「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

川﨑の事件、不安な気持ちは、担任や養護、学校カウンセラーの先生、そして私達小児科医にご相談下さい。/病児保育鋭意実施中。

公文書管理は、民主主義の根幹を支えるものです。官邸においては首相と官庁幹部の面談記録の作成・保管を。中央区でも重要な公文書の管理・保管をお願いします。

2019-06-05 17:26:14 | シチズンシップ教育
 公文書管理は、民主主義の根幹を支えるものです。政策決定プロセスの検証などで欠かせないものです。

 官邸で、その公文書の管理がなされていない事態を毎日新聞が報道して下さっています。
 「安倍晋三首相が首相官邸で官庁幹部と面談した際、官邸は議事概要などの打ち合わせ記録を一切作成していなかった。」大問題ではないでしょうか?

 中央区でも、大事な公文書の管理に、疑問を抱かざるを得ないところがあり、これからも問題提起をして参る所存です。
 例えば、風害の問題が解決されていないにもかかわらず、風害の調査資料が存在しなくなってしまっていることや、現在建設中であるにも関わらず、その再開発の都市計画審議会資料が管理保管されていないことなど。



*******毎日新聞20190605*******
https://mainichi.jp/articles/20190605/ddm/005/070/100000c

社説
ずさんな公文書法運用 首相指示の記録こそ重要
毎日新聞2019年6月5日 東京朝刊


 記録がないことには、首相が出した指示が正しかったかを後から検証する手立てがない。

 安倍晋三首相が首相官邸で官庁幹部と面談した際、官邸は議事概要などの打ち合わせ記録を一切作成していなかった。

 一方、災害対応などを担う内閣官房について、毎日新聞が幹部と首相の2017年末から約1年間の面談記録を情報公開請求したところ、面談があったことを認めた47件に記録は一件も残っていなかった。

 同年12月、政府の公文書ガイドラインが改定され、「政策や事業方針に影響を及ぼす打ち合わせは文書を作成する」よう官庁に義務付けられた。加計学園の獣医学部新設に絡む記録が関係省庁の一方にしか残っていなかった問題がきっかけだった。

 首相との面談は基本的に政策に重要な影響を及ぼすものであり、記録の義務付けの対象から外れることはありえない。だが、内閣官房は「首相の指示が簡潔明瞭だったから」といった理由で記録していなかった。

 菅義偉官房長官は記者会見で面談記録について、政策を所管する官庁側が「必要に応じて作成・保存する」ものだと主張した。だが、ガイドラインが定めているのは打ち合わせの当事者による記録の作成であり、一方への丸投げなど求めていない。

 最も大事な手続きである首相との打ち合わせの記録が作成されていないのでは、ガイドラインの改定後も、公文書管理法の趣旨が有名無実化していると言わざるを得ない。

 背景には、首相の指示が記録に残ることを嫌う現政権以前からの官邸の意向もあるとみられる。官庁がそれをそんたくし、記録を作ってこなかった可能性がある。

 公文書管理法は公文書を国民の共有財産と定めたうえ、「国の活動を将来の国民に説明する責務」をうたっている。官邸と官庁のこうした姿勢は法律の理念から程遠い。

 歴代大統領の在任中の書類を保存、公開する図書館の開設を法律で定めている米国との差も甚だしい。

 官邸機能が強化された安倍政権だからこそ、ガイドラインの運用を厳格化して打ち合わせの記録、保存を徹底しなければならない。歴史の検証に耐えられる記録を残すことは、政府が国民に対して負う責務だ。


*******毎日新聞20160603*******




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森友不開示で損害賠償3万3000円認められる!2019.05.30大阪地裁。ただし、特約条項もまた開示すべきものではなかったか???

2019-06-01 11:25:08 | シチズンシップ教育
 情報公開、情報開示は、適切になされてほしいと常々考えています。

 一部国の不開示を是認したところは、不満が残るが、当然の勝訴判決で良かったと思います。

 判決において、地中にごみが存在していたことを学園が了承する特約条項については不開示を適法としました。
 仮にごみが撤去されたとしても保護者に強い心理的嫌悪感を与えかねず学園の利益を害するおそれがあるというのが理由です。

 逆に、保護者は、大事な子ども達を通わせる場所なのだから、地中にごみが存在していることもまた、国民にとっては知るべき大事な情報であったと考えます。
 心理的嫌悪感についても、ごみを撤去する過程を、きちんとリスクコミュニケーションを実践すれば、解決できるはずのものではないでしょうか。


