「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

川﨑の事件、不安な気持ちは、担任や養護、学校カウンセラーの先生、そして私達小児科医にご相談下さい。/病児保育鋭意実施中。

どうか、福島第一原発の汚染水を海へ放出するようなことのなきようお願いします。

2013-01-31 17:31:00 | 地球環境問題
 現政権なら、汚染水を、海へ放出することをしかねないと思い、とても不安になります。

 海は、世界に通じています。
 日本国だけの問題ではなくなります。
 国際問題です。

 どうか、汚染水を海へ放出するということをせぬ様に、お願いしたいと思います。


 また、そのようなことを政府が決断した時は、ただちに、差止めを行える体制をとらねばならないかかもしれません。


注)記事に書かれた「福島第一の廃炉計画を審議する二十四日の原子力規制委員会の検討会」というものの議事録を私自身は、1/31段階で、確認できておりません。記事内容をそのまま信じさせていただきます。

******東京新聞(2013/01/31)*******
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013013102000121.html

【社会】


汚染水、海へ放出検討 東電


2013年1月31日 朝刊

 東京電力が、福島第一原発の高濃度汚染水を処理した大量の水を海洋放出することを検討し始めた。敷地内に水をためるタンクの増設に限界がみえてきたためだ。ほとんどの種類の放射性物質を法定濃度未満になるまで除去するというが、地元漁協は強く反発している。 (小野沢健太)


 「とんでもない話だ。たとえ、どれほど念入りに処理したとしても放出は一切認められない」。福島県漁業協同組合連合会の中田研二参事(58)は憤る。


 茨城県の茨城沿海地区漁業協同組合連合会の吉田彰宏専務も「出荷規制がかかった魚がまだ二十種類もある。今も被害が続いているのに放出という話が出てくること自体、いったい何を考えているのか。現場の実情をあまりに知らなすぎる」と怒りを隠せない。また、同県北茨城市の大津漁協に所属する漁師の男性(60)は「少し風評被害が落ち着いてきたのに、汚染水を流されたら、また『茨城の魚は食べられない』となる。苦しみを分かっていない」と訴える。


 福島第一原発では二〇一一年四月、毎時一〇〇〇ミリシーベルトを超える極めて高濃度の汚染水が海に漏れた。その後、高濃度汚染水の移送先確保のため、比較的に低濃度の汚染水を意図的に放出。魚類から当時の暫定規制値(一キログラム当たり五〇〇ベクレル)を超えるセシウムが検出され、漁業者は操業自粛に追い込まれた。


 現在は放出を避けるため、タンクに貯水。千基超のタンクに約二十二万トンの処理水がたまり、汚染水処理に伴う廃棄物やがれきも管理している。注水した水は建屋地下に流れ込む地下水と混じって、汚染水は一日四百トンずつ増加。一部は処理して冷却に再利用できるが、大半はタンクにためるしかない。


 一三年度、敷地南側の駐車場など十万平方メートルをタンク造成地に充て、タンク容量を計七十万トンまで増やす計画。それでも、たった二年半で使い果たす見込みだ。北側の森は地盤が軟弱でタンクの長期保管に不安が残る。


 東電側が海洋放出に言及したのは、福島第一の廃炉計画を審議する二十四日の原子力規制委員会の検討会。担当者は「最終的には関係者の合意を得ながら、そういった活動(海洋放出)ができれば、敷地に一定の余裕ができる」と述べた


 東電が期待するのがセシウム以外の多くの放射性物質も除去できる新しい処理装置。実験では一部の物質を除けば、法定濃度をクリアできる水準まで浄化できたという。


 東電の尾野昌之原子力・立地本部長代理は記者会見で「現段階で放出は具体的に考えてはいない」と釈明したが、いずれ処理水が貯蔵しきれなくなるのは明白。その前に、地元も納得できる解決策を打ち出す必要がありそうだ。
コメント (1)

最近の数多くの刑事立法を支える考え方とは。

2013-01-31 09:30:56 | 社会問題
 以下のような見解があります。

水道橋博士‏@s_hakase

週刊文春。宮崎哲弥(ずっと前から言っているが)「警察庁発表の2012年刑法犯の認知件数は10年連続減少。窃盗、強盗犯は特に減少。殺人犯は戦後最少の記録を更新中。これは対人口比でも同じ。我が国の治安状況はますます向上しているのに「安全崩壊」と看板を打つ。そのほうが商売できるから。


 刑法学では、最近の刑事立法の動向は、どうであるか。
 以下、刑法学レジュメより。


***************************

① 最近の数多くの刑事立法を支える考え方(価値観)


・ 現代社会における「処罰の拡大化と早期化」の要請(異論もあり)


        → 特に社会的法益に対する罪(及びこれに類する罪)としての危険
         犯の重要性


  その理由として述べられていること


ア 社会生活の科学化・高度技術化により,個人の行動が持つ
損害惹起の潜在的可能性が大幅に増大しているので,かなり
早い段階からの(結果が発生してからでは遅すぎる)刑罰的介入が必要


イ 価値観の多様化により,刑事法以外の手段による社会統制の力が弱まっているので,刑事法による規制への期待
(例.組織犯罪への取組み)


ウ 実害に還元できない観念的な価値や利益の保護への期待の
高まり
            (例.環境保護と生命倫理に対する規制)

② ①の発想(考え方)が,具体的な刑事事件の解決(判例や捜査実務)の中
にも現れている


ア 共謀共同正犯に関する最近の判例の動向



イ 過失犯処罰の拡大(予見可能性の緩和)



ウ 詐欺罪の処罰対象の拡大



エ 経済活動に対する積極的な刑事責任の追及,環境犯罪の拡大傾向


以上
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アートネイチャー会長らに2億円支払い命令 株主訴訟の東京高裁判決H25.1.30

2013-01-30 18:53:33 | 社会問題
 画期的な判決ではないでしょうか。

 株主は、ただ、利益配当を待つだけでなく、会社の不公正には、モノ言える存在です。

 会社の不公正を正す会長兼社長が、自らに対し不公正な利益供与をしてもよいものか。(刑法上も特別背任罪は大丈夫か?)
 一株主が立ち上がり、司法がきちんと判断を下しました。

 きちんとガバナンスが効いた企業が増えることが、この日本の将来の発展には欠かせません。


会社法
(株主の権利の行使に関する利益の供与)
第百二十条  株式会社は、何人に対しても、株主の権利の行使に関し、財産上の利益の供与(当該株式会社又はその子会社の計算においてするものに限る。以下この条において同じ。)をしてはならない。
2  株式会社が特定の株主に対して無償で財産上の利益の供与をしたときは、当該株式会社は、株主の権利の行使に関し、財産上の利益の供与をしたものと推定する。株式会社が特定の株主に対して有償で財産上の利益の供与をした場合において、当該株式会社又はその子会社の受けた利益が当該財産上の利益に比して著しく少ないときも、同様とする。
3  株式会社が第一項の規定に違反して財産上の利益の供与をしたときは、当該利益の供与を受けた者は、これを当該株式会社又はその子会社に返還しなければならない。この場合において、当該利益の供与を受けた者は、当該株式会社又はその子会社に対して当該利益と引換えに給付をしたものがあるときは、その返還を受けることができる。
4  株式会社が第一項の規定に違反して財産上の利益の供与をしたときは、当該利益の供与をすることに関与した取締役(委員会設置会社にあっては、執行役を含む。以下この項において同じ。)として法務省令で定める者は、当該株式会社に対して、連帯して、供与した利益の価額に相当する額を支払う義務を負う。ただし、その者(当該利益の供与をした取締役を除く。)がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合は、この限りでない。
5  前項の義務は、総株主の同意がなければ、免除することができない。


(取締役等の特別背任罪)
第九百六十条  次に掲げる者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は株式会社に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該株式会社に財産上の損害を加えたときは、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一  発起人
二  設立時取締役又は設立時監査役
三  取締役、会計参与、監査役又は執行役
四  民事保全法第五十六条 に規定する仮処分命令により選任された取締役、監査役又は執行役の職務を代行する者
五  第三百四十六条第二項、第三百五十一条第二項又は第四百一条第三項(第四百三条第三項及び第四百二十条第三項において準用する場合を含む。)の規定により選任された一時取締役、会計参与、監査役、代表取締役、委員、執行役又は代表執行役の職務を行うべき者
六  支配人
七  事業に関するある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人
八  検査役
2  次に掲げる者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は清算株式会社に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該清算株式会社に財産上の損害を加えたときも、前項と同様とする。
一  清算株式会社の清算人
二  民事保全法第五十六条 に規定する仮処分命令により選任された清算株式会社の清算人の職務を代行する者
三  第四百七十九条第四項において準用する第三百四十六条第二項又は第四百八十三条第六項において準用する第三百五十一条第二項の規定により選任された一時清算人又は代表清算人の職務を行うべき者
四  清算人代理
五  監督委員
六  調査委員
 


*****産経新聞(2013/01/30)******
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130130/trl13013018460009-n1.htm

アートネイチャー会長らに2億円支払い命令 株主訴訟の二審判決

2013.1.30 18:45

 不当な安値で新株を発行したなどとして「アートネイチャー」(東京)の埼玉県の男性株主が五十嵐祥剛会長兼社長ら4人に、約22億5千万円を同社に賠償するよう求めた株主代表訴訟の控訴審判決で、東京高裁は30日、2億2千万円の支払いを命じた一審東京地裁判決を支持し、双方の控訴を棄却した。

 下田文男裁判長は一審判決と同様に、公正な新株の価格を低く見積もっても1株7千円と算定。1500円は「著しく不公正」と指摘した。

 判決によると、同社は2004年3月、五十嵐氏らを割当先として4万株を新規発行した
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憲法のなんたるかを国民に説明をしてから改正論議を!「まず憲法96条改正」発議要件を緩和という首相へ

2013-01-30 18:25:38 | シチズンシップ教育
 憲法のなんたるかの説明を国民にわかりやすくすることもなく、憲法改正を進めはじめました。

 憲法の本質は何か。

 梓澤和幸弁護士の弁をお借りすれば、
「立憲主義とは何か。中学二年生にわかるように、への答え。 立憲主義は多数派も過ちを犯すとみる。ナチスや戦前の日本のような巨大な命を生け贄とするそれ。よって単純多数では変更できない規範を作って多数派政府を縛る。それが憲法である。 これに最高の王座を与えるのが立憲主義だ。」



