「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

感染を制御しつつ、子ども達の学び・育ちの環境づくりをして行きましょう!病児保育も鋭意実施中。子ども達に健康への気づきを。

小坂こども元気クリニック・病児保育室10月のお知らせ(このページが10月中トップです。)

2014-10-31 08:14:22 | 日程、行事のお知らせ

 実りの秋、真っ盛りです!
 
 子ども達、ひとりひとりに、それぞれの成果が発揮される秋にどうかなりますように。

 早寝・早起き・朝ごはんをきちんとして、頑張ってください。
 芸術の秋、読書の秋、本もいっぱい読んでください。
 
 
 さて、小坂クリニックの10月のお知らせを致します。

 寒くなり風邪本番の季節に突入したことから、以下【1】と【6】に示す最重要の二つのお知らせが入っています。

 〇【1】インフルエンザ予防接種を開始します。
     当院のワクチン製剤は、チメロサール(水銀)を含まない最も安全なインフルエンザワクチンを選択入荷し使用しています。

 〇【6】小坂クリニックは、平成26年12月31日まで、休みません。少なくとも、電話対応できる体制をとります。


 
【小坂こども元気クリニック・病児保育室】
 
診  療:月~土 午前8:30受付開始 受付終了18:30(土曜は午前診療のみ)
     日曜日・祝日 急病対応あり(午前中)

予防接種、健診(1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、1歳、1歳半、3歳、5歳、入園児健診など)
     :毎日、適宜、対応可能です。診療時間の場合は、健康隔離室でお待ちいただき、病気のお子様から風邪をもらわないように対応致します。
      予防接種・健診特別枠として、11:30~、15:00~も設けています。

      区で行われる公費の3ヶ月健診、3歳児健診の日程が取れない方々にも、健診の対応致します。


病児保育:月~土/ 時間8:30-17:30 

      17:30~18:00の延長病児お預かり、土曜日病児保育のご希望は、ご相談下さい。


東京都中央区月島3-30-3 ベルウッドビル2~4F
電話 03-5547-1191
fax 03-5547-1166


<当院が紹介されているサイト>
中央区ドクターズさん:
http://www.chuo-doctors.com/hospitalDetail/596     
http://www.chuo-doctors.com/movieDetail/596     

ドクターズファイルさん:
http://doctorsfile.jp/h/28824/df/1/     

**********************************
<小坂クリニック平成26年10月のお知らせ> 


<小児予防医療関連>

最重要、New!【1】インフルエンザ予防接種、10月1日から接種を開始致します。

 インフルエンザは冬に猛威を振るいます。
 毎年、インフルエンザ脳症で幼い命が奪われています。
 小児科医としては、どうしても不幸な事態は防ぎたいと思っています。

 第一にできることは、予防接種です。
 (第二、第三は、十分な休養と人ごみを避けること。外出時のマスクと帰宅後の手洗いうがい。)
 

 ご家族でまずは、予防接種をして防いでください。


 受験等大切な行事のあるかたも、接種をお忘れなく。


 親御さんの接種も実施致します。

 接種費用:
 おとな       3000円
 こども  1回目 2500円
       2回目 2000円

 *消費税は、表示価格に乗じる形をとりません。すなわち、消費税込みの価格です。
 *13歳未満のこどもは、2回必要であり、1回目お済のかたは、2000円と致します。
 *当院のワクチン製剤は、チメロサール(水銀)を含まない最も安全なインフルエンザワクチンを選択入荷し使用しています。


 ご予約:03-5547-1191
(日曜日も接種致します。平日の予防接種枠が混みあいますので、可能な方は、日曜日の接種枠のご利用をお勧めいたします。)



New!【2】注射じゃないインフルエンザワクチン(経鼻投与)Flumist、接種対象者2歳~、予約受付中。

米国など海外では、一般的になってきている鼻にスプレーする(霧状に噴霧する)タイプのワクチンを当院でも接種可能と致します。

何年かかるかわかりませんが、接種の負担の面や予防効果の面が優れていることから、日本でもこちらが一般的になると考えています。



ご希望の方は、クリニックアドレス genkids1@yahoo.co.jp    まで、ご連絡下さい。

本数に限りがありますので、申込み多数の場合、先着順と致します。対応できない場合であっても、その旨、必ずお知らせいたします。

(申込み希望者のお名前、接種者のお名前と当院カルテ番号、ご連絡先電話番号を必ずご記入の上、メール下さい。)


〇Flumistとは

鼻の中にスプレーするインフルエンザ生ワクチンです。

注射ではありません。すなわち、注射の痛みがゼロです。

米国では10年前から使用され安全性、効果も確立されてます。
日本ではまだ承認されていません。

今シーズンのFlumistは4つのインフルエンザウィルス株(A型2種、B型2種)に有効です。

特に小児において、注射のインフルエンザワクチンより有効です。

商品名:Flumist

製造元:MedImmune Inc.
会社ページ:https://www.flumistquadrivalent.com/consumer/index.html 

製造国:米国




〇接種について

注射ではなく、鼻の中にスプレーします。

接種対象者 2歳~49歳の健康な小児と成人

接種費用 1回 7000円(税込)

接種回数  ほとんどの方は1回です。
 8歳以下で毎年インフルエンザワクチンをしていない方は2回(一か月間隔を開ける)。それ以外の方は、1回。



〇接種できない人(厳しめに設定しています。)

年齢制限:2歳未満あるいは50歳以上の方

喘息:喘息,あるいは5歳未満で繰り返し喘鳴を認める方

妊婦:妊婦あるいは授乳中の母

慢性疾患:
心疾患、肺疾患・喘息、肝疾患、糖尿病、貧血、神経系疾患、免疫不全などの慢性疾患をお持ちの方
18未満で長期アスピリン内服中の方

職業上、生活上、免疫不全のかたに接するひと:
造血幹細胞移植など、重度の免疫不全の方と接触する方(医療従事者、家族)


既往やアレルギー:
重度の卵白、ゲンタマイシン、ゼラチン、アルギニンに対するアレルギーの方
インフルエンザワクチン接種後にギランバレー症候群になった方



〇主な副反応は

発熱、鼻汁、鼻閉、咽頭痛、倦怠感など感冒様症状が見られることがあります。
 


〇注意点

個人輸入ワクチンのため、Flumistで重篤な障害を被った場合の国の補償(医薬品副作用被害者救済制度)を利用できない場合があります。

鼻水、鼻づまりがひどい状態の場合、その日の投与を見合わせる場合があります(接種効率が低下するため)。

以上



【3】予防接種のご相談、お気軽に。

 安全安心の予防接種を行うことが、私達小児科専門医の責務と考えています。
 それも、痛くない注射、泣かない注射を、実施できますように。

 お気軽にご相談ください。

 場合によっては、注射の針を刺すときの痛みをなくすシール(貼付用局所麻酔剤)(無料)を、事前にお渡しすることも可能です。
 注射の30-60分前に接種部位に貼ることで、その部位の痛みをなくします。

 〇水ぼうそう、2回目接種も含め、お済ですか? 当院は、自己負担分は、中央区助成券をお持ちのかたは、無料対応させていただきます。

 〇おとなの三日ばしか(風しん)
   お父さん、お母さん、風しんの予防接種(助成により自己負担無料)は大丈夫ですか?
   風しんに罹る成人が依然多いことに対応するため、中央区では、妊娠を希望される女性やその同居家族(お父さんだけでなく、祖父母も含め)にも予防接種の費用を助成することとなりました。
   当院でも、妊婦やその同居家族(お父さんだけでなく、祖父母も含め)の皆様に接種可能です。

 〇赤ちゃんのはしか(麻しん)
   はしか(麻しん)の予防接種(麻しん風しん混合MRワクチン)、お済ですか?
   一部地域で、はしかの流行が見られます。
   一歳になったら、お誕生日に接種をするなどのように、早めの接種をお願いします。
   保育園で0歳児入園のかたには、麻しんの早期接種のご相談もお受けします。

 〇高齢者肺炎球菌ワクチン、高齢者インフルエンザワクチン、当院でも実施いたします。
   


New!【4】小坂クリニックの来年2015年の健康標語、募集開始!

 小坂クリニックの健康標語を、大募集致します。
 (今年2014年の小坂クリニックの健康標語:「にこにこ笑顔が、1ばんのくすり」)

 素敵な標語、お考え下さい!

 入選された方に、図書券5000円プレゼント!

 最優秀作品は、2015年カレンダーに掲載させて頂きます。

 お一人様何度でも、お子様、保護者様、どちらでもお申込み頂けますのでどしどしご応募ください。

 募集期間)10月1日~31日まで

 応募方法)

 小坂クリニック2階の申込み用紙に記入のうえ、応募箱へ



 

【5】デング熱の基礎知識について

 デング熱の基礎知識
 ⇒ http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/837f10772f66343762278ceedcd53a94

 ポイント:  〇急に発熱を起こす感染症(予後は比較的良好)で、蚊(ネッタイシマ蚊、ヒトスジシマ蚊)が媒介したウイルスが原因です。
         感染から発症まで、だいたい、3-7日。

        〇ひとからひとにうつりません。

        〇治療薬やワクチンはなく、対症療法になります。

        〇予防は、流行地域で、蚊(ネッタイシマ蚊、ヒトスジシマ蚊)にさされないようにすること。 

        〇ご心配な方は、ご受診下さい。       




<小児医療関連>
最重要、New!【6】小坂クリニックは、平成26年12月31日まで、休みません。10月の日曜、祝日は、すべて急病対応致します。

 急病対応可能な休日:
10月 10/5(日)、10/12(日)=11:15~、10/13(祝、月)、10/19(日)=電話対応、10//26(日)、

11月 11/2(日)、11/3(祝)、11/9(日)、11/16(日)、11/23(日)=電話対応、11/24(祝)、11/30(日)

12月 12/7(日)、12/14(日)、12/21(日)、12/23(祝、火)=電話対応、12/28(日)

年末年始 12/31まで診療、1/4日から診療開始


 
New【7】10月の土曜日の開始時間が変則的となります。

  〇10/18(土)、10/25(土)開始を、30分遅らせ、9時半からとさせていただきます。
  
  〇10/4(土)、10/11(土)は、通常通り9時から。


【8】赤ちゃんの鼻カゼには、まず、吸引!

 風邪治療のスタンダードとして、ポータブル鼻吸引器(医療用)の無料貸し出しを行っています。

 寒くなってくると、鼻の風邪が増加します。中耳炎予防にも、早めに吸引対応してあげて下さい。

 なかなか、お鼻がかめない乳幼児のお風邪で、吸引により、だいぶ楽になられていて、ご好評いただいております。


【9】当院でも、禁煙外来治療が可能です。

 親御さんが、禁煙できず、または、禁煙途上でお悩みの場合、お気軽にご相談ください。


New!【10】ご受診の際は、“おうちのカルテ”『小児科受診ノート』をご持参下さい。クリニックで無料配布致しております。

 当院では、診療時に、ご説明内容の伝達記録のためと、科学的治療を視覚化する等の目的のために、『小児科受診ノート』の記載作成を致しております。
 このノートは、お子さんのおうちでのカルテになると考えています。
 “おうちのカルテ”を見返すことで、どのような割合で、お風邪にかかっているか振り返ることができ、お子様の体が丈夫になっていっていることを実感できます。
 
 ぜひ、ご利用ください。


<病児保育関連>
【11】当院の病児保育について

 〇お子さんの急な発熱、ご病気で保育園・幼稚園・小学校に登園・登校できない場合、当院の病児保育でお預かりいたします。

 〇病児保育時間の延長について:
 原則平日17時30分までのお預かりの病児保育ですが、子どもや子育てには、例外がつきものです。万が一、17時30分を過ぎることがわかっている場合、ご相談ください。

 18時30分までの延長も可能です。

 〇土曜日の病児保育について:
 土曜日の病児保育もまた、ご相談ください。

 〇病児お迎えサービスについて:
 保育園での急な発病の場合、親御さんに代わって当院スタッフが、保育園に出向き、そのまま当院で病児保育へ移行することも可能です。

  
<学校生活>
【12】食物アレルギー アナフィラキシーに備えたエピペンを学校に常備できていますか?ご旅行中も、大丈夫?