*******毎日新聞2019.6.01******
https://mainichi.jp/articles/20190601/ddm/005/070/027000c

森友不開示で損害賠償 官の非常識が断罪された

毎日新聞2019年6月1日 東京朝刊



 国が支払いを命じられた額は3万3000円だった。国の財政にとってはささやかなものだろうが、その意味は限りなく重い。

 森友学園が国から払い下げられた国有地の情報公開請求で、大阪地裁は売却額を不開示とした国の判断を違法とし、慰謝料などの損害賠償を命じた。

 判決は、売却額について「公表されることを前提にしていたことが想定される」として開示すべきものとした。その上で「尽くすべき注意義務を尽くさず漫然と不開示の判断をした」と断じた。

 2013~16年度に随意契約の国有地売却は104件あったが、売却額が非公表だったのは今回だけだった。当然の判決といえよう。

 官僚が情報公開の原則をゆがめ、国民に損害を与えたと認定したのが今回の司法判断だ。提訴後に売却額が公表され、訴えの利益がないとの判断もありえたが、今回は精神的苦痛を認め、賠償を命じた。適正な開示決定を受けるという人格的な利益が違法に侵害されたとの判断を示した。判決の持つ意味は大きい。

 今年3月にも、学園が計画していた小学校の学校名や設置趣意書を不開示にしたことに対する別の訴訟で、同じ理由で国が敗訴し確定した。国は深刻に受け止めるべきだ。

 一方で判決は、地中にごみが存在していたことを学園が了承する特約条項については不開示を適法とした。仮にごみが撤去されたとしても保護者に強い心理的嫌悪感を与えかねず学園の利益を害するおそれがあるというのが理由だ。

 判決は「国有財産は、売却額を算定した根拠についても公表すべき要請は高い」とも言及している。にもかかわらず、ごみの量については「正確な分量は分からないが相当量のごみが存在した」と認定するにとどめた。「不当な値引き隠しだったのではないか」と主張していた原告側に不満を残した。

 国有地はそもそも国民の財産だ。その売却などの情報を知るのは当然の権利である。官僚が恣意(しい)的に情報公開制度を運用し、ケース・バイ・ケースで開示するかどうかを判断するのは問題だ。

 情報公開制度の基本を改めて示した判決だった。
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民主主義を、これからも続けていくために最も大事なことは、おかしな世の中の問題に対して、一人ひとりが、「言うべきことを言うこと」だと思います。

2019-01-09 10:47:53 | シチズンシップ教育

 年末年始に、各紙で民主主義を取り上げたものが、目によくともったような気が致します。(気がついた記事は、下記にまとめてみます。)
 民主主義の難しさをあらためて考えさせられました。

 民主主義を、これからも続けていくために最も大事なことは、単純だけれど、おかしな世の中の問題に対して、一人ひとりが「言うべきことを言うこと」だと思います。

 その際、

 〇健全なジャーナリズム

 〇適切に保管・管理された公文書の公開・開示

 〇学問の自由が保障された大学の研究成果

 などを根拠にするなら、忖度の問題も生じることなく「言うべきことを言う」ことに繋がるのではないでしょうか。

 そのように意見を述べるひとが多いにこしたことはありませんが、それぞれの場所・機関において、100人に1人でも居てくれるなら、日本の民主主義は続くと思います。
 もちろん、芸能人もスポーツ選手も、「炭鉱のカナリア」たるべく、臆することなく、おかしいことは、おかしいと言ってほしいです。

 アーティストの技・演技と、政治的主張や考え方は、あくまで別物です。
 例えば、テレビ放送においては、政治的主張を述べたから、公共の電波から排除させると言う力はスポンサーにはないのではないかと考えます。もちろん、スポンサーにもスポンサーをやめる自由はあります。それに対し、私たちには、そのようなスポンサーを選ばない自由があります(他を選択するのが難しい場合はありますが)。


(参考:民主主義の難しさを論じた記事 特にその箇所のみ抜粋)

毎日新聞2019.01.01社説 https://mainichi.jp/articles/20190101/ddm/003/070/027000c
 抜粋:私たちはこれまでAIに対し無防備過ぎたかもしれない。ギリシャの歴史家は放縦な民主制が衆愚制や独裁制に移る「政体循環論」を説いたが、AIが「ポスト民主主義」の引き金を引くシナリオは悪夢だろう。議論をする。互いを認め合う。結論を受け入れる。リアルな肌触りを省いたら民主主義は後退する。

