ジョルジュの窓

乳がんのこと、食べること、生きること、死ぬこと、
大切なこと、くだらないこと、
いろんなことについて、考えたい。

弔われる者

2007-07-10 | なんとなく民俗学?
『カオス レギオン』(先月5日の記事)の主人公、
ジーク・ヴァールハイトは 
担いだ銀色の大きなシャベルで 
死者を弔うための穴を掘る。

ジークには どこからともなく 死者の声が聞こえる。

声というより、死者の「思い」が 
直接 伝わってくるような感覚だという。

現在の日本に実在したら 
スピリチュアルな赤い髪の美形の青年、ということで
黄色い髪のオジサンなんかと一緒に テレビでひっぱりだこになるに違いない。

歌がうまかったら スピリチュアル歌手と一緒に コンサートで歌うだろう。






ユリのオシベ。





戦場で出会う無数の死者の声を ジークは真剣に聞いた。

この生真面目さは 彼の最大の美点のひとつであり、
物語を一層 面白くしている。

(何事においても 「真面目」というのは 
 これまで私が思っていたよりずっと 大事なものなのだ。)



ジークによれば(笑)、
死者は 最初に 自分の名前を伝えてくるのだという
(『カオス レギオン――聖戦魔軍篇』 富士見ファンタジア文庫 136-1、p32)。

彼らがもっとも安らぐのは、墓に彼らの名が刻まれる時なのだという。

死してなお、自分の名前を告げつつ 死者は泣くのだという。



「死者の最も強い思いは、自分が誰だったか、ということだ。」(p56)

だそうで、
ジークは 
検分を兼ねて使者の宗派を見抜き、
信じがたい速度で埋葬し、
墓標となる石をどこからか調達してきて、
ひとりひとりの名を刻むのだ。



間違いなく 自分の宗派で、自分の故郷の風習で 
埋葬してもらえた死者の魂にとって

ジークは なんともありがたい存在だ。

(在り難い? 当然だ! ファンタジーだもの!)



それからジークは、怒りに満ちた死者の魂を招いて 魔軍の兵として
闘わせることもする。

それが唯一の 彼らを弔う方法だから、なんだそうだ。

ともかく、
そうして弔われた死者の魂は 堕気を払われた清浄なものとなって
天に還って行くらしい。

「荒れ狂っていた風が、ぴたりとやんでいた。

 その穏やかな大気を、――略――

 ふわりと、淡い光が浮かび、

 見る間に、無数の光の群れとなって、

 昇りゆくではないか。」(p81)





一日経った ユリのオシベ。





本当にそうなのだろうか?

死者は 自分の名前を墓に刻んで欲しいのだろうか。

なんと言う名前の「人」として この世に生まれて過ごしたか。

それが大事なんだろうか。

(って、ファンタジー読んで真剣に考え込む私って?)



私は 今でも 
<永代供養>について話しかけてきたオバチャンのこと(2005年8月4日、「30年」
(もう何年もお会いしていないのに)時々思い出す。

自分が死んだら 本当に お墓は30年もあれば充分なのだろうか、と。



「永代」というからには 「地球滅亡の日」まで、という考えは変わらない。

けれど 跡取りのいない人は 30年くらいで

(33年というのもあるみたい。
 33回忌が済んだら、ということだろう。)

お墓は消滅させてしまっても構わない、というのもアリだろうか。



まあ、死んじゃった後のことなんだから、
構わないっちゃ構わないし
たとえ「嫌だ」と言ったところで
ジークみたいな人がいなきゃ 聞いてももらえないだろうし

第一、魂が いいとこに行っちゃってるなら
(ホラ、天国とか 極楽とかサ。)
そんな<形骸>のことなんか どうでもいいよね、とも思うし

第一、
まばたきする間に 極楽浄土に行けるように 読経してもらうんだろうに、

亡くなった後も 延々と 何度も何度も追善供養するってことは、
坊さんの法力を信じてないというか(誰も信じちゃいないか?)、

だいたいが 日本人は 遺骨に執着しすぎっていうか・・・・・・。






さらりと洗っただけでは取れない、ユリの花粉の汚れ(爆)。




まあ、夏になると 余計に そんなことを考えるのかねえ。

もうすぐお盆、

地獄の釜のフタが開いたら 死者の魂は 還ってくるのかもしれないけど
地獄にいない魂は どうしちゃうんだろう?

新暦でやったり 月遅れでやったり 旧暦でやったり
そのうえ地蔵盆なんてのもあったりで

聞いた話では 当地のお盆の時期は 変遷があったようだが
ご先祖さまは 子孫のわがままを聞いて
それに合わせて やってきてくれるんだろうか?

(ご苦労さまなことです。。。)

毎年 爺ちゃん、婆ちゃんのお位牌を
仏壇から出して 盆棚に飾るって事は
先祖は成仏なんかしてやしない、と信じてるからだろうか? 

成仏してても 還ってきてくれるんだ?

昔 宗教学の授業で
死者の荒ぶる魂は 33年かけて清められて
山の上の方に行くんだ、とか聞いたけど。






サマーロベリア




ただ 父の墓参りをすると
不思議なくらいに ほっとする。

娘としてのギムを果たした、と思うから、
だけなのだろうか?

義母のお墓がどんなだったか、まったく頭に残っていない。

次回の墓参りには しっかりと 記憶してこようと思う(苦笑)。