 食物アレルギーのお子様が、給食を食べて、万が一アナフィラキシー・ショックを起こした緊急事態に、治療薬としてエピペン接種が必要です。

 学校に常備し、担任・養護・副校長・校長先生の指導の下、対処できる体制になっていますでしょうか?


【13】ネット上の誹謗中傷被害から、お子さんを守って下さい。

 ネット上の掲示板で、お子様方の誹謗中傷が書かれた場合、その掲示板を運営するプロバイダーに削除を申し出ることが可能です。
 指摘を受けたプロバイダーは、削除することが法律で定められています。
http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/46c187ebbac775189f5beb5e76a27ba3  

 実際の適用例⇒ http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/5d2ead2996bb28ffae57072fe29f66b5 

 まだまだ、インターネットは、新しい技術であり、その功罪をこれからも考えて行きたいと思います。


<子育て支援関連>
【14】クリニック隣り、みんなの子育てひろば“あすなろの木”のお知らせ

テコンドー教室を毎週日曜日に開催しております。

2部制で親子の部では、日頃、子育てで忙しいお母さんでも

仕事でお子さんと接する機会の少ないお父さんでも

お子さんと一緒にテコンドーを習いながら、

お互いのコミュニケーションを取ることができます。

また、小学生の部では、低学年から高学年のお子さんが

一緒に頑張って汗を流しております。

もちろん、年に2度の階級別の進級試験があります。

御興味のある方は、ご連絡ください。



講師:石田峰男(岡澤道場総括)

毎週日曜日 / 親子クラス AM9:30-10:30 / 小学生クラス AM10:30-11:30

連絡先 / あすなろの木事務局 03-5547-1191



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



木の部屋、空間でイベント開催しませんか?



あすなろの木では、大人1人300円、

こども無料で何時間でも遊べます。

もちろん1組から御利用できますが、

お友達のイベント(お誕生会・歓送迎会・お食事会)など

グループでの御利用も頂けます。



お母さんは、仲間同士、デリバリーでピザを頼んで、ビールやワインで乾杯!

お子さんは、お菓子を食べながらジュースで乾杯!

ティ―パーティとしても御利用頂けます。(土曜日・日曜日でも利用可能)

御利用お待ちしてしております。



利用:完全予約制

利用料:おとな300円 こども無料

連絡先:03-5547-1191 あすなろ事務局

※ お陰様で御利用頂く方が沢山おられます。

御利用希望の方はお早めに予約されることをお勧めいたします。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



『あすなろ倶楽部』無料体験会開催中!!



あすなろ倶楽部では、少人数制で、お子さんの発達に合った

いろいろな遊び、絵本紹介、しつけ方法などお話します。

また、参加されているお母さん同士の交流の

きっかけなどで御利用を頂いております。

只今、無料体験実施中!

お子さんと一緒に、勉強、遊びながら素敵なお友達をつくりましょう♡



講師:NPO法人あそび子育て研究協会 理事長 増田おさみ

毎週木曜日(月3回)費用:月5,000円

時間:�0~3才クラス 2:00 -3:00 �3歳以上クラス 3:00 – 4:00

場所:みんなの子育てひろば『あすなろの木』(こども元気クリニック隣り)

連絡先:080-6905-6498(増田)



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

以上です。


 どうか充実した秋になりますように。

 残り4分の1となった平成26年、ぜひ、平成26年もまた集大成させて下さい。

 お大事に。


 夏は、病児保育室は、満杯状態が続きました。冬はさらに需要が高まります。
 スタッフを増員し、冬場に備えています。
 新たなスタッフ2名が加わりました。どうか、よろしくお願いいたします。

医療法人小坂成育会
こども元気クリニック・病児保育室
小坂和輝

*こども元気クリニック・病児保育室は、「いつでも(24時間・365日)・どこでも(学校・地域の子ども達と関わられる皆様・NPOと連携して)・あらゆる手段を用いて(医学・心理分野にとどまることなく、法律・行政分野などの多角的視点を持って)」子どもの健やかな成長を守る小児科でありたいと思っています。

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危機管理の結果を左右する三つの要素(危機管理の有効性・初動の適切さ・スピード)、生き残れ!

2014-10-30 22:00:00 | 倫理(医療倫理、弁護士倫理、企業倫理…)
 
 危機管理の結果を左右する三つの要素

1)実施する危機管理の有効性


2)緊急対応行動(初動)の適切さ


3)決断とスピード



 すなわち、

1)実施する危機管理の有効性

 「危機はよく管理されなければならない」

 対象の危機への対策が事前に計画されており、それによって、

 「現実化した危機(クライシス)の最中に、役員と従業員の行動を調整できるよう、

 事前に計画されていなければならない」ということになる。


2)緊急対応行動(初動)の適切さ

 危機管理が、「現場のマネジメント」「状況のマネジメント」であるといっても、

 あらかじめの予測や計画がなければ、迅速な初動は期待できない。

 これは優れたアスリートの最初の一歩の踏み出しの速さと同じ事情である。



3)決断とスピード

 危機管理においては、より短期間、場合によっては、瞬時の対応が求められる。

 計画よりは、現場での初動対応と、そのための情報収集、判断、指揮・命令の実行力が強く求められる。
 「現場のマネジメント」「状況のマネジメント」が危機管理の本質



*最後に、危機管理の究極の目的は、「生き残ること」
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1万円以下の政務活動費(政務調査費)「開示を」…最高裁が初判断H26.10.29→当然の判断だと同感です。

2014-10-30 09:47:33 | 地方自治法

 最高裁による、当然というべき判断が下されました。

 
 政務調査費の領収書に対し、それが、公金の使い道を示したものなのであるから、民訴法220条4号ニ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たると主張して、公開を拒むことは決してできないと考えます。

 最高裁の考え方に同感です。
 決定の要旨:県議会の議員が県から交付された政務調査費の支出に係る1万円以下の支出に係る領収書その他の証拠書類等及び会計帳簿が民訴法220条4号ニ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たらないとされた事例

 以下、最高裁は、論理的な考え方の下、非公開を是とした高裁の決定(原決定)を破棄し、非公開を否定した地裁の決定(原々決定)を支持しています。

 最高裁の論理:
 1万円以下の支出は、1万円以上の支出(条例で開示義務付け)より重要性は低い。
     ↓
 1万円以下の支出の開示は、1万円以上の支出の開示より、調査研究活動の自由を妨げるおそれは小さい。
     ↓
 条例において、1万円以下の支出の開示を公にすることを要しないものとして調査研究活動の自由の保護を優先させたものではなく、1万円以下の支出に限って議長等が直接確認することを排除する趣旨に出たものではない。
 領収書の写し等の作成や管理等に係る議員や議長等の事務の負担に配慮する趣旨に出たものと解するのが相当。


**********民事訴訟法**********

(文書提出義務)

第二百二十条  次に掲げる場合には、文書の所持者は、その提出を拒むことができない。
一  当事者が訴訟において引用した文書を自ら所持するとき。

二  挙証者が文書の所持者に対しその引渡し又は閲覧を求めることができるとき。

三  文書が挙証者の利益のために作成され、又は挙証者と文書の所持者との間の法律関係について作成されたとき。

四  前三号に掲げる場合のほか、文書が次に掲げるもののいずれにも該当しないとき。
イ 文書の所持者又は文書の所持者と第百九十六条各号に掲げる関係を有する者についての同条に規定する事項が記載されている文書

ロ 公務員の職務上の秘密に関する文書でその提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの

ハ 第百九十七条第一項第二号に規定する事実又は同項第三号に規定する事項で、黙秘の義務が免除されていないものが記載されている文書

ニ 専ら文書の所持者の利用に供するための文書(国又は地方公共団体が所持する文書にあっては、公務員が組織的に用いるものを除く。)

ホ 刑事事件に係る訴訟に関する書類若しくは少年の保護事件の記録又はこれらの事件において押収されている文書



*********************読売新聞*******************************
http://www.yomiuri.co.jp/national/20141029-OYT1T50123.html
1万円以下の政活費「開示を」…最高裁が初判断

2014年10月29日 22時56分


 地方議員の調査活動などに支給される政務活動費(前身は政務調査費)の支出を巡り、岡山県議が1万円以下の支出について領収書の開示を拒んだことの当否が争われた裁判で、最高裁第2小法廷(鬼丸かおる裁判長)は29日、「開示すべきだ」とする初判断を示した。

 政活費のずさんな使い方が全国で問題化する中、地方議会の公金支出の透明性確保を、最高裁が強く促した形だ。

 同小法廷はその上で、領収書の開示を命じた岡山地裁決定を支持し、原告側の開示請求を退けた広島高裁岡山支部決定を破棄する決定をした。開示が確定した。

 問題になったのは、2010年度に岡山県議に支出された政活費(当時は政調費)。原告の「市民オンブズマンおかやま」は、不適切な支出があるとして県議55人に計約1億2800万円の返還を求める訴訟を同地裁に起こし、証拠として使うため、一部の議員に領収書の開示を請求した。

 しかし、同県では1万円以下の支出の領収書について、政活費の収支報告書への添付を不要と規定。議員側は「領収書に記載された第三者の氏名などが開示されれば調査研究活動が阻害される」などとして開示を拒んでいた。


****************最高裁ホームページ*************************************
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/588/084588_hanrei.pdf

判決文全文

- 1 -
平成26年(行フ)第3号 文書提出命令に対する抗告審の取消決定に対する許
可抗告事件

平成26年10月29日 第二小法廷決定

主 文
原決定を破棄し,原々決定に対する抗告を棄却する。
抗告手続の総費用は相手方らの負担とする。

理 由

抗告代理人光成卓明の抗告理由について

1 記録によれば,本件の経緯等は,次のとおりである。
(1) 岡山県(以下「県」という。)に主たる事務所を有する特定非営利活動法
人である抗告人は,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,県知事に対し,
県議会の議員である相手方らが平成22年度に受領した政務調査費のうち使途基準
に違反して支出した金額に相当する額について,相手方らに不当利得の返還請求を
することを求める訴えを本案事件(岡山地方裁判所平成24年(行ウ)第14号)
として提起している。

本件は,抗告人が,相手方らの所持する平成22年度分の政務調査費の支出に係
る1万円以下の支出に係る領収書その他の証拠書類等及び会計帳簿である原々決定
別紙文書目録記載の文書(以下「本件各文書」という。)について,文書提出命令
の申立てをした事案であり,相手方らは,本件各文書は民訴法220条4号ニ所定
の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たると主張している。

(2) 県では,地方自治法(平成24年法律第72号による改正前のもの。以下
同じ。)100条14項及び15項の規定を受けて,岡山県議会の政務調査費の交
- 2 -
付に関する条例(平成13年岡山県条例第43号。以下,後記の各改正の前後を通
じて「本件条例」という。)及び本件条例の委任に基づく岡山県議会の政務調査費
の交付に関する規程(平成13年岡山県議会告示第1号。以下,後記の各改正の前
後を通じて「本件規程」という。)が定められ,県議会の議員に対して政務調査費
を交付することとされている。