日本経済新聞2019.01.04 経済教室 平成の終わりに(1) 「知性の断片化」の危機回避を 猪木武徳 大阪大学名誉教授 https://www.nikkei.com/article/DGXKZO39528760Y8A221C1KE8000/
 抜粋:さらにもう一つの共通点として、両者とも人々をバラバラにして社会の連携を弱めるという性格がある。デモクラシーは、人々をアトム化し、公共的なものへの関心を弱め、自分と家族という私的世界に引きこもらせる傾向を持つ。その結果、公的な徳が枯れ、「裸の利己主義」がまん延しやすくなる。
 こうした社会を生み出す傾向を持つデモクラシーは、それが高い価値として掲げる「自由と平等」とは全く逆の価値、すなわち「専制と不平等」を生み出す危険性をはらむ。それを阻むには、地方自治が重要な役割を担わねばならない。だが日本では地域社会という身近なところから、自分たちで物事を決めていくという精神は十分成熟しているのだろうか。

毎日新聞2019.1.11 論点:民主主義の行方 インタビュー ノーム・チョムスキー アリゾナ大教授(言語学) https://mainichi.jp/articles/20190111/ddm/004/070/019000c
 抜粋:富の集中は民主主義の機能を弱らせる。なぜなら、経済力を持つ者が政府の政策決定を左右する影響力を及ぼすようになるからだ。そうなると、市民たちは「政府はもはや自分たちの代表ではない」と感じるようになり、そうした不満や怒りがデマゴーグ(大衆扇動者)の台頭につながる。デマゴーグはさまざまな問題を「他人のせい」にしようとする傾向があるため、外国人や少数派に対する差別など社会の病的症状がでてくる。
 --今後、民主主義はどうなりますか。
 分からない。ムソリーニに投獄されたイタリアの思想家アントニオ・グラムシ(1891~1937年)はファシズムが台頭した1930年代、「古い体制が崩壊し、新しい体制がまだ形づくられていない。その空白期に多くの病的な兆候が表れる」と獄中で書いた。私はあの不快な時代を覚えている。今と似ている。


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敵は、嘘。より正確に述べれば、敵は、嘘をつく政治。

2019-01-08 22:14:04 | シチズンシップ教育

 敵は、嘘。

 より正確に述べれば、敵は、嘘をつく政治。





読売新聞20190107 宝島さんの両面広告より、

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朝日新聞の提唱する「自然なこと」、「もしなにか生きづらさを感じるのなら、声をあげ、政治に責任を果たさせる。それこそが「自然」ではないだろうか。」

2018-12-31 06:07:03 | シチズンシップ教育
 朝日新聞が、平成の30年間を社説で振り返っていました。

 朝日新聞の提唱する「自然なこと」、「もしなにか生きづらさを感じるのなら、声をあげ、政治に責任を果たさせる。それこそが「自然」ではないだろうか。」
 

******朝日新聞 社説20181231*****************
https://digital.asahi.com/articles/DA3S13833823.html

(社説)平成の30年 それでも、確かなことは
2018年12月31日05時00分

 平成最後の天皇誕生日、一般参賀。2時間半立ちっぱなしで待ち続け、11時50分、さあ、いよいよ。

 「天皇陛下万歳!」

 声を上げたのは、民族派新右翼団体「統一戦線義勇軍」議長の針谷大輔さん(53)。朝6時半までタクシーに乗務し、30分仮眠して駆け付けた。「万歳!」。メンバーが後に続くが、広がりはない。会場を満たすのは日の丸の小旗が振られる音。パタパタパタ。皆が息を合わせて振り、下ろし、お言葉に静かに耳を傾け、粛々と帰途につく。

 ■格差拡大と「成熟」

 「最後だから、実物を見てみたいと思って」と話す、平成元年生まれの女性2人組。「こんな大変なイベントとは思ってなかった」と、ディズニーランドの待ち時間と比較していた20代前半くらいの男性グループ。

