「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

川﨑の事件、不安な気持ちは、担任や養護、学校カウンセラーの先生、そして私達小児科医にご相談下さい。/病児保育鋭意実施中。

停止条件(条件成就で効力発生)と解除条件(条件成就で効力喪失)民法127条

2014-10-05 23:00:00 | 民法総則
 どうも、個人的にどっちがどっちか、いつも混乱してしまって、困る。

 契約総則の「解除」と「解除条件」が、性質が似ていると自分が感じるので、そういうことで、覚えておいてよいのかな。

****************************

停止条件と解除条件

条件には停止条件と解除条件とがある。

停止条件:

法律行為の効力発生に条件が付されている場合であり、停止条件付法律行為は停止条件が成就した時からその効力を生ずる(127条1項)。

例として挙げられるものとしては「大学に合格したら、腕時計を買ってあげる」という約束がある。この場合、「腕時計を買ってあげる」という法律行為が、「大学に合格したら」という仮定の条件によって停止されている、ということになる。



解除条件:

法律行為の効力消滅に条件が付されている場合であり、解除条件付法律行為は、解除条件が成就した時からその効力を失う(127条2項)。

「代金支払いが滞った場合には、買った物を返還する」という場合、「代金支払いが滞る」という事実が解除条件である。

「大学に不合格だったら、仕送りをやめる」という約束がある。この場合、「仕送りをする」という法律行為が、「大学に不合格したら」という仮定の条件によって解除される、ということになる。


*******民法*******

(条件が成就した場合の効果)

第百二十七条  停止条件付法律行為は、停止条件が成就した時からその効力を生ずる

2  解除条件付法律行為は、解除条件が成就した時からその効力を失う

3  当事者が条件が成就した場合の効果をその成就した時以前にさかのぼらせる意思を表示したときは、その意思に従う。


(解除の効果)

第五百四十五条  当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない。

2  前項本文の場合において、金銭を返還するときは、その受領の時から利息を付さなければならない。

3  解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない。
コメント

外形を自ら作り出していないのに権利外観法理(94条2項類推)が適用される場合とは。

2014-09-23 23:00:00 | 民法総則




  下に掲載した事例の検討

1、原則は、XとAの売買契約があるので、それに従う。

 すると、売買代金の支払いがなされておらず、甲土地の所有権は移転していないこととなり、Bは所有権を有しないAから甲土地を買ったこととなる。

 上の写真の設問1のほうの類似問題(公信問題)と言える。

 X    - - -→    A     →       B
    H11.2.28    4.5    4.15    4.16    
    売買契約     登記   売買契約   登記  


2、事例では、Bは、権利の外観としての「Aの登記」を信じて(善意無過失)、甲土地を購入した。
 このようなBを保護しないと、取引の安全を害することになる。


3、権利外観法理は、1)外観作出への帰責性と、2)外観を信じた第三者が保護に値すること(善意)。

 この事例では、Bは善意無過失であり、2)は問題にならない。

 Xに、1)でいう外観作出への帰責性があると言えるか。そもそも、Aは、外観作出自体に関与していないのである。

4、A名義登記という外形作出について、Xに帰責性が認められるか。

 判断要素

 〇Xに帰責性がありの方向に働く要素(下線)
 ① 白紙委任状、権利証、印鑑証明書等を容易に交付

 ② 権利書の預り証、補充後の委任状写しの内容をみたのに訂正請求せず

 〇Xに帰責性がなしの方向に働く要素(青色)
 ① XとAの属性

 ② Aが欺罔的手段を使用

 ③ A名義登記の存在を知って長期間放置していない(A名義登記とAB間の売買契約・移転登記との時間的接着性)


5、最終判断

 〇Xに帰責事由なし ⇒ 94条2項類推適用× ⇒ Xに甲土地の所有権

 〇Xに帰責事由あり ⇒ 94条2項類推適用〇 ⇒ Bに甲土地の所有権

  *ただし、本件事例のようにBが、善意・無過失の場合はよいとしても、
  Bが善意・有過失の場合は、外観を信頼した第三者と外観作出の原因行為をした者との公平を図る民法110条の法意を本件でもあてはめ、Bが保護されないと考えるべき。



6、本件事例と似た判例

 〇最判平成18.2.23 (百選I-22)

 〇本件事例のもとの判例 最判平成15.6.13

7、従来の判例

 〇意思外形対応型
  1、外形自己作出型 最判昭和41.3.18
  2、外形他人作出型 最判昭和45.9.22(百選I-21)

 〇意思外形非対応型 最判昭和43.10.17
  

**********事例*********

1 Xは、工業高校を卒業し、技術職として会社に勤務しているが、相続によ
って甲土地を所有することになった。

2 そこで、Xは、甲土地を売却することを計画して、不動産売買等を業とす
るAに売買を持ちかけたところ、Aとの間で話がまとまり、平成11年2月
28日、甲土地の所有権移転及び所有権移転登記手続と売買代金8200万
円の支払とを引換えとするとの約定で、甲土地の売買契約を締結した。

