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憲法学課題 回答例要旨:表現の自由と青少年の保護健全育成 合憲限定解釈(明確性の基準)の論点も含め

2012-06-30 23:00:00 | シチズンシップ教育
 前のブログの憲法学課題 回答例、考え方の要約を書きます。

******原告、被告の主張の要旨******

(原告、出版社側)
1検閲に該当し条例が違憲であること
 事後規制であっても、萎縮効果が働くものは検閲と考えることができる。(芦部説)
 本条例は、検閲にあたり、検閲を禁止する憲法21条2項に反し、違憲である。

2条例の文言が漠然不明確であり条例が違憲であること
 一般人は、本条例10条1項1号「著しく性的感情を刺激」する書物とは、一体どのような書物をいうのか、理解不可能である。
 条文が明確でない法令は、予測可能性を担保するための公正な告知をなしえず、恣意的な裁量で運用される場合が生じ、萎縮効果から表現活動を控える悪影響を生むことになり、憲法21条1項の表現の自由に反し、違憲である。

3表現内容規制であり、法例違憲であること
 青少年の保護育成を目的に指定処分を行う規制手段を用いている。
 目的は青少年保護育成であり重要である。
 その手段に合理性もある。
 しかし、その目的達成のために規制手段に必要性はない。なぜならば、例えば、15歳以上に売る、その場合に親の承諾を得てから読むことの許可を受けるように本に注意書きを入れるというより制限性のない、緩やかな手段をとりうることが可能であるからである。
 よって、目的と手段の実質関連性がない表現内容規制であり、法令違憲である。

4例え法令違憲ではないとしても、本条例に基づく処分が適用違憲であること
 わいせつと一般的にいう書物にも、芸術性、文学的価値が高いものがある。
 また、そのわいせつの内容は、本の一部で判断するのではなくその巻全体、さらに3巻8巻ではなく、全巻を通して判断すべきものである。
 そこからすれば、本件漫画は、芸術性文学性に秀でた作品である。
 その作品をまで有害図書とし、処分を加えることになる条例自体、適用に違憲性がある。


(被告、B県)
1検閲には該当しないこと
 検閲とは事前に実施するものを言い、本条例は事後の規制であり、検閲にはあたらない。
 札幌税関事件判例ですでに認められている。
 本条例は、検閲にはあたらず、合憲である。

2条例の文言は、明確であるということ
 わいせつの内容は、判例の積み重ねが有り、明確になっていている。
 また、他の条文、制度の趣旨からも読み取れる。
 なお、A社は、言論を扱う出版社であり、上記状況から、たとえ一般人では理解不能であったとしても、出版社としては、理解可能である。
 明確性の原則に反してはおらず、合憲である。

3表現内容規制であるが、法令違憲ではないこと
 青少年保護という目的から、制定する側に広い立法裁量が認められている。
 青少年保護という目的の重大性からは、厳しい規制はやむを得ないところである。
 本条例により守られる利益、青少年保護と、失われる利益、わいせつ文書の有害指定とは利益こう量すれば、得られる利益のほうが大きい。
 本条例の規制は許容範囲であって、合憲である。

4適用違憲ではないこと
 本条例に基づく処分は、制度の趣旨目的に沿って行われており、処分においても合憲である。

以上


*************課題******************

次の問題文を読んで問に答えなさい。

 A社は、世界的に有名な作家である、村上春樹氏(以下「本件原作者」という。)の著作を漫画化して、その小説の面白さを高校生以上の青少年に理解させ、ひいては文学への興味を喚起する、という企画を立てた。第一弾として、ベストセラーとなった、「ノルウェーの森」(以下「本件原作」という。)を本件原作者の了解を取った上で、全8巻で漫画化した(以下、本件原作を漫画化した全8巻を「本件漫画」という)。もちろん、本件漫画は、読者層としては18歳以上が多いことから、それらの読者にも、十分に楽しんで読めるような内容とレベルに設定して、作成した。

 B県の青少年保護育成条例(以下「本件条例」という。)において、知事は、図書の内容が、著しく性的感情を刺激し、青少年の健全な育成を阻害するおそれがあると認めるときは、当該図書を有害図書として指定するものとされ(十一条一項)、右の指定をしようとするときには、緊急を要する場合を除き、県青少年保護育成審議会の意見を聴かなければならないとされている(四十四条)。A社が本件漫画を出版したところ、B県知事は、本件条例所定の手続を経た上で、本件漫画のうち、第3巻と第8巻(以下、「本件指定巻」という。)を有害図書類に指定(以下「本件指定処分」という)し、これを公示した上で、A社に通知した。これによって、A社は、本件漫画の18歳未満に対する販売が制限されてしまった。通知書に附記された理由によれば、本件指定巻に、本件条例の第十条1項一号に該当する性行為の記述があるという。また、当該通知書では、該当する頁が具体的に指摘されていた。

 以下は、本件指定処分後の、A社の本件漫画の担当者と漫画家とのやり取りである。

担当者「困りましたね。大都市を抱えるB県で有害図書類に指定されるとすると、日本中に波及する可能性がありますね。長野県以外は、この種の条例を全て制定していますから。」

漫画家「本件指定巻の性交シーンは、ヤングアダルト系(18歳以上向け)の漫画雑誌の感覚から言うと、特別、激しいものではないですよね。」

担当者「そうですよ。この程度は、弊社のヤングアダルト系の漫画雑誌では普通に描かれていますし、それがわいせつ文書に当たるとして、警察当局から呼び出されたこともありません。いまどきの、高校生なら、特別に問題とするレベルじゃないと思いますよ。」

漫画家「本件原作者は、最近出版されたインタビュー集の中で、性行為(sex)というのは、人間の魂の交流・コミュニケーションであって、重要なものである、と言っているのですから、本件指定巻は重要な部分なのですよ。」

担当者「その通りです。しかも、本件指定巻を除いた部分だけ、高校生に読ませても意味がないし、高校生に村上文学に触れてもらいたいという、弊社の出版意図は、台無しになってしまいます。そこで、現在、顧問弁護士と、法的論点を検討して、指定処分の取消しを求めるかどうかを、弊社では検討しています。」

・・・・・・・・・・・・・

 結局、A社は、本件指定処分の取消しを求める、行政訴訟を提起した。

問1 上記の通り、A社は、本件指定処分の取消し訴訟を提起することになった。あなたが、A社の代理人の弁護士であるとすれば、どのような憲法上の主張(本件指定処分が憲法に違反する旨の主張)を行うかを、述べなさい。

問2 原告(A社)の主張に対するB県の反論を想定しつつ、本問の憲法上の論点に係る自己の見解を述べなさい。
 なお、A社に対する通知書の理由附記の合憲性については、論じる必要がない。


資料)

B県青少年保護育成条例

第一条 (目的)この条例は、青少年の健全な育成に関し、基本理念及び県等の責務を明らかにし、並びに県が実施する施策の基本となる事項を定めるとともに、青少年の健全な育成を阻害するおそれのある行為を防止することにより、青少年の健全な育成を図ることを目的とする。

第二条 (定義)この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 青少年 十八歳未満の者(法律によつて成年に達したものとみなされる者を除く。)をいう。
二 保護者 親権を行う者、後見人その他の者で青少年を現に監護する者をいう。
三 興行 映画、演劇、演芸及び見せ物をいう。
四 図書類 書籍、雑誌、絵画、写真及び映写用フィルム、録音盤、磁気テープ、磁気ディスク、光ディスク光磁気ディスクその他の映像又は音声が記録された物をいう。

第三条(基本理念) 青少年の健全な育成は、青少年が、社会の一員としての使命及び役割を自覚し、夢や目標を持つて心身ともに健やかに成長するよう、家庭、学校、地域社会等の構成員の役割及び責任についての自覚とこれに基づく連携の下に行われなければならない。

第四条 (県の責務)県は、前条の基本理念にのつとり、青少年の健全な育成に関する施策を策定し、及びこれを実施する責務を有する。
2 県は、市町村が行う青少年の健全な育成に関する施策を支援するとともに、この条例の施行に関し市町村と密接な連携を図るものとする。
3 県は、青少年の健全な育成に関する調査、研究及び情報の収集に努めるとともに、県民及び関係機関に対して必要な情報を提供しなければならない。

第六条 (事業者の責務)事業者は、事業活動を行うに当たつては、その社会的責任を自覚し、青少年の健全な育成に配慮するよう努めなければならない。

第九条(業者の自主規制) 興行を主催し、図書類を取り扱う者その他この章の規定の適用を受ける業者は、県の行う青少年の健全な育成に関する施策に協力するとともに、相互に協力して自主的な規制措置を講じることにより、青少年の健全な育成を阻害することのないように努めなければならない。

第十条 (有害興行の指定等)知事は、興行の内容が次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、当該興行を有害興行として指定するものとする。
一 著しく性的感情を刺激し、青少年の健全な育成を阻害するおそれがあるもの
二 著しく残忍性を助長し、青少年の健全な育成を阻害するおそれがあるもの
三 著しく犯罪又は自殺を誘発し、青少年の健全な育成を阻害するおそれがあるもの
2 知事は、有害興行を指定したときは、その旨及び理由を一般に公示するとともに同種の興行を行う興行場を経営する者及び当該興行を主催する者(以下「興行者」と総称する。)に通知しなければならない。ただし、通知することができない場合又は困難な場合は、この限りでない。

第十一条 (有害図書類等の指定等)知事は、図書類又はがん具その他これに類する物(以下「がん具等」という。)の内容、形状、構造、機能等が前条第一項各号のいずれかに該当すると認めるときは、当該図書類又はがん具等を有害図書類又は有害がん具等(以下「有害図書類等」という。)として指定するものとする。
2 前項の規定にかかわらず、次の各号に掲げるものは、有害図書類等とする。
一 書籍又は雑誌で、特に卑わいな姿態若しくは性行為を被写体とした写真又はこれらを描写した絵が、規則で定めるところにより知事が指定した内容のものと認められる刊行物のうち、当該写真又は絵を掲載する紙面(表紙を含む。)が五ぺージ以上又は編集紙面の五分の一以上を占めるもの
二 以下略
3 知事は、第一項の規定により有害図書類等を指定したときは、その旨及び理由を一般に公示するとともに図書類等を販売し、貸し付け、閲覧させ、又は視聴させることを業とする者(以下「図書類等取扱業者」という。)に通知しなければならない。ただし、通知することができない場合又は困難な場合は、この限りでない。
4 知事は、第二項の規定により写真若しくは絵又は描写の場面(以下「写真等」という。)の内容を指定したときは、その旨及び理由を一般に公示しなければならない。

第十二条 (有害指定図書類等の供覧の禁止等)何人も、前条第一項の規定により指定を受けた有害図書類等及び同条第二項の規定により指定を受けた内容を有する有害図書類等(以下「有害指定図書類等」と総称する。)を、青少年に見せ、聞かせ、読ませ、又は使用させてはならない。
2 図書類等取扱業者は、有害指定図書類等を青少年(当該営業に関し成年者と同一の能力を有する者を除く。第十七条及び第二十条から第二十二条までにおいて同じ。)に販売し、配付し、貸し付け、閲覧させ、又は視聴させてはならない。

第十三条 (有害指定図書類等の陳列方法等)図書類等取扱業者は、有害指定図書類等を陳列するときは、当該有害指定図書類等を他の図書類等と区分し、営業所の屋内の容易に監視することのできる場所に置き、及び規則で定めるところにより青少年の目にふれないような方法をとらなければならない。
2 知事は、前項の規定に違反している者に対し、期限を定めて、その状態を除去するために必要な限度において、有害指定図書類等の陳列の場所を変更し、又はその陳列の方法を改善すべきことを勧告することができる。
3 知事は、前項の規定による勧告を受けた者がその勧告に従わないときは、期限を定めて、その勧告に従うべきことを命ずることができる

第四十四条 (諮問等)知事は、次の各号のいずれかに該当する場合は、県青少年育成審議会の意見を聴かなければならない。ただし、緊急を要する場合は、この限りでない。
一 第八条の規定により優良興行又は優良図書類を推奨しようとするとき。
二 第十条の規定により有害興行を指定し、又はこれを取り消そうとするとき。
三 第十一条の規定により有害図書類等又は写真等の内容を指定しようとするとき。
四 以下略
2 知事は、前項ただし書の規定により同項各号に規定する推奨、指定若しくは指定の取消し又は命令をしたときは、速やかにその旨を県青少年育成審議会に報告しなければならない。

第五十二条(罰則) 次の各号のいずれかに該当する者は、二十万円以下の罰金又は科料に処する。
一 第十条第三項の規定に違反して青少年に有害興行を観覧させた者
二 第十三条第三項の規定による命令に従わなかつた者
三 以下略

以上
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憲法学課題:表現の自由と青少年の保護健全育成 合憲限定解釈(明確性の基準)の論点も含め

2012-06-29 09:49:31 | シチズンシップ教育

 憲法の中で、私の好きな条文は、23条。「第二十三条  学問の自由は、これを保障する。」

 これとともに、もっとも守るべき、そして、国に守らせるべき条文のひとつは、憲法21条に謳う表現の自由。

 表現の自由が機能しなければ、民主主義の社会はまったく機能しなくなるおそれが出てきます。

*****憲法*****
第二十一条  集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
○2  検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
************

 表現の自由を題材にした憲法学の課題が出されました。

 
 今回課題の表現は、政治的言論ではございませんが、表現の自由は最大限尊重していかねばならないものです。

 課題の中のもうひとつのポイントは、行政法規の条文の明確性、こちらも大いに注視していかねばなりません。
 その関連は、藤田裁判官の反対意見を以前掲載いたしました。http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/af4ef6f3f719fa0c4895e7be742de0cf 