 熱狂はない。屈託もない。

 「つまり、『自然』ってことですよ」。針谷さんは滔々(とうとう)と語る――世の中は足早に変わる。人は自分の存在意義がわからず不安になる。冷戦が終結し、災害が頻発した平成は特にそう。でも、陛下は変わらずいて下さる。安心する。ありがたいと思う。それはごく自然な感情でナショナリズムとは違う。あなたたちリベラルは、そういう感情を否定しすぎた、だから今、力を失っているんですよ――。

 どう答えるか思案するうち、皇居外苑で記帳を待つ長い列に行き当たった。針谷さんがつぶやく。「この列の長さは、不安の深さなのかもしれませんね」

 この日集まったのは8万2850人。平成で最多だった。

 今年話題となった「新・日本の階級社会」。著者の橋本健二・早稲田大教授は「格差社会」という言葉が認知された最初の例は、1988年11月19日付の朝日新聞社説「『格差社会』でいいのか」ではないかと書く。元号が平成になる約2カ月前、時はすでにバブル。昭和最後の国民生活白書は、国民の格差に対する意識は「成熟化しつつある」とした。多くが「格差は拡大した」と実感していたが、個人の選択や努力で生じた格差は容認する傾向が強い、と。

 社説はこれを真っ向批判した。「資産課税の強化を求める声を、『女こどものひがみ』と切り捨てた政治家がいた。ひがまないのを成熟した『おとなの意識』というのなら、未熟の方がましだ」

 そして、30年。バブルの崩壊、就職氷河期、ワーキングプア……。個人の選択や努力では覆せぬ理不尽に、当事者も傍観者も仕方ないと独りごち、社会は熟した。いびつに、過剰に。

 ■残酷な個別化の浸透

 90年代半ば以降、日本の若者は雇用環境や労働条件の変化に翻弄(ほんろう)された。一方、経済の低迷や閉塞(へいそく)の原因は若者の「劣化」だとの言説が広まった。「ニート」批判はその典型だ。

 「結果、若者の雇用状況に対する政策的な対処が極めて不十分なものにとどまり、個々人のサバイバルを称揚する社会的風潮が色濃くなった。罪が深い」と、教育社会学者の本田由紀・東京大教授は話す。さらに、学校教育へのてこ入れも強化される。その基盤は2006年、安倍政権のもと、教育基本法の改正によって整えられた。

 幸福度や満足度は高いが、自己否定的。自分の能力だけで生き抜かなければと強迫観念を持ち、能力がないやつがどうなろうと知ったことではない、現状に不満はあっても変えようなんて思えない――そんな「残酷で個別化された意識」が、平成の若者の間に広く深く浸透していると本田さんは見る。ただし、若者はただバラバラにされているだけではない、とも。

 ■「自然」ってなに?

 こんなデータがある。福岡県の高校生約1600~1700人を対象に、01年、07年、13年に実施した調査結果によれば、「日本の文化や伝統は他の国よりも優れている」を肯定するのは29%→38%→55%。「行事の際に国歌・国旗を用いるべきだ」を肯定するのは、17%→26%→39%だった(友枝敏雄編「リスク社会を生きる若者たち」)。

 「つまり、『自然』ってこと」。その言葉を反芻(はんすう)する。

 天皇は、国民統合のあくまで「象徴」である。この社会のあちこちにある亀裂や分断線を修復し、「共に生きている」という安心感を醸成する責任は政治にある。ところが今、その役回りを象徴天皇に背負わせてしまっていないか。人々が抱いている不安や不満から目をそらし、力で抑え込むことさえいとわない安易かつ無責任な政治のもとで、もしなにか生きづらさを感じるのなら、声をあげ、政治に責任を果たさせる。それこそが「自然」ではないだろうか。

 もうすぐ平成が終わる。

 この先、なにがどう変わるのか、それはわからない。ただ、「こんな社会にしたい」という意志を持つことなしに、自分たちが望む社会は生まれ得ない。

 そのことだけは、確かだ。
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中立とは、何か。「私は何も考えません」では、決してない。意見を表明して、無傷でないことは、決してないけれど…

2018-12-06 09:59:34 | シチズンシップ教育

 中立とは、何か。

 意見を表明して、無傷でないことは、決してないけれど…

 傷が怖いからと言って、自分の愛するまちが壊されること、将来の子ども達に負担を負わせるようなことに手をこまねくことは、自分もできない。

*****空昌氏のSNSより*****

 

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「恣意的な事実認定」、政治の最も怖いところかつ最も注意すべきところのひとつと考えています。