 国を縛るべきものが、発議要件を緩和し、安易に改正できるような存在にするとは、首相ご自身が、憲法のなんたるかを理解していないも同然。



日本国憲法
第九十六条  この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
○2  憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。
 
 


****東京新聞(2013/01/30)******
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013013001001295.html
【政治】

首相「まず憲法96条改正」 発議要件を緩和

2013年1月30日 16時14分

 安倍晋三首相は30日の衆院本会議で、憲法改正の発議要件を定めた憲法96条を緩和する方向で改正を目指す考えを表明した。「まずは多くの党派が主張している96条の改正に取り組む」と述べた。

 96条改正に関しては先の衆院選後の記者会見で言及していたが、首相就任後は初めて。

(共同)
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成年後見人による被後見人の財産を横領する犯罪をなくすには。

2013-01-30 12:15:14 | 医療
 これから、ますます重要性を増す制度のひとつが、後見制度。

 例え、認知症になったとしても、また、障がいのあるかたの親亡きあと、その人らしい安心の生活が過ごせるためには、不可欠です。

 後見人となれるひとの人材育成も急がれるところです。


 その一方で、この手の犯罪が出ると、いつもなんとかならないものかと思ってしまう。よく新聞記事で目にするから、とても残念に思います。


 ひとつの法の手当ては、

 民法859条の3で、住まいまでは、奪われないようにしているが。 

(成年被後見人の居住用不動産の処分についての許可)
第八百五十九条の三  成年後見人は、成年被後見人に代わって、その居住の用に供する建物又はその敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の設定その他これらに準ずる処分をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。

****日経新聞(2013/1/30)******
成年後見人ら横領容疑で逮捕 千葉
2013/1/30 11:39 記事保存

 千葉地検は30日までに、成年後見人として財産を管理していた叔母(84)の預金約390万円を着服したとして、東京都中央区のコンビニ従業員、野村早苗容疑者(55)と東京都江東区の財団職員、小山勝秀容疑者(64)を業務上横領の疑いで逮捕した。

 捜査関係者によると、2人は妹と兄で、いずれも容疑を認めている。野村容疑者は2002年10月、成年後見人に選任され、05年1月から財産管理も任されていた。千葉家裁が千葉地検に告発していた。

 2人の逮捕容疑は07年7月から08年12月の間に7回、預金口座から計約530万円を引き出して約360万円を着服。野村容疑者は08年7月にも25万円を着服した疑い。〔共同〕

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法律が明文で規定していないことを、最高裁判決で手当てした例:共有物分割での価格賠償

2013-01-30 09:38:26 | シチズンシップ教育

 法律が明文で規定していないことを、最高裁判決で手当てした例。

 この最高裁判決が出るまでは、どんなに不合理(遺産分割で、一旦共有になったものをその後分ける場合は、共有物分割の手法しかとれない)でも、共有物分割は、現物分割がととのわなければ、競売にかけてその代金を分割する方法しか取れませんでした。

 画期的な判決のひとつだと思います。



*遺産分割:価格賠償を認める。

遺産分割とは、民法906条。
遺産の分割の基準)
第九百六条  遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。

家事審判規則109条
http://www.courts.go.jp/vcms_lf/120403Kashinki.pdf#search='%E5%AE%B6%E4%BA%8B%E5%AF%A9%E5%88%A4%E8%A6%8F%E5%89%87'
第百九条 家庭裁判所は、特別の事由があると認めるときは、遺産の分割の方法として、
共同相続人の一人又は数人に他の共同相続人に対し債務を負担させて、現物をもつてする
分割に代えることができる。
(昭二三最裁規三八・一部改正)


*共有物分割:価格賠償を原則認めていない。民法258条で、まずは、現物分割をしようとするが、できない場合は、競売。

(裁判による共有物の分割)
第二百五十八条  共有物の分割について共有者間に協議が調わないときは、その分割を裁判所に請求することができる。
2  前項の場合において、共有物の現物を分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命ずることができる。


共有物分割で、価格賠償ができないと不都合な場合があり、できる場合を最高裁(平成8年10月31日最高裁第一小法廷)は判事しました。

理由:共有物分割の訴えは、いわゆる形式的形成訴訟に属し、その本質は非訟事件であって遺産分割事件と異なるものではない。そして、遺産分割事件については家事審判規則109条により価格賠償の方法が認められているところ、民法は、共有物分割訴訟の非訟事件としての性質上、現物分割の一態様として価格賠償の方法を許しているものと解されるからである。


どういう要件をみたせば、共有物分割において、価格賠償ができるかの考え方は、以下の図。






****最高裁ホームページ****
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319120851613617.pdf
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52485&hanreiKbn=02

主    文
     原判決中、共有物分割請求に関する部分を破棄する。
     前項の部分につき本件を広島高等裁判所に差し戻す。


         理    由

 上告代理人川岸伸隆の上告理由について
 一 原審の確定した事実関係の概要及び記録によって認められる本件訴訟の経過
等は、次のとおりである。
 1 亡D、亡E夫婦の長女である上告人A、その夫であり同夫婦の養子であるF
及び二女であるG(承継前の被上告人。以下「G」という。)の三名は、昭和四〇
年七月八日、H信用組合から原判決添付物件目録記載の各不動産(以下「本件不動
産」という。)を持分各三分の一の割合で買い受けた。本件不動産は、かつて亡D
及びその先代が所有していたものであり、一時H信用組合に所有権が移転していた
のを、右三名が共同して買い戻したものであった。
 2 Fは、昭和六一年一一月三日に死亡し、同人の右持分は、上告人A及び子で
あるその余の上告人らがそれぞれ法定相続分に従って取得した。その結果、本件不
動産についての共有持分は、上告人Aが一八分の九、その余の上告人らが各一八分
の一、Gが一八分の六となった。
 3 本件不動産のうち原判決添付物件目録記載一ないし三の土地上には、ほぼ一
杯に同目録記載四の建物(以下「本件建物」という。)が存在しており、しかも、
本件建物は、構造上一体を成していることから、上告人らとGの持分に応じた区分
所有とすることができず、したがって、本件不動産を現物分割することは不可能で
ある。
 4 Gは、昭和四八年以来、本件建物に居住し、本件建物に接する平家建ての建
物において薬局を営み、その営業収入によって生活してきたが、そのことについて
- 1 -
は、上告人らとの間に特段の争いもなく推移してきた。他方、上告人らは、それぞ
れ別に居住していて、必ずしも本件不動産を取得する必要はない。
 5 上告人らは、Gが本件不動産の分割協議に応じないため、本件不動産の共有
物分割等を求める本件訴えを提起したものであるが、本件不動産の分割方法として、
競売による分割を希望している。これに対し、Gは、自らが本件不動産を単独で取
得し、上告人らに対してその持分の価格を賠償する方法(以下「全面的価格賠償の
方法」という。)による分割を希望していた。
 6 原審で実施された鑑定の結果によれば、本件不動産の評価額は合計八二六万
三〇〇〇円であり、仮にこれを競売に付したとしても、これより高価に売却するこ
とができる可能性は低い。
 二 原審は、(1) 民法二五八条による共有物分割の方法として、全面的価格賠
償の方法を採ることも許される旨を判示した上で、(2) 右一の事実関係等の下に
おいては、本件不動産の分割方法として全面的価格賠償の方法を採用するのが相当
であるとし、競売による分割を命じた第一審判決を変更して、本件不動産をGの単
独所有とした上、Gに対して上告人らの持分の価格の賠償を命じた。所論は、原審
の右(1)、(2)の判断に民法二五八条の解釈適用の誤りがあるというものである。
 三 そこで検討するに、原審の右(1)の判断は是認することができるが、右(2)
の判断は是認することができない。その理由は次のとおりである。
 1 民法二五八条二項は、共有物分割の方法として、現物分割を原則としつつも、
共有物を現物で分割することが不可能であるか又は現物で分割することによって著
しく価格を損じるおそれがあるときは、競売による分割をすることができる旨を規
定している。ところで、この裁判所による共有物の分割は、民事訴訟上の訴えの手
続により審理判断するものとされているが、その本質は非訟事件であって、法は、
裁判所の適切な裁量権の行使により、共有者間の公平を保ちつつ、当該共有物の性
- 2 -
質や共有状態の実状に合った妥当な分割が実現されることを期したものと考えられ
る。したがって、右の規定は、すべての場合にその分割方法を現物分割又は競売に
よる分割のみに限定し、他の分割方法を一切否定した趣旨のものとは解されない。
 そうすると、共有物分割の申立てを受けた裁判所としては、現物分割をするに当
たって、持分の価格以上の現物を取得する共有者に当該超過分の対価を支払わせ、
過不足の調整をすることができる(最高裁昭和五九年(オ)第八〇五号同六二年四
月二二日大法廷判決・民集四一巻三号四〇八頁参照)のみならず、当該共有物の性
質及び形状、共有関係の発生原因、共有者の数及び持分の割合、共有物の利用状況
及び分割された場合の経済的価値、分割方法についての共有者の希望及びその合理
性の有無等の事情を総合的に考慮し、当該共有物を共有者のうちの特定の者に取得
させるのが相当であると認められ、かつ、その価格が適正に評価され、当該共有物
を取得する者に支払能力があって、他の共有者にはその持分の価格を取得させるこ
ととしても共有者間の実質的公平を害しないと認められる特段の事情が存するとき
は、共有物を共有者のうちの一人の単独所有又は数人の共有とし、これらの者から
他の共有者に対して持分の価格を賠償させる方法、すなわち全面的価格賠償の方法
による分割をすることも許されるものというべきである。