 明日6/30がその検討の授業。


 一緒に、考えてみてください。



*************課題******************

次の問題文を読んで問に答えなさい。

 A社は、世界的に有名な作家である、村上春樹氏(以下「本件原作者」という。)の著作を漫画化して、その小説の面白さを高校生以上の青少年に理解させ、ひいては文学への興味を喚起する、という企画を立てた。第一弾として、ベストセラーとなった、「ノルウェーの森」(以下「本件原作」という。)を本件原作者の了解を取った上で、全8巻で漫画化した(以下、本件原作を漫画化した全8巻を「本件漫画」という)。もちろん、本件漫画は、読者層としては18歳以上が多いことから、それらの読者にも、十分に楽しんで読めるような内容とレベルに設定して、作成した。

 B県の青少年保護育成条例(以下「本件条例」という。)において、知事は、図書の内容が、著しく性的感情を刺激し、青少年の健全な育成を阻害するおそれがあると認めるときは、当該図書を有害図書として指定するものとされ(十一条一項)、右の指定をしようとするときには、緊急を要する場合を除き、県青少年保護育成審議会の意見を聴かなければならないとされている(四十四条)。A社が本件漫画を出版したところ、B県知事は、本件条例所定の手続を経た上で、本件漫画のうち、第3巻と第8巻(以下、「本件指定巻」という。)を有害図書類に指定(以下「本件指定処分」という)し、これを公示した上で、B社に通知した。これによって、B社は、本件漫画の18歳未満に対する販売が制限されてしまった。通知書に附記された理由によれば、本件指定巻に、本件条例の第十条1項一号に該当する性行為の記述があるという。また、当該通知書では、該当する頁が具体的に指摘されていた。

 以下は、本件指定処分後の、A社の本件漫画の担当者と漫画家とのやり取りである。

担当者「困りましたね。大都市を抱えるB県で有害図書類に指定されるとすると、日本中に波及する可能性がありますね。長野県以外は、この種の条例を全て制定していますから。」

漫画家「本件指定巻の性交シーンは、ヤングアダルト系(18歳以上向け)の漫画雑誌の感覚から言うと、特別、激しいものではないですよね。」

担当者「そうですよ。この程度は、弊社のヤングアダルト系の漫画雑誌では普通に描かれていますし、それがわいせつ文書に当たるとして、警察当局から呼び出されたこともありません。いまどきの、高校生なら、特別に問題とするレベルじゃないと思いますよ。」

漫画家「本件原作者は、最近出版されたインタビュー集の中で、性行為(sex)というのは、人間の魂の交流・コミュニケーションであって、重要なものである、と言っているのですから、本件指定巻は重要な部分なのですよ。」

担当者「その通りです。しかも、本件指定巻を除いた部分だけ、高校生に読ませても意味がないし、高校生に村上文学に触れてもらいたいという、弊社の出版意図は、台無しになってしまいます。そこで、現在、顧問弁護士と、法的論点を検討して、指定処分の取消しを求めるかどうかを、弊社では検討しています。」

・・・・・・・・・・・・・

 結局、A社は、本件指定処分の取消しを求める、行政訴訟を提起した。

問1 上記の通り、A社は、本件指定処分の取消し訴訟を提起することになった。あなたが、A社の代理人の弁護士であるとすれば、どのような憲法上の主張(本件指定処分が憲法に違反する旨の主張)を行うかを、述べなさい。

問2 原告(A社)の主張に対するB県の反論を想定しつつ、本問の憲法上の論点に係る自己の見解を述べなさい。
 なお、A社に対する通知書の理由附記の合憲性については、論じる必要がない。


資料)

B県青少年保護育成条例

第一条 (目的)この条例は、青少年の健全な育成に関し、基本理念及び県等の責務を明らかにし、並びに県が実施する施策の基本となる事項を定めるとともに、青少年の健全な育成を阻害するおそれのある行為を防止することにより、青少年の健全な育成を図ることを目的とする。

第二条 (定義)この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 青少年 十八歳未満の者(法律によつて成年に達したものとみなされる者を除く。)をいう。
二 保護者 親権を行う者、後見人その他の者で青少年を現に監護する者をいう。
三 興行 映画、演劇、演芸及び見せ物をいう。
四 図書類 書籍、雑誌、絵画、写真及び映写用フィルム、録音盤、磁気テープ、磁気ディスク、光ディスク光磁気ディスクその他の映像又は音声が記録された物をいう。

第三条(基本理念) 青少年の健全な育成は、青少年が、社会の一員としての使命及び役割を自覚し、夢や目標を持つて心身ともに健やかに成長するよう、家庭、学校、地域社会等の構成員の役割及び責任についての自覚とこれに基づく連携の下に行われなければならない。

第四条 (県の責務)県は、前条の基本理念にのつとり、青少年の健全な育成に関する施策を策定し、及びこれを実施する責務を有する。
2 県は、市町村が行う青少年の健全な育成に関する施策を支援するとともに、この条例の施行に関し市町村と密接な連携を図るものとする。
3 県は、青少年の健全な育成に関する調査、研究及び情報の収集に努めるとともに、県民及び関係機関に対して必要な情報を提供しなければならない。

第六条 (事業者の責務)事業者は、事業活動を行うに当たつては、その社会的責任を自覚し、青少年の健全な育成に配慮するよう努めなければならない。

第九条(業者の自主規制) 興行を主催し、図書類を取り扱う者その他この章の規定の適用を受ける業者は、県の行う青少年の健全な育成に関する施策に協力するとともに、相互に協力して自主的な規制措置を講じることにより、青少年の健全な育成を阻害することのないように努めなければならない。

第十条 (有害興行の指定等)知事は、興行の内容が次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、当該興行を有害興行として指定するものとする。
一 著しく性的感情を刺激し、青少年の健全な育成を阻害するおそれがあるもの
二 著しく残忍性を助長し、青少年の健全な育成を阻害するおそれがあるもの
三 著しく犯罪又は自殺を誘発し、青少年の健全な育成を阻害するおそれがあるもの
2 知事は、有害興行を指定したときは、その旨及び理由を一般に公示するとともに同種の興行を行う興行場を経営する者及び当該興行を主催する者(以下「興行者」と総称する。)に通知しなければならない。ただし、通知することができない場合又は困難な場合は、この限りでない。

第十一条 (有害図書類等の指定等)知事は、図書類又はがん具その他これに類する物(以下「がん具等」という。)の内容、形状、構造、機能等が前条第一項各号のいずれかに該当すると認めるときは、当該図書類又はがん具等を有害図書類又は有害がん具等(以下「有害図書類等」という。)として指定するものとする。
2 前項の規定にかかわらず、次の各号に掲げるものは、有害図書類等とする。
一 書籍又は雑誌で、特に卑わいな姿態若しくは性行為を被写体とした写真又はこれらを描写した絵が、規則で定めるところにより知事が指定した内容のものと認められる刊行物のうち、当該写真又は絵を掲載する紙面(表紙を含む。)が五ぺージ以上又は編集紙面の五分の一以上を占めるもの
二 以下略
3 知事は、第一項の規定により有害図書類等を指定したときは、その旨及び理由を一般に公示するとともに図書類等を販売し、貸し付け、閲覧させ、又は視聴させることを業とする者(以下「図書類等取扱業者」という。)に通知しなければならない。ただし、通知することができない場合又は困難な場合は、この限りでない。
4 知事は、第二項の規定により写真若しくは絵又は描写の場面(以下「写真等」という。)の内容を指定したときは、その旨及び理由を一般に公示しなければならない。

第十二条 (有害指定図書類等の供覧の禁止等)何人も、前条第一項の規定により指定を受けた有害図書類等及び同条第二項の規定により指定を受けた内容を有する有害図書類等(以下「有害指定図書類等」と総称する。)を、青少年に見せ、聞かせ、読ませ、又は使用させてはならない。
2 図書類等取扱業者は、有害指定図書類等を青少年(当該営業に関し成年者と同一の能力を有する者を除く。第十七条及び第二十条から第二十二条までにおいて同じ。)に販売し、配付し、貸し付け、閲覧させ、又は視聴させてはならない。

第十三条 (有害指定図書類等の陳列方法等)図書類等取扱業者は、有害指定図書類等を陳列するときは、当該有害指定図書類等を他の図書類等と区分し、営業所の屋内の容易に監視することのできる場所に置き、及び規則で定めるところにより青少年の目にふれないような方法をとらなければならない。
2 知事は、前項の規定に違反している者に対し、期限を定めて、その状態を除去するために必要な限度において、有害指定図書類等の陳列の場所を変更し、又はその陳列の方法を改善すべきことを勧告することができる。
3 知事は、前項の規定による勧告を受けた者がその勧告に従わないときは、期限を定めて、その勧告に従うべきことを命ずることができる

第四十四条 (諮問等)知事は、次の各号のいずれかに該当する場合は、県青少年育成審議会の意見を聴かなければならない。ただし、緊急を要する場合は、この限りでない。
一 第八条の規定により優良興行又は優良図書類を推奨しようとするとき。
二 第十条の規定により有害興行を指定し、又はこれを取り消そうとするとき。
三 第十一条の規定により有害図書類等又は写真等の内容を指定しようとするとき。
四 以下略
2 知事は、前項ただし書の規定により同項各号に規定する推奨、指定若しくは指定の取消し又は命令をしたときは、速やかにその旨を県青少年育成審議会に報告しなければならない。

第五十二条(罰則) 次の各号のいずれかに該当する者は、二十万円以下の罰金又は科料に処する。
一 第十条第三項の規定に違反して青少年に有害興行を観覧させた者
二 第十三条第三項の規定による命令に従わなかつた者
三 以下略

以上

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犯罪行為の分析における責任(責任能力、責任故意、適法行為の期待可能性)とは。刑法39、41、38条

2012-06-28 16:20:33 | シチズンシップ教育
 刑法における、責任についての考え方を見てみます。

 責任は、犯罪成立を判断するうえで、1構成要件該当性、2違法性、3責任(有責性)の3つの重要な分析項目のひとつです。


A先生

 犯罪行為は、形式的には、刑法で規定されたどの犯罪カタログのことを行われたかみられ(構成要件該当性)、実質的には、違法性と責任(有責性)があるかどうかがみられ、最終的に成立の可否や罪責が決められます。

 「責任」とは、行為者に対する非難可能性であり、非難できなければ、罰せられません。「責任なければ刑罰なし」と言われます。

 責任の判断は、個別的に判断されます。「違法性は連帯的に、責任は個別的に」と言われます。



Q君 責任があるかどうかは、どういう要素で判断されるのですか?


A先生

 「責任能力」「故意又は過失」そして「適法行為の期待可能性」で判断されます。

 「期待可能性」は、条文には書かれていませんが、規範的観点から判断されます。


Q君 責任能力とは?

A先生 「事物の是非善悪を弁別し、それに従って行動する能力」です。

 刑法39条に規定されています。

*****刑法***
(心神喪失及び心神耗弱)
第三十九条  心神喪失者の行為は、罰しない。
2  心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。
**********

 心神喪失者とは、精神の障害によって、事柄の是非善悪を弁えることができず、あるいはその弁えに従って行動することができない場合をいいます。
 責任無能力者となり、犯罪は成立しません。精神医療の措置がとられます。

 心身耗弱者とは、精神の障害によって、是非善悪を弁える力、その弁えによって行為する力が著しく低下している場合をいいます。
 限定責任能力者となり、必ず、刑が減軽されます。


 もう一つの場合があります。
 刑事未成年者です。

 刑法41条で規定されています。

*****刑法****
(責任年齢)
第四十一条  十四歳に満たない者の行為は、罰しない。
***********

 判断能力があっても13歳未満は、刑事責任は問われません。よって刑法ではなく、少年法により対応が定められていきます。
 年少者は可塑性があり、刑事処罰を控えめにする政策的判断により、14歳と規定されています。


Q君 責任能力の有無や程度の判断方法はどうするのですか?
  医師に判断を任せるのですか?


A先生 まさにこの判断は、難しいもののひとつです。

  裁判員裁判でも、未必の故意、正当防衛などとともに、難しい判断とされているところです。


 責任能力は、「精神の障害」という生物学的要件と「是非善悪の弁識能力と行動制御能力」という心理学的要件で判断されます。

 責任能力は、あくまで法律上の概念、法律判断であり、精神医学者ら専門家の鑑定は経ても、たとえその鑑定書で「心神喪失」「心神耗弱」と書かれていたとしても、最終的には、裁判官が、判断をします。

 その判断も、継続的な要素で判断するのではなく、その行為の一点でどうであったかという判断をします。


Q君 次に責任における故意過失について教えてください。

A先生 罪を犯す意思があることを「故意」ありといいます。

   責任故意が、犯罪成立には必要です。

  この場合、問題となるのが、錯誤の問題です。

 錯誤とは、主観と客観の不一致のこと。

 事実の錯誤は、故意がなかったとされますが、法律の錯誤は、故意がなかったとされません。
 
 事実を知らなかったことは、許されても、法律を知らなかったことは、許されないのです。

 刑法38条3項で述べられています。

******刑法*****
(故意)
第三十八条  罪を犯す意思がない行為は、罰しない。ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでない。
2  重い罪に当たるべき行為をしたのに、行為の時にその重い罪に当たることとなる事実を知らなかった者は、その重い罪によって処断することはできない。
3  法律を知らなかったとしても、そのことによって、罪を犯す意思がなかったとすることはできない。ただし、情状により、その刑を減軽することができる。
*************


Q君 では、事実の錯誤は、どんな場合ですか?

