小学校用地売却益125億円という偶発的な要因によるところも大きく、本の森ちゅうおうや晴海地区の施設整備など多額の財政支出が将来控えていることから考えると、今後の財政運営は予断を許さない状況である。今後は、20万都市に向け行政需要が増大・多様化する中、公会計制度と連動した行政評価・事務事業評価も利用し行財政運営を注視する必要がある。
審議全般を通じ、今回、注目した点を述べる。
1、真の意味での「協議型まちづくり」の実現について
市街地再開発事業などの面的整備では、まちづくりは、まず、地元からの発案により、中央区が主体的に運営する協議会から概ね本格スタートをする。この協議会において、地元の意見をあまねく住民から聴取し、都市計画原案となすべき案を取りまとめて行くべきであるにもかかわらず、この大事な段階において、一部の地権者のみの意見から案が作成され地元の案とされてしまい、その検討を引き継ぐ準備組合が設立されている。その後は、一民間の任意団体であるその準備組合での検討案を都市計画原案にすべき案として、区がそのまま採用している事例が、例えば、<協議会から地権者含め一部住民が排除されたことが公文書上も明らかになっている「月島三丁目南地区再開発」>や、<反対を表明する地権者への情報の遮断の事実が都市計画審議会で明らかになった「月島三丁目北地区第一種市街地再開発事業」>など、残念ながら散見されている。
言うまでもなく、中央区は、一部の奉仕者ではなく、全体の奉仕者なのであるから(憲法15条2項)、運営主体となる協議会段階では、すべての住民に声をかけ運営をされるべきであるし、都市計画原案となすべき案として準備組合が出してきた案は、すべての住民の声を反映したものと区が判断できて初めて都市計画原案として区が都市計画手続きを進める案とすべきである。
月島三丁目南地区や同北地区第一種市街地再開発事業では、地元の案としての発案段階において、上述の通り一部の住民が意図的に排除されており、憲法上も、中央区基本構想の理念からも看過しがたい手続きの違背があり、一度白紙に戻したうえで、住民同士膝を突き合わせて、まちの再生をあらためて検討し直すことを強く要望する。
まちづくり協議会運営のおいても、晴海地区まちづくり協議会など活発な意見交換をされているところがある一方で、単なる説明会で終わってしまっている会合もある。せっかくのまちと行政との意見交換の場であるので、議論が活発の行われるように、事前に関連したまちづくりの基礎的な知識をレクチャーし、協議される内容を幅広くまちの方々にしっていただく広報をすべきである。まちの構成員も多様化しており、出席委員の拡充も図るべきであるし、当日、時間に余裕があれば、傍聴者からの意見・質問を受け付ける等柔軟な運営を期待する。
「築地再開発」、「日本橋首都高地下化」、「地下鉄新線構想」などオール中央区で取り組むべき課題においては、地元まちづくり協議会と全区的な検討会の適切な役割分担にも期待をする。
2、本の森ちゅうおうの運営形態について
本の森ちゅうおうの実施計画で、議論を深めるべき最も重要なことは、その運営形態である。本委員会では、実質的な議論ができなかったが、同図書館は、①郷土資料館の運営、②小中学校読書活動支援、③『第三次中央区子ども読書活動推進計画』の着実な遂行、④個人情報の厳格な管理、⑤図書館司書による政策立案補助など求められる役割がそれぞれに重要で多岐にわたることから、民間に任せることは妥当ではなく、区直営で行われることを強く要望する。
また、同館内地下に半永久的なガスガバナ設置が規制事実化されているが、賃貸借契約の適切な締結と履行を求める。
3、開かれた新庁舎整備の検討と計画的な施設の更新について
新庁舎整備が喫緊の課題ということであるが、現庁舎はIS値0.6で防災指令本部としての機能は十分に保たれており、施設の狭あい化とは言え、京橋図書館の移転に伴い地下スペースも生まれる。IT化やペーパレス化、出張所との機能分担などすることで、大規模修繕などの検討も可能であり、晴海の施設整備など大型の施設整備も控えていることから、施設整備の優先順位を開かれた場で多角的に検討されることを求める。
併せて、新地下鉄構想の整備では、庁舎の位置も路線検討の考慮要素に入れることを求める。
4、まちの個性とそのキャパシティにあったまちの更新について