 したがって、これと同旨の原審の前記(1)の判断は、正当として是認することが
でき、原判決に所論の違法はない。所論引用の前記大法廷判決は、価格賠償をもっ
て現物分割の場合の過不足を調整することができる旨を判示しているにとどまり、
右の判断はこれに抵触するものではない。この点に関する論旨は採用することがで
きない。
 2 次に、本件について全面的価格賠償の方法により共有物を分割することの許
される特段の事情が存するか否かをみるに、本件不動産は、現物分割をすることが
不可能であるところ、Gにとってはこれが生活の本拠であったものであり、他方、
- 3 -
上告人らは、それぞれ別に居住していて、必ずしも本件不動産を取得する必要はな
く、本件不動産の分割方法として競売による分割を希望しているなど、前記一の事
実関係等にかんがみると、本件不動産をGの取得としたことが相当でないとはいえ
ない。
 しかしながら、前記のとおり、全面的価格賠償の方法による共有物分割が許され
るのは、これにより共有者間の実質的公平が害されない場合に限られるのであって、
そのためには、賠償金の支払義務を負担する者にその支払能力があることを要する
ところ、原審で実施された鑑定の結果によれば、上告人らの持分の価格は合計五五
〇万円余であるが、原審は、Gにその支払能力があった事実を何ら確定していない。
したがって、原審の認定した前記一の事実関係等をもってしては、いまだ本件につ
いて前記特段の事情の存在を認めることはできない。

 そうすると、本件について、前記特段の事情の存在を認定することなく、全面的
価格賠償による共有物分割の方法を採用し、本件不動産をGの単独所有とした上、
Gに対して上告人らの持分の価格の賠償を命じた原判決には、法令の解釈適用の誤
り、ひいては審理不尽、理由不備の違法があるというべきであり、この違法が原判
決の結論に影響を及ぼすことは明らかである。論旨は右の趣旨をいうものとして理
由があるから、原判決中、共有物分割請求に関する部分は破棄を免れず、更に審理
を尽くさせるため、本件を原審に差し戻すこととする。
 よって、民訴法四〇七条一項に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判
決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    遠   藤   光   男
            裁判官    小   野   幹   雄
            裁判官    高   橋   久   子
- 4 -
            裁判官    井   嶋   一   友
            裁判官    藤   井   正   雄
-

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今夜築地で、細谷亮太先生のご講演『小児がん治療の歴史 ~医師として聖路加病院での40年~』

2013-01-29 09:55:04 | 小児医療

 小児科医の先生方、本日開催です。(第231回下町小児科懇話会の場での開催)

 細谷亮太先生のご講演『小児がん治療の歴史 ~医師として聖路加病院での40年~』


 細谷先生には、聖路加国際病院レジデント時代にたいへんお世話様になりました。
 目標にさせていただきたい大先輩医師です。

 幸い法科大学院の講義がなく、拝聴できることとても楽しみです。


 小児科の先生方、お時間に都合がつくのでしたら、ご一緒にいかがですか?
 
 1月29日(火) 18:30-19:20
 会場:築地ボン・マルシェ(築地四丁目交差点の店です。)





 
 

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法律上の結婚を一度もしていないひとり親には、税法上の「寡婦控除」が適用されないことの改善を!

2013-01-28 18:05:35 | 子育て・子育ち
 本日の東京新聞社会面では、「法律上の結婚を一度もしていないひとり親には、なぜ税法上の「寡婦控除」が適用されないのか。」と重要な問題提起がされていました。

 記事にあるように、「日弁連は、控除の対象外とされているのは人権侵害だとして、国や東京都に救済措置を求めた」http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/complaint/year/2013/2013_1.htmlとのことですが、私も、国による法的救済、それがなされるまでの救済として、各自治体の個別的な救済措置(「みなし控除」等)をとるべきであると考えます。



*****東京新聞(2013/01/28)******
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013012802000129.html

【社会】


非婚ひとり親「みなし控除を」 収入少ないのに高い税・保育料


2013年1月28日 朝刊


 法律上の結婚を一度もしていないひとり親には、なぜ税法上の「寡婦控除」が適用されないのか。結婚歴のある親に比べ、高い税や保育料の負担を強いられている。日弁連は今月、控除の対象外とされているのは人権侵害だとして、国や東京都に救済措置を求めた。「どんな子どもも平等に受け入れる社会であってほしい」。特に生活が厳しい未婚の母たちの願いが広がる。 (小嶋麻友美)


 「なぜ未婚が制度から除外されるのか」


 四歳の息子を一人で育てている大阪市の会社員西崎麻衣さん(28)は昨年、未婚の親も寡婦控除が適用されたものとみなし、保育料が軽減されるよう市に陳情するための署名集めを始めた。全国から二千五百以上の署名が届いている。


 妊娠五カ月の時に婚約を破棄された。宿した命を絶つ気にはなれず、東京の会社を辞め、実家の大阪で出産。産後三カ月から近所でパート勤めを始め、後に正社員の職を見つけた。所得の増加で月二万三千円の保育料がかかるようになった。


 控除が適用される場合より、住民税などを年間で約十万円多く負担している。「婚外で子を産むことが悪いなら、男性にペナルティーが科されないのはなぜか。答えがあるなら教えてほしい」


 寡婦控除は、子どもを抱える戦争未亡人の救済のため、一九五一年に導入された。その後改正を繰り返し対象者も拡大。所得条件はあるが、一人で子育てする父親も対象となった。ただ婚歴の条件は変わっていない。


 貧困層の多い母子世帯の中でも困窮しているのが未婚者だ。国の調査では、平均収入は死別が二百五十六万円、離婚が百七十六万円なのに対し、未婚は百六十万円だ。


 日弁連は実態を踏まえ「母にとっても子にとっても合理性のない差別」と指摘。税制改正が必要としつつ、まず自治体が、寡婦控除が適用されているとみなし、保育料などを減免する「みなし控除」を求めている


 現在「みなし控除」で保育料の減免をしている自治体は、千葉市や那覇市、三重県四日市など全国で十数市町だけ。人口の多い千葉市でも対象者は二十七人と少なく、財政負担は計二百万円(二〇一一年度)かかっているだけだ。それでも「みなし控除」すら広がらないのは、ひとり親が声を上げづらいこともあるからだという。東京都中央区議の河井志帆さん(36)は「ひとり親同士でも離婚か未婚かは聞きにくい。特に未婚の人は言い出しにくい」と推測する。自身も、六歳の息子を育てるひとり親だ。


 昨秋、区議会で「みなし控除」の導入を迫ったが、これまでこうした声がなかったのか、区の反応は鈍い。「制度上の不公平は明らか。自治体が率先して公平な税負担に近づけ、家族の多様性を認めてほしい」と訴える。

 
 <寡婦(夫)控除制度> 所得税法は、夫と死別か離婚した「寡婦」への経済支援として、所得から27万円の控除を認めている。子など扶養家族があり、年間所得500万円以下の「特別寡婦」は35万円。所得額を基準に算定する住民税や国民健康保険料、保育料、公営住宅の家賃なども安くなる。適用されない未婚者は、保育料などが高くなる。厚生労働省の2011年の調査では、母子世帯の8割は離婚で、未婚は7・8%、死別が7・5%。

******日弁連ホームページ*****
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/complaint/year/2013/2013_1.html

申立人らはいずれも「非婚の母」、すなわち、法律婚を経験したことのない女性として子どもを扶養している者であるが、現在、「非婚の母」に対しては所得税法の定める「寡婦控除」は適用されない(同法2条1項30号)。

この寡婦控除規定により算出された所得が、地方税、国民健康保険料、公営住宅入居資格及びその賃料、保育料等算定のための基準とされている結果、「非婚の母」である申立人らは、「寡婦控除」規定が適用されないことにより、「寡婦」と比較すると上記各種金額算定に当たり著しい不利益を受けている。これは、「非婚の母」を合理的な理由もなく差別するものであり憲法14条等に違反するとして、「非婚の母」に対し、「寡婦控除」をみなし適用することにより、国民健康保険料、公営住宅入居資格及びその賃料等の算定に当たって、非婚の母子世帯の経済的苦境を救済するよう適切な措置をとることを要望した事例。

http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/hr_case/data/2013/complaint_130111.pdf


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リーガルマインド、法的思考法とは。司法試験、弁護士だけでなく、全てのひとが持つべきもの。

2013-01-28 16:00:43 | シチズンシップ教育

リーガルマインド、法的思考法とは。

 一言で言うと、以下。


司法試験・論文を書くコツbot‏@shiken99 より。

「新司法試験においても…法律実務家として必要な能力という観点からは、最低限、適切な規範の選択・提示、規範に関する事実の摘出、規範への事実のあてはめによる結論の導出の三点を示すことが基本となる。」(高杉直/同志社大学教授)


 すなわち、

1適切な規範の選択・提示

2規範に関する事実の摘出

3規範への事実のあてはめによる結論の導出

 この論理構成をとれるということが、法的思考ができるということと考えます。

 さらにこの論理構成をとるうえでの注意点を述べると、以下Ⅰ~Ⅴ。




Ⅰ規範が選択された理由の提示の重要性

 憲法学等では、1において特に重要なことがあります。

1´なぜ、その規範が適切と言えるのか、その理由の提示

 ここでは、「必要性」と「相当性」で考えることが多いかもしれません。

 「目的の必要性」と、「手段の相当性」という形で現れます。



Ⅱ適切な規範を選ぶ力をつけるには

 適切な規範を選ぶためには、法律、条文をきちんと把握することが大切です。
 法律、条文をきちんと把握とは、「原則と例外の区別」と、「似て非なるものの区別」ができて初めてできることになります。

 その条文は、原則を規定したものか、例外を規定したものか、条文がいう制度趣旨を理解していれば、おのずと、原則と例外の区別ができます。

 似て非なるものもまた、区別できることが、条文や制度趣旨が真に理解していることを示します。


Ⅲ梓澤弁護士の見解

 梓澤和幸弁護士は、上記1から3の当てはめを、「事実の規範的評価」と述べられています。
 
梓澤和幸あずさわかずゆき‏@momocute2006

ロースクール学生へ。 起案と考察の型は 1*問題提起、 2*規範 3*あてはめ だがあてはめとはあまり適切な言葉ではない。 わたしは事実の規範的評価と呼ぶ。 提示された物語を構成する事実の一つ一つに質的評価を加えるのだ。 質的評価を加える以上規範が提示さるべきは当然である。


梓澤和幸あずさわかずゆき‏@momocute2006

新司法試験は事例問題と決まっている。 問題の所在(問題提起) 規範およひ規範成立の理由 あてはめ という起案と思考のパターンを確立せよ。



Ⅳ事案分析の着眼点

事案を、「手続きと実体」の両者の点で、「形式面と実質面」からそれぞれ分析。




Ⅴ各論 各分野別の視点からは、

<一般論>
司法試験・論文を書くコツbot‏@shiken99 より

「大切なのは、具体例に当てはめるための一般論・準則といったものも自分で作るのだということです。言い換えれば、具体例に当てはめやすいように作ればよいのです。足を靴にあわせるのではなくて、靴を足にあわせるのです。」(安念潤司/中央大学教授)