A先生 別に自分が襲われたわけではないが、暗がりで前のひとが手を挙げてきたので、襲われたと思って(事実の錯誤)蹴り返した場合などです。こういう場面を「誤想防衛」と言われます。

 刑法36条1項の正当防衛の場面です。

****刑法****
(正当防衛)
第三十六条  急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
2  防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
*********

 このような場合、事実の錯誤として、責任故意がないものとされます。(多数説)

 

Q君 最後に、「適法行為の期待可能性」とは?


A先生 超法規的責任阻却事由と言われています。
   条文には、ありません。

Q君 具体的には、どんな場合ですか?

A先生 ある教団グループにおいて、あるひとに対して、リンチが上のひとの命令でなされたとします。
   そして、もし、その命令に従わないと自分の命が奪われるようなとき、その上のひとに、よくないからリンチをやめろと進言することが、はたしてできるかどうかという問題です。

  刑法では、期待可能性を考慮したと思われる規定の例はあります。

 過剰防衛(刑法36条2項)、犯人蔵匿や隠避罪における親族間の特例(刑法105条)、偽造通貨収得後知情行使罪(刑法152条)などです。

 襲われた場合の反撃行動、罪を犯した親族を匿ってしまうこと、偽札をつかまされてしまった場合など各場面で、適法行為の期待可能性が配慮されています。

****刑法****
(正当防衛)
第三十六条  急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
2  防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。

(犯人蔵匿等)
第百三条  罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、二年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。

(証拠隠滅等)
第百四条  他人の刑事事件に関する証拠を隠滅し、偽造し、若しくは変造し、又は偽造若しくは変造の証拠を使用した者は、二年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。

(親族による犯罪に関する特例)
第百五条  前二条の罪については、犯人又は逃走した者の親族がこれらの者の利益のために犯したときは、その刑を免除することができる。

(収得後知情行使等)
第百五十二条  貨幣、紙幣又は銀行券を収得した後に、それが偽造又は変造のものであることを知って、これを行使し、又は行使の目的で人に交付した者は、その額面価格の三倍以下の罰金又は科料に処する。ただし、二千円以下にすることはできない。

**********

 期待可能性の判断基準は、行為者基準か、平均人(一般人)基準か、国家基準か、それは裁判所の判断で、基準が決められます。


以上、
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外国の相手方との取引契約などで、どこの国の法を準拠法として適用すべきか:法の適用に関する通則法7-12条

2012-06-28 10:53:04 | シチズンシップ教育

 国際私法の分野で重要な法律である「法の適用に関する通則法(平成十八年六月二十一日法律第七十八号)」。

 契約関連のことがら(債権のうちの任意債権)で、どの国の法を適用するかという準拠法について整理します。
 (身分関係は、24条以下、物権は13条。不法行為など法定債権は15-22条)

 青字、下線は、小坂。


****************************

第三章 準拠法に関する通則

第二節 法律行為


(当事者による準拠法の選択)
第七条  法律行為の成立及び効力は、当事者が当該法律行為の当時に選択した地の法による。

→法律行為の成立及び効力 原則は、選択した地

 明示でも黙示でもどちらでもよい。

 例えば、7/10に準拠法についての署名をする。7/30に契約書の署名。その場合、契約が成立したかどうか、7/10に署名された準拠法で判断される。

 次に特則である9条へ。
 

(当事者による準拠法の選択がない場合)
第八条  前条の規定による選択がないときは、法律行為の成立及び効力は、当該法律行為の当時において当該法律行為に最も密接な関係がある地の法による。
2  前項の場合において、法律行為において特徴的な給付を当事者の一方のみが行うものであるときは、その給付を行う当事者の常居所地法(その当事者が当該法律行為に関係する事業所を有する場合にあっては当該事業所の所在地の法、その当事者が当該法律行為に関係する二以上の事業所で法を異にする地に所在するものを有する場合にあってはその主たる事業所の所在地の法)を当該法律行為に最も密接な関係がある地の法と推定する。
3  第一項の場合において、不動産を目的物とする法律行為については、前項の規定にかかわらず、その不動産の所在地法を当該法律行為に最も密接な関係がある地の法と推定する。

→7,9条の例外。 
 準拠法の選択の明示・黙示がない場合。その時は、最も密接な関係がある法を用いる。(1項)

 では、「最も密接な関係がある地」とは、何をもって「密接」というのか。2項、3項で規定。

 2項 不動産以外の場合。

 3項 不動産の場合。

 2項、3項とも「推定する」故、争いになる。
 

(当事者による準拠法の変更)
第九条  当事者は、法律行為の成立及び効力について適用すべき法を変更することができる。ただし、第三者の権利を害することとなるときは、その変更をその第三者に対抗することができない。

→特則。原則の7条とセットで考える。
 準拠法を決めていても、変更が可能。

 7、8、9条の整理。
 選択した法を変更するならまず9条。変更しないなら7条。準拠法の明示・黙示がないなら8条。最も密接な関係がある地として2項3項で判断。


(法律行為の方式)
第十条  法律行為の方式は、当該法律行為の成立について適用すべき法(当該法律行為の後に前条の規定による変更がされた場合にあっては、その変更前の法)による。
2  前項の規定にかかわらず、行為地法に適合する方式は、有効とする。
3  法を異にする地に在る者に対してされた意思表示については、前項の規定の適用に当たっては、その通知を発した地を行為地とみなす。
4  法を異にする地に在る者の間で締結された契約の方式については、前二項の規定は、適用しない。この場合においては、第一項の規定にかかわらず、申込みの通知を発した地の法又は承諾の通知を発した地の法のいずれかに適合する契約の方式は、有効とする。
5  前三項の規定は、動産又は不動産に関する物権及びその他の登記をすべき権利を設定し又は処分する法律行為の方式については、適用しない。

→7,8,9条は、実質的成立要件のみ。10条は形式。

 3項は、「みなす」ゆえ、それ以上の争いはできない。「推定」ではない。

 

(消費者契約の特例)
第十一条  消費者(個人(事業として又は事業のために契約の当事者となる場合におけるものを除く。)をいう。以下この条において同じ。)と事業者(法人その他の社団又は財団及び事業として又は事業のために契約の当事者となる場合における個人をいう。以下この条において同じ。)との間で締結される契約(労働契約を除く。以下この条において「消費者契約」という。)の成立及び効力について第七条又は第九条の規定による選択又は変更により適用すべき法が消費者の常居所地法以外の法である場合であっても、消費者がその常居所地法中の特定の強行規定を適用すべき旨の意思を事業者に対し表示したときは、当該消費者契約の成立及び効力に関しその強行規定の定める事項については、その強行規定をも適用する。

2  消費者契約の成立及び効力について第七条の規定による選択がないときは、第八条の規定にかかわらず、当該消費者契約の成立及び効力は、消費者の常居所地法による。

3  消費者契約の成立について第七条の規定により消費者の常居所地法以外の法が選択された場合であっても、当該消費者契約の方式について消費者がその常居所地法中の特定の強行規定を適用すべき旨の意思を事業者に対し表示したときは、前条第一項、第二項及び第四項の規定にかかわらず、当該消費者契約の方式に関しその強行規定の定める事項については、専らその強行規定を適用する。

4  消費者契約の成立について第七条の規定により消費者の常居所地法が選択された場合において、当該消費者契約の方式について消費者が専らその常居所地法によるべき旨の意思を事業者に対し表示したときは、前条第二項及び第四項の規定にかかわらず、当該消費者契約の方式は、専ら消費者の常居所地法による。

5  消費者契約の成立について第七条の規定による選択がないときは、前条第一項、第二項及び第四項の規定にかかわらず、当該消費者契約の方式は、消費者の常居所地法による。

6  前各項の規定は、次のいずれかに該当する場合には、適用しない。
一  事業者の事業所で消費者契約に関係するものが消費者の常居所地と法を異にする地に所在した場合であって、消費者が当該事業所の所在地と法を同じくする地に赴いて当該消費者契約を締結したとき。ただし、消費者が、当該事業者から、当該事業所の所在地と法を同じくする地において消費者契約を締結することについての勧誘をその常居所地において受けていたときを除く。
二  事業者の事業所で消費者契約に関係するものが消費者の常居所地と法を異にする地に所在した場合であって、消費者が当該事業所の所在地と法を同じくする地において当該消費者契約に基づく債務の全部の履行を受けたとき、又は受けることとされていたとき。ただし、消費者が、当該事業者から、当該事業所の所在地と法を同じくする地において債務の全部の履行を受けることについての勧誘をその常居所地において受けていたときを除く。
三  消費者契約の締結の当時、事業者が、消費者の常居所を知らず、かつ、知らなかったことについて相当の理由があるとき。
四  消費者契約の締結の当時、事業者が、その相手方が消費者でないと誤認し、かつ、誤認したことについて相当の理由があるとき。

→消費者契約の特例。

 クーリングオフなどが適用されやすくするため、10条によらず、消費者の常居所地法になるようにしている。

 ただし、6項で、「能動的消費者」(海外に出向き、仕入れる消費者)は、適用除外とする。


(労働契約の特例)
第十二条  労働契約の成立及び効力について第七条又は第九条の規定による選択又は変更により適用すべき法が当該労働契約に最も密接な関係がある地の法以外の法である場合であっても、労働者が当該労働契約に最も密接な関係がある地の法中の特定の強行規定を適用すべき旨の意思を使用者に対し表示したときは、当該労働契約の成立及び効力に関しその強行規定の定める事項については、その強行規定をも適用する。

2  前項の規定の適用に当たっては、当該労働契約において労務を提供すべき地の法(その労務を提供すべき地を特定することができない場合にあっては、当該労働者を雇い入れた事業所の所在地の法。次項において同じ。)を当該労働契約に最も密接な関係がある地の法と推定する。

3  労働契約の成立及び効力について第七条の規定による選択がないときは、当該労働契約の成立及び効力については、第八条第二項の規定にかかわらず、当該労働契約において労務を提供すべき地の法を当該労働契約に最も密接な関係がある地の法と推定する。

→労働契約の特例。

 選択した法を変更するならまず9条。変更しないなら7条。準拠法の明示・黙示がないなら12条で、労務を提供すべき地の法。

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メモ:アーンスタインによる民度

2012-06-27 16:17:42 | 地方分権改革
アーンスタインによる民度。


1 - 情報操作による世論誘導

2 - 不満をそらす操作

3 - 一方的な情報提供

4 - 形式的な意見聴取

5 - 形式的な参加機会の増加

6 - 官民による共同作業

7 - 部分的な権限委譲

8 - 市民による自主管理
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生活保護開始「仮の義務付け」申し立て その判決から学ぶべき点 那覇地裁H21.12.22一つの模範例

2012-06-27 09:49:09 | シチズンシップ教育

 一つ前のブログhttp://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/3badda75afba5b4da8a560b459dd20b5の生活保護の件、掲載したのは、高等裁判所の判例でしたが、より詳細で、参考になるのは、一審の地裁判決であり、その判決を掲載します。


 この判決(決定)の学ぶべき点のひとつは、生活保護の仮の義務付け申し立ての場合、その判決以後から支給し始めるのがふつうであるところ、家賃分と医療費補助を過去にさかのぼって支給をし始めるべきことを言っている点です。

 また、本来年金担保貸付を利用している方への生活保護は適用しないのが基本ですが、特別の事情(「保護受給前に年金担保貸付を利用したことについて、社会通念上、真にやむを得ない状況にあったかどうか。」)で可とすることを厚労省は指針「生活保護行政を適正に運営するための手引きについて(平成18年厚生労働省社会・援護局保護課長通知)」で出しており、そのことをきちんと適用しています。


 判決の構造は、仮の義務付けを規定する行政事件訴訟法第37条の5 2項、3項にそって、分析がなされています。


 本案訴訟だけでは、意味をなしません。ものごとが進んでしまって、取り返しのつかない事態が生じてしまう、既成事実の積み重ねがなされてしまうわけであり、仮の義務付け、仮の救済は、本案提起とセットできちんと使わねば、ならないと思うところです。

*行政事件訴訟法
第三十七条の五  義務付けの訴えの提起があつた場合において、その義務付けの訴えに係る処分又は裁決がされないことにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、本案について理由があるとみえるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、仮に行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずること(以下この条において「仮の義務付け」という。)ができる。
2  差止めの訴えの提起があつた場合において、その差止めの訴えに係る処分又は裁決がされることにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、本案について理由があるとみえるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、仮に行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずること(以下この条において「仮の差止め」という。)ができる。
3  仮の義務付け又は仮の差止めは、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるときは、することができない。

****最高裁ホームページより*****
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=80351&hanreiKbn=05


事件番号

 平成21(行ク)7



事件名

 生活保護開始仮の義務付け申立て事件



裁判年月日

 平成21年12月22日



裁判所名

 那覇地方裁判所  

判決文全文
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20100628164516.pdf

- 1 -
主文
1 処分行政庁は,平成21年6月22日付けで申立人に対してした生活
保護申請却下処分に伴う本案事件(平成▲年(行ウ)第▲号・生活保護
開始申請却下取消等請求事件のうち義務付けに係る部分)の第1審判決
が言い渡されるまでの間,申立人に対し,以下のとおり,生活保護を仮
に開始せよ。
(1) 生活扶助として,平成21年12月から平成22年10月まで毎
月1日限り5万4634円を,同年11月から毎月1日限り4万03
17円を仮に支払え。
(2) 住宅扶助として,平成21年10月から毎月1日限り2万250
0円を仮に支払え。
(3) 医療扶助として,平成21年6月1日から本決定の日までに要し
た医療費のうち,申立人の医療機関に対する未払部分に相当する金額
を仮に支払い,本決定の日の翌日から仮に現物給付せよ。
2 申立人のその余の申立てを却下する。
3 申立費用は相手方の負担とする。