2018-12-02 13:19:22 | シチズンシップ教育

 「(最高裁の)恣意的な事実認定」、木村草太氏が、ものすごく重要なことをご指摘されています。

 私も同感です。区政に接する中で、「恣意的な事実認定」がなされる現場にいくつも遭遇しています。
 看過してはならない点は、強く異議を唱えているところです。

 政治の最も怖いところかつ最も注意すべきところのひとつと考えています。

******朝日新聞2018.12.2********

 

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「慣れない」という小さな抵抗、難しいけれど、今の時代に最も大事なことかもしれません。

2018-11-25 23:00:00 | シチズンシップ教育
 「慣れない」という小さな抵抗、難しいけれど、今の時代に最も大事なことかもしれません。


********朝日新聞20181125******
https://digital.asahi.com/articles/DA3S13784097.html
(日曜に想う)「慣れない」という小さな抵抗 編集委員・福島申二
2018年11月25日05時00分


 分断にささくれる時代だから、こんな言葉を聞くとほっとする。もはや旧聞に属するが、玉城デニー沖縄県知事の当選直後のネット動画を見ると、インタビューに答える言葉が実にいい。

 「私は、誰一人として取り残さないということを訴えてきました。(与党の推した)佐喜真(さきま)さんを応援、支持された方々ともしっかり話し合い、未来の沖縄県づくりに参加していただきたい。佐喜真さんにもその気持ちで、できることがあれば一緒にがんばっていただきたい」

 ツイッターでも発信した。「誰に投票した人であれ、沖縄の未来を真剣に考えた一票だったと思います。その想いをこの一身に受け止めます」。票が単に勝ち負けを決めるだけの数字ではないことを分かっている人なのだと思う。選挙における一票について、作家の開高健が次のように言っていたのを思い出す。

 条件によってはどうにでも変わりうる無数の要素の、複雑きわまりない絡み合いに対する、単純きわまる答え。それが個々の一票であると。有権者はつまるところ、一人の候補者の名という「単純きわまる答え」でしか意思を示せない。

 何かを切り捨てなければ択一はできない。悩み抜いた末に、自分に、あるいは相手候補に投票した人も多い――そうした想像のできる、デニー氏は政治家なのだろう。出任せのきれいごとではあるまい。その言葉は、民主主義を勝ち負けの結果だけに集約させがちな昨今の政治への、静かな抵抗のように響いてくる。

     *

 さかのぼって今年2月、沖縄の名護市長選では、自公などの推す新顔が、普天間飛行場の辺野古移設に反対してきた現職を下した。筆者がかつて取材した経験からも、移設先にされた名護の人々の心の内は微妙かつ複雑だ。個々の投票の何割かは、それこそ開高が言い表したような悩ましい一票だったと推察できる。

 だが、そのあたりを記者会見で問われた菅義偉官房長官の答えは「選挙は結果がすべて」というものだった。当然と見る向きもあろう。だが、その先にあるのは意に染まない意見の切り捨てではないか。白黒つけよう、勝ちか負けか、が民主主義ではないはずである。

 思えば10年前、米大統領選の勝利演説でオバマ氏は言ったものだ。「私を支持しなかった皆さんの票はもらえなかったが、皆さんの声に耳を傾けます。私は皆さんの大統領にもなるつもりです」

 現大統領の口からは聞けそうもないセリフである。支持してくれる味方の声を聞き、その範囲にだけ言葉が届けばいいというのがトランプ流であろう。その傾向は安倍晋三首相からもうかがえる。

 沖縄で、選挙に勝ったときは結果がすべてと言い、負けたら結果を軽んじてきたやり方(今回も)は、独裁を思わせるご都合主義といって過言ではない。もう言葉を届かせる必要も感じないのか、首相が繰り返すのは「沖縄の気持ちに寄り添って」という空念仏ばかりである。

     *

 どんな異様な事態にも人は慣れてしまうものだという。「人は絞首台にも慣れる」という言葉があるのを、哲学者の鷲田清一さんの著述に教わった。

 その言葉をいま言い換えるなら「人はトランプにも慣れる」だろうか。

 大統領当選の衝撃は大きかった。就任してからの、ありえない虚言や暴言、独善、敵視、人権軽視など数々を、はじめは怒ったり難じたりしていたが、今ではそれが当たり前になってしまい、知らぬ間に慣らされてしまった自分がいる。