「六法は、試験合格まで、高価でも新司法試験用を使うべきである。特に条文の「見出し」がない刑事訴訟法などでは、新司用に慣れていないと、条文が見つけられないことになりかねない。」(平成24年合格者)

「勉強したつもりになって、やるべきことをやらないと何にもならない。…新司法試験では、受験生の思考力、本当の実力が問われるのだから、あくまでも自分の頭をフル回転させる時間をしっかりと確保することが重要である。」(浜辺陽一郎/青山学院大学教授)

「条文との関係で、その判例がなぜ必要になったのか、判例が採用している解決や理論構成がどのように正当化できるかを考えてみると、判例をよく理解する手助けとなろう。」(後藤巻則/早稲田大学教授)

「「人は後ろめたい時ほど言葉の数が多くなる」とはよくいったもので、論文試験の現場ではつねに忘れないでいたい名言である。たとえ答案が埋まらなかったとしても、答案構成の段階で書くべきと判断した内容を書き終えたなら、潔く筆を止めるべきである。」(弁護士)


梓澤和幸あずさわかずゆき‏@momocute2006 より

ロ-の教員をしているので答案をたくさん見ている。 その経験から言う。まず勉強の量。 しかし同じ量ても差がでる。それは演繹力だ。大論理、中論理、小論理と追う。この大中小にいちいち小さな階段がついていること。基本書を読むときこの大中小と小さな階段がどうふまれているか確認。梓澤hpを。


ロ-スクール未修の秋の諸君にふたたび。砂を噛むように通り過ぎて行った基本書の文章もようやく理解の内側に入って来たかな。そこで概念メモの提案。ポストイットに、法律用語につき意義、制度の趣旨、要件、法的効果、問題点、判例を書き、基本書の当該部分に貼る。基本書の抜け落ちも発見できる。

**************ブログ2012/03/26 *******************************
http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/2237a0d026dad54abea389d7dbc3c914
先日、梓澤和幸弁護士とお会いして、学ぶ上での大切なことをお伝えいただきました。

 以下、梓澤先生にいただいたメモ。



ろ-スクールの学生 特に未修の秋をすごす人たちへ。 才能はいらない。ただ時間がなく計画に導かれたときを あと2年半はすごすという見通しの力がいる。基本書を読むとき、2回目、3回目を同じ読み方にするな


ロー1年未修の君に。 旧司法試験と新司法試験の違いは実務感覚だ。実務法律家はすぐに条文を開く。刑事訴訟法の例。接見指定の問題なら、憲法34条、刑訴法39条1項、3項を、まず開く。前者をよくみると『ただちに』の言葉が飛び込む。後者では接見原則、指定は例外。主体が弁となろうとする者。



刑事訴訟法は当事者主義と弾劾的捜査観、伝聞証拠は信用性と必要性、商法は社員権論。 手形は手形行為と白地手形など。 自分で体系的理解を通すと、全部の科目を1日で読めるようになった。 論文の当日は前日全科目の体系が頭にあるので必死に書いた。 その場で考えて書いた。受かった。無我夢中。


ロー未修1年の君へ。授業の予習は当然。授業中に覚えてしまえ。勉強時間が不足だ。入って来る既修と太刀打ちするには、授業と関係なく基本書を読む時間を4*5時間はとれ。はっきり申しあげるとデ-ト、合コンの時間はあきらめ、酒も絶つ。修行僧のような生活を。これ貴君のためのアドバイス。



法学では利益衡量という思考に日々であう。対立する個人または集団が大相撲のようにガチンコでぶつかる。そのガキっというような衝突音が聞こえるほどにロ-に学ぶ君は対立利益の衝突のリアルを実感できるか。 それがNoであれば法廷やデモ、集会をのぞくような感じでみてみよう。



利益衡量とは何か。実は法学の専売特許ではない。個人の人生、集団の方向を定めるとき、問題、悩みに別の方向から光をあてる思考方法である。 賢者はぼろぼろになって教えをこう人たち(庶民も権力者も)に耳傾けた。頷きもいれた。矛盾は容赦なく指摘した。反対利益を知ることで死さえ回避された。



ロ-スクールの学生へ。 定義とは何か。 1* 物に内在する性質を特定し、2*論理的に同位にあるほかの物との種差を明らかにすること。 広辞苑による定義の定義である。 1*の意味が大切。 比較ではなく対象の中へ中へとはいってゆく思考法が欠かせない。


みたび。ロ-スクール未修の諸君へ。 体系的な読みが不可欠。その科目の基本の基本とは何か。 民法総則では法律行為、意思表示。 刑法総論では、行為、実行行為。違法、責任 憲法では人権の保障価値と制約利益、憲法的利益衡量。公共の福祉。 刑事訴訟法では、強制処分の定義などなど。



<憲法学>
司法試験・論文を書くコツbot‏@shiken99

[憲法]「いかなる「論証」によるにせよ、わが国が付随的違憲審査制を採用する以上、その審査のあり方は具体的事実に基づく経験的判断が重視される…。「図式的」な論証に走る前に…問題となる具体的事実にも留意しつつ、審査基準の設定を論ずると、より説得的になる。」(尾形健/同志社大学教授)

[憲法]「目的効果基準を用いて作成された答案の中には、当てはめをする段になって、自分が何を論証しているのかわからなくなっているものがある。それを避けるためには、今、目的効果基準を用いて何を判断しようとしているのかを明確にする必要がある。」(田近肇/岡山大学教授)

[憲法]「最高裁が法令の合憲性について判断する場合、具体的事実について最高裁の認識を契機とし、あるいはその影響を受けている事が多い…。そうした具体的事実の認識につき分析することで、法令の合憲性についての最高裁判決の論理の射程、意味が明かになる…。」(市川正人/立命館大学教授)

[憲法]「学生のなかには、「A先生の○○説によればこういう結論になります。」と述べて満足するものがいるがそれでは裁判官を説得できまい。なぜ「A 先生の○○説」をとることが本件事案との関係において妥当なのかを説明することが、法律家の議論の作法である。」(愛敬浩二/名古屋大学教授)

[憲法]「憲法判例の意味、射程を理解するためには、重要な憲法判例とされる判決・決定中の判断がどのような訴訟等においてどのような文脈の中で下されたものかに注意することが重要である。」(市川正人/立命館大学教授)

[憲法]「(判例を学習する際には)規範がどのように組み立てられているのか、いざとなれば自分で後から梱包をほどいて再現できる程度には、内在的に理解しておくべきです。」(宍戸常寿/東京大学准教授)


梓澤和幸あずさわかずゆき‏@momocute2006

立憲主義とは何か。中学二年生にわかるように、への答え。 立憲主義は多数派も過ちを犯すとみる。ナチスや戦前の日本のような巨大な命を生け贄とするそれ。よって単純多数では変更できない規範を作って多数派政府を縛る。それが憲法である。 これに最高の王座を与えるのが立憲主義だ。



憲法の人権論では違憲審査基準、二重の基準論から入り、出るという勉強法と承知



違憲審査基準にいきなり突っ込む憲法の学習法はいただけない。 ある人権はなぜ憲法上保障されるか。 その価値の重さを、はかりにのせる。 次に制約利益として何が登場しているか、それが憲法上保障された人権を制約できるほどの価値を反映しているかを検討。つまり憲法的利益衡量という思考方法だ。



憲法の人権、たとえば生存権に関する判例を読むと行政の裁量であるから違憲の問題を生じない、という表現が頻回に登場する。ここでたちどまれ。 まず裁量とは何か、行政法の基本書で確かめよ。継続的、統一的、一体的な行政目的の実現を遂行するための行政主体の自己決定のための判断余地などの定義。
裁量の続き。さて当該行政判断の目的を検討する。 その目的と生存権保障の憲法上の価値を利益衡量するのだ。


<行政学>
司法試験・論文を書くコツbot‏@shiken99

[行政法]「「処分の瑕疵」の存否なり「訴えの利益」の存否は、その処分のもととなった法規、あるいは法体系の中で判断される。そのためには、問題となっている課題の視点から実定法規を正確に読み解かなければならない。」(安本典夫/名城大学教授)

[行政法]「条文をその場で正確に読みとく力は必須であり、読みといた条文に即して事案の解決に向けた論理を展開することが必要である。」(石森久広/西南学院大学教授)


<民法学>
梓澤和幸あずさわかずゆき‏@momocute2006

ロースクール未修1期の秋の学生に助言を求められれば、民法の勉強量は大丈夫か、と確かめる。総則と債権総論の理解を確かめる。全体を把握してから、その俯瞰図の中で論点を位置っけるのだ


<商法学>
司法試験・論文を書くコツbot‏@shiken99

[商法]「商法の場合、判例をそのまま適用できる場合もあるが、そのようにいかない場合も少なくない。そこで、できる限り条文の趣旨から結論を導くことを心がけた。」(平成19年合格者)


<刑法学>
司法試験・論文を書くコツbot‏@shiken99

[刑法]「気を付けなければならないのは事実をねじまけて評価したり、あるいは超マイナー説ばかりを無理に選びとったりして、論点を消してしまうことだけである。(最高裁の立場をとった結果として論点が消えてもあまり気にする必要はない。)」(小林憲太郎/立教大学准教授)

[刑法]「基本書を精読し、基本的な概念、制度の内容や趣旨を正確に把握し、論点においては結論が別れる原因を突き止め、自分の頭で考えるという正攻法の学習でないと本物の基礎力はつかない」(大塚裕史/神戸大学教授)


<民事訴訟法>
司法試験・論文を書くコツbot‏@shiken99

[民事訴訟法]「民事訴訟法の問題解決に際しては、ひとつの理念にとらわれることなく、多様な理念を調整する能力が必要となります。」(杉山悦子/一橋大学准教授)


<刑事訴訟法>
司法試験・論文を書くコツbot‏@shiken99

[刑事訴訟法]「短絡的に、資格試験に合格することだけを考えるのであれば、…条文と判例を押さえて適切に問題設定をできれば、現状の司法試験では合格水準に達する…。しかし、長期的な視点から考えれば…刑事司法に関わる際に…学説は…意味を持ちうる…。」(緑大輔/北海道大学准教授)