理由
第1 申立ての趣旨
処分行政庁は,平成21年6月22日付けで申立人に対してした生活保護申
請却下処分に伴う本案事件の判決が言い渡されるまでの間,同月1日から生活
保護を仮に開始し,同月から毎月1日限り8万6634円及びこれらの支払日
の翌日から年5分の割合による金員を仮に支払え(なお,後記第2の2記載の
申立人の主張にかんがみれば,本件申立てが求める保護の種類は,生活扶助及
び住宅扶助のみならず医療扶助を含むものと解される。)。

第2 事案の概要
1 本件は,申立人が,平成21年6月1日,処分行政庁に対し,生活保護の開
- 2 -
始を申請(以下「本件申請」という。)したところ,処分行政庁が同月22日
付けで本件申請を却下(以下「本件却下処分」という。)したため,申立人
が,本件却下処分の取消訴訟と共に提起した処分行政庁が申立人に対して生活
保護を開始して生活扶助等を支給することの義務付けの訴えを本案として,生
活保護を開始して生活扶助等を支給することの仮の義務付けを求める事案であ
る。
2 申立人の主張
申立人は,70歳を超える高齢であり,○等の疾患を有しており,継続的に
医師の診療を受けなければ生命を失う危険があるところ,平成20年12月1
日に処分行政庁から生活保護を廃止(以下「本件廃止処分」という。)されて
以降,月額2万8000円余りの年金で生活することを余儀なくされ,病死や
餓死等による生命の危機に日々さらされている。したがって,生活保護開始決
定がされないことにより生じる償うことのできない損害を避けるため緊急の必
要があり,かつ,本案について理由があるとみえるとき(行政事件訴訟法37
条の5第1項)に該当する。
相手方は,後記3のとおり主張するが,①子らによる援助は不可能であり,
友人らによる援助は善意にすぎず,現に尽きかけている状況にある。また,本
件廃止処分後の診療は,病院が申立人に対して医療費の支払を猶予するなどし
て実現していたものであり,現在は医療費の請求をされている。さらに,異母
弟による支援は一切なされておらず,その実現可能性を示す資料もない。した
がって,申立人が急迫状況にあることは明らかである。そして,②平成21年
3月18日に申立人が受けた年金担保貸付(以下「本件年金担保貸付」とい
う。)は,平成20年12月に本件廃止処分を受け,急迫状況に追い込まれた
申立人が,生活費や家賃を支払うためにやむを得ずに受けたものであり,本件
廃止処分が実質的にも形式的にも違法であることも考慮すれば,社会通念上,
真にやむを得ない状況にあったことは明らかである。
- 3 -
以上から,本件申請に基づき,処分行政庁は,申立人について生活保護を開
始し,このうち生活扶助及び住宅扶助については,別紙「最低生活費簡易計算
シート」記載のとおり,1か月あたり合計8万6634円(生活扶助6万89
50円と住宅扶助3万2000円の合計10万0950円から,収入認定(年
金収入)される1万4316円を控除した残額)を支給すべき義務がある。
3 相手方の主張
「生活保護行政を適正に運営するための手引について」(平成18年3月3
0日社援保発第0330001号厚生労働省社会・援護局保護課長通知。以下
「本件手引」という。)によれば,過去に年金担保貸付を利用するとともに生
活保護を受給していたことがある者が,再度借入れをし,保護申請を行う場合
には,資産活用の要件を満たさないものと解し,それを理由とし,原則として
生活保護を適用せず,①急迫状況にあるかどうか,②生活保護受給前に年金担
保貸付を利用したことについて,社会通念上,真にやむを得ない状況にあった
かどうかを勘案した上で生活保護の適用を判断すべきとされる。
この点,申立人は,生活保護受給中であった平成13年5月11日に年金担
保貸付を受けるなどしたところ,本件廃止処分によって生活保護を廃止された
後,本件申請の前に再度本件年金担保貸付を受けており,本件手引によれば,
原則として生活保護は適用されない。また,申立人が,①本件廃止処分後も,
申立人の近隣に居住する子二人及び友人等から金銭や食料の援助を受けている
こと,○治療のために定期通院を行うことができていること,異母弟から当座
の支援を求めることが可能であることなどからすれば,急迫状況にあるとは認
められず,②過去,処分行政庁に対し,年金担保貸付を利用しない旨の誓約書
を提出していること,本件年金担保貸付を受けていることを秘匿して本件申請
をしていること,本件年金担保貸付を生活費ではない滞納家賃等の支払に充て
ていることなどからすれば,申立人は資産活用を恣意的に忌避していることは
明白であり,本件年金担保貸付を利用したことについて,社会通念上,真にや
- 4 -
むを得ない状況にあったとも認められない。
以上からすれば,本案について理由があるとみえるときには該当しない。
また,上記①記載の諸点に照らせば,申立人について,償うことができない
損害を避けるために緊急の必要があるということもできない。
さらに,このような生活保護開始の仮の義務付けは,公共の福祉に著しい影
響を与えるものである。

第3 当裁判所の判断
1 当事者間に争いのない事実及び各項掲記の疎明資料によれば,以下の各事実
が認められる。
(1) 申立人は,昭和▲年▲月生まれの73歳の女性であり,夫とは死別して
いる。子(いずれも成人)は3名おり,うち2名は沖縄県内に住んでいる
が,申立人とは別に暮らしている。申立人は,生活保護受給開始時(平成8
年6月)から一人暮らしである。(甲7,14,15,17,20)
(2) 申立人は,清掃員として稼働するなどしていたが,転倒して右足を怪我
して入院し,働けなくなり,平成8年6月28日から生活保護が開始され,
生活扶助,住宅扶助及び医療扶助を受給していた(甲1,7,17)。
(3) 申立人は,生活保護受給中の平成13年5月11日に年金担保貸付を受
けたことが発覚し,処分行政庁に対し,年金担保貸付を受けない旨の誓約書
を提出するなどした。このほか,申立人は,生活保護受給中も,家賃の滞納
をしたり,金銭の借入れやその返済を行うなどし,処分行政庁により,複数
回にわたり,口頭での指導や文書での指示を受けるなどしていた。(甲4,
7)
(4) 平成20年12月1日,申立人に対する生活保護(生活扶助,住宅扶助
及び医療扶助)が廃止された(本件廃止処分)。同廃止決定通知書には,廃
止理由の記載はない。(甲1)
(5) 申立人は,平成21年1月7日,処分行政庁に対し,生活保護申請をし
- 5 -
たが,同月19日,保護費を借金返済に充てることを確認したため,との理
由により,同申請は却下された(甲2)。
(6) 申立人は,平成21年2月13日,独立行政法人福祉医療機構に年金担
保貸付の申込みをし,同年3月18日,35万円の本件年金担保貸付を受け
た(甲20)。
(7) 申立人は,平成21年6月1日,処分行政庁に対し,生活保護申請(本
件申請)をしたが,同月22日,本件年金担保貸付を受け,現在受給中の年
金から返済を行っていることが判明したため,との理由により,同申請は却
下された(本件却下処分)(甲3)。
(8) 申立人は,本件却下処分を不服として,平成21年8月21日,沖縄県
知事に対し審査請求をしたが,同年11月5日,同審査請求は棄却された
(甲4,7)。
(9) 申立人は,○を患っており,平成▲年以降,A病院に通院していた(甲
5,17)。
2 そこで,以下,本件仮の義務付けが認められるか否か検討する。
(1) 償うことのできない損害を避けるための緊急の必要性について
疎明資料によれば,本件廃止処分から本件年金担保貸付を受けるまでの間
における申立人の収入としては,厚生年金として支給される月額2万600
0円余りの金員(甲21)に加え,空き缶等の回収による収入(甲13)及
び子らによる援助(甲12,13)等が認められる。しかしながら,空き缶
等の回収による収入は安定していない上,2か月で1000円程度にしかな
らないというのであり,子らによる援助等を考慮しても,申立人の生活費,
家賃及び罹患する○の治療に掛かる医療費等に著しく不足していることが認
められる(甲6,12,13,16,17)。
これに対し,相手方は,申立人の近隣に居住する子二人及び友人等から金
銭や食料の援助を受けていること,○治療のために定期通院を行なうことが
- 6 -
できていること,異母弟から当座の支援を求めることが可能であることなど
を主張する。しかしながら,申立人が平成8年6月から本件廃止処分を受け
る平成20年12月までの約12年半もの間,生活保護を受けていたことに
かんがみれば,扶養義務者である子らに申立人を扶養する能力があるとは認
め難く,実際に子らから申立人の扶養が困難である旨の上申がなされている
(甲14,15)(このほか,住所,氏名等は開示されておらず不明である
が,申立人に対する金銭的援助は不可と記載された扶養義務者から処分行政
庁に対する扶養届3通が出されている(甲9ないし11)。)。また,友人
等からの援助については,扶養義務に基づくものでなく,安定して行われて
いるとは認め難い。さらに,異母弟からの支援については,かかる支援の申
出内容(那覇市福祉事務所保護課相談班長B作成の上申書)からして実現可
能性が低いとうかがわれるところであり,現に支援がなされたとも認められ
ない。なお,定期通院については,申立人から医療費の支払を猶予してもら
っているとも主張されているところであって,申立人に金銭的余力があるこ
とをうかがわせる事情足り得ない。
以上によれば,申立人は,本件申請時において,必要な生活費,家賃及び
医療費等に著しく不足する困窮状態にあり,本件申請時から生活保護が開始
されることによって,生活扶助,住宅扶助及び医療扶助が支給されなけれ
ば,申立人が健康で文化的な最低限度の生活水準を維持することができない
という損害を被るおそれがあったと認められる。そして,申立人の年齢や健
康状態等も考慮すれば,遅くとも平成21年12月以降の生活扶助,住宅扶
助及び医療扶助については,これらが支給されないことによる損害を金銭賠
償のみによって甘受させることが社会通念上著しく不合理であることは明ら
かであり,償うことのできない損害を避けるための緊急の必要性が認められ
る。
これに対し,同年11月までの各扶助については,既に経過した期間に要
- 7 -
した扶助であるから,原則として,これらがされないことによる損害は,金
銭賠償のみによって甘受させることが社会通念上著しく不合理であるとまで
はいえず,償うことのできない損害を避けるための緊急の必要性があるとは
認められない。もっとも,既に経過した同年11月までの各扶助のうち,そ
の不支給が現在における申立人の急迫状況として継続している部分,すなわ
ち,申立人の医療機関に対する未払の医療費に相当する医療扶助及び申立人
が家主に対して支払を怠っている同年10月以降の家賃(甲17)に相当す
る住宅扶助については,これらが支給されないことによる損害を金銭賠償の
みによって甘受させることは社会通念上著しく不合理であると評価できるか
ら,償うことのできない損害を避けるための緊急の必要性が認められる。
(2) 本案について理由があるとみえることについて
本案事件は,義務付けの訴えであり,理由があるとされるためには,行政
庁がその処分をすべきであることがその処分の根拠となる法令の規定から明
らかであると認められ又は行政庁がその処分をしないことがその裁量権の範
囲を超え若しくはその濫用となると認められることが必要である(行政訴訟
法37条の2第5項)。この点,処分行政庁は,申立人が以前に年金担保貸
付を受けるとともに生活保護を受給していた者であり,再度本件年金担保貸
付を受けた上で本件申請に及んでいることを理由に本件却下処分をしたもの
であるところ,処分行政庁が申立人の生活保護を開始しないことが,その裁
量権の範囲を超えると認められるかが問題となる。
そこで検討するに,生活保護法は,日本国憲法25条に規定する理念に基
づき,国が生活に困窮するすべての国民に対し,その困窮の程度に応じ,必
要な保護を行い,その最低限度の生活を保障するとともに,その自立を助長
することを目的とする(同法1条)ものであり,すべて国民は,同法の定め
る要件を満たす限り,同法による保護を,無差別平等に受けることができる
(同法2条)。また,同法により保障される最低限度の生活は,健康で文化
- 8 -
的な生活水準を維持することができるものでなければならない(同法3条)。
そして,同法による保護は,生活に困窮する者が,その利用し得る資産,能
力その他あらゆるものを,その最低限度の生活の維持のために活用すること
を要件として行われるものであり(同法4条1項),民法に定める扶養義務
者の扶養及び他の法律に定める扶助は,すべて生活保護法による保護に優先
して行われる(同条2項)が,これら規定も,急迫した事由がある場合に,
必要な保護を行うことを妨げるものではないとされている(同条3項)。
この点,相手方が引用する本件手引によれば,過去に年金担保貸付を利用
するとともに生活保護を受給していたことがある者が,再度借入れをし,保
護申請を行う場合には,資産活用の要件(生活保護法4条1項)を満たさな
いものと解し,それを理由とし,原則として生活保護を適用しないとされて
いるところ,申立人がこれに該当することは明らかである。もっとも,かか
る基準が生活保護法に合致するかは疑義も存し得るところであるが,この点
は措いても,本件手引も,生活保護を申請した者が,①急迫状況にあり,か
つ,②生活保護受給前に年金担保貸付を利用したことについて,社会通念
上,真にやむを得ない状況にある場合にはなお,生活保護開始の余地がある
ものとしている。これを本件についてみるに,前記(1)で認定した事実等に
かんがみれば,申立人が必要な生活費,家賃及び医療費等に著しく不足する
困窮状態にあったと認められるから,申立人が①急迫状況にあったことは明
らかである。また,申立人が前記のような困窮状態にあったことに加え,そ
の原因と考えられる本件廃止処分から約2か月が経過したころに本件年金担
保貸付の申込みをしていることなどにかんがみれば,申立人が本件年金担保
貸付を受けたのは生活費や家賃等に困窮したためであると優に推認できると
ころであり,本件廃止処分後の平成21年1月にされた生活保護申請も却下
され,生活保護が開始される目処が立っていなかったことなども考慮すれ
ば,②申立人が生活保護受給前に本件年金担保貸付を利用したことについ
- 9 -
て,社会通念上,真にやむを得ない状況にあったと認められる。
確かに,申立人は,従前生活保護を受給しているにもかかわらず,年金担
保貸付を含む金銭の借入れを行ったり,家賃を滞納したりし,処分行政庁に
よる口頭での指導や文書での指示を複数回受けていたものであるが,申立人
の生活は質素であり,浪費行為等もうかがわれず,上記借入れ等の背景とし
て,申立人は適切に金銭を管理する能力に欠ける点があるものと認められる
(甲6,8,12,17)。
上記のとおり,生活保護法は,資産や能力等を活用してなお困窮状態にあ
ることを保護の要件とするものであるが,同要件も,申請者に対して,不可
能又は著しく困難な活用を強いるものとは解されないものであって,同要件
を適用するに当たっては,保護を必要とし,生活保護を申請する者のおかれ
た状況や,上記のような金銭管理能力を含めた同人の能力等をも勘案しなが
ら,その者の資産や能力を活用していないものといえるか否かを検討すべき
ものというべきである。また,相手方が主張する本件手引によっても,生活
保護受給者等が年金担保貸付を受けることにつき,他にも債務がある等の理
由がある場合には,金銭管理能力習得のための家計簿記帳を指導するなどの
支援を行うよう努めるべきであるともされているところ,処分行政庁が申立
人に対して,そのような支援を尽くしたとは認め難い。
これらからすると,申立人について,生活保護受給中に年金担保貸付を受
けたことがあり,本件廃止処分後に再度本件年金担保貸付を受けたとして,
本件申請を却下すること(本件却下処分)は,処分行政庁が有する裁量権の
範囲を超えるものと一応認められる。
これに対し,相手方は,①申立人が急迫状況にない旨主張するが,その主
張内容は前記(1)で指摘した内容と同様であり,これを採用することはでき
ない。また,相手方は,②申立人が年金担保貸付を利用しない旨の誓約書を
提出していること,本件年金担保貸付を受けていることを秘匿して本件申請
- 10 -
をしていること,本件年金担保貸付を生活費ではない滞納家賃等の支払に充
てていることなどからすれば,本件年金担保貸付を利用したことが,社会通
念上,真にやむを得ない状況にあったと認められない旨主張する。しかしな
がら,年金担保貸付を利用しない旨の誓約書は,相手方の主張を前提として
も,従前の生活保護の受給中に作成されたものであり,生活保護の受給継続
を前提とした誓約であるから,かかる誓約書を作成しているからといって,
本件廃止処分後の困窮状態にかんがみれば,糊口をしのぐために申立人が本
件年金担保貸付を受けたことを非難することはできない。さらに,申立人が
年金担保貸付を受けていることを秘匿して本件申請をしていることは,生活
保護を申請する者の態度として誠実とはいえないものの,従前の処分行政庁
とのやりとり等をもかんがみれば,本件年金担保貸付を受けていることを秘
匿したまま生活保護申請をしたことをもって,保護の要件を欠くということ
もできない。なお,相手方は,本件年金担保貸付を生活費ではない滞納家賃
等の支払に充てているとも主張するが,本件年金担保貸付を滞納家賃等の支
払に充てたことが不当であるということはできない。
以上によれば,処分行政庁が申立人に対して生活保護を開始しないこと
が,その裁量権の範囲を超えるものと一応認められ,本案について理由があ
るとみえる。
(3) 本件仮の義務付けにより,公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあ
る(行政事件訴訟法37条の5第3項)とは認められない。
(4) 保護の程度について
ア生活扶助について
申立人は,那覇市に居住する70歳以上の単身世帯であり,その最低生
活費は申立人が主張する月額6万8950円を下らないと認められる。
一方,申立人の収入認定については,前記(2)記載のとおり,申立人が
本件廃止処分後生活保護を受給していなかった間に本件年金担保貸付を受
- 11 -
けたことについて,社会通念上,真にやむを得ない状況にあったと認めら
れることにかんがみれば,本件年金担保貸付の返済が予定されている平成
22年10月までの間は,申立人主張の1か月1万4316円とし(な
お,甲20参照),同返済終了後の同年11月以降については1か月2万
8633円と認めるのが相当である。
したがって,処分行政庁が申立人に対して仮に支給すべき生活扶助につ
いては,平成21年12月から平成22年10月までの間は,毎月1日限
り5万4634円とし,同年11月以降は毎月1日限り4万0317円と
認めるのが相当である。
イ住宅扶助について
申立人の現在の家賃は月額2万2500円を下らないと認められ(甲1
7),他方,これを上回る金額の疎明はない。
したがって,処分行政庁が申立人に対して仮に支給すべき住宅扶助につ
いては,平成21年10月から毎月1日限り2万2500円と認めるのが
相当である。
ウ医療扶助について
処分行政庁が申立人に対して仮に支給すべき医療扶助については,申立
人が本件申請をした平成21年6月1日から本決定の日までの間,申立人
が受けた診療等に係る医療費のうち,申立人の医療機関に対する未払部分
に相当する金額と認めるのが相当である(生活保護法34条1項ただし
書)。また,本決定の日の翌日以降の医療扶助については,現物支給によ
って行うのが相当である(同項本文)。
3 よって,本件申立ては,主文の限度で理由があるから認容し,その余の本件
申立ては,理由がないので却下することとし,主文のとおり決定する。