3 その際、Aが甲土地の地目を田から宅地に変更し、道路の範囲の明示や測
量をし、近隣者から承諾を得るために委任状が必要であるというので、Xは、
委任事項が白紙の委任状を作成し、Aに交付した


4 また、同時に、Aが、5月31日の所有権移転に間に合わせるために、甲
土地の地目の田から宅地への変更、道路の範囲の明示、測量等の所有権移転
の事前準備の必要があるので登記済証を預かりたいと言い、「事前に所有権移
転しますので、本日、土地の権利証を預かります」との記載
がされた預り証
を交付したところ、Xは同記載を見たものの深く考えず、Aに言われるまま
甲土地の登記済証を預けた。


5 3月4日ころ、Aはさらに、道路の範囲の明示に必要であるという説明を
して、XからXの印鑑登録証明書の交付を受けた。

6 3月9日、Xは、Aから、既に交付していた白紙委任状のコピーの交付を
受けたが、委任状には、「上記の物件の土地の売買に関して一切の権限を委任
します」との記載が書き加えられていることに気付いた


7 Xは、不安になって、Aに対し、委任状の記載はこれで良いのか等確認し
たが、Aが言葉巧みにもっともらしい説明を繰り返したため、Aの説明を信
用した。

8 Aは、Xから交付を受けた書類を悪用して、Xに対して売買代金を支払う
ことなく、甲土地につき、4月5日受付で、XからAへの所有権移転登記を
した(本件第1登記)。

9 さらに、Aは、4月15日、Bとの間で、甲土地を売買代金6500万円
で売り渡す旨の契約を締結し、これに基づき、4月16日、甲土地の所有権
移転登記をした(本件第2登記)。

10 なお、Bは、Aに甲土地の所有権が移転していないことについて善意・無
過失であった。

11 Xは、Aの地目変更のため等で委任状や登記済証等が必要であるという説
明を信じて上記書類を交付したものであって、その他本件第1登記がなされ
ることを承諾したと認められる事情はなかった。

12 Xは、本件第1登記、同第2登記がなされていることを5月26日に知り、
Aに対し事情の説明を求めたが、Aは不誠実な対応を繰り返すばかりで、埒
があかなかったので、弁護士に相談することにした。

(小問1) Xが、移転登記抹消登記手続請求をする場合、請求原因の要件事
実は何か

(小問2) 本件の素材となった事案に対する判例の処理は、従来の判例の考
え方には該当しないとする説明がある。では、素材となった事案に
対する判例の処理は、どのような点で、従来の判例の考え方に該当
しないと説明できるのか。

(小問3) あなたはXから相談を受けた弁護士だとする。
 Xから、Bに過失がある場合と無過失である場合とでXの移転登記抹消登記手続が認
められるか否かの結論が異なるのかとの質問を受けた場合、どのよ
うに回答するか。
 本件事案とは異なり、Xが、債権者から甲土地を
守るために、自らその登記名義を妻のC名義に移すこととし、Cに
は相談せず、甲土地の売買契約書を作成してCの実印を押印し、こ
れに基づいて所有権移転登記を行ったところ、その後Xと離婚した
Cが甲土地の登記名義がCとなっていることに気付いて、Cが甲土
地をDに売却した場合と比較して回答しなさい。

以上

コメント

医の倫理綱領 平成12年4月2日採択(日本医師会第102回定例代議員会)

2014-09-03 10:50:51 | 民法総則
医の倫理綱領
http://www.med.or.jp/doctor/member/000967.html

2000.4.1





 医学および医療は、病める人の治療はもとより、人びとの健康の維持もしくは増進を図るもので、医師は責任の重大性を認識し、人類愛を基にすべての人に奉仕するものである。

 

1.医師は生涯学習の精神を保ち、つねに医学の知識と技術の習得に努めるとともに、その進歩・発展に尽くす。


2.医師はこの職業の尊厳と責任を自覚し、教養を深め、人格を高めるように心掛ける。


3.医師は医療を受ける人びとの人格を尊重し、やさしい心で接するとともに、医療内容についてよく説明し、信頼を得るように努める。


4.医師は互いに尊敬し、医療関係者と協力して医療に尽くす。


5.医師は医療の公共性を重んじ、医療を通じて社会の発展に尽くすとともに、法規範の遵守および法秩序の形成に努める。


6.医師は医業にあたって営利を目的としない。



コメント

てんかんで事故(無免許で運転中に発作) 危険運転傷害罪を初適用 札幌地方裁判所金子大作裁判官2014.9.2

2014-09-02 23:00:00 | 民法総則
 どういう場合で、初適用されたのか。

 無免許で車を運転中、てんかんの発作を起こして意識を失い、対向車線を走ってきた車と衝突し相手の男性に大けがをさせた事案。

************************************************
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140902/k10014295121000.html
てんかんで事故 危険運転傷害罪を初適用
9月2日 22時19分