平成21年岡山県条例第34号による改正(以下「平成21年条例改正」とい
う。)前の本件条例は,政務調査費の交付を受けた議員は,政務調査費に係る収入
及び支出の報告書(以下「収支報告書」という。)を各年度ごとに所定の様式によ
り議長に提出しなければならない旨(8条1項),議長は,政務調査費の適正な運
用を期すため,収支報告書が提出されたときは必要に応じ調査を行うものとする旨
(9条),議長は提出された収支報告書をその提出すべき期間の末日の翌日から起
算して5年を経過する日まで保存しなければならず,何人も議長に対し収支報告書
の閲覧を請求することができる旨(11条1項,2項)を規定し,平成21年岡山
県議会告示第1号による改正(以下「平成21年規程改正」という。)前の本件規
程は,議長は提出された収支報告書を知事に送付するものとする旨(5条)を規定
していた。しかるところ,平成21年4月1日以後に交付される政務調査費につい
て適用される平成21年条例改正後の本件条例(ただし,平成24年岡山県条例8
6号による改正前のもの。以下同じ。)においては,収支報告書には,当該収支報
告書に記載された政務調査費の支出(1件当たりの金額が1万円を超えるものに限
る。)に係る領収書の写しその他の議長が定める書類(以下「領収書の写し等」と
もいい,収支報告書と併せて「収支報告書等」という。)を添付しなければならな
い旨定められ(8条3項),上記の書類は,収支報告書とともに議長による保管及
- 3 -
び議長に対する閲覧の請求の対象とされることとされ(11条1項,2項),平成
21年規程改正後の本件規程(ただし,平成24年岡山県議会告示第2号による改
正前のもの。以下同じ。)においては,本件条例8条3項の議長が定める書類は,
領収書の写しその他の支出を証すべき書面であって当該支出の相手方から徴したも
のの写し(社会慣習その他の事情によりこれを徴し難いときは,金融機関が作成し
た当該支出に係る振込みの明細書の写し又は支払証明書)とする旨定められ(5条
1項),議長は上記の書類(領収書の写し等)を含む収支報告書等の写しを知事に
送付するものとされた(6条)。なお,平成21年規程改正の前後を通じて,本件
規程は,議員は,政務調査費の支出について会計帳簿を調製するとともに証拠書類
等を整理保管し,これらの書類を当該政務調査費に係る収支報告書等を提出すべき
期間の末日の翌日から起算して5年を経過する日まで保存しなければならない旨を
規定している(上記改正前の6条,同改正後の7条)。また,本件条例に基づき定
められた収支報告書の様式を見ると,使途基準に従って支出した項目ごとにその支
出額の合計と主たる支出の内訳につき概括的な記載が予定されており,個々の支出
の金額や支出先,当該支出に係る調査研究活動の目的や内容等を具体的に記載すべ
きものとはされておらず,議長が収支報告書等について具体的に採ることのできる
調査の方法も,本件条例及び本件規程において定められていない。


2 原審は,要旨次のとおり判示し,本件各文書は民訴法220条4号ニ所定の
「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たると判断して,これに当た
らないとして相手方らに対し本件各文書の提出を命じた原々決定を取り消し,本件
申立てを却下すべきものとした。

(1) 本件規程により議員に調製及び整理保管が義務付けられている領収書その
- 4 -
他の証拠書類等及び会計帳簿のうち,1万円を超える支出に係る領収書その他の証
拠書類等については,平成21年条例改正後の本件条例により,その写しを収支報
告書に添付して議長に提出しなければならないとされているものの,これを除く領
収書その他の証拠書類等及び会計帳簿については,議長等による事情聴取に対し確
実な証拠に基づいてその説明責任を果たすことができるようにその基礎資料を整え
ておくことを求めたものであり,議長等の第三者による調査等の際にこれらを提出
させることまで予定したものではないと解するのが相当である。そうすると,1万
円以下の支出に係る領収書その他の証拠書類等及び会計帳簿である本件各文書は,
専ら所持者の利用に供する目的で作成され,外部の者に開示することが予定されて
いない文書であると認められる。

(2) 本件各文書が外部に開示された場合に,県議会の議員である相手方らの調
査研究活動が執行機関や他の会派等からの干渉によって阻害され,又は第三者のプ
ライバシーが侵害されるおそれがあると認められる。


3 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次
のとおりである。
(1) ある文書が,その作成目的,記載内容,これを現在の所持者が所持するに
至るまでの経緯,その他の事情から判断して,専ら内部の者の利用に供する目的で
作成され,外部の者に開示することが予定されていない文書であって,開示される
と個人のプライバシーが侵害されたり個人ないし団体の自由な意思形成が阻害され
たりするなど,開示によって所持者の側に看過し難い不利益が生ずるおそれがある
と認められる場合には,特段の事情がない限り,当該文書は民訴法220条4号ニ
所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たると解するのが相当
- 5 -
である(最高裁平成11年(許)第2号同年11月12日第二小法廷決定・民集5
3巻8号1787頁,最高裁平成17年(行フ)第2号同年11月10日第一小法
廷決定・民集59巻9号2503頁,最高裁平成21年(行フ)第3号同22年4
月12日第二小法廷決定・裁判集民事234号1頁等参照)。

(2) これを本件各文書についてみると,次のとおりである。

ア 地方自治法100条14項は,「普通地方公共団体は,条例の定めるところ
により,その議会の議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として,その議
会における会派又は議員に対し,政務調査費を交付することができる。」と規定
し,同条15項は,「政務調査費の交付を受けた会派又は議員は,条例の定めると
ころにより,当該政務調査費に係る収入及び支出の報告書を議長に提出するものと
する。」と規定している。
これらの規定による政務調査費の制度は,議会の審議能力を強化し,議員の調査
研究活動の基盤の充実を図るため,議会における会派又は議員に対する調査研究の
費用等の助成を制度化し,併せて政務調査費の使途の透明性を確保しようとしたも
のである。もっとも,これらの規定は,政務調査費の使途の透明性を確保するため
の手段として,条例の定めるところにより政務調査費に係る収入及び支出の報告書
を議長に提出することのみを定めており,地方自治法は,その具体的な報告の程
度,内容等については,各地方公共団体がその実情に応じて制定する条例の定めに
委ねることとしている。

イ 本件条例においては,平成21年条例改正により,政務調査費の交付を受け
た議員は収支報告書に1万円を超える支出に係る領収書の写し等を添付して議長に
提出しなければならず,何人も議長に対して当該領収書の写し等の閲覧を請求する
- 6 -
ことができることとされたものである。
議員による個々の政務調査費の支出について,その具体的な金額や支出先等を逐
一公にしなければならないとなると,当該支出に係る調査研究活動の目的,内容等
を推知され,当該議員の活動に対して執行機関や他の議員等からの干渉を受けるお
それが生ずるなど,調査研究活動の自由が妨げられ,議員の調査研究活動の基盤の
充実という制度の趣旨,目的を損なうことにもなりかねず,そのような観点から収
支報告書の様式も概括的な記載が予定されているものと解されるが,上記のような
改正後の本件条例の定めに鑑みると,平成21年条例改正は,従前の取扱いを改
め,政務調査費によって費用を支弁して行う調査研究活動の自由をある程度犠牲に
しても,政務調査費の使途の透明性の確保を優先させるという政策判断がされた結
果と見るべきものである。
そして,平成21年条例改正後の本件条例の定めは,1万円を超える支出に係る
領収書の写し等につき議長への提出を義務付けており,1万円以下の支出に係る領
収書の写し等についてまでこれを義務付けてはいないが,議員が行う調査研究活動
にとっては,一般に,1万円以下の比較的少額の支出に係る物品や役務等の方が1
万円を超えるより高額の支出に係る物品や役務等よりもその重要性は低いといえる
から,前者の支出に係る金額や支出先等を公にされる方が,後者の支出に係る金額
や支出先等を公にされるよりも上記の調査研究活動の自由を妨げるおそれは小さい
ものといえる。そうすると,平成21年条例改正後の本件条例における領収書の写
し等の提出に係る上記の定めは,1万円以下の支出に係る領収書その他の証拠書類
等につきおよそ公にすることを要しないものとして調査研究活動の自由の保護を優
先させたものではなく,これらの書類に限って議長等が直接確認することを排除す
- 7 -
る趣旨に出たものでもないと解されるのであって,領収書の写し等の作成や管理等
に係る議員や議長等の事務の負担に配慮する趣旨に出たものと解するのが相当であ
る。
また,本件条例の委任を受けた本件規程においては,政務調査費の支出につき,
その金額の多寡にかかわらず,議員に対して領収書その他の証拠書類等の整理保管
及び保存が義務付けられているところ,以上のような平成21年条例改正の趣旨に
鑑みると,同改正後の本件条例の下では,上記領収書その他の証拠書類等は,議長
において本件条例に基づく調査を行う際に必要に応じて支出の金額の多寡にかかわ
らず直接確認することが予定されているものと解すべきである。
そして,本件規程においては,議員に対して会計帳簿の調製及び保存も義務付け
られているところ,会計帳簿は,領収書その他の証拠書類等を原始的な資料とし,
これらの資料から明らかとなる情報が一覧し得る状態で整理されたものであるとい
えるから,上記領収書その他の証拠書類等と同様に,平成21年条例改正後の本件
条例の下では,議長において本件条例に基づく調査を行う際に必要に応じて直接確
認することが予定されているものと解すべきである。
そうすると,上記の領収書その他の証拠書類等及び会計帳簿である本件各文書
は,外部の者に開示することが予定されていない文書であるとは認められないとい
うべきである。

(3) 以上によれば,本件各文書は,民訴法220条4号ニ所定の「専ら文書の
所持者の利用に供するための文書」に当たらないというべきである。

4 これと異なる原審の前記判断には,裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令
の違反がある。論旨は理由があり,原決定は破棄を免れない。そして,以上説示し
- 8 -
たところによれば,相手方らに対し本件各文書の提出を命じた原々決定は正当であ
るから,原々決定に対する抗告を棄却することとする。

よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 鬼丸かおる 裁判官 千葉勝美 裁判官 小貫芳信 裁判官
山本庸幸)

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医療関連の独禁法問題:安心安全な医療用材料、医薬品が流通されますように。

2014-10-29 23:00:00 | 経済法、独占禁止法
 医療用材料、医薬品は、安全なものが、確実に供給されることが必要です。

 卸売段階、小売段階で、以下の教室事例のような取引方法が用いられる場合があり、独禁法上の問題が生じます。

 設問に答えるようにして、自分なりの独禁法に関する考え方を書きます。

*******教室事例*******

1 甲製品は、医療用材料の一種であり、メーカーから直接又は卸売業者を通じて販売業者に供給され、販売業者は医療機関に納入している。甲製品については、品質管理上の理由から、品質保証期限が比較的短期間に設定されている。また、甲製品の販売については、安全性の理由から、法令により、取引内容の記帳義務が課せられている。
  X社は、40%のシェアを有する甲製品のトップメーカーであり、X社製の甲製品は医療従事者間でブランド力もあり、流通業者にとってX社製の甲製品を取り扱わないことは営業上不利である。
  一般に、甲製品を含め、医療用材料の流通に携わる業者の数は多く、流通経路も複雑になっている。医療機関は、一般に価格交渉力が強く、甲製品についても購入価格を販売業者と個別に交渉しており、その価格は医療機関ごとにかなり異なっている。医療用材料の流通業者は、その共通の利益の増進を図るため、任意団体としてY協会を設立しており、Y協会は、医療用材料に関連する医療・技術情報の伝達等において重要な機能を果たしている。
  X社は、平成26年7月から、甲製品の販売政策を次のとおりとすることとし、これを実施している。
  ア 従来取引していた販売業者のうち一定規模以上の取引がある者を「特約店」とし、「特約店契約」により取引する。
  イ 従来取引していた卸売業者を「代理店」とし、「代理店契約」により取引する。
  ウ 従来取引していた販売業者であって、特約店にはなれなかった者を「協力店」とし、「協力店契約」により取引する。

  ○特約店契約においては、次の内容が定められている。
   1 特約店は、X社製の甲製品のみを扱い、X社からのみ購入する。
   2 特約店は、医療機関向け販売のみを行い、仲間卸を行わない。
   3 特約店は、医療機関向けに医療・技術情報の伝達等のサービスを行わなければならない。

  ○代理店契約においては、次の内容が定められている。
   1 代理店の販売価格は、X社が定める卸売価格を基準として、X社と代理店との間で協議して決定する。
   2 代理店は、Y協会の会員(特約店および代理店を除く)に対してのみ販売する。

  ○協力店契約においては、次の内容が定められている。
   1 協力店は、代理店からのみ購入する。
   2 協力店は、医療機関向け販売のみを行い、仲間卸を行わない。
   3 特約店は、医療機関向けに医療・技術情報の伝達等のサービスを行わなければならない。


2 X社は、特約店および協力店に対し、「医療機関向けに医療・技術情報の伝達等のサービスを行わなければならない」旨の条項を根拠に、通信販売・ネット販売を行わないよう求めている。また、X社は、品質保証期限の遵守および法令上の記帳義務の履行を確認する必要があるとして、特約店および協力店に対し、販売先医療機関、販売価格、販売数量等を毎月報告させている。さらに、X社は、代理店に対し、同社が定めた卸売価格を通知するとともに、品質保証期限の遵守および法令上の記帳義務の履行を確認する必要があるとして、販売先協力店、販売価格、販売数量等を毎月報告させている。
   なお、X社製の甲製品のうち、約7割が特約店経由で、約3割が代理店経由で、販売されている。