 「安倍政治」にも同じような感じがある。自己都合を大義にみせかける政権運営、国会すなわち国民軽視、官僚の文書改ざんや虚言、放言……。繰り返される横着や不実に「またか」と弛緩(しかん)してしまっている自分に気づくことがある。

 世界各地で分断が進み、民主主義は後退しているという。意見や立場を異にする者が、それでも肩を組んで歩こうという民主主義は、壊れやすい人類の発明品だ。沖縄への理不尽もそうだが、慣れてはならぬことには慣れないことを、日々のささやかな抵抗にしたいと思う。その大切さを、歴史は小声で語っている。
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自分の考えは大勢順応ではないか。時代のわなに陥らないためには、そう自問し続けるほかない。

2018-10-21 23:00:00 | シチズンシップ教育
 自分の考えは大勢順応ではないか。時代のわなに陥らないためには、そう自問し続けるほかない。

 自分自身も常に気をつけねばならないことのひとつにしています。


******朝日新聞20181021*******
https://digital.asahi.com/articles/DA3S13733239.html
(日曜に想う)大勢順応という時代のわな 編集委員・大野博人
2018年10月21日05時00分

 「赤狩り」旋風が吹き荒れていた1951年の米国で奇妙な実験があった。

 大学の教室に集めた7人から9人の学生に2枚のカードを見せる。1枚目には直線が1本、2枚目には長短の異なる3本が並んで描かれている。このうち1本だけが1枚目の直線と同じ長さだ。

 学生たちは、その1本が3本の中のどれかと問われる。長短はかなりはっきりしている。ふつうならまちがえる率は1%に届かない。

 だが、グループの学生のほとんどが「サクラ」で本当の被験者が1人だけだとどうなるか。「サクラ」は事前に指示されたとおり同じ誤った答えを口にする。そのときただ1人事情を知らない学生の反応は?

 多数派に引きずられて答えを誤る率が36・8%に上った。だれも同調を強制していないし、答えが違っても罰則はないにもかかわらず、である。

 社会の多数派の声がどれほど個人の判断に影響するか。それを考えるために、心理学者のソロモン・アッシュ博士が行った有名な実験だ。

 55年の米科学誌に掲載された博士の報告によると、多数派への同調の理由は一様ではない。自分がまちがっていると信じた人もいれば、全体の和を乱すのを恐れた人もいたらしい。自分に欠陥があると思い込み、それを隠そうとした例もあったという。

 コミュニケーション技術が発達して、人々の考えが操作され同意へと誘導される時代だからこんな研究をしておく必要がある、と博士は述べている。

     *

 コミュニケーション技術はその後、さらに飛躍的な発達を遂げた。博士の心配は深刻な現実となった。

 ネット社会では、人はしばしば少数派に陥ったような心細さに襲われる。まるで半世紀以上も前の教室で孤立した学生のように。

 たとえば米国のトランプ大統領を賛美するネット空間に入り込めば、違和感を抱いても判断が揺らぐ。メディアが真実を突きつけても「フェイクニュース」だと信じる側に傾く。森友・加計問題は大した話ではない、という言説があふれるところに身を置くと、なにやらそんな気がしてくる。

 直線の長短の判断でさえ、多数派と違えばぐらつく。より複雑な政治や社会の問題ではなおさらだろう。

 今、内外の政治を包む空気は右傾化やナショナリズムの高まりと呼ばれることが多い。けれど、むしろ支配的なのは大勢順応の気分ではないか。

 自民党の総裁選挙では、安倍晋三氏への支持は党員票では55%だったのに国会議員では82%という高さだった。ネット空間ではないけれど、永田町もまた狭く閉じられた空間なのだろう。そこで大勢順応に流されていく議員たちの心の動きが透けて見えるような数字だ。

 もっとも、少数派だけが集う空間に浸れば、今度はそこでの多数派に影響されるかもしれない。

 同調を重ねながら、人は自分の意見を見失っていく。

     *

 なぜ人々は世界のひどい現状を受け入れるのか。問題は人々が反抗することではなく、従ってしまうことにある――。

 そんな視点から現代を読み解いた本が昨年、フランスで話題になった。著者はパリ政治学院のフレデリック・グロ教授(政治思想)。政治的隷属や市場への服従、大勢順応などの歴史と思想をたどる。米国の同調実験にも触れている。