梓澤和幸あずさわかずゆき‏@momocute2006

警察高級官僚はアメリカの今を学問的哲学的に研究している。法律家は『警察学論集』立花書房必読。次の次の一手を読め。


ロ-スクールの学生へ。 職務質問の論点は刑訴のはじめにでてくる。勉強法の観点から。 問題提起、規範、あてはめ(事実の規範的評価) と以前書いた。規範の提示とあてはめのために職務質問は好論点だ。 警職法2条を使える。条文から離れない思考を。停止の箇所で利益衡量の方法を学べる。


以上

コメント

政務調査費を住民訴訟資料に用いることは可能か。最高裁が初判断H25.1.25

2013-01-27 23:55:40 | シチズンシップ教育
 気になった記事であり、掲載します。

 記事の頭書きの部分を見ただけでは、最高裁で、裁判が負けたような印象を持ってしまいますが、住民訴訟の起訴資料作成に用いられた大部分の政調費支出部分は、最高裁も「適法」(使途基準に適合しないとはいえない)として認めたという肯定的な内容の判決では無いでしょうか。

 

****東京新聞(2012/01/26)*****
【社会】

政調費 住民訴訟に使用認めず 目黒区議支出問題 最高裁が初判断

2013年1月26日 朝刊


 住民訴訟の経費に政務調査費が使えるかどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第二小法廷(須藤正彦裁判長)は二十五日、「住民訴訟と議員の調査研究活動は、本来の目的や性質が異なる」とし、原則認められないとする初判断を示した。
 この訴訟は、東京都目黒区の須藤甚一郎区議が、区庁舎用地売却をめぐる住民訴訟の経費として、二〇〇五年度の政務調査費から調査研究費の名目で約十三万五千円を支出したことが問題となった。一、二審は返還を命じた区の処分を全面的に取り消していた。
 上告審判決は、住民訴訟の控訴にかかった費用約二万八千円は明らかに政務調査費の使途基準に当たらないとして、一、二審判決のこの部分だけを破棄、処分の手続きが適正だったかどうかを審理させるため、東京高裁に差し戻した。
 判決は、政務調査費について、議会の審議能力を強化し、議員の調査研究活動の充実を図るために交付されると指摘。「議会活動を離れた経費や、調査研究との間に合理的な関連性が認められない経費は調査研究費に当たらない」とし、住民訴訟自体への支出は認められないと判断した。
 ただ今回のケースでは、訴訟に関する録音テープや速記録の反訳費用約十万七千円は、文書を議会の審議で資料として用いることができ、政務調査費の資料作成費や広報費とみる余地があるとして支出を適法とした。


*****最高裁ホームページ*******
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20130125141730.pdf

裁判要旨 

1 区議会議員が提起した住民訴訟の控訴の提起に係る手数料の印紙代等に充てた政務調査費の支出が,使途基準の定める調査研究費又は他の項目に該当せず,使途基準に適合しないとされた事例

2 区議会議員が提起した住民訴訟の証拠等にするとして情報公開請求により区長から開示を受けた録音テープの反訳費用及び当該住民訴訟の尋問期日における関係者の証言等の反訳費用に充てた政務調査費の支出が,使途基準の定める資料作成費又は広報費に該当するとみることができ,使途基準に適合しないとはいえないとされた事例

主 文

1 原判決中,目黒区長が被上告人に対し平成19年5
月1日付けでした平成17年度分の政務調査費の一
部の返還を命ずる処分のうち10万7375円を超
える金員の返還を命ずる部分の取消請求に係る部分
を破棄する。
2 前項の破棄部分につき,本件を東京高等裁判所に差
し戻す。
3 上告人のその余の上告を棄却する。
4 前項に関する上告費用は上告人の負担とする。