てんかんの発作が原因で衝突事故を起こしたとして、無免許での危険運転傷害の罪に問われた男に対し、札幌地方裁判所は「持病や無免許運転の危険性を認識しながら車を運転したことは強く非難される」として、懲役1年10か月の実刑を言い渡しました。
新しい法律により、病気が関係したケースでも危険運転傷害の罪が適用できるようになって以降、この規定が適用された判決は全国で初めてです。

札幌市東区の無職、〇〇〇〇被告(27)はことし6月、無免許で車を運転中、てんかんの発作を起こして意識を失い、対向車線を走ってきた車と衝突し相手の男性に大けがをさせたとして、無免許での危険運転傷害の罪に問われました。
2日の判決で札幌地方裁判所の金子大作裁判官は、「被告はてんかんの持病があることや、無免許のため技能や知識が不足していることが運転の危険性を高めることをよく認識していた。それなのにあえて車を運転したことは強く非難される」と指摘し、懲役1年10か月の実刑を言い渡しました。
ことし5月に施行された新しい法律では、てんかんなど特定の病気によって正常な運転に支障が生じるおそれがある場合、危険運転傷害の罪が問えるようになり、この規定が適用された判決は全国で初めてです

*************************


<法律類の参照>
危険運転致死傷罪は一定の危険な状態で自動車を走行・運転し人を死傷させる罪である。平成13年の刑法改正により刑法第208条の2に新設された。その後、同規定は自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(平成25年11月27日法律第86号)により、同法律に独立して規定されることとなった。


刑法第208条の2
 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させ、よって、人を負傷させた者は15年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は1年以上の有期懲役に処する。その進行を制御することが困難な高速度で、又はその進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させ、よって人を死傷させた者も、同様とする。

2項 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に侵入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通事故の危険を生じさせる速度で自動車を運転し、よって人を死傷させた者も、前項と同様とする。赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通事故の危険を生じさせる速度で自動車を運転し、よって人を死傷させた者も、同様とする。







自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律
(平成二十五年十一月二十七日法律第八十六号)



(定義)
第一条  この法律において「自動車」とは、道路交通法 (昭和三十五年法律第百五号)第二条第一項第九号 に規定する自動車及び同項第十号 に規定する原動機付自転車をいう。
2  この法律において「無免許運転」とは、法令の規定による運転の免許を受けている者又は道路交通法第百七条の二 の規定により国際運転免許証若しくは外国運転免許証で運転することができるとされている者でなければ運転することができないこととされている自動車を当該免許を受けないで(法令の規定により当該免許の効力が停止されている場合を含む。)又は当該国際運転免許証若しくは外国運転免許証を所持しないで(同法第八十八条第一項第二号 から第四号 までのいずれかに該当する場合又は本邦に上陸(住民基本台帳法 (昭和四十二年法律第八十一号)に基づき住民基本台帳に記録されている者が出入国管理及び難民認定法 (昭和二十六年政令第三百十九号)第六十条第一項 の規定による出国の確認、同法第二十六条第一項 の規定による再入国の許可(同法第二十六条の二第一項 (日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法 (平成三年法律第七十一号)第二十三条第二項 において準用する場合を含む。)の規定により出入国管理及び難民認定法第二十六条第一項 の規定による再入国の許可を受けたものとみなされる場合を含む。)又は出入国管理及び難民認定法第六十一条の二の十二第一項 の規定による難民旅行証明書の交付を受けて出国し、当該出国の日から三月に満たない期間内に再び本邦に上陸した場合における当該上陸を除く。)をした日から起算して滞在期間が一年を超えている場合を含む。)、道路(道路交通法第二条第一項第一号 に規定する道路をいう。)において、運転することをいう。

(危険運転致死傷)
第二条  次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
一  アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
二  その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
三  その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為
四  人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
五  赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
六  通行禁止道路(道路標識若しくは道路標示により、又はその他法令の規定により自動車の通行が禁止されている道路又はその部分であって、これを通行することが人又は車に交通の危険を生じさせるものとして政令で定めるものをいう。)を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為

第三条  アルコール又は薬物の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、そのアルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を負傷させた者は十二年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は十五年以下の懲役に処する。
2  自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるものの影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、その病気の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を死傷させた者も、前項と同様とする。

(過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱)
第四条  アルコール又は薬物の影響によりその走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転した者が、運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた場合において、その運転の時のアルコール又は薬物の影響の有無又は程度が発覚することを免れる目的で、更にアルコール又は薬物を摂取すること、その場を離れて身体に保有するアルコール又は薬物の濃度を減少させることその他その影響の有無又は程度が発覚することを免れるべき行為をしたときは、十二年以下の懲役に処する。

(過失運転致死傷)
第五条  自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

(無免許運転による加重)
第六条  第二条(第三号を除く。)の罪を犯した者(人を負傷させた者に限る。)が、その罪を犯した時に無免許運転をしたものであるときは、六月以上の有期懲役に処する。
2  第三条の罪を犯した者が、その罪を犯した時に無免許運転をしたものであるときは、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は六月以上の有期懲役に処する。
3  第四条の罪を犯した者が、その罪を犯した時に無免許運転をしたものであるときは、十五年以下の懲役に処する。
4  前条の罪を犯した者が、その罪を犯した時に無免許運転をしたものであるときは、十年以下の懲役に処する。