平成21年12月22日
- 12 -
那覇地方裁判所民事第1部
裁判長裁判官田中健治
裁判官新海寿加子
裁判官横倉雄一郎

コメント

生活保護申請却下処分に対する取消訴訟及び生活保護開始義務付け訴訟中の、仮の義務付けの申立て

2012-06-26 15:35:35 | シチズンシップ教育
 生活保護申請を却下されたことに対して、却下処分の取消訴訟と生活保護を開始して生活扶助等を支給することの義務付けの訴えが本案として提起されているところ、その判決が言い渡されるまでの間、仮に生活保護を開始すること(仮の義務付け)を求めて申し立てがなされた事案です。

 その「仮の義務付け」が認められました。


【事件名】生活保護開始仮の義務付け決定に対する即時抗告事件
【事件番号】 福岡高等裁判所那覇支部決定/平成22年(行ス)第1号
【判決日付】 平成22年3月19日

(原審)
【事件名】生活保護開始仮の義務付け申立て事件
【事件番号】 那覇地方裁判所決定/平成21年(行ク)第7号
【判決日付】 平成21年12月22日

(基本事件・那覇地方裁判所平成21年(行ウ)第26号生活保護開始申請却下取消等請求事件)


【事案の概要】

Yは、那覇市長。


Xは,昭和▲年▲月生まれの73歳の女性であり,夫とは死別している。子(いずれも成人)は3名おり,うち2名は沖縄県内に住んでいるが,Xとは別に暮らしている。Xは,生活保護受給開始時(平成8年6月)から一人暮らしである。

Xは,清掃員として稼働するなどしていたが,転倒して右足を怪我して入院し,働けなくなり,平成8年6月28日から生活保護が開始され,生活扶助,住宅扶助及び医療扶助を受給していた。

Xは,生活保護受給中の平成13年5月11日に年金担保貸付を受けたことが発覚し,処分行政庁に対し,年金担保貸付を受けない旨の誓約書を提出するなどした。このほか,申立人は,生活保護受給中も,家賃の滞納をしたり,金銭の借入れやその返済を行うなどし,処分行政庁により,複数回にわたり,口頭での指導や文書での指示を受けるなどしていた。

平成20年12月1日,Xに対する生活保護(生活扶助,住宅扶助及び医療扶助)が廃止された(本件廃止処分)。同廃止決定通知書には,廃止理由の記載はない。

Xは,平成21年1月7日,処分行政庁に対し,生活保護申請をしたが,同月19日,保護費を借金返済に充てることを確認したため,との理由により,同申請は却下された。

Xは,平成21年2月13日,独立行政法人福祉医療機構に年金担保貸付の申込みをし,同年3月18日,35万円の本件年金担保貸付を受けた。

Xは,平成21年6月1日,処分行政庁に対し,生活保護申請(本件申請)をしたが,同月22日,本件年金担保貸付を受け,現在受給中の年金から返済を行っていることが判明したため,との理由により,同申請は却下された(本件却下処分)。

Xは,本件却下処分を不服として,平成21年8月21日,沖縄県知事に対し審査請求をしたが,同年11月5日,同審査請求は棄却された。

Xは,○を患っており,平成▲年以降,A病院に通院していた。



 本件廃止処分から本件年金担保貸付を受けるまでの間における申立人の収入としては,厚生年金として支給される月額2万6000円余りの金員に加え,空き缶等の回収による収入及び子らによる援助等が認められる。しかしながら,空き缶等の回収による収入は安定していない上,2か月で1000円程度にしかならないというのであり,子らによる援助等を考慮しても,申立人の生活費,家賃及び罹患する○の治療に掛かる医療費等に著しく不足していることが認められる。

 これに対し,Yは,Xの近隣に居住する子二人及び友人等から金銭や食料の援助を受けていること,○治療のために定期通院を行なうことができていること,異母弟から当座の支援を求めることが可能であることなどを主張する。
 
 しかしながら,Xが平成8年6月から本件廃止処分を受ける平成20年12月までの約12年半もの間,生活保護を受けていたことにかんがみれば,扶養義務者である子らに申立人を扶養する能力があるとは認め難く,実際に子らからXの扶養が困難である旨の上申がなされている(このほか,住所,氏名等は開示されておらず不明であるが,申立人に対する金銭的援助は不可と記載された扶養義務者から処分行政庁に対する扶養届3通が出されている。)。また,友人等からの援助については,扶養義務に基づくものでなく,安定して行われているとは認め難い。さらに,異母弟からの支援については,かかる支援の申出内容(那覇市福祉事務所保護課相談班長B作成の上申書)からして実現可能性が低いとうかがわれるところであり,現に支援がなされたとも認められない。なお,定期通院については,申立人から医療費の支払を猶予してもらっているとも主張されているところであって,申立人に金銭的余力があることをうかがわせる事情足り得ない。




【関連条文】
*行政事件訴訟法
第三十七条の五  義務付けの訴えの提起があつた場合において、その義務付けの訴えに係る処分又は裁決がされないことにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、本案について理由があるとみえるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、仮に行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずること(以下この条において「仮の義務付け」という。)ができる。
2  差止めの訴えの提起があつた場合において、その差止めの訴えに係る処分又は裁決がされることにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、本案について理由があるとみえるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、仮に行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずること(以下この条において「仮の差止め」という。)ができる。
3  仮の義務付け又は仮の差止めは、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるときは、することができない。
4  第二十五条第五項から第八項まで、第二十六条から第二十八条まで及び第三十三条第一項の規定は、仮の義務付け又は仮の差止めに関する事項について準用する。
5  前項において準用する第二十五条第七項の即時抗告についての裁判又は前項において準用する第二十六条第一項の決定により仮の義務付けの決定が取り消されたときは、当該行政庁は、当該仮の義務付けの決定に基づいてした処分又は裁決を取り消さなければならない。


*生活保護法
(この法律の目的)
第一条  この法律は、日本国憲法第二十五条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。

(無差別平等)
第二条  すべて国民は、この法律の定める要件を満たす限り、この法律による保護(以下「保護」という。)を、無差別平等に受けることができる。

(最低生活)
第三条  この法律により保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない。

(保護の補足性)
第四条  保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる。
2  民法(明治二十九年法律第八十九号)に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は、すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする。
3  前二項の規定は、急迫した事由がある場合に、必要な保護を行うことを妨げるものではない。


*******裁判所ホームページより*******
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20101202132058.pdf

【判決文】

  主   文

 1 本件抗告を棄却する。
 2 抗告費用は抗告人の負担とする。

       理   由

 (以下,略語,略称等は,原決定のそれに従う。)
 1 審理の経過等
  (1)相手方(基本事件原告,原審申立人)は,平成21年6月1日,処分行政庁に対し,生活保護の開始を申請(本件申請)したところ,処分行政庁から,同月22日付けで本件申請を却下する旨の処分(本件却下処分)を受けた。
 相手方は,審査請求に対する裁決を経た上で,抗告人(基本事件被告,原審相手方)を被告として,本件却下処分を取り消すとともに,処分行政庁が相手方に対して生活保護を開始して生活扶助等を支給することの義務付けを求める訴え(基本事件)を提起し,上記義務付けの訴えを本案として,生活保護を開始して生活扶助等を支給することの仮の義務付けを求める申立て(原審事件)をした。
  (2)原決定は,相手方の困窮状態にかんがみ,本件申立てには,償うことのできない損害を避けるための緊急の必要性があり,かつ,本案について理由があるとみえるとして,抗告人に対し,処分行政庁において生活保護を仮に開始し,保護の程度につき疎明のされた限度で生活扶助等を行うよう命ずる旨の決定をした。
  (3)抗告人は,原決定中,相手方の申立てが一部認められた部分を不服として,本件抗告を提起した。
 抗告人の主張は,別紙「抗告理由書」(写し),別紙「訂正申立書」(写し)及び別紙「補充書面」(写し)に記載のとおりであり,これに対する相手方の主張は,別紙「反論書」(写し)に記載のとおりである。