設問1 X社の販売政策が卸売段階の競争に及ぼす影響について具体的に論じなさい。

設問2 X社の販売政策が医療機関向けの競争に及ぼす影響について具体的に論じなさい。

設問3 X社の販売政策に対する独占禁止法の適用について具体的に論じなささい。


************************************

(2014/10/29第3稿)

第1、設問1 卸売段階の競争に及ぼす影響について

1、販売政策後の卸段階の流通経路について

 販売政策実施前は、甲製品の流通経路が複雑な状態にあったが、販売政策を実施後、X社が、卸売業者と代理店契約を締結し、販売業者と特約店契約または協力店契約を締結することで、1)卸売業者は、Y協会の会員の協力店にのみ甲製品を販売することとなり、2)特約店は、X社からのみ購入することとなり、3)協力店は、代理店からのみ購入することとなって、甲製品の流通経路が二系統に統一化されることとなった。
 すなわち、一つの系統は、卸業者を経由しない経路(特約店経由)であって、一定以上の販売業者が特約店として、X社から直接購入することとなり、もう一つの系統(代理店経由)は、卸売業者を経由する経路として、X社から、代理店に甲製品が販売され、協力店は、代理店から甲製品を購入することとなる。
 また、販売政策後に、仲間卸が禁止される。

 販売政策後の流通経路の変化を念頭に、卸売段階でなされた4つの政策の影響を、以下、検討する。


2、特約店が、X社製製品以外を取り扱えないこと(専売店化)の影響

 特約店は、X社製甲製品以外は扱えなくなる(特約店契約1項)。この政策は、特約店を専売店化するものである
 
 X社製甲製品は、甲製品の40%のシェアを占めており、また、医療従事者間でブランド力があり、流通業者にとって、X社製の甲製品を取り扱わないことは営業上不利であることから、一定規模以上の有力な販売業者のほとんどは、X社の特約店になることを望んでいることが思料され、結果、X社製の製品を扱うために他社製品を取り扱わないようになることが考えられる。

 従って、X社の競争メーカーは、有力な販売ルートであるX社の特約店との取引ができなくなり、かつ、これに代わる流通ルートを容易に確保することができなくなるため、競争上極めて不利を被るおそれがあり、他社製甲製品が、甲製品市場から排除されて行く影響が考えられる。


3、卸売価格の拘束による影響
 特約店は、自由に価格を決めることが出来るが、代理店の販売価格は、卸売価格が基準とされることとなる(代理店契約1項)。この政策は、代理店の販売価格の自由な決定を拘束するものである。

 この政策により、代理店経由の価格では、代理店は、自主的に卸売価格を決定することができなくなり、約3割を占めるX社製甲製品の卸売段階における価格競争が減少するおそれがある。すなわち、X社製製品価格のブランド内競争が制限される影響がでることが考えられる。


4、仲間卸の禁止による影響
 卸売段階で、仲間卸が禁止されることになり、特約店から協力店に販売されることがなくなり、代理店から購入せざるをえなくなる。協力店等が特約店等の仲間卸を通じてX社製甲製品を購入しようとするのは、現在購入している価格よりも安く買えるからに他ならない。
 
 従って、代理店の販売価格は、X社の販売価格が基準となったものとなり、他のルートから購入することによる価格競争ができず、価格の維持がなされる影響がでることが考えられる。


5、代理店、特約店への販売先、販売価格、販売数量などを毎月報告させる流通政策について

 この政策は、上記234の販売政策の実行確保手段として用いられるものである。
 
 X社の競争メーカーが有力な販売業者と取引できなくなることにより、甲製品の販売分野において40%を占めるX社の市場支配力がさらに強まり、価格競争をはじめ各種の競争が減少するおそれがある。



第2、設問2 医療機関向けの競争に及ぼす影響について

1、販売政策後の医療機関向けの小売段階の流通経路について

 販売政策後、小売段階の流通経路は、特約店契約と協力店契約には、医療機関向け販売のみを行い、通信販売・ネット販売業者から医療機関へ流通しなくなる。

 販売政策後の小売段階の流通経路を念頭に、小売段階でなされた3つの販売政策の影響を以下、検討する。

2、特約店の専売化について

 当該政策により、甲製品の流通経路は複雑で、医療機関は一般に価格交渉力が強く、甲製品についても購入価格を販売業者と個別に交渉している現状を変革し、特約店のX社製甲製品の価格交渉力を高めることができ、価格維持がしやすくなる


3、医療機関向けの伝達サービスの義務づけの影響について

 甲製品が医療機関へ販売が行われるのは、特約店とY協会の協力店ということとなる。特約店や協力店では、医療機関向けの伝達サービスが義務づけられるから(特約店契約3項、協力店契約3項)、通信販売・ネット販売で、甲製品を医療機関へ提供されないこととなる。
 
 医療機関が通信販売・ネット販売を通じてX社製甲製品を購入しようとするのは、現在購入している価格よりも安く買えるからに他ならない。

 従って、当該政策により、同製品の価格が維持されるおそれがある。


4、販売業者に報告義務が課せられることの影響について
 特約店および協力店には、販売先医療機関、販売価格、販売数量などを毎月X社に報告させ、代理店には、販売先協力店、販売価格、販売数量などを毎月報告させている。

 報告によって、X社は、廉売している業者を把握することが可能なしくみができ、小売価格維持の実行確保手段として用いることも可能になり、医療機関への販売価格の維持に影響を及ぼすことが考えられる。



第3,設問3

1、再販売価格の拘束(2条9項4号)について

 本事案では、X社の代理店に対する行為が、再販売価格の拘束(2条9項4号)に当たるかどうかが問題である。

 再販売価格の拘束とは、1)価格維持を合意することや、2)人為的手段を用いて価格を維持することをいう。事業者が市場の状況に応じて自己の販売価格を自主的に決定することは、事業者間の事業活動において最も基本的なことであり、かつ、これによって事業者間の競争と消費者の選択が確保される。事業者が再販売価格を拘束することは、流通業者間の価格競争を減少・消滅させることとなるから、競争回避によって自由競争を減殺するものとして、原則違法である。

 本件では、X社が、代理店と協議し卸売価格を決定すると代理店契約1項で約束事項として契約(代理店契約1項)がなされ、実際は、X社が、卸売価格を代理店に通知することになっていた。販売価格は、X社と代理店の協議で決定とあるが、販売価格をX社に報告する義務が課せられており、人為的手段を用いて価格の維持を図っており、再販売価格の拘束である。

 従って、再販売価格の拘束(2条9項4号イ)に該当し、19条に違反する。



2、排他条件付取引(一般指定11項)について

 本事案では、X社の特約店に対する専売店化の行為が、排他条件付取引(一般指定11項)に当たるかどうかが問題である。

 事業者が相手方との取引に伴い条件を付けることは事業者の自由であるから、原則違法とはならないが、もっとも、排他条件付取引として、1)有力な事業者が、2)競争品の取扱制限を行い、3)競争者が代替的な流通経路を容易に見つけられない場合には、競争者排除により、自由競争の減殺が認められ、公正競争阻害性が認められ、違法である。

 本件では、1)シェア4割のメーカーであるX社が、2)一定規模の取引がある販売業者に対し、他社の甲製品の取扱をせず、X社とのみ取引をする特約店となる合意を特約店契約1項でし、3)甲製品を製造する他社が、甲製品を売る代替的な流通経路を容易に見つけられないおそれを生じさせることとなっている。従って、競争者排除による自由競争減殺が認められるから、X社の行為は、排他条件付取引である。

 よって、排他条件付取引(一般指定11項)に該当し、19条に違反する。



3、拘束条件付取引(一般指定12項)について

 本事案では、X社の特約店と協力店に対する行為が、拘束条件付取引(一般指定12項)に当たるかどうかが問題である。

 事業者が相手方との間でいかなる条件を付して取引を行うかは、当該事業者が自由に決定できるものである。もっとも、拘束条件付取引として、1)有力な事業者が、2)横流しの販売を制限するなど拘束条件を付し、3)当該商品の価格が維持されるおそれがある場合には、流通業者間の価格競争を減殺するものとして、公正競争阻害性が認められる。

 本件では、1)シェア4割のメーカーであるX社が、2)契約により、特約店は、医療機関向け販売のみを行い、仲間卸を行わないとする合意(特約店契約2項)をし、また、協力店も同様に、医療機関向け販売のみを行い、仲間卸を行わないとする合意(協力店契約2項)をしている。3)第1、4で述べたように、流通業者間の価格競争を減殺するおそれがあって、拘束条件付取引として、公正競争を阻害性している。

 従って、拘束条件付取引(一般指定12項)に該当し、19条に違反する。


4、単独の取引拒絶について

 本事案では、X社の特約店に対する行為と、協力店に対する行為が、単独の取引拒絶(一般指定2項)に当たるか問題である。

 単独の取引拒絶とは、取引を拒絶することである。基本的には、事情者の取引先選択の自由があり、原則として違法ではないが、取引拒絶を独占禁止法上違法な行為の実行確保手段としてなされる場合は、違法となる。

 本件では、他メーカーから特約店に、甲製品以外の購入を拒絶させており、2で述べたように、違法な行為(排他条件付取引)の実行を確保する手段でなされており違法である。

 また、本件では、特約店と協力店が、仲間卸に、甲製品の供給を拒絶させており、3で述べたように、違法な行為(拘束条件付取引)の実行を確保する手段でなされており違法である。

 従って、単独の取引拒絶(一般指定2項)に該当し、19条に違反する。


5、優越的地位の濫用について

 X社が、特約店、協力店に対し、販売先医療機関、販売価格、販売数量等を毎月報告させるとこと、代理店に、販売先協力店、販売価格、販売数量等を毎月報告させることが、役務の提供(2条9項5号ロ)に当たらないか問題となる。

 この報告は、品質保証期限の遵守及び法令上の記帳義務の履行を確保するためとの名目であるが、法令上の記帳義務は、各特約店、協力店、代理店にあるのであって、報告する義務まではない。

 従って、販売価格の報告は、優越的地位の濫用に該当し(2条9項5号ロ)、19条に違反する。


6、排除型私的独占について

 「排除」とは、他の事業者の事業活動を継続困難にし、または新規参入を困難にすることをいう。
本件では、甲製品の40%の地位にあるX社が、甲製品の再販売価格の拘束(上述2)を行い、X社製甲製品のブランド内の競争制限をする一方で、甲製品の他の製造メーカーとの取引を排他条件付取引(上述3)で排除させ、一定の取引分野である甲製品の市場において、甲製品のブランド間の競争を実質的に制限している。

 X社の行為に、公共性はない。

 従って、X社の行為は、排除型私的独占(2条5項前段)に該当し、3条前段に違反する。
 

 以上


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弁護士の民事責任6:依頼者の裁判を受ける権利を確保する義務がある(職務基本規定22条)

2014-10-29 23:00:00 | 倫理(医療倫理、弁護士倫理、企業倫理…)

 弁護士は、依頼者の裁判を受ける権利を確保して、依頼者の権利を時効で消滅させたり上訴審での判断の機会を喪失させたりしない義務がある(弁護士職務基本規定22条)

 

<参考裁判例>

○刑事裁判

 東京地判昭和38年11月28日

 

○民事裁判

 東京地判昭和46年6月29日 

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車のナンバーは、プライバシーか。「世田谷ナンバー」損賠訴訟提訴。

2014-10-29 10:52:39 | 行政法学
 問題提起型の訴訟が提訴されたようです。金銭が目的でないから、賠償額は各自1円。

 車のナンバーが、プライバシーにあたるか。

 区内の自動車が品川ナンバーから、世田谷ナンバーを義務付けられることの不利益はなにか。

 区長は、損害賠償責任を負うのか。


 車のナンバーは、選択できるのではなかったかな。義務なのかな。要確認。


*******朝日新聞********************
http://www.asahi.com/articles/ASGBX4WW6GBXUTIL02H.html

「世田谷ナンバーは不利益」 住民が区長ら提訴

2014年10月29日05時46分


 11月に導入される自動車の世田谷ナンバーについて反対する区民132人が28日、「プライバシーが侵害される」などとして、保坂展人区長と区に損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。「金銭が目的ではない」として、賠償額は原告1人につき1円。