   附 則 抄


(施行期日)
第一条  この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。




自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律施行令
(平成二十六年四月二十三日政令第百六十六号)


 内閣は、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(平成二十五年法律第八十六号)第二条第六号及び第三条第二項の規定に基づき、この政令を制定する。



(定義)
第一条  この政令において「自動車」とは、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律 (以下「法」という。)第一条第一項 に規定する自動車をいう。

(通行禁止道路)
第二条  法第二条第六号 の政令で定める道路又はその部分は、次に掲げるものとする。
一  道路交通法 (昭和三十五年法律第百五号)第八条第一項 の道路標識等により自動車の通行が禁止されている道路又はその部分(当該道路標識等により一定の条件(通行の日又は時間のみに係るものを除く。次号において同じ。)に該当する自動車に対象を限定して通行が禁止されているもの及び次号に掲げるものを除く。)
二  道路交通法第八条第一項 の道路標識等により自動車の通行につき一定の方向にするものが禁止されている道路又はその部分(当該道路標識等により一定の条件に該当する自動車に対象を限定して通行が禁止されているものを除く。)
三  高速自動車国道(高速自動車国道法 (昭和三十二年法律第七十九号)第四条第一項 に規定する道路をいう。)又は自動車専用道路(道路法 (昭和二十七年法律第百八十号)第四十八条の四 に規定する自動車専用道路をいう。)の部分であって、道路交通法第十七条第四項 の規定により通行しなければならないとされているもの以外のもの
四  道路交通法第十七条第六項 に規定する安全地帯又はその他の道路の部分

(自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気)
第三条  法第三条第二項 の政令で定める病気は、次に掲げるものとする。
一  自動車の安全な運転に必要な認知、予測、判断又は操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈する統合失調症
二  意識障害又は運動障害をもたらす発作が再発するおそれがあるてんかん(発作が睡眠中に限り再発するものを除く。)
三  再発性の失神(脳全体の虚血により一過性の意識障害をもたらす病気であって、発作が再発するおそれがあるものをいう。)
四  自動車の安全な運転に必要な認知、予測、判断又は操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈する低血糖症
五  自動車の安全な運転に必要な認知、予測、判断又は操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈するそう鬱病(そう病及び鬱病を含む。)
六  重度の眠気の症状を呈する睡眠障害

   附 則 抄


(施行期日)
1  この政令は、法の施行の日(平成二十六年五月二十日)から施行する




コメント

権利の濫用について(民法1条3項 権利の濫用は、これを許さない)

2014-09-01 00:21:30 | 民法総則
権利濫用(民法1条3項)について
                       
1、 はじめに
 権利濫用の法理について、日本を含め大陸系の民法では、ローマ法以来権利濫用の法理がどのように用いられているか、欧米系の民法ではどうかを整理した後、日本での同法理の要件・効果・機能について、具体的に判例を参照しつつ論ずる。
 最後に、同法理がなければならないのか、その有用性について考察を加える。


2、 ローマ法における権利濫用の法理
(1) D.39,3,1,12(Ulpianus)
 「最後にマルケルスが書いているところでは、自己の土地に井戸を掘って隣地の泉を枯れさせてしまった者を相手にして何も訴えることができず、さらに悪意訴権も、隣人を害する意図によってではなく、自己の土地を改良する意図をもってこれを行ったのであれば、当然もつはずもない。」

解説:自己の土地に井戸を掘る行為は、土地所有権の行使であってこれが不法になるなることはない。たとえ、隣地の井戸が涸れてしまっても、隣地所有者は損害賠償請求することはできない。しかし、隣人を害する意図をもって、隣人の井戸を枯れさせることを意図して井戸を掘った場合には、悪意訴権(actio
de dolo)によって、損害賠償が認められる。


(2)D.39,3,2,9(Paulus)
 「同じくラーベオーは、次のように述べている。すなわち隣人が干上がった川の流れを変えて、水が自己の土地に流れ込まないようにし、こうして他の隣人が害されるという結果になった場合、この隣人を相手に雨水阻止訴権によって訴えることはできない。なぜなら、水を阻止するとは、流れないように配慮することだからである、と。この意見はより正しくは、汝を害する意図ではなく、自己に害が来ないようにする意図でこれを行った場合に限定される。」

解説:「干上がった川」だから、これに工事を加えたとしても、「川の流れ」を変えたことにはならない。干上がった川に工事を加えた場合、隣人にも、自分なりの防御工事など、対抗措置を取り得るのである。従って、工事が隣人を害する意図で行われた場合、他の訴権がないので、悪意訴権が可能とされる。