平成29年度から中央区全域の地区計画の変更の取組がなされている。その一つにホテルの誘致策が入っているが、多くの地域でホテル誘致には否定的な見解が出されている。佃・月島地区おいても、現在、「中高層階住居専用地区」の指定が間接的な要因となり、ホテルが存在せず、良好な住環境が保たれている。事前の「月島まちづくり協議会」からもホテル誘致を求める声は出されておらず、ホテル誘致は、地域特性にそぐわないため行わないように求める。また、ガイドラインを地区計画の上位計画に位置付けるのではなく、まずなによりも、都市計画法18条の2でいう「都市マスタープラン」を整備することを併せて要望する。
また、月島三丁目南地区と同北地区大規模再開発に伴い、月島第一小学校の教室が7教室不足し、増築が必要との推計が既に出されている。同校は、現状においてさえ狭い校庭に、さらに増築を強いるスペースなどなく、両再開発の規模を抜本的に見直すことを求める。さらに、区全体で30近くの面的な再開発が進められているが、月島地域では、同様に、深刻な小学校の教室数不足が今後起こることとなり、地区計画を全区的に見直したように、再開発のあり方自体も見直さねばならない時期に来ている。
月島の路地を守りつつ小規模な共同建て替えを少額の自己資金で実現する案は、現に「愛する月島を守る会」はじめ地域の住民から出されており、密集市街地再開発事業を任意の共同建て替えの財源にも適用できることから、それら財源の支援も含め、まちづくりのありかたの様々な提案・支援に期待をする。
また、再開発事業などまちの更新後の事後評価がなされていない状況である。風害の評価と対策など喫緊の課題であるし、①大規模再開発に伴い地域の課題が解決されたか、②コミュニティーは再生されたか、④実際に体験された方々の課題は何かなど得るべき情報が、多々ある。国交省もその取り組みを求めているところであり、事後評価がなされ、大規模再開発後に新たに生じた課題の解決や、今後の再開発を経験する方々への資料となることを要望する。
また、タワーマンションが林立する本区としては、超高層での暮らしが健康に影響を及ぼすかの調査も行い、健康増進の基礎データに生かされることを求める。
5、選手村設置の中央区の世界への発信とバリアフリーのまちづくりについて
まず、本年9月3日月島第三小学校児童が晴海三丁目交差点において青信号で横断の際、工事関係車両により重傷を負う交通事故が発生した。都の工事車両とは関係はしないということであるが、地元と約束をした絶対に起こしてはならい事故の発生であり、重く受け止めねばならない。今後、五輪に向け、ますます、工事車両が増加することを考えると、同交差点含め大通りの交差点は、歩行者横断の際はすべての自動車交通を止める完全歩車分離式の信号とすることを強く要望する。
五輪に向け、選手村を抱える本区は、これを好機としてとらえ、中央区を世界に発信するべく目玉企画を打つべきであると考える。そのことが、2兆円規模の経済的損失を市場移転により被る穴埋めにもなるであろう。例えば、存在感の薄かった築地大橋を、金色に塗りかえ、東京湾に臨む“ゴールデンゲートブリッジ”として東京五輪の顔とさせることで、中央区をアピールするなどの手法である。まるごとミュージアム、中央区の魅力映像配信などすでに特色ある取組はなされているが、さらに、柔軟な発想の下、世界を引き付ける企画の創出に期待をする。
選手村のまちづくりなどにおいては、①障がい者支援拠点や障がい者スポーツ拠点の整備、②水素パイプラインの安全性の確保と、③歩道境界部の段差解消などバリアフリーの視点を取り入れたまちづくりを求める。
築地のまちづくりにおいては、①五輪駐車場による排ガスの環境アセスメント資料の早期提出や②未利用の勝どき門駐車場の早期解放、③卸売市場機能の再整備など地元の要望を適切に伝え都の施策に反映されて行くことを要望する。
6、子育て支援と待機児解消、「幼保連携型認定こども園」について
子育て不安の解消に産後ケア施設利用の広がりに期待する一方、実際に、虐待の数も、その相談件数で124件と増加している。児童相談所の検討を進めていただきたいことと、少なくとも、個々のケースにおいては、弁護士などの専門家も入れた対応がなされていくことを求める。特別養子縁組制度の広がりやその制度を実際のおこなっているご家庭への支援にも期待をする。