 代表して記者会見した田中優子区議は「ブランド力のある品川ナンバーを使えなくなる不利益や、住居地を特定されることでプライバシーや平穏な生活が侵害される」と主張。さらに区が導入を申請する際に実施したアンケートは「設問や配布先が偏っている」と批判した。

 世田谷ナンバーは国土交通省が募集した「ご当地ナンバー」で、11月17日から導入することが決まっている。同日以降に新規登録される区内の自動車は世田谷ナンバーが義務づけられる。保坂区長は「訴状が届いていないため、内容を確認でき次第コメントしたい」としている。




*******朝日新聞********************
http://www.asahi.com/articles/ASG5J5VLFG5JUTIL036.html


新たなご当地ナンバー11月に 世田谷・平泉・奄美など

2014年5月17日16時38分

 地域ゆかりの地名を記した自動車の「ご当地ナンバー」について、国土交通省は16日、平泉(岩手県)や世田谷(東京都)、春日井(愛知県)、奄美(鹿児島県)など新たに全国10地域で、11月17日から導入すると発表した。対象市区町村の住民が、同日以降に車を買うか、運輸支局などで手続きすると付けられる

 同省によると、ほかは盛岡(岩手県)、郡山(福島県)、前橋(群馬県)、川口(埼玉県)、越谷(同)、杉並(東京都)。ご当地ナンバーは2006年に始まり、すでに会津(福島県)、富士山(山梨、静岡県)、豊田(愛知県)、倉敷(岡山県)、下関(山口県)など19種類ある。各地の要望を受け、同省が対象地域の自動車台数などに基づき、決めている。

 今回の10地域を加え、全国のナンバーに書かれた地名の総数は116となる。
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「病気腎移植否定」撤回訴訟、患者の請求棄却 松山地裁H26.10.28西村欣也裁判長

2014-10-28 15:59:38 | 医療
 難しい問題です。

 今後、裁判経過もフォローしたいと考えます。

 病気腎移植が、妥当かどうかを決めるのは司法ではなく医療界です。

 一方、患者にも希望する医療を受ける権利及び生存権があります。
 適正手続きがなされていることが前提で、治療がなされる道も閉ざしてはならないようにも感じます。


**************************************************************
http://www.asahi.com/articles/ASGBX3QDHGBXPTIL00H.html

「病気腎移植否定」撤回訴訟、患者の請求棄却 松山地裁

2014年10月28日11時31分

 腎不全の患者らが日本移植学会の幹部ら5人に対して「病気腎移植(修復腎移植)を否定する見解が出され、治療を受ける権利を侵害された」と主張し、見解の撤回と総額6050万円の慰謝料などを求めた訴訟の判決が28日、松山地裁であった。西村欣也裁判長は原告の請求を棄却した。

 病気腎移植はがんの患者らから摘出された腎臓を治療したうえで別の患者に移植する治療方法。日本移植学会は2007年3月、宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)の万波誠医師らのグループによる病気腎移植について「医学的に妥当性がない」と否定する声明を出した。厚生労働省は4カ月後、臓器移植法のガイドラインを改め、臨床研究以外の病気腎移植を禁じた。

 この措置に対し、愛媛、広島、香川、岐阜4県の腎不全患者ら7人が「希望する医療を受ける権利を奪われ、憲法が保障する生存権を侵害された」として08年12月に提訴。訴訟で「病気腎移植は国際的に高く評価された治療法なのに、学会側は真実をねじ曲げた」と主張していた。

 学会側は「病気腎移植は危険性がある治療方法だ」としたうえで、「妥当かどうかを決めるのは司法ではなく医療界だ」として請求を棄却するよう求めていた。
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重要判決:ネズミ講(無限連鎖講)上位会員らに不正利益返還命令 最高裁H26.10.28木内道祥裁判長

2014-10-28 12:38:54 | 民法 不法行為・不当利得
 衡平の見地から妥当な判決のように考えます。
 「本件の事実関係の下で,不法原因給付としての返還拒否が信義則上許されない」

 違法なネズミ講に、ひっかからないように心掛けることが、最も重要なことだけど。


*********************************************************
http://www.yomiuri.co.jp/national/20141028-OYT1T50076.html

ネズミ講上位会員らに不正利益返還命令…最高裁


2014年10月28日 11時46分



 違法なネズミ講を行って破綻した企業の破産管財人が、損失を受けた被害者への支払いに充てるため、上位の会員らに不正な利益の返還を請求できるかが問われた訴訟の上告審判決が28日あった。

 最高裁第3小法廷(木内道祥みちよし裁判長)は、「管財人が適正かつ公平に被害者への配当などを行えるようにすべきだ」と述べ、請求を認める初判断を示した。その上で、管財人側敗訴の1、2審判決を破棄し、被告の上位会員に、請求通り約2100万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

 管財人が上位会員らに利益返還を求められるかどうかについては下級審で判断が分かれていたが、最高裁が統一判断を示した形。ネズミ講などの違法ビジネスでは、末端に多数の被害者が生まれる一方、企業に資産が残っていないケースが多く、今回の判断で被害救済が進む可能性がある。

 問題になったのは、インターネットのブログを用いたビジネスへの出資を募り、2011年に破綻した「クインアッシュ」(東京)。出資者が新たな会員を紹介すると一定の配当金が得られるネズミ講とされ、1審・東京地裁判決は、少なくとも4035人から25億6000万円を集めたと認定した。管財人は、同社との取引で利益を得た九州地方の男性に利益分の返還を求めた。

********判決文全文*********************
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/582/084582_hanrei.pdf

- 1 -
平成24年(受)第2007号 不当利得返還等請求事件
平成26年10月28日 第三小法廷判決

主 文
1 原判決を破棄し,第1審判決を取り消す。
2 被上告人は,上告人に対し,2133万2835円
及びこれに対する平成23年6月4日から支払済み
まで年5分の割合による金員を支払え。
3 訴訟の総費用は被上告人の負担とする。

理 由

上告人及び上告代理人古川和典ほかの上告受理申立て理由について

1 本件は,破産者株式会社A(以下「破産会社」という。)の破産管財人であ
る上告人が,被上告人と破産会社との間の契約が公序良俗に反して無効であるとし
て,当該契約により破産会社から金銭の給付を受けた被上告人に対し,不当利得返
還請求権に基づき,上記の給付額の一部及びこれに対する遅延損害金の支払を求め
た事案である。

2 原審の適法に確定した事実関係の概要は,次のとおりである。
(1) 破産会社は,平成22年2月頃から,金銭の出資及び配当に係る事業(以
下「本件事業」という。)を開始した。本件事業は,専ら新規の会員から集めた出
資金を先に会員となった者への配当金の支払に充てることを内容とする金銭の配当
組織であり,無限連鎖講の防止に関する法律2条に規定する無限連鎖講に該当する
ものであった。


(2) 被上告人は,平成22年3月,破産会社と本件事業の会員になる旨の契約
- 2 -
を締結した。被上告人は,同年12月までの間に,上記契約に基づき,破産会社に
対して818万4200円を出資金として支払い,破産会社から2951万703
5円の配当金の給付を受けた(以下,上記配当金額から上記出資金額を控除した残
額2133万2835円に係る配当金を「本件配当金」という。)。

(3) 破産会社は,本件事業において,少なくとも,4035名の会員を集め,
会員から総額25億6127万7750円の出資金の支払を受けたが,平成23年
2月21日,破産手続開始の決定を受け,上告人が破産管財人に選任された。上記
破産手続においては,本件事業によって損失を受けた者が破産債権者の多数を占め
ている。

3 原審は,上記事実関係の下において,本件配当金の給付が不法原因給付に当
たり,上告人は民法708条の規定によりその返還を請求することができないと判
断して,上告人の請求を棄却すべきものとした。

4 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次
のとおりである。

本件配当金は,関与することが禁止された無限連鎖講に該当する本件事業によっ
て被上告人に給付されたものであって,その仕組み上,他の会員が出えんした金銭
を原資とするものである。そして,本件事業の会員の相当部分の者は,出えんした
金銭の額に相当する金銭を受領することができないまま破産会社の破綻により損失
を受け,被害の救済を受けることもできずに破産債権者の多数を占めるに至ってい
るというのである。このような事実関係の下で,破産会社の破産管財人である上告
人が,被上告人に対して本件配当金の返還を求め,これにつき破産手続の中で損失
を受けた上記会員らを含む破産債権者への配当を行うなど適正かつ公平な清算を図
- 3 -
ろうとすることは,衡平にかなうというべきである。仮に,被上告人が破産管財人
に対して本件配当金の返還を拒むことができるとするならば,被害者である他の会
員の損失の下に被上告人が不当な利益を保持し続けることを是認することになっ
て,およそ相当であるとはいい難い。

したがって,上記の事情の下においては,被上告人が,上告人に対し,本件配当
金の給付が不法原因給付に当たることを理由としてその返還を拒むことは,信義則
上許されないと解するのが相当である。

5 以上によれば,上記のような点を考慮することなく,上告人の請求を棄却し
た原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨
は,この趣旨をいうものとして理由があり,原判決は破棄を免れない。そして,上
記事実関係及び上記4に説示したところによれば,本件配当金に相当する2133
万2835円及びこれに対する返還の催告後である平成23年6月4日から支払済
みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める上告人の請求には
理由があるから,これを棄却した第1審判決を取り消し,同請求を認容すべきであ
る。

よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。なお,裁判官木内道
祥の補足意見がある。

裁判官木内道祥の補足意見は,次のとおりである。

私は,本件の事実関係の下で,不法原因給付としての返還拒否が信義則上許され
ないとの法廷意見に賛同するものであるが,返還請求する者が破産管財人であるこ
とと信義則の関係について,私の考えるところを述べることとする。

無限連鎖講のように,実現不可能な高利率の配当を約束して出えんを募り,その
- 4 -
配当の実施を誘因としてより多くの出えんを得ようとする事業では,出えん者の大
多数は出えんの填補を得られないことが必至である。この事業における利得者は出
えんを超える配当を受けた少数者であり,その利得の元となった他の出えん者は損
失を受けており,事業実施者に対する債権者となっている。

その事業実施者が破産した場合,破産管財人が行う給付(利得)の返還請求は,
破産者に代わって行うものということはできない。破産制度の目的は「債務者の財
産等の適正かつ公平な清算を図る」ことであり(個人破産については「債務者につ
いて経済生活の再生の機会の確保を図る」ことが加わる。),その目的のために
「債権者その他の利害関係人の利害及び債務者と債権者との間の権利関係を適切に
調整」(破産法1条)するという破産管財人の任務の遂行としてこれを行うのであ
る。

破産管財人の任務遂行によって得られた資産は,破産財団に属し,手続費用を含
む財団債権及び破産債権の全てを支払って余剰が生ずるというような稀有な事例を
除けば,破産者に交付されることはない。破産手続の廃止は,破産財団が破産手続
の費用に不足する場合になされることはもちろんであるが,破産管財人は換価し得
るものは換価し尽くして手続費用を含む財団債権に充て,なお不足する場合に廃止
の申立てを行うのが実務の通例であり,破産管財人が第三者から回復した財産が破
産廃止により破産者に戻されるようなことは,実際上,考えられない。
会員を含む破産債権者への配当が実施されれば,その配当額については破産者の
債務が減額されることにはなるが,破産者にとっての破産債務の消滅ないし自然債
務化は,破産配当の有無を問わず,法人であれば破産終結に伴う法人格の消滅によ
り,個人であれば免責許可によってなされるのが破産制度の基本的な仕組みであ
- 5 -
り,破産管財人に対する給付の返還が直ちに破産者の債務の消滅に結び付くもので
はない。破産管財人の不当利得返還請求を認めることをもって,反倫理的な事業を
行った破産者に法律上の保護を与えることになるということはできない。

