一触即発 / 四人囃子 (1974)
いわゆるロックの名盤というものに少しでも興味がある人なら、一度は名前を聞いた事があるだろう日本のバンド「四人囃子」。自分も随分と昔からその名前は聞いたことがあったけれど、実際に彼らの音楽に触れたことは無く、サンプルでさえ聴いた事が無かったので、どんなタイプの音楽を演っているかも知らなかった。それが何かの機会にチラッと聴いてから気になってしょうがなかったので、これは”買い”のサイン(自己基準)だとばかりに購入。もちろん購入したのは名盤の誉れ高い実質ファーストの「一触即発」(彼らにはこのアルバムの前にサウンドトラックで1枚作品がある)。こちらは1975年に発売されたシングル「空飛ぶ円盤に弟が乗ったよ」とB面の「ブエンディア 」(写真下)の2曲がボーナス・トラックとして8cmCDに追加され1988年に発売された2枚組。とてもシュールで独特なジャケット・アート・ワークを見ても中身は全く想像が出来ない。
びっくりした。物凄く高い演奏力。モップスなどの例はあるが、日本のロックはまだ黎明期と言っていい70年代の初めに、こんなに豊潤なプログレッシヴ・ロック・アルバムが存在していたとは。素直に驚き。誰だったか忘れたが、日本のロックの大御所がインタビューで「当時は映像が全く無かったので、クリーム(Cream)のアルバムなどで多用されていたチョーキングさえ、どうやって音を出しているのか知らなかった」と発言していたのを覚えている。そんな時期から僅か数年で、曲も、音も、質感も、世界的に見ても何ら劣ることのない音楽が作られていたとは…恐るべし。今と比べて圧倒的に情報が少ないあの時代の日本のアーティストの探求心と、テクニックの飛躍的な向上は奇跡的としか言い様がない。実際、海外にはこの頃の日本のロックのファンだというマニアックな連中も居ると聞く。緩急織り交ぜて、日本人離れした演奏と、ドラマチックな展開が繰り広げられ、またそこに日本語の歌詞を違和感なくのせているのも素晴らしい。プログレの大御所のアルバムと肩を並べても恥ずかしくない出来だ(ちょっと言い過ぎ?…)。
中古店にて購入(¥1,013)
- CD (1988)
- Disc : 2
- Label : ポニーキャニオン
いつも近代建築関係ではお世話になっています。
ハリーさんはわたしよりはかなり若い世代とお見受けしますが、70年代のロックもお好きなのですね。
「一触即発」は高校時代、大音量で聴き倒した一枚です。
中学~高校はロック三昧、特にブリティッシュハードとプログレにはまり、日本のロックではカルメンマキ&OZも愛聴してました。
今でも「一触即発」と「私は風」は運転用BGMに常備されています。
私は60年代後半の生まれなんですが、姉と8つ、兄と4つ離れていたこともあって、
小学生の時から洋楽ロックを聴く変わった奴で、同年代からは浮いた存在でした(汗)。
日本のロックを聴き始めたのはRCとYMO(+矢野顕子)というありきたりの路線でしたが、
やはり意識せずに当時から色々耳に入っていたようです(カルメンマキはRCと縁の深い
春日博文の線で少しだけ聴いています)。
今こうして後追いで70年代のロックを聴くと、その急速な成長と、背伸びしている
微笑ましさに感動します。日本のロックはいつからか生ぬるいヴィジュアル系と説教
(あるいは応援)ソングばかりになってしまいましたからね。