 みんなの意見に溶け込んだときの「綿毛で」くるまれるような心地よさ、その「地味で自発的な大勢順応」がもたらす危うさ。教授は「あなたの代わりに考えることはだれにもできない」と「従わない」姿勢の意義を強調する。

 アッシュ博士によると、実験で一貫して正しく答え続けた被験者は約4分の1。この人たちも心理的な圧力は感じたけれど、はね返したのだという。

 自分の考えは大勢順応ではないか。時代のわなに陥らないためには、そう自問し続けるほかない。
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民主主義を作る 『政治教育の模索』

2018-09-23 12:51:43 | シチズンシップ教育

 ある政治学者のご講義を聴講させていただき、ものすごく重い宿題を頂いたと感じています。

 先生曰く、「民主主義の仕組みの中では、選挙で、自治体の長を選んでも、その公約がうまくいかなくても、みんなで選んだから、あきらめる」

 「うまくいかなくても、みんなで選んだから、あきらめる…」その言外には、多くの意味が込められていると考えています。

 あきらめなくてもよい仕組みが、民主主義の中には、たくさんあります。
 また、選挙を通じて選ぶことの中でも、できることがたくさんあります。

 シチズンシップ教育の重要性が、問題を解く重要なカギのひとつだと思います。

 タイムリーに記事にもなっていました。


******朝日新聞20180922*******


 
 

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画家(桐生出身芸術家小林健二氏)と弁護士(桐生出身弁護士梓澤和幸氏)のトークショー明日21日15時~月島・あすなろの木で桐生市からライブ中継

2018-09-20 16:17:25 | シチズンシップ教育

 画家と弁護士のトークショー、いよいよ、明日9/21です。

 桐生市まで観に行けないひとのために桐生市からライブ中継し、クリニック隣の子育てひろばあすなろの木で放映致します。



<群馬県桐生市と、東京都中央区月島のあすなろの木をつなぐ、生ライブ中継>

群馬県桐生市出身の芸術家 小林健二氏と、同じく桐生出身の弁護士 梓澤和幸氏による面白トークショ-。

小林氏は、弁護士を廃業し画家へ、そして、小説家に転身。

一方、梓澤氏は「ふるさと桐生から文学を立ち上げたいと志す」現役敏腕弁護士。

群馬県桐生市を舞台に、どんな、話が飛び出すか。笑いあり、涙ありのトークショ-をお楽しみください。



日時)9月21日(金)  15:00 開演

出演)小林 健二 (芸術家)X 梓澤 和幸 (弁護士・日本ペンクラブ平和委員委員長)

参加費)無料

ライブ中継)みんなのこそだてひろば あすなろの木(中央区月島3丁目30番4号飯島ビル1F)

(実際の開催地:群馬県桐生市)

以上

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自ら不動産登記する場合の法務局 参照ページ及び 法務省 登記等のオンライン申請

2018-08-23 18:04:47 | シチズンシップ教育

 自ら不動産登記する場合の法務局 参照ページ。

 フォーマットが、できていて、助かります。

 ⇒ http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/minji79.html#05

 
 及び

 登記等のオンライン申請

 ⇒ http://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/index.html

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「地域」を一枚の図で表すとすれば。

2018-07-26 23:00:00 | シチズンシップ教育

 地域とは。

 一枚のスライドでわかりやすく説明されていたため、こちらでもご紹介させていただきます。

 和光市松本武洋市長SNSより。東海大学の河井孝仁さんの講演のスライド。

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精神的な焦燥が保護に値する利益として国家賠償が認められた事例(最高裁H3.4.26)

2018-06-03 23:00:00 | シチズンシップ教育
 精神的な焦燥が保護に値する利益として国家賠償が認められた事例(最高裁H3.4.26)

 http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/726/052726_hanrei.pdf
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六法

2018-05-06 09:39:33 | シチズンシップ教育

1、憲法
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=321CONSTITUTION

2、行政法

〇行政手続法
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=405AC0000000088

〇行政不服審査法
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=426AC0000000068

〇行政事件訴訟法
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=337AC0000000139

3、民法、
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=129AC0000000089

〇借地借家法
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=403AC0000000090#87

4、会社法
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=417AC0000000086

〇商法
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=132AC0000000048#1373

5、民事訴訟法
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=408AC0000000109


6、刑法
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=140AC0000000045

7、刑事訴訟法
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=323AC0000000131


8、経済法

〇独占禁止法
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=322AC0000000054

 

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