(3)D.50,10,3pr.(Macer)
ア、「(公有地に)新しい建造物をつくることは元首(皇帝)の承認なしに私人に許される。ただし、他の都市に対するライバル心(amulatio)に基づく場合、または、対立(seditio)の基となる場合、または、劇場もしくは円形劇場の周りである場合はこの限りでない。」
イ、「他の都市に対するライバル心」という言葉に14世紀の著名な法学者バルトルスが注釈を加えた。
「さらに、ある者が私有地に工作物を建築しようとする場合も同様に解される。これは可能であるが、ただし、他の都市を加害(inuiuria)する目的またはライバル心から建築する場合は、別である。「標準注釈」の説明では、ある者がある場所に城壁を作ったが、それが他の都市にとって危険となりうる場合には、許されてはならない、とある。そして、危険であるとは、他の都市またはその都市に服する者にとって恐れを抱かせるものとして理解せよ。そして、これが法文で他の都市に対するライバル心のためにと言われていることである。」

解説:バルトルスが、「公有地」から「私有地」へと適用の余地を広げた。都市同士の関係から、相隣関係に拡張し、さらに、「ライバル心」や「対立の基」を「加害の目的」と一般化した。
 「加害の目的」あるいは「加害の意思」という要件の証明は難しい。行為者の側に自己のための経済的利益が存在しないにも関わらず建築するときは、加害の意思が推定される。例えば、隣地の境界線に接して無駄な建築をする場合、隣人またはその美しい娘の部屋の周りに窓を設置する、あるいは修道院の静謐・隠棲を妨げる建築と言った場合である。



3、各国の権利濫用に関する規定
(1)ドイツ民法
 他人を害する目的のみから権利行使をする場合(これを「シカーネSchikane」という)を権利濫用として禁止している(ドイツ民法226条)。

(2)スイス民法
 「明白な濫用」に限定している(スイス民法2条2項)。
 我が国の規定は、スイス民法をならったものである。

(3)フランス法
 狭義の権利濫用と近隣妨害とが区別され、前者については害意を要件とする判例理論となっている。
 フランス法が、我が国の権利濫用法理の母国法である。

(4)英米法
 不文法主義をとっているから、もとより権利濫用に関する規定は設けられていないが、判例理論としてもあまり発達していない。



4、 日本法における権利濫用の法理(民法1条3項)
(1) 意義
 権利の行使の結果として他人に損害を与えることがあっても、原則として責任を負うことはない。
 しかし、権利の行使といえども、それが権利の濫用と評価される場合には、権利行使は違法となり制限される。


(2) 権利濫用の要件
ア、 主観的要素
 加害意思・加害目的をもって権利行使をするかどうか。
イ、客観的要素
 当事者間の利益状況の比較、すなわち、権利行使によって実現される権利者個人の利益とそれが相手方または社会全体に及ぼす害悪との比較衡量がなされる。
ウ、客観的要素と主観的要素の両方から、権利濫用の成否を判断するが、戦後の判例は、客観的な判断基準を重視する傾向を示している。


(3) 権利濫用の効果
ア、 権利の行使が濫用となる場合には、権利行使の効果が生じない。
イ、 権利の行使が濫用となる場合に、その行為によって相手方の利益を害しているときは、権利行使者に不法行為による損害賠償の責任が生じる。相手方からの差止め請求(妨害排除)が認められる場合もある。


(4) 権利濫用の機能
 権利濫用法理の機能という観点から整理がなされ、以下に分類されている(百選-1、大村敦志氏解説参照)。
ア、 不法行為的機能
 ①信玄公旗掛松事件(大判大正8・3・3)、②大阪アルカリ事件(大判大正5・12・22)、③小松園事件(大判昭和13・6・28)、④日照妨害に関するもの(最判昭和47・6・27)
イ、 既判創造的機能
 ⑤⑥借地の明渡し請求に関するもの(最判昭和38・5・24、最判平成9・7・1)、⑦サブ・ディーラー事件(最判昭和50・2・28)、⑧解雇権の行使に関するもの(最判昭和50・4・25)、⑨時効の援用に関するもの(昭和51・5・25)
ウ、強制調停的機能
 ⑩宇奈月温泉事件(大審院昭和10・10・5)、⑪高知鉄道事件(大判昭和13・10・26)、⑫板付基地事件(最判昭和40・3・9)


(5)権利行使の態様と権利の濫用
 我妻は、権利の濫用となる権利行使の態様を、4つに分類している(我妻・有泉コメンタール民法)。
ア、他人の侵害の排除を主張することが権利濫用となる場合
 この種の場合、排除の請求そのものが否定される。
 ⑩宇奈月温泉事件、⑪高知鉄道事件、⑫板付基地事件。
イ、形成権の行使が濫用となる場合
 1947年改正前の民法においては、戸主の居所指定権の行使が濫用とされた場合が多く、指定そのものが無効とされた。契約の解除権の行使が濫用とされる場合も多い。その場合に、解除の意思表示はその効力を認められないから、解除権者は解除を前提として自己の債務履行を拒み、または原状回復の請求をすることはできない。
ウ、正当な範囲を逸脱した権利の行使の場合
違法性を帯びることになり、不法行為として、権利行使によって他人に加えた損害を賠償しなければならない。①信玄公旗掛松事件、③小松園事件。
 他人を告発する行為や訴権の行使が権利の濫用として不法行為になる場合がありうる。訴権の濫用により訴訟要件を欠くとして訴えを却下した例がみられる。
エ、権利の濫用がはなはだしくなると、その権利をはく奪される場合
 親権の濫用の場合。