 2 当裁判所の判断
  (1)当裁判所も,相手方が,生活保護の開始決定がされないことにより,健康で文化的な最低限度の生活水準の維持も危ぶまれるほどの困窮状態にあったのに,処分行政庁が本件却下処分をしたことには,裁量権の逸脱があったものと一応認められ,かつ,上記のような困窮状態にかんがみれば,本件申立てには,償うことのできない損害を避けるための緊急の必要性があるものと判断する。
 その理由は,原決定に記載のとおりであるから,これを引用する。
  (2)抗告人は,相手方が亡父の遺産(不動産)を取得する権利があると主張する。
 しかし,上記不動産は,既に他人名義となっているのであるから(疎乙4ないし7(枝番を含む。)),そもそも相手方が取得し得るものか否かが明らかではない。仮にその点を措くとしても,不動産の現金化には一定の期間を要するのが通例であるから,抗告人の上記主張を前提としても,上記の緊急の必要性が否定されることになるものではない。
 また,抗告人は,相手方が年金担保貸付けを利用したり借金等をしていたのに,その事実を秘匿していたことを指摘する。
 確かに,相手方は,金銭管理等が適切さを欠く上,生活保護を申請する者として誠実さを欠くと指摘されてもやむを得ない面もないではないが,相手方の上記困窮状態にかんがみれば,上記の裁量権の逸脱が直ちに否定されるものではない。

 3 結論
 以上のとおりであるから,本件申立ては,原決定の範囲で生活保護を仮に開始することを命ずる限度で理由がある。
 よって,これと同旨の原決定は相当であり,本件抗告は理由がないから棄却することとし,主文のとおり決定する。
 (裁判長裁判官・河邉義典,裁判官・森鍵 一,裁判官・山崎 威)


 別紙
 抗告理由書(写し)〈省略〉
 訂正申立書(写し)〈省略〉
 補充書面(写し)〈省略〉
 反論書(写し)〈省略〉
コメント

産廃施設設置許可処分取消訴訟中、確定判決まで処分の効力を停止する方法 奈良地裁H21.11.26

2012-06-26 10:45:02 | シチズンシップ教育
 処分の取り消し本案訴訟として争っている場合に、確定判決が出されるまで、その処分の効力を停止する手法があります。

 以下、その処分の効力停止を勝ち得た判決。

*******************************

【事件名】執行停止申立事件
【事件番号】 奈良地方裁判所決定/平成21年(行ク)第6号
【判決日付】 平成21年11月26日



【事案の概要】

Aは,奈良県五條市αの区民で組織する権利能力なき社団である。
Xら(B~O)は,周辺土地を所有して柿や梅を栽培し,又は,周辺土地に居住する者らである。

奈良県知事Yは,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「法」という。)15条1項に基づく産業廃棄物処理施設設置の許可権限を有している。

Zは,産業廃棄物の収集業及び処分業等を目的とする資本金1000万円の株式会社である。

Zは,平成20年7月14日,奈良県知事Yに対し,本件予定地を設置場所として産業廃棄物最終(埋立)処分場・安定型の設置許可申請(以下「本件申請」という。)をした。

Xらは,平成21年1月19日,奈良県を被告として,奈良県知事は本件申請に対し許可をしてはならない旨の差止めを求める訴え(当庁同年(行ウ)第3号産業廃棄物処理施設設置許可差止請求事件。以下「本件本案訴訟」という。)を提起した。

奈良県知事Yは,本件申請に応じ,平成21年8月10日付けで,Zに対し,法15条1項に基づき,本件施設の設置を許可する旨の処分をした(本件処分)。

本件処分がされたため,Xらは,奈良県知事Yに対し、同月24日,同処分の取消しを求める旨訴えを変更するとともに,本件処分は,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「法」という。)15条の2第1項等に規定されている許可条件に適合せず違法であり,同処分により本件施設の設置工事等が開始されれば申立人らの所有権や健康等が害され,又は害されるおそれがあり,その被害回復は事実上不可能となる旨主張して,行政事件訴訟法(以下「行訴法」という。)25条2項に基づき,本案判決が確定するまで同処分の効力の停止を求めた(執行停止申立)。



【出された判決 主文】

主   文

 1 本件申立てのうち,申立人Aに係る部分を却下する。
 2 奈良県知事が,相手方訴訟参加人に対し,平成21年8月10日付け許可番号○をもってした産業廃棄物処理施設の設置に係る許可の効力は,本案判決が確定するまで停止する
 3 申立費用は,申立人Aに生じた費用と相手方に生じた費用の15分の1を申立人Aの負担とし,申立人B,同C,同D,同E,同F,同G,同H,同I,同J,同K,同L,同M,同N及び同Oに生じた費用と相手方に生じたその余の費用を相手方の負担とする。


【関連法令】
*行政事件訴訟法
(執行停止)
第二十五条  処分の取消しの訴えの提起は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない。
2  処分の取消しの訴えの提起があつた場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止(以下「執行停止」という。)をすることができる。ただし、処分の効力の停止は、処分の執行又は手続の続行の停止によつて目的を達することができる場合には、することができない。
3  裁判所は、前項に規定する重大な損害を生ずるか否かを判断するに当たつては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分の内容及び性質をも勘案するものとする。
4  執行停止は、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、又は本案について理由がないとみえるときは、することができない。
5  第二項の決定は、疎明に基づいてする。
6  第二項の決定は、口頭弁論を経ないですることができる。ただし、あらかじめ、当事者の意見をきかなければならない。
7  第二項の申立てに対する決定に対しては、即時抗告をすることができる。
8  第二項の決定に対する即時抗告は、その決定の執行を停止する効力を有しない。

*廃棄物の処理及び清掃に関する法律
(産業廃棄物処理施設)
第十五条  産業廃棄物処理施設(廃プラスチック類処理施設、産業廃棄物の最終処分場その他の産業廃棄物の処理施設で政令で定めるものをいう。以下同じ。)を設置しようとする者は、当該産業廃棄物処理施設を設置しようとする地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。
2  前項の許可を受けようとする者は、環境省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を提出しなければならない。
一  氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
二  産業廃棄物処理施設の設置の場所
三  産業廃棄物処理施設の種類
四  産業廃棄物処理施設において処理する産業廃棄物の種類
五  産業廃棄物処理施設の処理能力(産業廃棄物の最終処分場である場合にあつては、産業廃棄物の埋立処分の用に供される場所の面積及び埋立容量)
六  産業廃棄物処理施設の位置、構造等の設置に関する計画
七  産業廃棄物処理施設の維持管理に関する計画
八  産業廃棄物の最終処分場である場合にあつては、災害防止のための計画
九  その他環境省令で定める事項
3  前項の申請書には、環境省令で定めるところにより、当該産業廃棄物処理施設を設置することが周辺地域の生活環境に及ぼす影響についての調査の結果を記載した書類を添付しなければならない。ただし、当該申請書に記載した同項第二号から第七号までに掲げる事項が、過去になされた第一項の許可に係る当該事項と同一である場合その他の環境省令で定める場合は、この限りでない。
4  都道府県知事は、産業廃棄物処理施設(政令で定めるものに限る。)について第一項の許可の申請があつた場合には、遅滞なく、第二項第一号から第四号までに掲げる事項、申請年月日及び縦覧場所を告示するとともに、同項の申請書及び前項の書類(同項ただし書に規定する場合にあつては、第二項の申請書)を当該告示の日から一月間公衆の縦覧に供しなければならない。
5  都道府県知事は、前項の規定による告示をしたときは、遅滞なく、その旨を当該産業廃棄物処理施設の設置に関し生活環境の保全上関係がある市町村の長に通知し、期間を指定して当該市町村長の生活環境の保全上の見地からの意見を聴かなければならない。
6  第四項の規定による告示があつたときは、当該産業廃棄物処理施設の設置に関し利害関係を有する者は、同項の縦覧期間満了の日の翌日から起算して二週間を経過する日までに、当該都道府県知事に生活環境の保全上の見地からの意見書を提出することができる。

(許可の基準等)
第十五条の二  都道府県知事は、前条第一項の許可の申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。
一  その産業廃棄物処理施設の設置に関する計画が環境省令で定める技術上の基準に適合していること。
二  その産業廃棄物処理施設の設置に関する計画及び維持管理に関する計画が当該産業廃棄物処理施設に係る周辺地域の生活環境の保全及び環境省令で定める周辺の施設について適正な配慮がなされたものであること。
三  申請者の能力がその産業廃棄物処理施設の設置に関する計画及び維持管理に関する計画に従つて当該産業廃棄物処理施設の設置及び維持管理を的確に、かつ、継続して行うに足りるものとして環境省令で定める基準に適合するものであること。
四  申請者が第十四条第五項第二号イからヘまでのいずれにも該当しないこと。
2  都道府県知事は、前条第一項の許可の申請に係る産業廃棄物処理施設の設置によつて、ごみ処理施設又は産業廃棄物処理施設の過度の集中により大気環境基準の確保が困難となると認めるときは、同項の許可をしないことができる。
3  都道府県知事は、前条第一項の許可(同条第四項に規定する産業廃棄物処理施設に係るものに限る。)をする場合においては、あらかじめ、第一項第二号に掲げる事項について、生活環境の保全に関し環境省令で定める事項について専門的知識を有する者の意見を聴かなければならない。
4  前条第一項の許可には、生活環境の保全上必要な条件を付することができる。
5  前条第一項の許可を受けた者(以下「産業廃棄物処理施設の設置者」という。)は、当該許可に係る産業廃棄物処理施設について、都道府県知事の検査を受け、当該産業廃棄物処理施設が当該許可に係る前条第二項の申請書に記載した設置に関する計画に適合していると認められた後でなければ、これを使用してはならない。
コメント

誰がしているのでしょうか?複数の偽名ツイッターを用いた一文一句同一内容「増税やむなし」の世論形成。

2012-06-25 17:24:49 | シチズンシップ教育

 誰にも表現の自由があり、それを尊重することが求められています。それをわかりながら、対抗言論として書かせていただきます。


 以下、写真をご覧ください。


 単なるいたずらか?

 まさか、政府関係者がこのようなことやっていませんよね。

 
 何人かの女性を名乗る方が、一文一句同じ文言を呟いています。
 偽名をつかってなりすましているのではないかと疑いを持たざるを得ません。

 それら方々のフォロワーが1000を超えています。

 つぶやかれている内容は以下。

 「ごめんなさい。確かに参議院選挙中に菅ちゃんが突然言い出し、惨敗しましたね。しかし、大災害・大変動は事実ですから、政治家はもとより国民の考え方が事態の変化に対応すべきと思います。私は歳費削減額と同額の増税が同時セットならやむをえないと思っています。」
https://twitter.com/#!/search/realtime/%E7%A2%BA%E3%81%8B%E3%81%AB%E5%8F%82%E8%AD%B0%E9%99%A2%E9%81%B8%E6%8C%99%E4%B8%AD%E3%81%AB%E8%8F%85%E3%81%A1%E3%82%83%E3%82%93%E3%81%8C%E7%AA%81%E7%84%B6%E8%A8%80%E3%81%84%E5%87%BA%E3%81%97

 ほぼ、同一時間に一文一句同じ内容のご発言、偶然にしては考えづらい。

 ひとつの表現活動というのであれば、それは、それでいたしかたないのですが、、、
 受け取る私たちは、こういうところまでにもメディア・リテラシーが求められています。

 



suzu_hirano ‏@suzu_hirano  ごめんなさい。確かに参議院選挙中に菅ちゃんが突然言い出し、惨敗しましたね。しかし、大災害・大変動は事実ですから、政治家はもとより国民の考え方が事態の変化に対応すべきと思います。私は歳費削減額と同額の増税が同時セットならやむをえないと思っています。

marie_itou ‏@marie_itou   ごめんなさい。確かに参議院選挙中に菅ちゃんが突然言い出し、惨敗しましたね。しかし、大災害・大変動は事実ですから、政治家はもとより国民の考え方が事態の変化に対応すべきと思います。私は歳費削減額と同額の増税が同時セットならやむをえないと思っています。

sumire_hamada‏@sumire_hamada  ごめんなさい。確かに参議院選挙中に菅ちゃんが突然言い出し、惨敗しましたね。しかし、大災害・大変動は事実ですから、政治家はもとより国民の考え方が事態の変化に対応すべきと思います。私は歳費削減額と同額の増税が同時セットならやむをえないと思っています。

aoi_nakano‏@aoi_nakano  ごめんなさい。確かに参議院選挙中に菅ちゃんが突然言い出し、惨敗しましたね。しかし、大災害・大変動は事実ですから、政治家はもとより国民の考え方が事態の変化に対応すべきと思います。私は歳費削減額と同額の増税が同時セットならやむをえないと思っています。

kanna_aiba‏@kanna_aiba  ごめんなさい。確かに参議院選挙中に菅ちゃんが突然言い出し、惨敗しましたね。しかし、大災害・大変動は事実ですから、政治家はもとより国民の考え方が事態の変化に対応すべきと思います。私は歳費削減額と同額の増税が同時セットならやむをえないと思っています。

ayana_takino‏@ayana_takino  ごめんなさい。確かに参議院選挙中に菅ちゃんが突然言い出し、惨敗しましたね。しかし、大災害・大変動は事実ですから、政治家はもとより国民の考え方が事態の変化に対応すべきと思います。私は歳費削減額と同額の増税が同時セットならやむをえないと思っています。

marika_aoki‏@marika_aoki  ごめんなさい。確かに参議院選挙中に菅ちゃんが突然言い出し、惨敗しましたね。しかし、大災害・大変動は事実ですから、政治家はもとより国民の考え方が事態の変化に対応すべきと思います。私は歳費削減額と同額の増税が同時セットならやむをえないと思っています。

aki_maeda‏@aki_maeda88  ごめんなさい。確かに参議院選挙中に菅ちゃんが突然言い出し、惨敗しましたね。しかし、大災害・大変動は事実ですから、政治家はもとより国民の考え方が事態の変化に対応すべきと思います。私は歳費削減額と同額の増税が同時セットならやむをえないと思っています。

shiho_ogawa‏@shiho_ogawa  ごめんなさい。確かに参議院選挙中に菅ちゃんが突然言い出し、惨敗しましたね。しかし、大災害・大変動は事実ですから、政治家はもとより国民の考え方が事態の変化に対応すべきと思います。私は歳費削減額と同額の増税が同時セットならやむをえないと思っています。

ayumi_maeda‏@ayumi_maeda  ごめんなさい。確かに参議院選挙中に菅ちゃんが突然言い出し、惨敗しましたね。しかし、大災害・大変動は事実ですから、政治家はもとより国民の考え方が事態の変化に対応すべきと思います。私は歳費削減額と同額の増税が同時セットならやむをえないと思っています。

mami_saitou‏@mami_saitou  ごめんなさい。確かに参議院選挙中に菅ちゃんが突然言い出し、惨敗しましたね。しかし、大災害・大変動は事実ですから、政治家はもとより国民の考え方が事態の変化に対応すべきと思います。私は歳費削減額と同額の増税が同時セットならやむをえないと思っています。