理 由

上告代理人河合由紀男ほかの上告受理申立て理由について
1 本件は,目黒区議会議員である被上告人が,地方自治法(平成20年法律第
69号による改正前のもの。以下「法」という。)100条13項の規定に基づく
条例である目黒区政務調査費の交付に関する条例(平成13年目黒区条例第5号。
平成18年目黒区条例第62号による改正前のもの。以下「本件条例」という。)
の規定により平成17年度に交付を受けた政務調査費から被上告人が提起した住民
訴訟に関する費用を支出したことにつき,目黒区長から,目黒区政務調査費の交付
に関する条例(平成19年目黒区条例第22号による改正前のもの)14条に基づ
- 2 -
き上記支出の額に相当する金員の返還を命ずる処分(以下「本件処分」という。)
を受けたため,本件処分は違法であるとして,その取消しを求める事案である。
2 原審の確定した事実関係等の概要は,次のとおりである。
(1) 法100条13項は,普通地方公共団体は,条例の定めるところにより,
その議会の議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として,その議会におけ
る会派又は議員に対し,政務調査費を交付することができ,当該政務調査費の交付
の対象,額及び交付の方法は条例で定めなければならないと定めており,この法の
定めを受けて,本件条例10条は,政務調査費の交付を受けた会派又は議員は,当
該政務調査費を別に定める使途基準に従って使用しなければならないと定めてい
る。この条例の定めを受けて,目黒区政務調査費の交付に関する規程(平成13年
目黒区議会告示第1号。平成18年目黒区議会告示第1号による改正前のもの。)
5条及び別表により定められた政務調査費使途基準(以下「本件使途基準」とい
う。)は,調査研究費,研修費,会議費,資料作成費,資料購入費,広報費,事務
所費,事務費及び人件費の9つの項目を挙げてその内容を定めている。そして,本
件使途基準は,調査研究費の内容について「会派又は議員が行う目黒区の事務及び
地方行財政に関する調査研究並びに調査…委託に要する経費」(調査委託費,交通
費,宿泊費等)である旨,資料作成費の内容について「会派又は議員が議会審議に
必要な資料を作成するために要する経費」(印刷・製本代,原稿料等)である旨,
広報費の内容について「会派又は議員が行う議会活動及び目黒区政に関する政策等
の広報活動に要する経費」(広報紙・報告書等印刷費,送料,交通費等)である旨
を定めている(括弧内はいずれも例示とされている。)。
(2)ア 上告人は,庁舎移転に伴う本庁舎跡地等(以下「本件跡地等」とい
- 3 -
う。)の売却に当たり,売却先の選定については,公募提案方式を採用して応募者
が提案する本件跡地等に係る利用計画や購入希望価格等を総合的に審査した上で決
定することとし,そのような審査を行う機関として,目黒区本庁舎跡地等土地利用
計画審査委員会(以下「本件委員会」という。)を設置した。本件委員会は,提案
に係る購入希望価格が応募者中の最高額ではなかった業者による提案の評価順位を
1位とする旨を決定し,上告人は,当該業者に対し,本件跡地等を売却した。
イ 被上告人は,上告人が上記業者に本件跡地等を売却したことは違法であり,
これにより上告人に上記提案に係る購入希望価格のうちの最高額と実際の売却価格
との差額相当額の損害が生じたなどと主張して,平成15年6月18日付けで,上
告人の執行機関を被告として,当時の目黒区長らに対して上記差額相当額の損害賠
償請求をするよう求める住民訴訟(以下「別件住民訴訟」という。)を東京地方裁
判所に提起した。
(3) 目黒区長は,平成17年4月1日付けで,目黒区議会議員である被上告人
に対して平成17年分の政務調査費を交付すること及びその交付額を決定し,その
後,2回に分けて,合計204万円を交付した。
(4) 被上告人は,目黒区議会議長に対し,平成18年4月24日,平成17年
分の政務調査費について収入総額が204万円,支出総額が205万0284円,
残額が0円である旨を記載した収支報告書(本件条例11条1項)を提出した。同
報告書には,調査研究費の内訳として,①「住民訴訟テープ反訳」として3万17
75円,②「住民訴訟証人尋問速記反訳」として7万5600円,③「住民訴訟控
訴印紙代及高裁提出用切手」として2万8350円などと記載されていた(以下,
これらの支出を順に「本件支出1」,「本件支出2」及び「本件支出3」といい,
- 4 -
これらを併せて「本件各支出」という。)。
(5)ア 本件支出1は,被上告人が,目黒区情報公開条例(平成12年目黒区条
例第58号)に基づき,本件跡地等の売却先の選定に関する本件委員会の審議の内
容につき別件住民訴訟の証拠及び参考にするとして目黒区長に対し開示を請求し,
目黒区長から開示を受けた本件委員会の議事の録音テープにつき,反訳業者に反訳
及び複製を委託した際,その反訳及び複製の費用として支出したものである。
イ 本件支出2は,被上告人が,別件住民訴訟の尋問期日における本件跡地等の
売却先の選定に関する目黒区職員の証言及び被上告人の供述につき,裁判所の作成
する尋問調書とは別に,その証言及び供述の内容を反訳した速記録の作成を速記業
者に委託した際,その反訳の費用として支出したものである。
ウ 本件支出3は,別件住民訴訟につき,東京地方裁判所が被上告人の訴えの一
部を却下し,その余の訴えに係る請求を棄却する旨の判決をしたことから,被上告
人が,同判決を不服として控訴した際,その控訴提起手数料及び予納すべき送達費
用に充てるための収入印紙及び郵便切手の購入の費用として支出したものである。
(6) 被上告人は,自身のホームページ等を開設し,また,政務調査費を用いて
作成した自身の広報紙を年1回約5万部発行して目黒区民等に配布しているとこ
ろ,上記ホームページ等及び広報紙には,目黒区政の問題点に関する被上告人の意
見,被上告人の目黒区議会における活動の様子等や,別件住民訴訟その他の被上告
人が追行している住民訴訟等の詳細な経緯,経過,結果等が掲載されており,上記
ホームページ等には,本件支出1に係る本件委員会の議事の録音テープの反訳文並
びに本件支出2に係る別件住民訴訟における目黒区職員の証言及び被上告人の供述
の反訳文も掲載されている。
- 5 -
また,被上告人は,目黒区議会での一般質問において,本件跡地等の売却に関す
る質問をするなどしている。
(7) 目黒区監査委員は,平成19年4月27日,上告人の住民による住民監査
請求に基づき,本件各支出はいずれも住民訴訟のためにされたものであり,政務調
査費の使途として認められないとして,目黒区長に対し,被上告人に対して本件各
支出の合計額である13万5725円を不当利得として返還請求するよう勧告し
た。
目黒区長は,上記の監査結果を受けて,被上告人に対し,平成19年5月1日付
け「平成17年度分政務調査費の返還命令」と題する書面に,返還理由を「平成1
9年4月27日付けで目黒区監査委員から違法・不当な支出であるとされたため」
と記載して,被上告人に対する平成17年度分の政務調査費のうち13万5725
円の返還を命ずる本件処分をした。
3 原審は,上記事実関係等の下において,要旨次のとおり判断し,本件各支出
が違法又は不当であるとしてされた本件処分は違法であり,取り消されるべきもの
であるとした。
住民訴訟の提起及び追行は,議員による議会活動の基礎となる調査研究活動と趣
旨及び目的において重なり合う面があり,その提起及び追行並びにこれによって得
た情報等に基づく様々な活動は,区政の調査,研究及び追及のための重要かつ有効
な手段となるほか,その提起を契機として区政の問題点につき議会での議論が喚起
されることなどによって,各種の制度の改善等につながることもあり得る。これら
によれば,本件各支出は,上告人の事務及び地方行財政に関する調査研究に要する
経費として,いずれも本件使途基準の調査研究費に該当するものであり,違法又は
- 6 -
不当な支出であるということはできない。
4 しかしながら,原審の上記判断のうち,本件支出1及び本件支出2に係る部
分は結論において是認することができるが,本件支出3に係る部分は是認すること
ができない。その理由は,次のとおりである。
(1) 法100条13項は,政務調査費の交付につき,普通地方公共団体は,条
例の定めるところにより,その議会の議員の調査研究に資するため必要な経費の一
部として,その議会における会派又は議員に対し,政務調査費を交付することがで
きるものと定めており,その趣旨は,議会の審議能力を強化し,議員の調査研究活
動の基盤の充実を図るため,議会における会派又は議員に対する調査研究の費用等
の助成を制度化したものであると解される。そうすると,本件使途基準が調査研究
費の内容として定める「会派又は議員が行う目黒区の事務及び地方行財政に関する
調査研究並びに調査…委託に要する経費」とは,議員の議会活動の基礎となる調査
研究及び調査の委託に要する経費をいうものであり,議員としての議会活動を離れ
た活動に関する経費ないし当該行為の客観的な目的や性質に照らして議員の議会活
動の基礎となる調査研究活動との間に合理的関連性が認められない行為に関する経
費は,これに該当しないものというべきである。
(2) しかるところ,住民訴訟の提起(上訴の提起を含む。以下同じ。)及び追
行は,地方議会の制度とは別個独立の自己完結的な争訟制度を通じて地方公共団体
の執行機関又は職員の財務会計上の違法な行為又は怠る事実を是正し又は予防する
ことを目的とし,裁判所に対し法令と証拠に基づく法的判断を求めて請求の実現を
図り攻撃防御を行う司法手続上の争訟活動を内容とする行為であり,客観的にみ
て,議会の審議能力の強化を図るために議会の議員活動の基礎となるものとして情
- 7 -
報や資料を収集する調査や研究の活動とは,本来の目的や性質を異にするものであ
る。住民訴訟の結果として違法な行為等の是正がされることがあるとしても,その
是正は議会を通じて行われるものではないから,このことをもって,住民訴訟の提
起及び追行それ自体と上記のような議員の議会活動の基礎となる調査研究活動とが
客観的にみて本来の目的や性質を同じくするものであるということはできない。
以上によれば,住民訴訟の提起及び追行は,その客観的な目的や性質に照らし
て,それ自体としては,議員の議会活動の基礎となる調査研究活動との間に合理的
関連性が認められないものというべきである。
なお,原審は,住民訴訟の提起及び追行につき,議員の議会活動の基礎となる調
査研究活動と趣旨及び目的において重なり合う面があり,その提起及び追行並びに
これによって得た情報等に基づく活動が区政の調査,研究及び追及をするための有
効かつ重要な手段となるほか,その提起を契機として区政の問題点につき議会での
議論が喚起されるなどというが,住民訴訟の提起及び追行が,客観的にみて,議員
の議会活動の基礎となる調査研究活動とは本来の目的や性質を異にするものである
ことは上記のとおりであり,また,それによって得られた情報等が議員の議会活動
のために用いられ,あるいはそれを契機として当該争訟の内容が議会での議論の対
象となることがあり得るとしても,これらは単に結果として生じ得る事実上の影響
にすぎず,このような事実上の影響が結果的に生じ得ることをもって直ちに,住民
訴訟の提起及び追行それ自体について議会活動の基礎となる調査研究活動との間に
合理的関連性が認められることになるとは解されない。
(3) 上記(1)及び(2)において検討したところによれば,議員による住民訴訟の
提起及び追行それ自体のために費用が支出された場合には,当該支出は,本件使途
- 8 -
基準の調査研究費の支出に該当しないものというべきである。
もっとも,住民訴訟を提起し追行する議員が,当該訴訟の提起及び追行を端緒と
して,その過程でその結果として地方公共団体の保有する情報や資料を取得するこ
とはあり得るところ,これらの取得した情報や資料を,当該訴訟の追行とは別途
に,議会活動に関して,その基礎となる調査研究又は議会審議に必要な資料の作成
や議会活動の広報等に用いるために費用が支出された場合には,その費用が本件使
途基準の調査研究費又は資料作成費や広報費等の他の項目に該当するとみる余地が
あり,当該情報や資料が住民訴訟を端緒として得られたものであることから直ちに
当該支出がおよそ本件使途基準に適合しない支出であるとまではいい難い。
(4) そこで,上記(1)ないし(3)において説示したところに照らし,本件各支出
について検討する。
本件支出3は,別件住民訴訟の提訴者である被上告人による控訴の提起に係る訴
訟費用(控訴提起手数料の印紙代及び予納すべき送達費用の切手代)の支出であ
り,議員による住民訴訟の提起及び追行それ自体のための費用の支出であって,本
件使途基準の調査研究費の支出に該当せず,本件使途基準の他の項目の支出に該当
するものでもなく,本件使途基準に適合しない支出であるというべきである。
これに対し,本件支出1は,本件跡地等の売却先の選定に関する本件委員会の議
事の録音テープを文書化するための費用であり,本件支出2は,別件住民訴訟の尋
問期日における本件跡地等の売却先の選定に関する関係者の証言及び供述の内容を
文書化するための費用であるところ,被上告人は,目黒区議会の審議において,本
件跡地等の売却について自らの主張に係る問題点を究明して議論の対象とするため
に本件跡地等の売却に関する質問をするなどの議会活動を行っており,これらの文
- 9 -
書化された資料は,別件住民訴訟とは別途に,被上告人が現に行っている議員とし
ての上記の議会活動に関して,被上告人の参加する質疑等の議会審議に必要な資料
として用いることができるものであり,また,その内容が前記2(6)のとおり自身
のホームページ等や広報紙に掲載され,上記の議会活動の広報に供する資料として
用いられているとみることができるものである。本件支出1に係る録音テープは,
被上告人が目黒区長に対し別件住民訴訟の証拠及び参考にするとしてその開示を請
求し,これを受けて開示されたものではあるものの,そのことをもって直ちに,こ
れを文書化した資料が上記のとおり別件住民訴訟とは別途に議員としての議会活動
のために用いられるものとなって,その文書化の費用が本件使途基準のいずれかの
項目に該当する余地のあることが否定されるというものではない。また,本件支出
2に係る証言及び供述の内容も,それ自体は別件住民訴訟を端緒として当該訴訟の
過程でその結果として得られたものではあるものの,そのことをもって直ちに,当
該訴訟において裁判所が作成する尋問調書とは別に上記証言及び供述を文書化した
資料が上記のとおり当該訴訟とは別途に議員としての議会活動のために用いられる
ものとなって,その文書化の費用が本件使途基準のいずれかの項目に該当する余地
のあることが否定されるというものではない。なお,上告人の政務調査費の交付に
係る条例又は規則等の定めにおいて,本件使途基準の項目を異にする支出につき交
付の手続等が異なるなどの事情はうかがわれない。
このような本件の事情の下においては,本件支出1及び本件支出2は,いずれ
も,被上告人の議員としての議会活動に関して,被上告人の参加する質疑等の議会
審議の参考に供する資料又はその議会活動の広報に供する資料を作成するために支
出された費用として,本件使途基準の資料作成費又は広報費の項目に該当する支出
- 10 -
であるとみることができ,本件使途基準に適合しない支出であるということはでき
ない。
したがって,本件処分のうち,本件使途基準に該当しない支出である本件支出3
に係る政務調査費の返還を命ずる部分については,実体上の違法事由は存しないも
のの,本件支出1及び本件支出2に係る政務調査費の返還を命ずる部分は,本件使
途基準に該当する支出の返還を命じたものとみることができ,実体上の違法事由が
あるものといわざるを得ない。
5(1) 以上によれば,本件処分のうち本件支出3に係る政務調査費の返還を命
ずる部分につき,実体上の違法があるとして,同部分を取り消すべきものとした原
審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。この点に関
する論旨はこの趣旨をいうものとして理由があり,原判決中,本件処分のうち本件
支出1及び本件支出2の合計金額(10万7375円)を超える部分の取消請求に
係る部分は,破棄を免れない。そして,被上告人は,本件処分の手続上の違法事由
として,本件処分の理由提示(目黒区行政手続条例(平成8年目黒区条例第1号)
14条)の不備も主張しているところ,この点に関して更に審理を尽くさせるた
め,上記破棄部分につき本件を原審に差し戻すこととする。
(2) 他方,以上によれば,本件処分のうち本件支出1及び本件支出2に係る政
務調査費の返還を命ずる部分につき,実体上の違法があるとして,同部分を取り消
すべきものとした原審の判断は,結論において是認することができる。この点に関
する論旨は採用することができない。したがって,上記破棄部分以外の部分に係る
上告は,これを棄却することとする。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
- 11 -
(裁判長裁判官 須藤正彦 裁判官 竹内行夫 裁判官 千葉勝美 裁判官
小貫芳信)
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訴訟告知の効力の及ぶべき範囲、特に告知人の相手側当事者に参加した場合は?