(6)権利濫用に関する日本の判例における問題点
ア、 ⑦サブ・ディーラー事件(最判昭和50・2・28、百選―100)
(ア) 事実の概要
 自動車のディラーXが、サブ・ディラーAに自動車を所有権留保付きで売却、サブ・ディラーがユーザーYに売却。サブ・ディラーAが代金をディラーXに支払わなかったので、XがYに対して所有物取戻し訴訟を提起した。最高裁は、ディラーXの訴えを権利濫用として請求棄却。

(イ) 問題点
 判例の動向では、権利濫用であると判断するための不可欠な事情について、権利濫用を基礎づける評価根拠事実と共に、特段の事情のあること、つまり、Yの悪意・有過失という評価障害事実を必要としている。
 売主Xとしては、Aによって、X所有の自動車が転売されることをAと所有権留保売買を締結する際に予定しており、Aからの代金回収に不安があれば、Aから他の担保を徴収するなど危険を回避する手段を講じることが可能であるのであって、このような場合にまで、Yの悪意・有過失を権利濫用の成立に要するかは、疑問である。


イ、 ⑫板付基地事件(最判昭和40・3・9)
(ア) 事案の概要
 米軍基地に敷地を提供していたXが契約終了後にY(国)に対して土地の返還を求めた。最高裁は、Xの請求を権利濫用にあたるとして退けた。

(イ) 問題点―権利濫用の濫用
 権利濫用法論は、権利者に不利な帰結を導きやすい。権利濫用法理の強制調停的機能は、「ある特定の利益の伸張論」として働くおそれがある。
 板付基地事件(類似事件として、⑪高知鉄道事件(大判昭和13・10・26))でも、公益性をなまの形で問題にして私益と比較衡量している。
 権利濫用法理を用いるのであれば、何らかの加害の意思がXに有ることが必要なのではないか(加害目的がないので権利濫用とまでは言えないという判断の可能性もあった)、疑問である。


ウ、⑥明渡を請求することが権利の濫用に当たるとした例(最判平成9・7・1)
(ア)事案の概要
 一体として利用されている借地の一方についてのみ借地借家法10条による対抗力が認められる建物が存在する場合に、両地の買主が他方の土地について明渡しを請求することが権利の濫用に当たるとした。

(イ)問題点
 本件では、対抗力が両地に及ぶとする理論によっても十分に救済が可能であった(我妻・有泉コメンタール民法)。
 権利濫用の法理は、一般条項として、制定法の硬直さを緩和し、信義則と同様に、裁判基準の創造を可能にする機能を有する。かと言って、権利濫用の法理によってしか妥当な解決が得られないケースであるかどうか十分に検討した上で、用いるべきものであると考える。



5、考察
(1) 問題の所在
 日本を含め大陸系の民法では、ローマ法以来権利濫用の法理が用いられている一方、欧米系の民法では、不文法主義故に、もとより権利濫用に関する規定は設けられていないが、判例理論としてもあまり発達していない。
 大陸系と欧米系の民法の考え方の大きな違いと言えるが、権利濫用の法理が、一方で存在意義があるとしながら、他方でなくてもよいとするのであれば、本当のところ、権利濫用の法理は、欧米系の民法の如く、なくてもやっていけるということなのだろうか。もちろん、大陸系の民法でも、権利濫用の法理は、他に用いるべき法理がない場合に用いられるものであるとして存在しているのであるが、なくてもやっていけるといいきれるのだろうか。
 この考察に関連した問題点は、上記4(6)ウでも触れたところであるが、あらためて、4(4)で取り上げた権利濫用法理(以下、単に「同法理」という。)を用いた主たる判例の事案を、権利濫用法理を用いないで解決可能かを、以下(2)で検討する。


(2) 権利濫用法理を用いた各判例(大村敦志氏の機能による分類別)の検討
ア、 不法行為的機能
 不法行為的機能のいずれの判例も、不法行為法だけで解決可能と考える。
① 信玄公旗掛松事件(大判大正8・3・3)
 蒸気機関車の煤煙を防ぐ対策をすることは可能であったのにその対策をとらなかったことに過失があり、同法理を用いずとも過失による不法行為だけで処理できた事案であると考える。

② 大阪アルカリ事件(大判大正5・12・22)
 硫酸製造と銅精錬の経営をすることを法律によって認容された会社が、公害を防止するための設備を整えていた場合は、排出した硫酸によって農作物に被害が出ても、当該会社には権利濫用はないとした。権利濫用の法理がまだ日本に根付く前の判例であるが、不法行為だけで処理できる事案であると考える。

③ 小松園事件(大判昭和13・6・28)
 他人の井戸水利用を侵害する加害の目的のため、多数の井戸を掘ったのであり、不法行為だけでも処理できる事案であると考える。