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日本のワクチン行政を世界標準へ!ワクチン接種に関する諮問委員会(日本版ACIP)早期創設を強く求めます。

2012-06-25 15:39:44 | 小児医療

 予防接種に関して、最も政策のひとつは、予防接種事業がきちんと実施され、そのワクチン効果が出ていることを第三者的に評価する機関の創設です。

 米国には、ACIP(Advisory Committee on Immunization Practices:ワクチン接種に関する諮問委員会)(神戸大学 岩田先生寄稿記事:http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA02857_03 )と称し存在をしています。

 日本版ACIPなるものを早急に創設していくことが強く望まれます。

 以下、提言が出されています。


<本ブログ記載に当たり、四日市市長尾康治先生情報提供感謝いたします。>

同内容の提言:http://www.nikkeibp.co.jp/article/news/20100805/240459/?rt=nocnt


*****提言******
http://www.jschild.or.jp/com/120618_1.html 

予防接種に関する評価・検討組織に関する提言

厚生労働大臣
  小宮山 洋子 殿

予防接種推進専門協議会
委員長 岩田 敏




              参加学会: 日本小児科学会     日本小児科医会     日本小児保健協会
                     日本ウイルス学会    日本ワクチン学会    日本感染症学会
                     日本保育園保健協議会 日本産科婦人科学会  日本細菌学会
                     日本呼吸器学会     日本環境感染学会   日本渡航医学会
                     日本耳鼻咽喉科学会  日本プライマリ・ケア連合学会 (順不同)
 

 予防接種推進専門協議会(以下、協議会)は、予防接種が国家の感染症対策の基本のひとつであり、21世紀医学の核と考えている。そうした理念の下、協議会は、予防接種事業に関する事項が医学的・科学的に議論できる公的な組織の設立を当局に対して要望してきたところである。今回、厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会(以下、部会)の中で議論が進められている予防接種に関する評価・検討組織について、これまでに検討されている案の内容および諸外国の状況を踏まえて、下記のとおり提言する。

1.予防接種施策は、科学的根拠に基づいて行われるべきである。

2.予防接種に関する評価・検討組織の目的は、日本国内におけるワクチンで予防できる疾患(Vaccine Preventable Diseases ; VPD)の予防と制御、及び予防接種の安全性の確保・保証を行うことである。

3.予防接種に関する評価・検討組織の役割は、予防接種施策全般について、中長期的な視点に立ち、国内外の予防接種の状況及び疾病の流行状況を分析した上で、医学的・科学的な根拠に基づいて、定期的・継続的に客観的な評価・検討を行い、厚生労働大臣に提言することである。

4.予防接種に関する評価・検討組織で決定され、提言された内容について、厚生労働大臣はこれを最大限尊重し、可及的速やかに実行できるよう努力しなければならない。

5.予防接種に関する評価・検討組織の議決権を持つ構成員として、小児科医、内科医、感染症専門家、疫学専門家、公衆衛生専門家、医療関係団体、地方自治体、経済学者、法律家、メディアが案として挙げられている。この組織において最も重要なことは、医学的・科学的な根拠に基づく評価であるので、構成員の中には医療関係者として、小児科医、産婦人科医、内科医、家庭医・総合医、感染症専門家、疫学専門家、公衆衛生専門家、医療関係団体のほか、予防接種関連学会で構成されている協議会の代表者等を加えるべきである。なお、政府関係機関の代表、ワクチンの製造販売業者や卸売販売業者、被接種者の立場を代表する者、メディア関係者などは、発言及び提案はできるが議決には加われない参考人として参加するべきである。

6.原則として予防接種に関する評価・検討組織における審議は公開とし、一般の傍聴者にも発言の機会が与えられることが望ましい。

7.予防接種に関する評価・検討組織における医学的・科学的な審議をサポートするために、現在の予防接種部会の下に置かれている小委員会の役割を果たす組織(部会で検討されている案の中では専門委員会)の設置は不可欠である。この委員会は、それぞれの委員会の持つ特殊性に応じて、各分野の専門家を幅広く配置し、科学的かつ効率的に事案の検討を行う。



以上

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メディア・リテラシーの力が求められるところ:小沢一郎夫人の直筆公開(ジャーナリスト有田芳生氏の分析)

2012-06-25 10:44:38 | メディア・リテラシー

 政治、権力は、なんでもありの世界です。  

 一見、表面的にはなにもなさそうでありますが、一歩立ち入ると怖いものです。    

 そのような視点からすると、週刊文春「小沢一郎夫人書簡」の記事のありかたもその方向性で生まれたものかもしれません。  

 ジャーナリスト有田芳生氏の分析がなされていたため、こちらでもご紹介させていただきます。  

 どのように読み取るかは、私達ひとりひとりのメディア・リテラシーの力にかかっています。


http://saeaki.blog.ocn.ne.jp/arita/2012/06/post_6afb.html  

 左が週刊文春。 右が直筆。

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憲法31条、刑法だけでなく、行政分野にも規定は及びます。手続法・実体法の法定と適正保障。

2012-06-24 23:00:00 | シチズンシップ教育
憲法31条

ものすごく大事な条文です。

憲法第三十一条  何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。


 条文で述べられていることは、

1)適正な手続きの保障

2)実体法を法定すること

3)実体法の適正保障


あと、当然ながら、0)手続きは法定されなければならない


これら、法律そして法体系のあるべき姿、行政のあるべき姿を規定しています。


 手続(法)が適正であるためには、「告知」(事前にルールを示す。)と「聴聞」(①不利益の告知、②弁解と防御の機会を与える。)を要します。

 実体法が適正であるためには、「明確性」「合理性」「比例原則」「差別の禁止」を要します。
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子どもをB型肝炎・肝がんから守る:B型肝炎ワクチン定期接種化を怠る立法不作為に司法手続きに則った訴え

2012-06-23 23:00:00 | 小児医療
 6/23は、“葛飾の闘う小児科医”(小坂が勝手に命名、本人承諾なし)松永貞一先生らが主催する感染免疫懇話会が開催され、私も参加してきました。

 成人及び小児領域の肝炎治療で日本をリードする講師からの貴重なご講演、その後の意見交換会を通じ、強く感じたことのひとつは、早く日本もB型肝炎ウイルスワクチンを定期接種に取り入れることの必要性でした。

 B型肝炎は、血液を介して、また、性交渉から、それだけでなく、汗・涙・よだれ・尿などにもウイルスが検出され、その濃厚な接触からも感染することが考えられます。
 講師の乾先生らのグループは、実験によりその証明をされています。近々欧米の医学雑誌に掲載予定とのこと。

 そしてB型肝炎は、最悪肝硬変、肝がんへと経過をたどっていきます。

 B型肝炎ウイルスワクチンは、肝がんを予防するワクチンです。


 B型肝炎ウイルスの定期予防接種化は、何度も何度も、小児科医を中心に提言されているところです。


 定期接種化の立法措置を取らないという立法不作為は、国の怠慢ではないかとさえ考えられます。
 世界では定期接種化として組み入れられ、組み入れることをWHOも提言している中、この潮流から大きく後れをとって、この不作為を続け、結果、子ども達をB型肝炎感染のリスクにさらし続けることに対し、それでも動かないというのであれば、司法手続きに則った法的手段で訴えるのもひとつの手段ではないかと思われます。


************************************************


 第52回 感染・免疫懇話会 講演会 
 
 4月のこの会では、C型肝炎を東大医科研の加藤直也准教 授にお話いただきました。とても素晴らしい御講演でした。本当は、欲張ってその日に B型 肝炎もお話いただこうと考えていたのです。しかし、事前に予習の積りで聴講に行った薬剤師会での加藤先生の1時間半のB肝とC肝の両方を講じた 講 演を拝聴し、単細胞な頭の僕は、B肝とC肝が入り混じり混乱してしまったのです。そして、内容自体も濃かったので、これは2回に分けたほ うが 良い だろうと考え、まずはC肝だけをお話いただいたという経緯と 内部事情がありました。そこで、今度は、B型肝炎についてお話いただくと いう事になり ました。最近、B型肝炎を巡る状況は大きく変化してきているように思えます。特に、小児科領域では、幼少時からB型肝炎ワクチンを 開始し よう とい う考え方が話題となっています。これは国民全員にHBVワ クチンの接種を行おうという動きで、約170カ国で採用され、WHOはこれをユニバーサ ルワクチンと呼んで推奨しています。しかし、先進国でもこれを導入していない国が日本を始め幾つかあります。日本は1985年6月から 「B型 肝炎 母子感染防止事業」に基づく「母子垂直感染予防プログラム」が実施されており、このプログラムの徹底のほうが大事ではないかという意見もあるようです。事実、16歳初回献血者のHBs抗 原陽性率の調査をしている茨城県、栃木県、東京都、神奈川県および福岡県の1都4県では16歳 初 回献 血者 のHBs抗原陽性率は、1995年から直線的に低下し、2003年 にはゼロとなっています。その後、遺伝子型が検索されるようになってくると、最近は、もともと日本に多かったのはジェノタイプのCやBが減って欧米型のAの占 める割合が増えてきて首都圏ではなんとこれが70%を占め るよ うに なっているとのことです。このため、成人のB型肝炎を治療されている内科の先生の中には、B型肝炎=性病と捉え、肝を見たらHIV検 査も必ずする という先生もおられるようです。ユニバーサルワクチンも必要だが性教育も大事ではないのだろうかと考えてしまう今日この頃です。このように、 B型 肝炎という同じ病気が内科と小児科では受け取られ方がかなり違うように思われます。そこで、今回は、内科からと小児科からそれそれB型肝炎では本 邦の第一人者とされちる2人の先生をお招きB型肝炎を皆さんと一緒に考えてみたいと思います。入場無料。今回も、講演会の後、講師を囲ん での 会費 制の食事会を企画しております。これも誰でも参加できます。参加をお考えの方は、(松永)までFAXで 事前連絡をいただ ければ幸いです。(文責:松永)


B型肝炎の最近の話題
最新の治療・ユニヴァーサルワクチネーション・性病としてのB肝  etc 

子どもに関して 済生会横浜東部病院こどもセンター          乾あやの先生 
大人に関して  東京大学医科学研究所 疾患制御ゲノム医学ユニット  加藤直也先生

平成24年6月23日 土曜 午後5時~ (今回は午後5 時です!)
会場 葛飾区医師会館 3階 講堂
東京都葛飾区立石5-15-12


B型肝炎はコントロール可能な病気になったのか?
-抗ウイルス薬の効能と限界-

東京大学医科学研究所 疾患制御ゲノム医学ユニット 特任准教授
加藤直也

 私が外来診療を始めた頃、B型慢性肝炎の診療では大変に 困らされました。活動性のB型慢性肝炎患者のトランスアミナーゼは300以上で 高止 まり しているのに、手持ちの薬剤(ウルソやグリチルリチン製剤である強力ネオミノファーゲンCな ど)ではトランスアミナーゼのコントロールができな かったのです。週2回の外来に来て頂き、その他の日は近医で強ミノCを打って頂き、それでもト ランスアミナーゼは下がらず、急性肝不全になり はし ないかとびくびくしていました。無理矢理入院させて、唯一の抗B型肝炎ウイルス薬であったインターフェロン治療など行ってみましたが、ことごとく 惨敗。それが今はどうでしょうか?核酸アナログ(ラミブジンやエンテカビル)の登場により、風景が完全に変わってしまいました。肝臓内科 医に とっ てB型慢性肝炎は核酸アナログが推奨されていない35歳未満の若年者を除き、3か 月に一度診させてもらえれば大丈夫な病気になりつつあります。と ころがそうは安心させてくれないようです。いまだに無症候性キャリアからの発癌が時に認められるように、コントロール良好と思っていた症例か らの 発癌が認められます。肝炎はコントロール出来ているのにもかかわらず、思ったほど肝癌が減っていない実状が見えてきました。わが国では今でも推定 年間5千人ものB型 肝炎患者が肝癌で亡くなっており、いまだに減る傾向は見当たりません。そのような核酸アナログの問題点が浮き彫りになって きた ところで、B型慢性肝炎に対するペグインターフェロン治療 が承認されました。どうせインターフェロンと同じ?ではなさそうです。
 一方、B型急性肝炎はと言うと、いまだに年間2千人程度が入院加療を受けていると推測されています。20代後半から30代前半 にB型急性肝 炎患 者数のピークがあります。従来欧米型と言われ、日本人ではHBVキャ リアの2%程度と推測され、感染者の10%程度が慢性化すると言われている ジェノタイプAが、都会の急性肝炎では今や70% を超えます。その感染経路は80%以上が性的接触です。ユニバーサルワク チネーションの 導入 が望 ましいと考えますが、今後ユニバーサルワクチネーションが導入されても取り残されるであろうハイリスク群のワクシネーションの推進が先決課題かも知れません。
 最新のトピックスを交え、乾先生と共にB型肝炎について もう一度考える機会を皆様にご提供出来れば、演者として望外の喜びです。