以上の観点からすれば,本件において,破産管財人の返還請求を認めないとすれ
ば,他の会員の損失の下に本件事業により相当額の利得を得た者がその利得を保持
し続けることを許容することになるのは法廷意見の述べるとおりであり,他方,本
件における破産管財人の返還請求はそのような結果を回避して,損失を受けた会員
を含む破産債権者など利害関係人の権利関係を適切に調整するためのものであるか
ら,不法原因給付に当たることを理由として給付の返還を拒むことは,信義則上許
されないと解すべきである。

(裁判長裁判官 木内道祥 裁判官 岡部喜代子 裁判官 大谷剛彦 裁判官
大橋正春 裁判官 山崎敏充)
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年齢別の死因構成からみえてくるもの:がん・脳心血管・感染だけでなく自殺や不慮の事故対策の重要性

2014-10-28 10:52:52 | 医療

 視覚的にわかりやすくアピールしているチャートです。


 ひとが、健康に生きるために、やらねばならないこととして、がん(悪性新生物)対策も大きいですが、自殺や不慮の事故が占める部分も大きいことがわかります。
 小児領域では、不慮の事故の占める部分が特に大きいです。小児では、自殺だけでなく、表にはありませんが、他殺(児童虐待)も重要。




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都市計画決定の違法を収用裁決で争う、違法性の承継(事例研究行政法第2部問題3)

2014-10-27 23:00:00 | 街づくり
 都市計画のもともとの決定(原決定)通りなら、自宅の土地を収用されることはなかったのに、原決定とは異なる形の道路工事が先になされ、後追いで、そのなされた道路工事の形の都市計画変更決定がなされ、第2次都市計画事業認可がなされました。
 第2次都市計画事業認可により、自宅の土地を収用されるXを救済するには、どうすればよいか。

 第2次都市計画事業認可の取り消しを争えばよいのであるが、すでに時が経ってしまっていたとして。


(事例研究行政法 第二部問題3を題材にして、2013/11/08第3稿)


 第1、土地収用裁決取消訴訟の提起について(設問1に関連して)

1、都市計画変更決定における違法について

(1)手続的違法について
ア、本件では、都市計画変更決定において、都市計画審議会手続の瑕疵を主張しうると考える。
イ、都市計画変更決定において、都市計画決定と同様に、変更内容を公告し(21条2項、17条1項)、その計画変更に対し、住民及び利害関係人は、意見書を提出することができる(21条2項、17条2項)。都道府県は、関係市町村の意見を聴き、かつ、都道府県の都市計画審議会の議を経て、都市計画の変更を決定する(21条2項、18条1項)。その都市計画審議会では、意見書の要旨が提出されることになっている(21条2項、18条2項)。
 都市計画審議会を経ることは、判断の適正と公正を担保することにあり、住民及び利害関係人の意見書が同審議会に提出されるのは、重大な利害関係を有する者に対しても、意見を提出する機会を与え、判断の基礎及びその過程の客観性と公正を保障する趣旨に出たものと考えられる。
 従って、審議会手続については、都市計画法が審議会の諮問を経ることを要求した趣旨に反するような瑕疵が認められる場合、違法になることが考えられる。
ウ、本件では、Xは、原決定の変更に対して意見書を提出し、その意見書は都市計画審議会に要旨が提出された。同審議会において、一委員から変更決定に対して地元では反対がでていないか懸念が示されたが、事務局が、自治会が反対するなどのような特に強い反対運動は見られていないと説明しただけであり、Xからの意見書提出のことやXが反対していることが説明されることはなかった。Xのような反対者がいた場合は、慎重に審議されるはずのところ、事務局の説明は、本件計画変更に反対者がいないことを委員に意識付けたものと考えられる。
エ、従って、事務局から審議会委員に、正しい情報提供がなされたとはいえず、反対者の有無は、決議を左右する重要な情報である以上、同審議会の決議は、重大な瑕疵がある。
 よって、都市計画変更決定には、審議会における手続き上の瑕疵があって違法である。


(2)実体的違法について
ア、本件では、都市計画変更決定において、都市計画法21条違反を主張しうると考える。
 都市計画法21条は、都市計画の変更の事由を規定する。すなわち、①都市計画区域または準都市計画区域が変更されたとき、②調査(同法6条1項、2項、13条1項各号)の結果都市計画を変更する必要が明らかになったとき、③「その他都市計画を変更する必要が生じたとき」である。
 これら変更事由にあたるかどうかは、都市計画変更が、各地域の状況、将来予測、地域の人々の意向、合意形成の過程など総合的に判断して決定変更していくべきことがらであるため、広範な行政庁の裁量によるべきものであると考えられる。ただし、その裁量も無制約のものではなく、都市計画法1条の目的、2条の基本理念、13条の都市計画基準などの制約を受けつつ、裁量権の逸脱濫用があった場合、違法であると考えられる。
イ、形質的違法理由
 本件では、既になされた都市計画施設区域外の事業を追認的に適法化しようとするものであって、21条のいずれの要件にも該当しないにも関わらず、該当するとして計画変更したことは、行政権の逸脱濫用があり、形式的には、違法である。

ウ、実質的違法理由
 ただし、本件では、本来、第1次事業認可の際に都市計画変更をすべきものが、手順を前後したとの行政庁の主張もありうるのであって、本件裁決取消事由の瑕疵を判断する上では、形式的違法事由のみならず、実質的な都市計画変更理由も合わせて検討すべきと考える。
 当初計画では、①中学校設置基準の問題、②土地R1とR2の所有者Zとの関係、③国の施設の問題があって、都市計画変更をしている。
 ①③は、公共的な理由であるが、①は、当初計画を是正する理由として正当であるが、ただし、校舎の位置自体を道路に面する計画から移動することにより対処可能である。③は、当初から、都市計画道路と面するはずであったのであって、理由とはなりえない。②は、土地所有者個人の希望であり他事考慮であるが、Zの反対で収容が長引き、施設設置の時期に間に合わなくなるおそれを考慮したものと考えられる。
 すると、①の公共的な理由はありうるが対応が可能なことがらであり、②③という本来考慮すべきでないものを考慮して、都市計画変更を判断しており、行政権の逸脱濫用があり、実質的にも違法である。


2、都市計画変更決定における違法を、収用裁決の取消訴訟で主張することについて

 1において、都市計画決定変更の違法はあるとしても、では、後続の収用裁決の取消訴訟で主張しうるか問題である。
(1)都市計画変更決定の処分性
道路は、都市計画に掲げられた施設であり(11条1項1号)、都市計画により定められる(4条6項)。都市計画の決定や変更は、都市計画審議会を経て、都道府県が決定し(18条1項)、都市計画で定められた道路などを整備する「都市計画事業」(4条15項)は、市町村が、都道府県知事の認可を受けて施行することとなっている(59条1項)。都市計画事業認定は、収容適格事業であって(69条)、土地収用法の事業認定の要件は、都市計画事業認可によって代えられる(70条)。
 従って、都市計画変更決定は、一種の立法類似の行為としての性格をもつもので国民の権利義務は形成しておらず、処分性はない。
一方で、都市計画決定事業認可は、公権力の行使である公用収用又は公用換地の手法によって、その法的実現が担保されており、処分性がある。
 よって、都市計画変更決定の違法性は、本来、都市計画事業認可の取消訴訟において主張することとなる。


(2)都市計画事業認可の違法性の承継
ア、しかし、本件では、都市計画事業認可は、2005年の段階で認められ、都市計画事業認可の取消訴訟の出訴期間はすでに徒過してしまっている。
 先行行為である都市計画事業認可に後続の収用裁決において、都市計画事業認可の違法を主張しうるのは、違法性が承継される場合である。
イ、違法性の承継
先行行為と後行行為とが相結合して一つの効果の実現をめざし、これを完成させるものである場合には、先行行為の違法性が後行行為に承継され、従って、後行行為の取消訴訟で先行行為の違法性を主張できる。
ウ、都市計画事業認定の違法性が収用裁決に承継されることについて
 土地収用の事業認定と収用裁決の関係においては、違法性の承継が認められる。なぜならば、先行の事業認定が、起業者の申請に基づき起業者に収用権を付与し、土地所有権の消滅取得という法効果は収用裁決によって完成され、両者は、一連の手続きを構成し、一定の法律効果の発生を目指しているといえるからである。
 アで述べたように、都市計画事業認定は、土地収用の事業認定とみなされ、収用裁決へと至るのであって、土地収用の事業認定と同様に、都市計画事業認定の違法性は、土地収用裁決に承継されると考えられる。
エ、さらに、今回の違法性は、処分性のない都市計画変更決定にあるのであって、本来、都市計画事業認可において争うべきであったとはいえ、手続き保障を与えるうえでも、後行行為の土地収用裁決で争えることを認めることが妥当である。




第2、収用裁決の執行停止の申立て(設問2に関連して)

 仮の権利保護として、収用裁決の執行停止の申立て(行訴法25条)が考えられる。

 以下、行訴法25条の各要件を検討する。
1、重大な損害をさけるための緊急の必要(積極要件)について
 執行による重大な損害とは、執行により、原状回復が困難である場合や金銭賠償が不可能な場合であり、損害の回復の困難の程度も考慮し損害の性質・程度、処分の内容・性質を勘案すべき(行訴法25条3項)とされる。
 本件では、夫婦2人で31年間やってきた理髪店・美容室であり、顧客はその地域のなじみの人を中心としたものであると推測できる。そうすると、収用によって移転を余儀なくされた場合には、他の場所で同様の営業を行うことは極めて困難であり、生業の基盤を失うことともなりかねない。金銭補償が
 したがって、積極要件(25条3項)を充足する。
2、公共の福祉への重大な影響(消極要件①)および本案について理由がないとみえるとき(消極要件②)について
 本件執行停止は、あくまでXとの関係における執行停止であり、Xの収用をストップしても、拘束力(行訴法33条4項参照)によって、任意買収も含めてそれまでなされた道路建設に関わる行為のすべての効力を停止しなければならないものではない。
 Xの土地の収用を強行し、道路を完成させることを急ぐ公益上の理由の有無を検討すると、当該道路がG地点で接続する予定の南北に走る道路はさほど基幹道路とは見受けられず、それに接続する本件道路の公益性の必要は、Xの受ける損害の重大性に比して、さほど大きいものとは言えない。従って、消極要件①はない。
 また、裁決の違法性の検討(第1)から、消極要件②はない。
3、小結
 以上から、執行停止は認められるべきと考える。


第3、第2次都市計画事業認可の取消訴訟が提起できたとしたならば (関連問題に関連して)

 第2次都市計画事業認可(以下、「同認可」という。)がなされた際に、Xが、認可取消しの訴えを起こすことで、Xは目的を達することができ、その効力は、第1の収用裁決の取消訴訟を、通常の場合は、上回っていたと考える。以下、論ずる。
 同認可で、事業計画が決定されると、Xを含め道路の周辺に土地を所有する住民の権利に影響を及ぼすことが、一定の限度で具体的に予測することが可能になる。そして、その後の事業計画に定められたことに従って、換地処分が当然に行われることになる。
 Xは、第1のように、土地収用裁決の段階で取消訴訟を提起できるが、その場合に、たとえ違法の主張が認められたとしても、事情判決(行訴法31条1項)がされる可能性が相当程度あり、救済が十分されるとは言いがたい。
 実行的な権利救済を図るためには、事業計画の決定がされた段階で、事業決定を対象とした取消訴訟の提起することに合理性があると考える。
 ただし、本件の場合は、第2次都市計画事業認可の段階で、すでに工事は進んでいるのであって、事情判決がなされてしまう可能性が同様に残る。

以上
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通報で終わるのでなく、医師が児童相談書等他の機関と連携して問題解決をしていくことの大切さ。

2014-10-27 16:36:45 | 小児医療
 不幸な事件が起こらぬように、医師が、そのカギを握ることがある。

 佐世保の事件においては、期待通りに児相が行動していれば、不幸な事件は起きなかった可能性もある。
 医師としては、児相に通報し、「少女は人を殺しかねない」とまで伝えているのであるのだから、きっと行動してくれると信頼するはず。

 ただ、相手が信頼できる公的機関であるからと、相手を信頼して終わるのではなく、児相が、問題解決に動いていただけているか、医師は、連携してフォローすることが必要であることを、佐世保の事件は、物語っているように感じる。
 
 

******************************************************************
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG26H1M_X21C14A0CC0000/