④ 日照妨害に関するもの(最判昭和47・6・27)
 日照妨害を生じたのは、建築基準法に違反する増築のためであるのであって、不法行為だけで処理できる事案であると考える。


イ、 既判創造的機能
 時効制度や不動産登記制度や自動車登録制度の原則に従っていては、事案によって、妥当な解決を導き得ないケースが稀にあり、同法理がどうしても必要になる場合があると考える。
⑤ 借地の明渡し請求に関するもの(最判昭和38・5・24)
 借地借家法制定以前の判例で、いわゆる地震売買のケースである。土地の賃貸人を、身内が設立した会社に代えることで、賃借人に建物収去を迫った。対抗力のない賃借人保護のため、同法理を用いざるをえなかった。

⑥ 借地の明渡し請求に関するもの(最判平成9・7・1、既出4(6)ウ)
 隣接する二筆の土地が、社会通念上相互に密接に関連する一体として利用されていることから、片方だけの対抗力があれば、対抗力が両地に及ぶとする理論が、本当に用いることができればよいが、判例のごとく、権利濫用を丁寧に認定することが妥当であったと考える。
 従って、同法理が必要なケースと考える。ただし、弁護士である兄弟が、対抗力のないほうの土地を第三者に売買しているという、事案があまりにも特殊であって、実際に同法理を持ち出す事例はごくまれであると思われる。

⑦ サブ・ディーラー事件(最判昭和50・2・28、既出4(6)ア)
 判例上、登録済みの自動車については引渡を公示方法とする一般の動産とは異なり、民法192条の適用はないと解されており、ディラーX名義で所有者登録をされている限り、もはやYを保護する余地がない。従って、同法理を使わざるを得なかったともいえる。
 ただし、ドイツでは、ディラーの所有物返還請求は認めるが、本事案のように、サブ・ディラーの販売に協力し、所有権留保をユーザーYに意識的に隠蔽していた場合には、ユーザーYのディラーXに対する不法行為に基づく損害賠償請求を認めることも可能であって、同法理がなくとも解決できると言える。

⑧ 解雇権の行使に関するもの(最判昭和50・4・25)
 ユニオン・ショップ協定に基づく解雇は、当該労働者が、正当な理由がないのに労働組合に加入しないために組合員たる資格を取得せず、又は労働組合から有効に脱退し若しくは除名されて組合員たる資格を喪失した場合に限定される。除名が無効な場合には、労働者は解雇義務を負わない。除名が無効な場合には、解雇権の行使に同法理を用いなくとも論理的に帰結は導けるのではないだろうか。

⑨ 時効の援用に関するもの(昭和51・5・25)
 家督相続した息子と母の間の争いであるが、調停で認められた土地贈与に従い、母が息子に所有権移転許可申請協力請求権を行使すべきところ、消滅時効の10年が経過し、息子が消滅時効を援用するという事案である。
 妥当な解決を得るためには、時効の援用に対し、同法理を持ち出さざるを得ない事案であったと考える。


ウ、 強制調停的機能
 所有権は、目的物に対して強力な支配的効力が認めらているので、その効力の範囲内に属しながら、実は所有権が認められた本来の目的を逸脱する場合が起こりやすい。
 ⑩⑪⑫の場合は、それら所有権に基づく訴えに対する抗弁として、同法理は、非常に有用であると考える。
⑩宇奈月温泉事件(大審院昭和10・10・5)
 加害の意思をもって、所有権に基づく妨害排除請求がなされている。
⑪ 高知鉄道事件(大判昭和13・10・26)
 加害の意思まではなくとも、所有権に基づく妨害排除請求に従うことが社会通念上不可能(一方が山、一方が海の狭隘な土地に無断で鉄道線路が敷設されたケースで、線路撤去には莫大な予算と危険な工事を要する。)な場合である。
⑫ 板付基地事件(最判昭和40・3・9、既出4(4)イ)
 加害の意思はなくとも、所有権に基づく妨害排除請求は、社会性、公共性の面から過当な請求の場合である。


(3)まとめ
 所有権に基づく妨害排除請求、時効の援用、登記制度・登録制度を原則適用した場合、妥当な結論が導けない場合がどうしてもありうると言える。
 そこで、一般条理であるものの、権利濫用の法理を用いることが有用な場合があり、同法理をなんらかの形で用いる大陸法系の考え方に私は賛同する。
 逆を言えば、欧米系の民法では、宇奈月温泉事件のような事案、特に加害の意思がない場合などにおいて、いかに処理するのか興味がわくところである。
 引き続き、権利濫用の法理を最高裁はいかに用いるか判例の動向に注目していきたい。  