*****

もう一度考えてみませんか?-B型肝炎のことー
世界の現状そして日本の立ち位置

済生会横浜市東部病院 こどもセンター 肝臓・消化器部門部長
乾あやの

 わが国ではHBe抗原陽性のキャリアから3歳以下にB型肝炎ウイル ス(以下、HBVと略)の暴露をうけるとその多く(母 子垂直感染では 80%以 上)が キャリア化し、それ以外の状況では、急性肝炎あるいは劇症肝炎を含む一過性感染が約10%に みられます。近年の研究からHBV感染が成立し た場合、たとえ急性肝炎で治癒し、HBs抗体を獲得しても生涯肝細胞からHBV DNAは排除されないことも判明しました。
 WHOの報告によると、世界中に3億6千万人のHBVのキャリアが存在し、肝硬変・肝癌の危険にさらされ、年間50-70万人がHBV 関 連 疾患 で死亡しています。またHBVの感染者は実に20億人ともいわれています。1992年 にWHOは1997年までに世界中の全出生児を対象にHBワ クチンを接種すべきと勧告した(universalvaccination)にもかかわらず、この目標が到達 されていないともコメントしています。これを踏まえ、WHOはB型肝炎は予防法がほぼ確立してい る重大疾病であり、2010年を目標に各国が国民の90%にHBワクチンの定期接種をするように勧告しています。さらに、わが国が属している WHO西太平洋地域では2011年 に”Knock down Hepatitis B by 2012”と いうスローガンをかかげ新生児からのHBワクチンの徹底を呼び掛けていま す。2008年の時点でWHO加 盟国の約90%(193か国のうちの 177か国)が接種率は 異なるもののuniversalvaccinationを採用しています。現時点で、わが国はuniversal vaccinationをおこなっていない数少ない国です。Universal vaccination導入には必ず「費用対効果」が重きを置かれます。しかし、「費用対効果」には、①入院・診療・薬剤・ワクチンなどの直接費用、②疾病に罹患したために発生する診療費以外の間接費用(治療による社会的生産性の低下、合併症に対する費用;肝癌に対する化学療法費用や移植 費用 な ど)、③無 形費用(差別などによる患家の苦痛、家族生活の破たん)などがあり、これらをどこまで算定するかは容易ではありません。
 わが国では旧厚生省によるB型肝炎母子感染防止事業によ り小児期のHBVキャリアは10分 の1以上に激減しました。一方、社会環境の変化、 HBV母子感染予防の重要性の風化、などにより母子感染防止の不徹 底が目立っています。その原因の一つには煩雑な接種方法と検査があります。ま た、母親以外のHBVスクリーニングは行われておらず、わが国でのHBVキャリアの把握は献血者からの推測でしかありません。HBVは涙や汗、唾 液にも血液濃度と同等に存在し、感染力があることを私たちは証明しました。母親以外の家族内での感染、集団生活での感染などの水平感染につい ては 野放し状態です。
 B型肝炎は肝硬変・肝癌・劇症肝炎の原因となる得るウイ ルスであり、HBワクチンは世界初の癌予防ワクチンです。乳幼児期のHBs抗体 獲得 率は成人に比べて高いです。現行の母子感染防止プロトコールを完遂するとともに、医学的のみならず、グローバルな観点(接種率を80%以上にして疾患を撲滅するという集団免疫)からuniversal vaccinationの 導入を検討する必要があります。

(カリキュラムコード 2、11、15、27、73)
    感染・免疫懇話集談会/葛飾区医師会
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都知事、議会中に都民に向かってそのポーズは道義的にいかがなものでしょうか?

2012-06-22 16:00:18 | 築地を守る、築地市場現在地再整備

東京都民32万3076人が求めた原発の是非を問う都民投票条例制定の都議会審議における一場面。

他のブログで紹介されていましたが、道義的にあまりにもひどい行いであります。


議会中に、都民に向かって、このポーズはないと思います。

「騒然とする傍聴席に向かってブーイングのポーズをとる石原慎太郎都知事=東京都議会、傍聴された方のご提供」
http://ameblo.jp/inochi-forum/entry-11284000854.html




このような都民を受け付けない姿勢で、都政を推し進めてこられ、中央区で言えば築地市場の土壌汚染地への移転計画が合意形成なく進められているところです。

築地は、必ず現在地で守っていきます。



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子どもを守る。児童虐待を許さない社会の姿勢。親権に関する民法規定 民法818-837条

2012-06-21 10:45:06 | 小児医療

 児童虐待は、小児科医師として重要テーマです。

 それは、小児科医師だけでは無理で、司法との連携、地域との連携が欠かせません。

 司法との連携で重要となるのが、その法整備。
 以下、民法における親権の規定を、概観します。

 児童虐待への対応の充実が見て取れます。

 社会がなかなか良い方向に向かわないと思いたくなる日々ですが、少しずつ前進しているところも必ずあります。
 この民法改正も然り。
 改正に携われた皆様に、深く感謝申し上げます。

 もちろん、法が変わっただけでよくはなりませんが、法は大きな後ろ盾です。
 
 以下、親権に関する民法規定抜粋。注釈は、青字。

*****民法抜粋****


第四章 親権

    第一節 総則


(親権者)
第八百十八条  成年に達しない子は、父母の親権に服する。
2  子が養子であるときは、養親の親権に服する。
3  親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が行う。

→親権は、父母が婚姻中は、「共同」で行うことになっています。


(離婚又は認知の場合の親権者)
第八百十九条  父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。
2  裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の一方を親権者と定める。
3  子の出生前に父母が離婚した場合には、親権は、母が行う。ただし、子の出生後に、父母の協議で、父を親権者と定めることができる。
4  父が認知した子に対する親権は、父母の協議で父を親権者と定めたときに限り、父が行う。
5  第一項、第三項又は前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、父又は母の請求によって、協議に代わる審判をすることができる。
6  子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の親族の請求によって、親権者を他の一方に変更することができる。
   

1項で協議離婚の場合

2項で裁判離婚の場合

3項で、子の出生前の離婚では、父は親権者になれません。出生後に協議します。

6項 「子の利益」のために、「子の親族」の請求で、親権者を変更できます。






 第二節 親権の効力


(監護及び教育の権利義務)
第八百二十条  親権を行う者は、子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。

→「子の利益」のために、親権者は、監護、教育します。H23改正。


(居所の指定)
第八百二十一条  子は、親権を行う者が指定した場所に、その居所を定めなければならない。

→居所指定権

(懲戒)
第八百二十二条  親権を行う者は、第八百二十条の規定による監護及び教育に必要な範囲内でその子を懲戒することができる。

<H23改正前の条文>
第八百二十二条  親権を行う者は、必要な範囲内で自らその子を懲戒し、又は家庭裁判所の許可を得て、これを懲戒場に入れることができる。
2  子を懲戒場に入れる期間は、六箇月以下の範囲内で、家庭裁判所が定める。ただし、この期間は、親権を行う者の請求によって、いつでも短縮することができる。

→懲戒権が必要な範囲を超えると親権の濫用になり、児童虐待になるため、H23改正。


(職業の許可)
第八百二十三条  子は、親権を行う者の許可を得なければ、職業を営むことができない。
2  親権を行う者は、第六条第二項の場合には、前項の許可を取り消し、又はこれを制限することができる。


参考:
第六条  一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する。
2  前項の場合において、未成年者がその営業に堪えることができない事由があるときは、その法定代理人は、第四編(親族)の規定に従い、その許可を取り消し、又はこれを制限することができる

なお、他人に雇われる契約(労働契約)は、親権者が代理で締結することはできません。(労働基準法58条1項)


(財産の管理及び代表)
第八百二十四条  親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する。ただし、その子の行為を目的とする債務を生ずべき場合には、本人の同意を得なければならない。

→会社法人の代表者に近い意味で、代表と書かれています。


(父母の一方が共同の名義でした行為の効力)
第八百二十五条  父母が共同して親権を行う場合において、父母の一方が、共同の名義で、子に代わって法律行為をし又は子がこれをすることに同意したときは、その行為は、他の一方の意思に反したときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方が悪意であったときは、この限りでない。

→親権は、父母の共同での行為であるが故、父母の意見が合わない場合の取り決め。


(利益相反行為)
第八百二十六条  親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
2  親権を行う者が数人の子に対して親権を行う場合において、その一人と他の子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その一方のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。

→利益相反に対しての規定、適正な手続きを考えた場合、当然の規定であり、代理行為でも同様の内容(民法108条)になっています。

比較参照:民法108条
(自己契約及び双方代理)
第百八条  同一の法律行為については、相手方の代理人となり、又は当事者双方の代理人となることはできない。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。



(財産の管理における注意義務)
第八百二十七条  親権を行う者は、自己のためにするのと同一の注意をもって、その管理権を行わなければならない。

→管理権。ややゆるい注意義務となっています。
 普通の場合、他人のものは、善管注意義務が求められます。


(財産の管理の計算)
第八百二十八条  子が成年に達したときは、親権を行った者は、遅滞なくその管理の計算をしなければならない。ただし、その子の養育及び財産の管理の費用は、その子の財産の収益と相殺したものとみなす。

第八百二十九条  前条ただし書の規定は、無償で子に財産を与える第三者が反対の意思を表示したときは、その財産については、これを適用しない。

→第828条の見なしをしない場合が、829条。


(第三者が無償で子に与えた財産の管理)
第八百三十条  無償で子に財産を与える第三者が、親権を行う父又は母にこれを管理させない意思を表示したときは、その財産は、父又は母の管理に属しないものとする。
2  前項の財産につき父母が共に管理権を有しない場合において、第三者が管理者を指定しなかったときは、家庭裁判所は、子、その親族又は検察官の請求によって、その管理者を選任する。
3  第三者が管理者を指定したときであっても、その管理者の権限が消滅し、又はこれを改任する必要がある場合において、第三者が更に管理者を指定しないときも、前項と同様とする。
4  第二十七条から第二十九条までの規定は、前二項の場合について準用する。

→4項は、取引法分野の規定


(委任の規定の準用)
第八百三十一条  第六百五十四条及び第六百五十五条の規定は、親権を行う者が子の財産を管理する場合及び前条の場合について準用する。

(財産の管理について生じた親子間の債権の消滅時効)
第八百三十二条  親権を行った者とその子との間に財産の管理について生じた債権は、その管理権が消滅した時から五年間これを行使しないときは、時効によって消滅する。
2  子がまだ成年に達しない間に管理権が消滅した場合において子に法定代理人がないときは、前項の期間は、その子が成年に達し、又は後任の法定代理人が就職した時から起算する。


(子に代わる親権の行使)
第八百三十三条  親権を行う者は、その親権に服する子に代わって親権を行う。

→未成年Bが子どもCを生んで、「親A→その子B→Bの子C」の関係の場合、Bの親であるAが、Bに代わって、孫(Aからみると)Cに対する親権を行使する。



    第三節 親権の喪失
(親権喪失の審判)
第八百三十四条 父又は母による虐待又は悪意の遺棄があるときその他父又は母による親権の行使が著しく困難又は不適当であることにより子の利益を著しく害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、親権喪失の審判をすることができる。ただし、二年以内にその原因が消失する見込みがあるときは、この限りでない。


<H23改正前の条文>
(親権の喪失の宣告)
第八百三十四条  父又は母が、親権を濫用し、又は著しく不行跡であるときは、家庭裁判所は、子の親族又は検察官の請求によって、その親権の喪失を宣告することができる。

→親権喪失を請求できるのは、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官。
 二年がひとつの基準。
 H23全部改正。

(親権停止の審判)
第八百三十四条の二 父又は母による親権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、親権停止の審判をすることができる。
2 家庭裁判所は、親権停止の審判をするときは、その原因が消滅するまでに要すると見込まれる期間、子の心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して、二年を超えない範囲内で、親権を停止する期間を定める。

→親権停止の審判の規定で、H23改正で条文が追加された。


(管理権の喪失の宣告)
第八百三十五条
父又は母による管理権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、管理権喪失の審判をすることができる。

<H23改正前の条文>
第八百三十五条  親権を行う父又は母が、管理が失当であったことによってその子の財産を危うくしたときは、家庭裁判所は、子の親族又は検察官の請求によって、その管理権の喪失を宣告することができる。

→管理権喪失。H23全部改正。


(親権喪失、親権停止又は管理権喪失の宣告の取消し)
第八百三十六条 第八百三十四条本文、第八百三十四条の二第一項又は前条に規定する原因が消滅したときは、家庭裁判所は、本人又はその親族の請求によって、それぞれ親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判を取り消すことができる。

<H23改正前の条文>
(親権又は管理権の喪失の宣告の取消し)
第八百三十六条  前二条に規定する原因が消滅したときは、家庭裁判所は、本人又はその親族の請求によって、前二条の規定による親権又は管理権の喪失の宣告を取り消すことができる。

→請求できるのは、本人又はその親族。H23改正。


(親権又は管理権の辞任及び回復)
第八百三十七条  親権を行う父又は母は、やむを得ない事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、親権又は管理権を辞することができる。
2  前項の事由が消滅したときは、父又は母は、家庭裁判所の許可を得て、親権又は管理権を回復することができる。



以上、

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