医師通報に「放っておけ」、児相幹部発言か 佐世保高1殺害
2014/10/27 11:29 記事保存

 長崎県佐世保市の同級生殺害事件で、殺人容疑で逮捕された高校1年の少女(16)を事件前に診察した精神科医からの通報を県の佐世保こども・女性・障害者支援センター(児童相談所)が放置した問題で、通報を受けた職員に対し、上司の男性幹部が「放っておけ」と発言したことが27日までに、県の調査で分かった。

 県は9月下旬、この幹部が部下にパワハラを繰り返したとして文書で厳重注意処分にしている。発言内容は児相関係者に聞き取りをする中で出てきた。

 精神科医の通報を放置した理由について県はこれまで、幹部の部下の職員が「関係機関からの問い合わせ」と判断し内部処理したためと説明しており、今後、幹部の発言内容の詳細を確かめる。

 県の調査によると、児相職員は6月10日に精神科医から「少女は人を殺しかねない」との通報を受け、その後この幹部に内容を説明。その際、幹部は精神科医が勤務する病院名を挙げ「また丸投げをするのか。放っておけ」と発言をした。〔共同〕

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入管法の構造:認定→判定→裁決→退去強制令書発布処分/ 在留特別許可

2014-10-25 23:00:00 | 行政法学
 入管法(出入国管理及び難民認定法)の構造です。

 ポイントは、認定→判定→裁決 / 在留特別許可




1 退去強制

(退去強制)

第二十四条  次の各号のいずれかに該当する外国人については、次章に規定する手続により、本邦からの退去を強制することができる。
一  第三条の規定に違反して本邦に入つた者

二  入国審査官から上陸の許可等を受けないで本邦に上陸した者

二の二  第二十二条の四第一項(第一号又は第二号に係るものに限る。)の規定により在留資格を取り消された者

二の三  第二十二条の四第七項(第六十一条の二の八第二項において準用する場合を含む。)の規定により期間の指定を受けた者で、当該期間を経過して本邦に残留するもの

三  他の外国人に不正に前章第一節若しくは第二節の規定による証明書の交付、上陸許可の証印(第九条第四項の規定による記録を含む。)若しくは許可、同章第四節の規定による上陸の許可又は第一節、第二節若しくは次章第三節の規定による許可を受けさせる目的で、文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、虚偽の文書若しくは図画を作成し、若しくは偽造若しくは変造された文書若しくは図画若しくは虚偽の文書若しくは図画を行使し、所持し、若しくは提供し、又はこれらの行為を唆し、若しくはこれを助けた者

三の二  公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律 (平成十四年法律第六十七号)第一条 に規定する公衆等脅迫目的の犯罪行為(以下この号において「公衆等脅迫目的の犯罪行為」という。)、公衆等脅迫目的の犯罪行為の予備行為又は公衆等脅迫目的の犯罪行為の実行を容易にする行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者として法務大臣が認定する者

三の三  国際約束により本邦への入国を防止すべきものとされている者

三の四  次のイからハまでに掲げるいずれかの行為を行い、唆し、又はこれを助けた者
イ 事業活動に関し、外国人に不法就労活動(第十九条第一項の規定に違反する活動又は第七十条第一項第一号から第三号の二まで、第五号、第七号、第七号の二若しくは第八号の二から第八号の四までに掲げる者が行う活動であつて報酬その他の収入を伴うものをいう。以下同じ。)をさせること。

ロ 外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置くこと。

ハ 業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又はロに規定する行為に関しあつせんすること。

三の五  次のイからニまでに掲げるいずれかの行為を行い、唆し、又はこれを助けた者
イ 行使の目的で、在留カード若しくは日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法第七条第一項 に規定する特別永住者証明書(以下単に「特別永住者証明書」という。)を偽造し、若しくは変造し、又は偽造若しくは変造の在留カード若しくは特別永住者証明書を提供し、収受し、若しくは所持すること。

ロ 行使の目的で、他人名義の在留カード若しくは特別永住者証明書を提供し、収受し、若しくは所持し、又は自己名義の在留カードを提供すること。

ハ 偽造若しくは変造の在留カード若しくは特別永住者証明書又は他人名義の在留カード若しくは特別永住者証明書を行使すること。

ニ 在留カード若しくは特別永住者証明書の偽造又は変造の用に供する目的で、器械又は原料を準備すること。

四  本邦に在留する外国人(仮上陸の許可、寄港地上陸の許可、通過上陸の許可、乗員上陸の許可又は遭難による上陸の許可を受けた者を除く。)で次のイからヨまでに掲げる者のいずれかに該当するもの
イ 第十九条第一項の規定に違反して収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を専ら行つていると明らかに認められる者(人身取引等により他人の支配下に置かれている者を除く。)

ロ 在留期間の更新又は変更を受けないで在留期間(第二十条第五項の規定により本邦に在留することができる期間を含む。第二十六条第一項及び第二十六条の二第二項において同じ。)を経過して本邦に残留する者

ハ 人身取引等を行い、唆し、又はこれを助けた者

ニ 旅券法 (昭和二十六年法律第二百六十七号)第二十三条第一項 (第六号を除く。)から第三項 までの罪により刑に処せられた者

ホ 第七十四条 から第七十四条の六の三 まで又は第七十四条の八 の罪により刑に処せられた者

ヘ 第七十三条 の罪により禁錮以上の刑に処せられた者

ト 少年法 (昭和二十三年法律第百六十八号)に規定する少年で昭和二十六年十一月一日以後に長期三年を超える懲役又は禁錮に処せられたもの

チ 昭和二十六年十一月一日以後に麻薬及び向精神薬取締法 、大麻取締法 、あへん法 、覚せい剤取締法 、国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律 (平成三年法律第九十四号)又は刑法第二編第十四章 の規定に違反して有罪の判決を受けた者

リ ニからチまでに掲げる者のほか、昭和二十六年十一月一日以後に無期又は一年を超える懲役若しくは禁錮に処せられた者。ただし、執行猶予の言渡しを受けた者を除く。

ヌ 売春又はその周旋、勧誘、その場所の提供その他売春に直接に関係がある業務に従事する者(人身取引等により他人の支配下に置かれている者を除く。)

ル 他の外国人が不法に本邦に入り、又は上陸することをあおり、唆し、又は助けた者

オ 日本国憲法 又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入している者

ワ 次に掲げる政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入し、又はこれと密接な関係を有する者

(1) 公務員であるという理由により、公務員に暴行を加え、又は公務員を殺傷することを勧奨する政党その他の団体

(2) 公共の施設を不法に損傷し、又は破壊することを勧奨する政党その他の団体

(3) 工場事業場における安全保持の施設の正常な維持又は運行を停廃し、又は妨げるような争議行為を勧奨する政党その他の団体

カ オ又はワに規定する政党その他の団体の目的を達するため、印刷物、映画その他の文書図画を作成し、頒布し、又は展示した者

ヨ イからカまでに掲げる者のほか、法務大臣が日本国の利益又は公安を害する行為を行つたと認定する者

四の二  別表第一の上欄の在留資格をもつて在留する者で、刑法第二編第十二章 、第十六章から第十九章まで、第二十三章、第二十六章、第二十七章、第三十一章、第三十三章、第三十六章、第三十七章若しくは第三十九章の罪、暴力行為等処罰に関する法律第一条、第一条ノ二若しくは第一条ノ三(刑法第二百二十二条 又は第二百六十一条 に係る部分を除く。)の罪、盗犯等の防止及び処分に関する法律の罪、特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律第十五条 若しくは第十六条 の罪又は自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第二条 若しくは第六条第一項 の罪により懲役又は禁錮に処せられたもの

四の三  短期滞在の在留資格をもつて在留する者で、本邦において行われる国際競技会等の経過若しくは結果に関連して、又はその円滑な実施を妨げる目的をもつて、当該国際競技会等の開催場所又はその所在する市町村の区域内若しくはその近傍の不特定若しくは多数の者の用に供される場所において、不法に、人を殺傷し、人に暴行を加え、人を脅迫し、又は建造物その他の物を損壊したもの

四の四  中長期在留者で、第七十一条の二又は第七十五条の二の罪により懲役に処せられたもの

五  仮上陸の許可を受けた者で、第十三条第三項の規定に基づき付された条件に違反して、逃亡し、又は正当な理由がなくて呼出しに応じないもの

五の二  第十条第七項若しくは第十一項又は第十一条第六項の規定により退去を命ぜられた者で、遅滞なく本邦から退去しないもの

六  寄港地上陸の許可、通過上陸の許可、乗員上陸の許可、緊急上陸の許可、遭難による上陸の許可又は一時庇護のための上陸の許可を受けた者で、旅券又は当該許可書に記載された期間を経過して本邦に残留するもの

六の二  第十六条第九項の規定により期間の指定を受けた者で、当該期間内に帰船し又は出国しないもの

七  第二十二条の二第一項に規定する者で、同条第三項において準用する第二十条第三項本文の規定又は第二十二条の二第四項において準用する第二十二条第二項の規定による許可を受けないで、第二十二条の二第一項に規定する期間を経過して本邦に残留するもの

八  第五十五条の三第一項の規定により出国命令を受けた者で、当該出国命令に係る出国期限を経過して本邦に残留するもの

九  第五十五条の六の規定により出国命令を取り消された者

十  第六十一条の二の二第一項若しくは第二項又は第六十一条の二の三の許可を受けて在留する者で、第六十一条の二の七第一項(第一号又は第三号に係るものに限る。)の規定により難民の認定を取り消されたもの



第二十四条の二  法務大臣は、前条第三号の二の規定による認定をしようとするときは、外務大臣、警察庁長官、公安調査庁長官及び海上保安庁長官の意見を聴くものとする。

2  外務大臣、警察庁長官、公安調査庁長官又は海上保安庁長官は、前条第三号の二の規定による認定に関し法務大臣に意見を述べることができる。



(出国命令)

第二十四条の三  第二十四条第二号の三、第四号ロ又は第六号から第七号までのいずれかに該当する外国人で次の各号のいずれにも該当するもの(以下「出国命令対象者」という。)については、同条の規定にかかわらず、次章第一節から第三節まで及び第五章の二に規定する手続により、出国を命ずるものとする。
一  速やかに本邦から出国する意思をもつて自ら入国管理官署に出頭したこと。

二  第二十四条第三号から第三号の五まで、第四号ハからヨまで、第八号又は第九号のいずれにも該当しないこと。

三  本邦に入つた後に、刑法第二編第十二章 、第十六章から第十九章まで、第二十三章、第二十六章、第二十七章、第三十一章、第三十三章、第三十六章、第三十七章若しくは第三十九章の罪、暴力行為等処罰に関する法律第一条、第一条ノ二若しくは第一条ノ三(刑法第二百二十二条 又は第二百六十一条 に係る部分を除く。)の罪、盗犯等の防止及び処分に関する法律の罪、特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律第十五条 若しくは第十六条 の罪又は自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第二条 若しくは第六条第一項 の罪により懲役又は禁錮に処せられたものでないこと。

四  過去に本邦からの退去を強制されたこと又は第五十五条の三第一項の規定による出国命令により出国したことがないこと。

五  速やかに本邦から出国することが確実と見込まれること。



2 収容

(収容)

第三十九条  入国警備官は、容疑者が第二十四条各号の一に該当すると疑うに足りる相当の理由があるときは、収容令書により、その者を収容することができる。

2  前項の収容令書は、入国警備官の請求により、その所属官署の主任審査官が発付するものとする。


(容疑者の引渡)

第四十四条  入国警備官は、第三十九条第一項の規定により容疑者を収容したときは、容疑者の身体を拘束した時から四十八時間以内に、調書及び証拠物とともに、当該容疑者を入国審査官に引き渡さなければならない。

   


3 認定

  第三節 審査、口頭審理及び異議の申出



(入国審査官の審査)

第四十五条  入国審査官は、前条の規定により容疑者の引渡しを受けたときは、容疑者が退去強制対象者(第二十四条各号のいずれかに該当し、かつ、出国命令対象者に該当しない外国人をいう。以下同じ。)に該当するかどうかを速やかに審査しなければならない。

2  入国審査官は、前項の審査を行つた場合には、審査に関する調書を作成しなければならない。



(容疑者の立証責任)