以上       
コメント

ひとは自分の言ったことにのみ縛られ、例え錯誤で言っことさえ縛られないほどに自由。

2013-04-10 09:46:31 | 民法総則

 自分が好きな条文。
 「好きな」であって、その条文の社会に与える意義や重要性で判断しているわけではないので、ご了承ください。

 憲法では、23条。
 憲法第二十三条  学問の自由は、これを保障する。


 では、民法はの好きな条文を全条文1044条の中から一つ選ぶとすれば。
 法律学を法科大学院で1年間学んだ現段階で、今思う最も好きな民法の条文は、95条。

****民法****
(錯誤)
第九十五条  意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。
**********

1、この条文は、「意思あるところに義務も生じる。意思ないところに義務は生じない。」を具現化したものと私は、思っています。

 すなわち、「自由」を規定したものであると思っています。

 他人からああしろ、こうしろと言われても、そのことでなんら義務は生じない。
 自分が縛られるのは、自分が言ったことのみ。
 自分が言ったことが、錯誤で誤っていたら、そのことにも縛られない。
 真に自分が言ったことにのみ縛られる。

 昔は、他人の意思に縛られた時代があったのでしょう。
 自分が言っていないにもかかわらず、支配者の意思が示されたそのことが、自分の義務になっていた、その反省から、勝ち取った条文ではないかと推察します。

 
2、実際のところ、1で記載したような広い解釈が95条ではなされていません。制約がかけられた条文解釈がなされています。
 1で記載の精神だけは、それでもなお生きていると信じて、好きな条文としています。

 日本の民法学における民法95条「錯誤」の議論では、現状で制約がかけられた95条の解釈に至る過程は、以下のように説明されていると、私は理解しています。



1)フランス革命を受けてフランス民法典(ナポレオン法典)ができ、そこでは、「意思のあるところに義務が生じる。意思のない錯誤は無効とする」規定であった。
 日本は、そのフランス民法典を参考に、当初、ボワソナードを中心に条文をつくろうとしていた。

2)しかし、それでは、あまりにも取引の安全が害されるため、制約をかける必要があった。
 そこで、ドイツ民法を取り入れた。

 すなわち、
 ⇒民法制定当初の立法者の考えでは、95条は「表示上の錯誤」と「表示上の意味の錯誤」のみ適用される。「動機に錯誤」がある場合は該当せず、意思表示は無効とならない(動機の錯誤排除論)。
  「表示上の錯誤」例えば、1000円で買うつもりが、口がすべって1000万円で買うと言ってしまった。
  「表示上の意味の錯誤」例えば、1円=1ドルとレートを勘違いしていて、1000ドル表示の品物を、1000円で買えると思って、この品物を1000ドルで買うと言ってしまった。


   
1)2)記載の根拠として、日本の民法制定の歴史
『民法総論』四宮和夫・能美善久著





3) それでは、あまりにも錯誤が適用できる場面が限られることとなった。
  よって、特定の場面では、動機の錯誤を認める理論が、判例理論として構成されるに至った。

 すなわち、
 ⇒「動機の錯誤」があったとしても、それが表示されていれば、民法95条の適用または類推適用の対象となりうる。(二元説、裁判所)

  学説では、「思い違いの対象が重要なものであること」+「相手方が表示者が思い違いをしていることを知りまたは知りうべき状況にあったこと(予見可能性)」の場合に適用するという考え方もある。(一元説、船橋ら)


4)来るべき民法債権法改正議論では、錯誤無効ではなく、錯誤も「取り消しうるべき意思表示」とする考え方が出されている。

 個人的には、フランス革命以来の歴史的過程で「意思表示」が大切なもの考えられてきたことを尊重し、錯誤は、やっぱり「無効」であってほしいと思います

****法務省ホームページより*****

http://www.moj.go.jp/content/000108853.pdf

2 錯誤(民法第95条関係)
民法第95条の規律を次のように改めるものとする。

(1) 意思表示に錯誤があった場合において,表意者がその真意と異なることを
知っていたとすれば表意者はその意思表示をせず,かつ,通常人であっても
その意思表示をしなかったであろうと認められるときは,表意者は,その意
思表示を取り消すことができるものとする。

(2) 目的物の性質,状態その他の意思表示の前提となる事項に錯誤があり,か
つ,次のいずれかに該当する場合において,当該錯誤がなければ表意者はそ
の意思表示をせず,かつ,通常人であってもその意思表示をしなかったであ
ろうと認められるときは,表意者は,その意思表示を取り消すことができる
もの
とする。
ア 意思表示の前提となる当該事項に関する表意者の認識が法律行為の内容
になっているとき。
イ 表意者の錯誤が,相手方が事実と異なることを表示したために生じたも
のであるとき。

(3) 上記(1)又は(2)の意思表示をしたことについて表意者に重大な過失があっ
た場合には,次のいずれかに該当するときを除き,上記(1)又は(2)による意
思表示の取消しをすることができないものとする。
ア 相手方が,表意者が上記(1)又は(2)の意思表示をしたことを知り,又は
知らなかったことについて重大な過失があるとき。
イ 相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき。

(4) 上記(1)又は(2)による意思表示の取消しは,善意でかつ過失がない第三者
に対抗することができないものとする。

(注) 上記(2)イ(不実表示)については,規定を設けないという考え方がある。
*****************************



 


 

コメント