待機児童解消は、喫緊の課題であるが、地域別の状況も把握して解消を図っていくことと、一方で、幼稚園など活用の余地は残されている。阪本幼稚園で取り組まれようとしている「幼保連携型認定こども園」の、すべての幼稚園への広がりに期待をする。
本年7月に保育ママでの死亡事例があった。事故などのない保育の質の維持も引き続き要望する。
7、誰もが、自らの個性を延ばすことができる教育環境の整備について
区独自の学力テストを中二にも採用して全学年で実施することとなり、経時的に学力を把握し指導に役立てる取組や、五輪に向け一校一国の選定など教育内容の充実を評価する。選定したその国との間でのICTを用いた遠隔授業などによりその国との交流が深まることを期待する。
一方、病気や不登校で長期欠席を余儀なくされている児童79名、生徒63名である。このほど、病室などとICTでつないだ『同時双方向型授業配信』が出席扱いされることとなったことから、それら技術を適切に用いた教育の機会の拡大に期待をする。現在区内の18歳未満の医療的ケア児は22名おられるが、医療的ケア児の幼稚園や小中学校への就学を可能にする環境整備も、『医療的ケア児等連携支援部会』での検討を経て実現がなされていくことを期待する。
晴海地区新設小中学校へは、特別支援教室が小中2教室ずつ設置が明らかにされたが、特別支援学級の必要性についても『同校建設準備協議会』での議論に期待する。将来的には、日本橋地域にも特別支援学級が開設され、各地域の子ども達が、地元で教育が受けられる整備を要望する。
本年4月に「子ども発達支援センターゆりのき」が開設され、全ての子ども達の健やかな発達への支援に期待をするところである。本格運用された『育ちのサポートカルテ』は、21名作成中で、医療機関等関連機関と共有されつつ適切に運用されることを期待する。
平成29年は、いじめの件数は13件であったが、いじめ問題に対しては、全校に第三者委員も含めた「学校いじめ対策委員会」が設置されており、いじめの早期発見とSSW含めた組織的な対応がこれからもとられて行くことを期待する。
8、在宅療養支援の充実について
本区の認知症の方は、約3600人と推計が出された。
「在宅療養支援の手引き作成」や「認知症初期集中支援チーム」など、在宅療養支援協議会の議論を経て、事業が着実に進捗している。地域包括ケアシステムの構築のためには、地域の見守りが欠かせず、在宅療養を支える医療と介護、そして地域の見守りの方々との三者の積極的な連携・意見交換の場を作ることに期待をする。地域の見守りに、『地域の担い手講座』修了生らの新たな参画の場として繋がっていくことにも期待をする。
9、ペットとの共生社会とネズミ対策について
晴海臨海公園にできる築地市場のネコの臨時保護施設については、唐突感が否めないが、動物愛護の観点からは許容する。ただし、臨時から恒久施設と転換を図る場合においては、丁寧な説明のもと地元との合意形成が大前提であることを申し述べる。
ネズミ対策においては、ゴミ出しの手法の検討など、商店街や地域での議論ができるきっかけづくりを期待する。
10、公文書の行政資料・地域資料として図書館での管理及び正しい情報発信について
築地移転の背景には、行政から情報が適切に都民に届けられなかったことがある。公文書は、適切に管理し、都市計画審議会で提出されたまちづくり関連の公文書などは、積極的に行政資料・地域資料として情報公開コーナーや図書館に保存され、将来の検証作業などに備え情報提供されていくことを期待する。
行政は、もともとは信頼性がある存在であり、例えば「がんの免疫療法について」や「トリアージについて」など専門的な分野にまでおよぶ健康情報等の発信や相談対応を保健所などから行っていただくことに期待をする。
以上、来年度予算検討において、区民福祉の向上に向け適切に反映いただけることを期待し、平成29年度各会計決算認定に同意をする。
最後に、決算特別委員会開催中の10月11日、築地市場が豊洲に移転することとなった。市場移転という誤った東京都の政策が遂行されてしまったことは、たいへん遺憾である。①食の安心・安全、②築地ブランドがこれからも築地の地で息づかせ築地を再生していくこと、③解体工事に伴うアスベスト・粉じん等による健康被害を絶対に出させないこと、④環状二号線の着実な交通環境整備を求めて参る所存である。
以上