ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

河文(茶房) @名古屋市中区・丸の内

2019年06月11日 | 名古屋(中区 老舗)

 

名古屋の丸の内で、ある喫茶店を目指して歩いていて、ふと料亭「河文」の玄関先に”茶房”の案内が出ているのに目が留まった。平日だけなので普段は入れないが、その手があったかと休憩場所を老舗料亭に変更。言わずと知れた名古屋最古の老舗高級料亭。創業は寛永年間というから凄い(ただし現在の経営は東京の会社)。こちらの建物は登録有形文化財にも指定されている。格式高い門(写真下)を越え、大きな葵の紋の暖簾をくぐり、思い切って玄関引戸(写真上)を開けてみた。着物姿の若い給仕女性に「そのままでどうぞ。」と招かれ、靴のまま上に上がる(言われなかったら絶対靴脱いでいたナ・笑)。

 

坪庭のあるラウンジに案内される。広いひと間に6つのテーブルと椅子が置かれたゆったりとしたスペース。落ち着いた照明の店内から見える庭の木々の緑と、照り返す明るい日差しが眩しい。この佇まいだけでプライスレス。磨き抜かれた歪んだ昔のガラスもそのまま。先客は居なかったので掛軸の前の上席(笑)を選んでゆったりとした椅子に腰を下ろす。和洋の菓子と飲物の書かれた品書きから「苺のタルト」と、それに合わせた「宮ザキ園の和紅茶」をお願いした。静謐な間でゆっくりと庭を眺める。本当は建物を色々見て廻りたいところだけど、行儀が悪いのでさすがにそれは我慢。

そこにまず先付け(!)が運ばれてきた。卵白を使った菓子「都鳥」と塩昆布。当然ケーキだけと思っていたのでこれにはびっくり。紅茶はお高そうな急須に入っている。外で紅茶を飲むのって久しぶりだなァ。都鳥を食べ終わった頃「苺のタルト」が登場。思ったよりも大きく横長。大きな苺が3つ並んでいてタルト生地の硬いところにザクッとフォークを入れていただいていく。甘味と酸味が程良く、旨い。この贅沢な空間で食べているから余計に旨く感じてしまうんだろうナ。給仕女性も無粋な声を出して呼ばなくても目配せでこちらに気付いてくれるのが嬉しい。

その頃になると若奥様のグループや、社用の御使いで土産物を取りに来たサラリーマンらが入って来た。みんな自分と同様初訪のようで、昼にこうやってお茶が頂けるとは知らなかった様子でかなりテンションが上がっている。手洗いを借りたが、廊下も手洗いの中も一分の隙も無し。廊下にはデーンと大きな葵の紋が飾られ(さすが尾張徳川家御用達)、手洗いの中のアメニティーも高級ホテルかと見紛う充実ぶり。一時だけ金持ちになった気分を味わい(笑)、席に戻って勘定をお願いする。これが野口英世1枚というのだから文句のつけようが無い。素敵な休憩を終えた。(勘定は¥1,000)

 

  

河文(KAWABUN)茶房

愛知県名古屋市中区丸の内2-12-19

 

( 名古屋 なごや かわぶん 老舗料亭 さぼう 喫茶 ケーキ 和菓子 洋菓子 コーヒー 紅茶 プラン・ドゥ・シー 尾張徳川家御用達 国登録有形文化財 )


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