花熟里(けじゅくり)の静かな日々

脳出血の後遺症で左半身麻痺。日々目する美しい自然、ちょっと気になること、健康管理などを書いてみます。

「責任の取りかた」

2012年06月29日 16時27分19秒 | ちょっと気になること
福島第一原子力発電所事故に関しては、当事者である東電は事故発生者としての責任、事故発生の未然防止が出来なかったこと、事故対応の不手際や情報隠ぺいなどの批判がなされ、6月27日の株主総会で勝俣会長・西沢社長はじめ、経営陣は一新されました。事故当時の清水社長は、事故後の2011年6月に西沢社長に交代させられています。 これで、事故当時の東電のすべての幹部は人事上で責任を取らされたことになります。なお、東電は実質的に経営破綻しており、会社更生法に基づき再建されるべきところ、公的資金が導入され、存続させられています。経営合理化、リストラが実施されていますが、経営破綻した企業としてみると実に甘い合理化に映ります。人件費・福祉制度などで大ナタを振るわなければ、国民は納得しません。一般の従業員も苦しいでしょうが歯を食いしばって耐えなければなりません。

もう一方の当事者である政府(政治家や官僚)の責任については、マスコミでは指摘がなされますが、政治家や官僚で、明確に責任を取った人は誰もいません。役人の場合は、『定期人事異動』にかこつけて、本人にキズがつかないようにしているようです。 政治家は、菅総理、枝野官房長官、海江田大臣らは揃って、「自分は十分に職責を果たした」とうそぶいて、責任をすべて東電に転嫁する発言をしています。菅総理のリーダーとしての無能さが今日の混乱をもたらしていること、加えて、枝野長官の二枚舌と海江田大臣の優柔不断さが、国民の原子力をめぐる政治への不信を招いた大きな要因であること本人は全く意に介していないようです。最近、菅直人氏は一部の脱原発狂信者によって脱原発の中心人物に祭り上げられるのを待ち望んでいるかのような言動を繰り返しています。実に厚顔な人物です。

6月になって、昨年3・11の事故時に米軍が作成した放射線汚染図を政府が放置したことがマスコミを賑わしています。このことは、昨年3月の時点でメディアで報じられていましたし、このデータは米軍と日本で共有していると発言しているも報じられていましたので、いまさらという感じですが。

記事の内容は、米国から放射線測定データを受信した文部科学省と経済産業省原子力安全保安院は、このデータを官邸や原子力安全委員会に連絡せず、従って、政府として活用されることはなかった、と報じられましたが、その後、官邸にある原子力安全委員会には伝えられていたという報道もなされています。これが真実ならば、当然菅総理など官邸の中枢にも伝えられていたと考える方が自然です。昨年の事故当時から様々な情報を隠ぺいしてきた菅政権は知らぬ存ぜぬで押し通すつもりでしょうが。

文部科学省は記者会見で、国内のモニタリングが担当で、外国からの情報提供は担当外と思っていたと発言。保安院は、危機センターで受信したことは認めたが、原子炉事故のことにかかりきりで、住民の避難などに活用することは考えもしなかった、というものです。6月28日に保安院と文部科学省の幹部が福島県と関係自治体にお詫びに訪れていますが、双葉町の井戸川町長は「放射能にさらされて放置され、我々は被ばくした。不安を掻き立てるから隠ぺいしたのだろうが非常に軽率。関係者は全員処分されるべきだ」と報道陣に話しています。

要するに、菅政権の中枢は、想定外の原子力事故に右往左往するばかりで冷静さを欠き、“原子力に詳しいと自負していたイラ菅”総理が、一人で大声で喚き散らしていたのが官邸の当時の姿であり、官僚は、“公僕”として、国民目線で対応すべきという意思を全く持っておらずに、官庁の縦割りの組織の論理だけが判断の基準になっていたと言うのが、実態の様です。
原子力規制の新しい組織が出来ますが、まず、当時の菅総理始め各大臣や官邸の関係者の責任を取らせること、官僚の意識の変革こそが先ず取り組むべき事なのではないでしょうか。


(朝日新聞:6月18日) 
『米エネルギー省は原発事故直後の昨年3月17〜19日、米軍機2機に、地上の放射線量の分布を電子地図に表示する空中測定システム(AMS)と呼ばれる機材を搭載して、福島第一原発から半径約45キロの地域の線量を計測した。 外務省によると、測定結果を基に作製された汚染地図は3月18日と20日の計2回、在日米大使館経由で同省に電子メールで提供され、同省が直後にメールを経済産業省原子力安全・保安院と、線量測定の実務を担っていた文部科学省にそれぞれ転送した。文科省科学技術・学術政策局の渡辺格次長ら複数の関係機関幹部によれば、同省と保安院はデータを公表せず、首相官邸や原子力安全委員会にも伝えなかったという。』


(毎日新聞:6月19日)
『保安院は、政府の原子力災害対策本部の放射線班に資料をメールで転送したが、災害対策本部全体でも共有されず、住民避難を指揮していた首相官邸に届けなかったという』


(朝日新聞:6月22日)
『東京電力福島第一原発事故の直後に、経済産業省原子力安全・保安院と文部科学省が米国から入手した放射線の実測データを公表しなかった問題で、国の原子力安全委員会も、米国が公表した昨年3月23日以前に同じデータを入手していた可能性があることが21日、分かった。安全委の久木田豊委員長代理が明らかにした。  久木田委員長代理は同日、「米国側の公表とほぼ同時か、ほんの少し前の時期に、安全委員会としては目にしていたと、私は理解している」と話した。ただ、具体的な入手の時期や経路は事務局で精査中という。  一方、保安院の深野弘行院長は21日会見し、「関係自治体や避難されたみなさまに伝わらなかったことをおわび申し上げたい」と陳謝。「深く反省して今後の防災態勢の強化に役立てなければならない」と述べた。』


(2012年6月29日  花熟里)

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