2013-01-26 23:00:00 | シチズンシップ教育
 「訴訟告知」なる制度。
 告知を受けることが、法律上の地位・利益を守ることにつながるだけならよいが、マイナスに及んでしまうこともありそうである。例えば、訴訟告知した告知人の側に参加することが、必ずしも有益とは言えない場合、不幸の始まりということもあるのではないでしょうか。
 原段階で、しっくりきていません。
 今後、考察を深めて行くとして、現時点の理解を書きます。

 下記事案は、「仙台高裁昭和55年1月28日」のもの。
 別に、「東京高裁昭和60年6月25日」のものが、上告され訴訟告知の効力の及ぶべき範囲について最初の最高裁の判断が注目されると書かれていました。その最高裁判決をフォローしたいと思っています。

****刑事訴訟法****
(訴訟告知)
第五十三条  当事者は、訴訟の係属中、参加することができる第三者にその訴訟の告知をすることができる。
2  訴訟告知を受けた者は、更に訴訟告知をすることができる。
3  訴訟告知は、その理由及び訴訟の程度を記載した書面を裁判所に提出してしなければならない。
4  訴訟告知を受けた者が参加しなかった場合においても、第四十六条の規定の適用については、参加することができた時に参加したものとみなす。


(補助参加人に対する裁判の効力)
第四十六条  補助参加に係る訴訟の裁判は、次に掲げる場合を除き、補助参加人に対してもその効力を有する。
一  前条第一項ただし書の規定により補助参加人が訴訟行為をすることができなかったとき。
二  前条第二項の規定により補助参加人の訴訟行為が効力を有しなかったとき。
三  被参加人が補助参加人の訴訟行為を妨げたとき。
四  被参加人が補助参加人のすることができない訴訟行為を故意又は過失によってしなかったとき。

*************




事案:

 Xは、Yの代理人と称するZを通じて、Y所有の本件土地を買い受け、その売買代金を支払ったものの、YはZに代理権を授与したことはないと主張して、所有権移転登記手続をしないため、Xは、Yに対して、所有権移転登記手続等を求める訴えを提起した。(第一訴訟)。
 第一訴訟の継続中に、Yは、Zに対して訴訟告知をしたが、Zは、相手方当事者であるXに補助参加を行った。
 その後、審理の結果、裁判所は、代理権を授与したとまで認定することは困難であるが、表見代理は成立するとの理由で、X勝訴の判決を下し、当該判決が確定した。
 そこで、Yは、Zに対して、不法行為に基づく損害賠償を求める訴えを提起した(第二訴訟)。



(1)事案における法的問題点。
被告知者が、告知者の相手方当事者に参加した場合、参加的効力を及ぼすことができるかが法的問題点である。

(2)(1)における問題点の指摘の根拠となる事実。
 第二訴訟で、Zは、Yからの代理権授与があったと主張することができるかどうかが問題点である。
 すなわち、Yから第一訴訟で訴訟告知がなされており、被告知者であるZは、Yに参加することができたわけであり、よって、Yに参加したものとみなして、被告知者Zに対しても、第一訴訟の確定した判決の参加的効力を及ぼすと考えれば、代理権を授与したことの認定ができないとした判決の効力が及ぶこととなる。結果、Zは、第二訴訟において、Yからの代理権授与の主張ができないことになるのではないかと言うことが問題点である。


(3)民事訴訟法の第何条、または、いかなる理論の適用が問題であるか。
 民事訴訟法53条4項。


(4)(3)で挙げた条文のどの文言の解釈、あるいは、理論の要件が問題となっているか。
 補助参加の利益を有する被告知者は、参加しない場合でも、告知に対応して参加できた時点に補助参加したものとして、告知者との間で民事訴訟法46条の限度で参加的効力を受ける。
 では、告知者の補助参加ではなく、告知者の相手方当事者に参加した場合にも、参加的効力を及ぼすことができるかどうかが問題となっている。

(5)この問題について、自分と反対の結論となり得る考え方。
 被告知者が、告知者の相手方当事者に参加した場合にも、参加的効力を肯定する説。
 
(6)上記自分と反対の結論となり得る考え方の問題点。
 訴訟告知は、被告知者に、訴訟参加の機会を与えるものであり、被告知者が、訴訟告知された訴訟に参加して自己の法的地位又は法的利益を防御することができるメリットがある。
 しかし、本件の場合、訴訟告知を受けた第一訴訟において、被告知者であるZは、告知者側に補助参加することが期待され得ない状況にあった。
 にも関わらず、参加的効力を肯定するのは、被告知者が、参加的効力の拘束力を受けることで代理権授与の主張が封じられてしまうことになり、あまりにも酷である。

(7)この問題について自分の結論と根拠。
 参加的効力が否定され、被告知者Zは、第二訴訟において、代理権授与の主張ができると考える。
 なぜならば、被告知者が参加しないからといって、実際に参加して敗訴した以上に不利になるのは不合理であり、たとえ参加しても被告知者の主張(有権代理)が、告知者の主張(無権代理)と抵触して効果を生じないような場合には、告知による参加的効力は受けるべきではないと考えるからである。
 併せて、第一訴訟判決を導きだすためには表見代理が認められれば十分であり、表見代理が認められるからといって代理権が無いとは必ずしも言えず、第一訴訟判決において代理権不存在まで判断されているとした拘束力は、認めるべきではないと考えるからである。
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オブラートに包むことで、伝えにくいことが伝えることができる

2013-01-25 18:22:51 | 言葉について、お役所言葉

 言葉は大切です。
 同趣旨の記載ブログ:http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/904fad3d3725ef8b04249c9c278a83bf 
 
 

 オブラートに包むことで、伝えにくいことが伝わえることができる実践例。
 いずれも納得の言い換え。
 「論文に死んでも書いてはいけない言葉」


 同じように、「議会では死んでも発言してはいけない言葉」というのもある…
 例えば、
 NG「委員は、このようなことも知らないでご質問されるのですか。それは…」⇒OK「委員ご存知のように、それは・・・」



http://img.pics.livedoor.com/012/0/d/0df6ef0ee34ab1431713-1024.jpg 

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築地移転問題、第二回土壌汚染対策協議会を取材したジャーナリストの怒りにも似たメッセージ

2013-01-25 09:19:52 | 築地を守る、築地市場現在地再整備
 どうかジャーナリストの皆様、議員政治家の皆様、心ある行政に携わられている皆様には、築地市場移転問題にご注目頂き、その真実を伝えていただきたいと思います。

 昨日開催された豊洲土壌汚染に関する第二回土壌汚染対策協議会を取材したジャーナリストの方が、以下、怒りにもにたメッセージを書かれていましたので、こちらでも掲載いたします。

 書かれている趣旨を自分もたいへんよくわかります。
 東京都の築地市場移転に関わる違法、不正義に対し、異議を唱え、土壌汚染地への移転は1年ではなく無期延期とし、必ず現在地での再整備を実現していきたいと思います。


*****コラム 雑記帳****
 上記の豊洲土壌汚染協議会の席上、ある業界委員が「マスコミは事実を報道してほしい。東京都も積極的にそういう方向に導くべきだ」という趣旨の発言をされていた。汚染問題がとりあげられることで風評被害を生んでおり、安全性を訴えるべきというのだ。

 豊洲用地の土壌汚染は、当初東京都は操業由来の汚染については東京ガスが行う対策で除去されると主張していた。しかし、それが実際には全くいいかげんなものであったことを明らかにしたのは、一部の市場関係者の追求と、それに呼応したジャーナリズムの力である。

 筆者もその一端を担った側として、結果「臭い物にフタ」をした上に市場が建てられる危機が阻止されたことは、誇りに思っていた。だからこの委員の発言は非常に残念であったし、決してこれが市場の多数派の声でないということを切に願う。

 この日の協議会で示された土壌汚染対策工事の進捗状況には呆れてしまった。これほどの遅延ぶりを東京都はなぜ今に至るまで隠し続けたのか。結局予算編成という、隠しきれなくなるタイミングまで引き延ばしたということなのだろう。

 そんな東京都という組織とは一体どう向き合ったらいいのだろうか。

 筆者はこの土壌汚染問題は、対策工事が完全に終結する日まで、危機が去ったと言い切ることはできないという思いを強くしている。


 
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公務員の職務の公正と社会一般の信頼を保護、賄賂罪刑法197条~ロッキード事件を読む

2013-01-24 16:34:46 | シチズンシップ教育
 賄賂罪、公務員の職務の公正と公務員の職務に対する社会一般の信頼を保護法益として存在しています。


****刑法*****
(収賄、受託収賄及び事前収賄)
第百九十七条  公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、五年以下の懲役に処する。この場合において、請託を受けたときは、七年以下の懲役に処する。
2  公務員になろうとする者が、その担当すべき職務に関し、請託を受けて、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、公務員となった場合において、五年以下の懲役に処する。



 賄賂罪に関する最重要判例が、「ロッキード事件丸紅ルート」の判例(最高裁判決平成7年2月22日)。

 一国の内閣総理大臣が賄賂罪に問われた事件。

 判決文に、賄賂罪についての重要な考え方があります。

 以下、判決文を抜粋します。(判決文重要事項に下線を引きます。赤字で注釈を書きます。)


 構図は、ロッキード社の代理店丸紅から内閣総理大臣に5億円の賄賂が渡され、その見返りとして、内閣総理大臣は、運輸大臣に働きかけをし、運輸大臣が行政指導の形で、ロッキード社製の航空機L1011型機を選定購入するように全日空に働きかけた事件です。

 




*****最高裁ホームページより*****
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319115515702127.pdf
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=50355&hanreiKbn=02



事件番号 昭和62(あ)1351



事件名 外国為替及び外国貿易管理法違反、贈賄、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律違反被告事件



裁判年月日 平成7年02月22日



法廷名 最高裁判所大法廷



裁判種別

 判決



結果

 棄却



判例集等巻・号・頁 刑集 第49巻2号1頁




原審裁判所名 東京高等裁判所



原審事件番号

原審裁判年月日 昭和62年07月29日

*****主要部分*****

第二 被告人Bの弁護人宮原守男、同森本脩、同志村利昭の上告趣意第七点にっ
いて所論は、憲法違反、判例違反をいう点を含め、その実質は単なる法令違反の主
張であり、刑訴法四〇五条の上告理由に当たらない。

 所論にかんがみ、職権により被告人Bの贈賄罪の成否について判断する。

 一 本件請託の対象とされた行為のうち、Eが内閣総理大臣として運輸大臣に対
しF株式会社(以下「F」という。)にGの大型航空旅客機L一〇一一型機の選定
購入を勧奨するよう働き掛ける行為が、Eの内閣総理大臣としての職務権限に属す
- 4 -
るとした原判決は、結論において正当として是認できる。その理由は、以下のとお
りである。