第四十六条  前条の審査を受ける容疑者のうち第二十四条第一号(第三条第一項第二号に係る部分を除く。)又は第二号に該当するとされたものは、その号に該当するものでないことを自ら立証しなければならない。



(審査後の手続)

第四十七条  入国審査官は、審査の結果、容疑者が第二十四条各号のいずれにも該当しないと認定したときは、直ちにその者を放免しなければならない。

2  入国審査官は、審査の結果、容疑者が出国命令対象者に該当すると認定したときは、速やかに主任審査官にその旨を知らせなければならない。この場合において、入国審査官は、当該容疑者が第五十五条の三第一項の規定により出国命令を受けたときは、直ちにその者を放免しなければならない。

3  入国審査官は、審査の結果、容疑者が退去強制対象者に該当すると認定したときは、速やかに理由を付した書面をもつて、主任審査官及びその者にその旨を知らせなければならない

4  前項の通知をする場合には、入国審査官は、当該容疑者に対し、第四十八条の規定による口頭審理の請求をすることができる旨を知らせなければならない。

5  第三項の場合において、容疑者がその認定に服したときは、主任審査官は、その者に対し、口頭審理の請求をしない旨を記載した文書に署名させ、速やかに第五十一条の規定による退去強制令書を発付しなければならない。



4 判定

(口頭審理)

第四十八条  前条第三項の通知を受けた容疑者は、同項の認定に異議があるときは、その通知を受けた日から三日以内に、口頭をもつて、特別審理官に対し口頭審理の請求をすることができる。

2  入国審査官は、前項の口頭審理の請求があつたときは、第四十五条第二項の調書その他の関係書類を特別審理官に提出しなければならない。

3  特別審理官は、第一項の口頭審理の請求があつたときは、容疑者に対し、時及び場所を通知して速やかに口頭審理を行わなければならない。

4  特別審理官は、前項の口頭審理を行つた場合には、口頭審理に関する調書を作成しなければならない。

5  第十条第三項から第六項までの規定は、第三項の口頭審理の手続に準用する。

6  特別審理官は、口頭審理の結果、前条第三項の認定が事実に相違すると判定したとき(容疑者が第二十四条各号のいずれにも該当しないことを理由とする場合に限る。)は、直ちにその者を放免しなければならない。

7  特別審理官は、口頭審理の結果、前条第三項の認定が事実に相違すると判定したとき(容疑者が出国命令対象者に該当することを理由とする場合に限る。)は、速やかに主任審査官にその旨を知らせなければならない。この場合において、特別審理官は、当該容疑者が第五十五条の三第一項の規定により出国命令を受けたときは、直ちにその者を放免しなければならない。

8  特別審理官は、口頭審理の結果、前条第三項の認定が誤りがないと判定したときは、速やかに主任審査官及び当該容疑者にその旨を知らせるとともに、当該容疑者に対し、第四十九条の規定により異議を申し出ることができる旨を知らせなければならない。

9  前項の通知を受けた場合において、当該容疑者が同項の判定に服したときは、主任審査官は、その者に対し、異議を申し出ない旨を記載した文書に署名させ、速やかに第五十一条の規定による退去強制令書を発付しなければならない。




5 裁決


(異議の申出)

第四十九条  前条第八項の通知を受けた容疑者は、同項の判定に異議があるときは、その通知を受けた日から三日以内に、法務省令で定める手続により、不服の事由を記載した書面を主任審査官に提出して、法務大臣に対し異議を申し出ることができる。

2  主任審査官は、前項の異議の申出があつたときは、第四十五条第二項の審査に関する調書、前条第四項の口頭審理に関する調書その他の関係書類を法務大臣に提出しなければならない。

3  法務大臣は、第一項の規定による異議の申出を受理したときは、異議の申出が理由があるかどうかを裁決して、その結果を主任審査官に通知しなければならない。

4  主任審査官は、法務大臣から異議の申出(容疑者が第二十四条各号のいずれにも該当しないことを理由とするものに限る。)が理由があると裁決した旨の通知を受けたときは、直ちに当該容疑者を放免しなければならない。

5  主任審査官は、法務大臣から異議の申出(容疑者が出国命令対象者に該当することを理由とするものに限る。)が理由があると裁決した旨の通知を受けた場合において、当該容疑者に対し第五十五条の三第一項の規定により出国命令をしたときは、直ちにその者を放免しなければならない。

6  主任審査官は、法務大臣から異議の申出が理由がないと裁決した旨の通知を受けたときは、速やかに当該容疑者に対し、その旨を知らせるとともに、第五十一条の規定による退去強制令書を発付しなければならない。



6 在留特別許可


(法務大臣の裁決の特例)

第五十条  法務大臣は、前条第三項の裁決に当たつて、異議の申出が理由がないと認める場合でも、当該容疑者が次の各号のいずれかに該当するときは、その者の在留を特別に許可することができる。
一  永住許可を受けているとき。

二  かつて日本国民として本邦に本籍を有したことがあるとき。

三  人身取引等により他人の支配下に置かれて本邦に在留するものであるとき。

四  その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき。

2  前項の場合には、法務大臣は、法務省令で定めるところにより、在留資格及び在留期間を決定し、その他必要と認める条件を付することができる。

3  法務大臣は、第一項の規定による許可(在留資格の決定を伴うものに限る。)をする場合において、当該外国人が中長期在留者となるときは、入国審査官に、当該外国人に対し、在留カードを交付させるものとする。

4  第一項の許可は、前条第四項の規定の適用については、異議の申出が理由がある旨の裁決とみなす。

    第四節 退去強制令書の執行


7 退去強制令書


(退去強制令書の方式)

第五十一条  第四十七条第五項、第四十八条第九項若しくは第四十九条第六項の規定により、又は第六十三条第一項の規定に基づく退去強制の手続において発付される退去強制令書には、退去強制を受ける者の氏名、年齢及び国籍、退去強制の理由、送還先、発付年月日その他法務省令で定める事項を記載し、かつ、主任審査官がこれに記名押印しなければならない。
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『裁判員裁判における弁護活動  その思想と戦略 』 日本弁護士連合会 編

2014-10-25 23:00:00 | 裁判員裁判
 授業で紹介された本。

 弁護側として参考になります。 


********************************
http://www.nippyo.co.jp/book/4142.html

『裁判員裁判における弁護活動  その思想と戦略』



裁判員裁判における弁護活動 日本弁護士連合会 編

ISBNコード978-4-535-51674-8  発刊日:2009.01
判型:A5判 ページ数:244ページ  


定価:税込み 3,024円(本体価格 2,800円)







内容紹介

裁判員裁判の法廷で、被告人弁護のために、弁護士はいかなる戦略で主張・立証を行うべきかを、理論的・実践的に解説する。






序文/宮崎 誠
はしがき/神山啓史
第1部 総論
第1章 裁判員制度と弁護人への期待/後藤 昭
第2章 裁判員制度の意義/小野正典
第3章 裁判員裁判の特色と弁護活動の基本/後藤貞人
第4章 裁判員裁判におけるケース・セオリー/後藤貞人・河津博史
第5章 裁判員裁判と弁護戦略/神山啓史・岡 慎一
第6章 裁判員裁判における量刑判断/神山啓史・岡 慎一
第2部 公判前整理手続・公判準備
第7章 公判前整理手続の目標/岡 慎一
第8章 証拠開示の最前線/後藤 昭・後藤貞人・岡 慎一・宮村啓太
第9章 予定主張明示と冒頭陳述/岡 慎一
第10章 検察官請求「書証」への対応/岡 慎一
第11章 裁判員選任手続/西村 健
第3部 公判弁護
第12章 冒頭陳述・弁論と「書面」/坂根 真也
第13章 法廷弁護技術の指導法/河津博史
第14章 情状弁護/神山啓史・岡 慎一
第15章 責任能力を争う事件での弁護/金岡繁裕
第16章 被害者参加への対応/鈴木一郎・大橋君平


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10月26日(日)午前、中央区月島3丁目こども元気クリニック5547-1191急病対応有り、インフル接種実施中

2014-10-25 12:16:53 | 日程、行事のお知らせ

10月26日(日) 午前 中央区月島3丁目 こども元気クリニック・病児保育室03-5547-1191急病対応致します。
 

 1)咳の風邪、2)お腹の風邪、3)お熱だけの風邪の3つのお風邪がそれぞれ、今、流行っています。
 急に寒くなって、気候の変化に体が対応できていないことが、流行の原因のひとつと考えます。
 
 喘息の子の咳も増えています。
 

 2)お腹の風邪の子も、増えてきました。
 体調崩されておられませんか?
 


 おとなも、こどもの風邪をもらいます。
 そのような場合、お子さんとご一緒に、親御さんも診察いたしますので、お気軽にお声掛けください。



 
 なおったお子さんには、日曜日に、登園許可証も記載します。
 月曜日朝一番から登園できますように、ご利用ください。



 合わせて、平日なかなか時間が作れない場合でも、休日も、予防接種を実施いたしますので、ご利用ください。

 インフルエンザ予防接種(チメロサールの含有のないより安全なものを使用しています。)も開始し、実施しています。
 
 
 お大事に。

こども元気クリニック・病児保育室
小坂和輝

中央区月島3-30-3
電話 03-5547-1191

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忘れられる権利 守らねばなりません。「新たな人権」尊重する対策を、

2014-10-25 12:01:44 | メディア・リテラシー
 ネットの弊害のひとつ。

 いかに、対策をとっていくか、難しいが、どうすればよいか考えて行きたい。



****************愛媛新聞****************************

http://www.ehime-np.co.jp/rensai/shasetsu/ren017201410250875.html


忘れられる権利 「新たな人権」尊重する対策を 2014年10月25日(土)



 インターネット上に残る個人の「情報」が、生身の人間をがんじがらめにし、現実生活さえ脅かす時代になった。「便利」や「活用」ばかりが強調されるが、プライバシーをいかに、どこまで守るかは新たな人権問題になってきている。国として早急に基本原則を確立し、対策や法整備に取り組まねばならない。

 インターネット検索サイト「グーグル」に表示される不名誉な内容の投稿で日本人男性の人格権が侵害されているとして、東京地裁は今月、検索結果の一部削除を命じた。検索サイト側に表示差し止めを求める同種訴訟は多くが棄却されており、今回の司法判断は国内初。グーグル日本法人も削除に応じた。

 ネット上に残る個人情報を一定時間経過後に削除するよう求めることは「忘れられる権利」と呼ばれる。欧州連合(EU)司法裁判所は5月、個人の「忘れられる権利」を初めて認め、統一ルールの策定を進めている。しかし、日本ではまだ定着していない。

 東京地裁の決定は、欧州の「忘れられる権利」の理念を先取りしたともいえる。公表による個人の不利益と、削除によって生じる不利益を比較衡量し、影響力の大きい検索サイトの責任を認めた判断で画期的と評価したい。

 そもそも個人情報は、第一義的に当人のもの。知らないうちに勝手に利用されたり、人格権を侵害する古い、不適切な情報の拡散を放置されたりすることは、到底容認できない。政府や検索サイト、また膨大な個人情報をビジネスに活用しようとしている企業は、その当然の原則、理念に基づく今回の司法判断を重く受け止め、個人情報保護の対策強化と「忘れられる権利」の尊重に努めねばならない。

 もちろん、表現の自由や知る権利への配慮は重要。たとえば政治家の不祥事や歴史的事実などの場合は、公益が優先されよう。その線引きとバランスは個別に判断されねばならず、削除のルールづくりや、いちいち裁判を起こさなくても迅速に救済の判断を仰げる体制の構築を急ぎたい。

 安倍政権はしかし、個人情報保護より「活用」に傾く。6月には、個人の検索・購買履歴などのデータについて、匿名化すれば「本人の同意がなくても外部提供を認める」とした大綱をまとめた。悪用を監視する第三者機関の設置も盛り込まれはしたが、実効性は疑わしい。過失による情報漏えいや悪意の流出は完全には防げず、匿名化して利用するにせよ、事前の同意と、後からでも拒否・削除できる仕組みの確立が欠かせまい。

 自分の「足跡」さえ容易には消せない、現代情報社会。「忘れられる権利」を、新たなプライバシー保護のあり方を考える手がかりとしたい。
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