 1 賄賂罪は、公務員の職務の公正とこれに対する社会一般の信頼を保護法益と
するものであるから、賄賂と対価関係に立つ行為は、法令上公務員の一般的職務権
限に属する行為であれば足り、公務員が具体的事情の下においてその行為を適法に
行うことができたかどうかは、問うところではない。けだし、公務員が右のような
行為の対価として金品を収受することは、それ自体、職務の公正に対する社会一般
の信頼を害するからである


(賄賂罪の重要性が述べられています。)


 2 Eが内閣総理大臣として運輸大臣に対しFにL一〇一一型機の選定購入を勧
奨するよう働き掛ける行為が、Eの内閣総理大臣としての職務権限に属する行為で
あるというためには、右行為が、Eが運輸大臣を介して全日空に働き掛けるという
間接的なものであることからすると、(1)運輸大臣が全日空にL一〇一一型機の
選定購入を勧奨する行為が運輸大臣の職務権限に属し、かつ、(2)内閣総理大臣
が運輸大臣に対し右勧奨をするよう働き掛けることが内閣総理大臣の職務権限に属
することが必要である
と解される。

(働きかけた事実を証明するべき過程を明らかにしています。)

 (一)そこで、まず、運輸大臣の職務権限について検討する。

 民間航空会社が運航する航空路線に就航させるべき航空機の機種の選定は、本来
民間航空会社がその責任と判断において行うべき事柄であり、運輸大臣が民間航空
会社に対し特定機種の選定購入を勧奨することができるとする明文の根拠規定は存
在しない。しかし、一般に、行政機関は、その任務ないし所掌事務の範囲内におい
て、一定の行政目的を実現するため、特定の者に一定の作為又は不作為を求める指
導、勧告、助言等をすることができ、このような行政指導は公務員の職務権限に基
づく職務行為であるというべきである




(行政指導の形で働きかけられました。)
 

そして、運輸大臣がその長である運輸省の任務ないし所掌事務についてみると、
- 5 -
運輸省設置法(昭和四七年法律第一〇五号による改正前のもの)は、運輸省の任務
の一つとして「航空」に関する国の行政事務を一体的に遂行することを規定し(三
条一一号)、航空局の所掌事務として、「航空運送事業、利用航空運送事業及び航
空機使用事業に関する免許、許可又は認可に関すること」(二八条の二第一項一三
号)などを、運輸省の権限として、「航空運送事業、利用航空運送事業及び航空機
使用事業を免許し、又は許可し、並びにこれらの事業の業務に関し、許可し、認可
し、又は必要な命令をすること」(四条一項四四号の九)などを定めている。

 また、航空法(昭和四八年法律第一一三号による改正前のもの)は、運輸大臣に
対し、定期航空運送事業を経営しようとする者に対する免許権限(一〇〇条一項)
のほか、定期航空運送事業者の事業計画変更の認可権限(一〇九条、一〇一条)を
付与しているところ、定期航空運送事業者である民間航空会社が新機種の航空機を
選定購入して路線に就航させようとするときは、使用航空機の総数、型式、登録記
号、運航回数、整備の施設等の変更を伴うため事業計画の変更が必要となり(航空
法施行規則(昭和四八年運輸省令第五九号による改正前のもの)二二〇条、二一〇
条一項参照)、運輸大臣の認可を受けなければならないこととなる。そして、運輸
大臣は、事業計画変更申請に際し、「公衆の利用に適応するものであること、当該
路線における航空輸送力が航空輸送需要に対し、著しく供給過剰にならないこと、
事業計画が経営上及び航空保安上適切なものであること、申請者が当該事業を適確
に遂行するに足る能力を有するものであること」などの認可基準(航空法一〇九条
二項、一〇一条)に適合するかどうかを審査し、新機種の路線への就航の可否を決
定しなければならないものとされている。

 このような運輸大臣の職務権限からすれば、航空会社が新機種の航空機を就航さ
せようとする場合、運輸大臣に右認可権限を付与した航空法の趣旨にかんがみ、特
定機種を就航させることが前記認可基準に照らし適当であると認められるなど、
- 6 -
要な行政目的があるときには、運輸大臣は、行政指導として、民間航空会社に対し
特定機種の選定購入を勧奨することも許されるものと解される。したがって、特定
機種の選定購入の勧奨は、一般的には、運輸大臣の航空運輸行政に関する行政指導
として、その職務権限に属するものというべきである。そうすると、本件において、
運輸大臣がFに対しL一〇一一型機の選定購入を勧奨する行政指導をするについて
必要な行政目的があったかどうか、それを適法に行うことができたかどうかにかか
わりなく、右のような勧奨は、運輸大臣の職務権限に属するものということができ
る。



 (二)次に、内閣総理大臣の職務権限について検討する。

 内閣総理大臣は、憲法上、行政権を行使する内閣の首長として(六六条)、国務
大臣の任免権(六八条)、内閣を代表して行政各部を指揮監督する職務権限(七二
条)を有するなど、内閣を統率し、行政各部を統轄調整する地位にあるものである。
そして、内閣法は、閣議は内閣総理大臣が主宰するものと定め(四条)、内閣総理
大臣は、閣議にかけて決定した方針に基づいて行政各部を指揮監督し(六条)、行
政各部の処分又は命令を中止させることができるものとしている(八条)。このよ
うに、内閣総理大臣が行政各部に対し指揮監督権を行使するためには、閣議にかけ
て決定した方針が存在することを要するが、閣議にかけて決定した方針が存在しな
い場合においても、内閣総理大臣の右のような地位及び権限に照らすと、流動的で
多様な行政需要に遅滞なく対応するため、内閣総理大臣は、少なくとも、内閣の明
示の意思に反しない限り、行政各部に対し、随時、その所掌事務にっいて一定の方
向で処理するよう指導、助言等の指示を与える権限を有するものと解するのが相当
である。したがって、内閣総理大臣の運輸大臣に対する前記働き掛けは、一般的に
は、内閣総理大臣の指示として、その職務権限に属することは否定できない。

 (三) 以上検討したところによれば、運輸大臣がFに対しL一〇一一型機の選
- 7 -
定購入を勧奨する行為は、運輸大臣の職務権限に属する行為であり、内閣総理大臣
が運輸大臣に対し右勧奨行為をするよう働き掛ける行為は、内閣総理大臣の運輸大
臣に対する指示という職務権限に属する行為ということができるから、Eが内閣総
理大臣として運輸大臣に前記働き掛けをすることが、賄賂罪における職務行為に当
たるとした原判決は、結論において正当として是認することができる
というべきで
ある。


 二 以上のとおり、被告人Bにつき贈賄罪の成立を肯定した原判決の結論を是認
できるから、本件請託の対象とされた行為のうち、Eが直接自らFにL一〇一一型
機の選定購入を働き掛ける行為が、Eの内閣総理大臣としての職務権限に属するか
どうかの点についての判断は示さないこととする。



(可能性として、内閣総理大臣が直接働きかけるルートがあったかもしれないが、一方の運輸大臣を介しての働きかけのルートが証明されたため、そのもう一方のルートは判断を示さないこととされました。
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朝日社説:教育現場の自発的な発案、責任ある行動で進めていく。その過程があってこそ、学校は変わる

2013-01-24 10:36:08 | 教育

橋下徹‏@t_ishin
24日朝日新聞社説。「入試の折衷案が分かりにくい」結局この批判か。朝日は他社のようなバカな意見を出さなかったからどんな意見が出るか期待していたが、結局これ。批判をする原則は従前との相対比較。今回の案が完璧な案だとは思わない。しかし、入試中止をやらなかったらどうなるのかと比較すべき


橋下市長が上記批判を述べていた、朝日新聞社説。


*****朝日新聞(2103/01/24)*****
桜宮入試中止―わかりにくい折衷案だ


 体罰が明らかになった大阪市立桜宮高校の入試について、市教委は橋下徹市長の求めに応じ、体育科とスポーツ健康科学科の入試をとりやめる。

 ただし普通科として入試をする。体育系2科と同じ試験科目で受験できる。市教委が市長の顔を立て、同時に入試方式を変えないで受験生に配慮した折衷案での決着だ。

 桜宮高校はスポーツを中心にした教育で全国に知られる。体育系2科を志願してきた中学3年生にとっては、入試中止の事態は避けられた。

 とはいえ、わかりづらい点も少なくない。市教委はスポーツに特色のあるカリキュラムにする方針だ。「勝利至上主義ではなく他者を慈しむ心を育てる」というが、具体的に何を教えるのか。体育系2科と比べて履修教科に変更はないのか。出願まで1カ月を切っており、早急に示す必要がある。

 来年度、市教委は改革の進み具合をみて学科のあり方を再検討するともいう。体育系2科が復活するのか、普通科で入学した生徒は編入できるのか。不安を抱えたままの受験となる。

 体罰容認の実態が改まっていない現状では新入生を迎えられない。今回の中止は、橋下氏がそう発言したのがきっかけだ。

 高校受験は人生の大事な節目である。本来、受験生にしわ寄せがいくのは好ましくない。

 学校教育は生身の人間が主役であり、改革も現場主導が、あるべき姿だ。だが今回、橋下氏が前面に乗り出した。

 もとのまま入試が実施された場合の予算執行停止にまで言及して、市教委を追い詰めたことには強い違和感が残る。

 入試の中止に加え、教員の全員入れ替えなどのかけ声が先行し、学校やクラブ活動をどう良くするかという本質論が先延ばしになったのは残念だ。

 入試の中止が決まった日、桜宮高校3年の運動部元キャプテン8人が市役所で記者会見し、「勝利至上主義ではなかった」「市長には生徒の声をもっと聞いてほしい」と訴えた。

 市長が直接、方針を示す「荒療治」を是とする意見もある。社会には、教育現場への不信感があるのも事実である。

 だが、橋下氏は生徒の声にもっと耳を傾けるべきだったし、一方的な発言で対立を深めるのでは、根本的な問題解決の糸口はつかみにくい。

 体罰をめぐる意識改革などを、教育現場の自発的な発案、責任ある行動で進めていく。その過程があってこそ、学校は変わっていける。
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