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ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

二月御園座大歌舞伎・十三代目 市川團十郎白猿襲名披露「三人吉三巴白浪」「 鯉つかみ」「 外郎売」「吉野山」@名古屋市・御園座

2024年02月15日 | 歌舞伎・文楽

二月御園座大歌舞伎・十三代目 市川團十郎白猿襲名披露「三人吉三巴白浪」「 鯉つかみ」「 外郎売」「吉野山」(2月12日・御園座)

コロナ禍もあって遅れに遅れた十三代團十郎襲名。襲名披露が始まってもう1年が経つが、やっと名古屋にもお目見え。御園座で襲名披露公演が開催された。同時に息子が新之助(八代目)を襲名するので揃っての来名となった。ただこの襲名披露公演、歌舞伎界の大名跡でありながら興行の方はなかなか苦戦しているとも伝え聞く。良くも悪くも話題性は十分だし、めでたい巡業なんだけれど。やはり團十郎自身の人気度に加え、コロナ禍と昨今歌舞伎界が直面した暗い話題が影を落としているのだろうか。

今回購入したのは自分の予定を鑑みて祝日に合わせたりと色々と訳あって一番遠い2階席。あまり演目をしっかりと調べず、観た事の無い「鯉つかみ」がある昼公演にしたのだけれど、團十郎が演じるのでもないし、襲名披露なのに昼は口上が無いとはうっかりしていた。ただ演目は4つもあるし、新之助が6歳で演じた時に話題になった「外郎売」もあったので昼の部もなかなか。いつもこのくらい充実した演目を揃えてくれると嬉しいんだけれど(そうはいかないか)。

 

会場は着物を召したご婦人方も多く華やいだ雰囲気。ほぼ満席だったが、超満員という訳ではなさそう。残念だったのは知らないうちに会場の建物(1階の「御園小町」含む)以外の飲食物の持込みが出来なくなってしまったこと。折角の”ハレ”の日なのに酒もダメなんだと…。他所で吟味した弁当を買って幕間に食べるの好きだったんだけれどナ。

「三人吉三」は大川端の場面から。ここに出てくる3人が全員悪党でどうしようもない不条理な話なのに人気演目として成り立っているのが面白い(笑)。特に”色悪”(二枚目の悪役)でもないし。昔の人はこういう演目をどう観ていたんだろう。七五調の台詞がテンポ良く、馴染みの台詞も出てきてとっつき易い。梅玉の養子、莟玉(かんぎょく)は相変わらず可愛らしい姿。その姿で男言葉に戻るのが可笑しい。

「鯉つかみ」は右團次。通常「鯉つかみ」は本水(ほんみず=舞台で本当の水を使うこと)なので期待していたが、流石に後の演目に差し支えるのか、今回は布とスモークで演出。鯉が出てくるのだが、歌舞伎で動物を表現する時は何故か写実的ではなくユーモラスな姿の場合が多い。この鯉も何だか間抜けな姿。右團次の大きな演技が演目の豪快さとぴったり。

幕間は座席で弁当を広げた。下の「御園小町」で購入した江戸時代創業の名古屋の駅弁屋「松浦商店」の「コーチンわっぱめし」。名古屋コーチンのそぼろは甘辛く味付けしてある。でもやっぱり観劇の時には酒が欲しいよなァ…。

さて八代目を襲名した新之助の「外郎売」。本筋では敵役の工藤祐経を演じるのは梅玉。昼の部は口上が無いと思っていたら、”劇中口上”で梅玉が新之助襲名を紹介。なるほどそういう趣向だったか。代々演じてきた外郎売、他の役者の台詞も「早口を上手にやれ」「しっかり努めろ」(意訳)と圧力たっぷりだし、会場の御婦人方は孫か、ひ孫の晴れ舞台を見届けるといった雰囲気(苦笑)。新之助は堂々と披露して大拍手を貰っていた。

さてしんがりは今回の主役、十三代團十郎の「吉野山」。静御前を演じるのは雀右衛門。前半はほぼ2人による舞踊で、実は狐という忠信の振りが所々に出てくる。自分は海老蔵時代の彼の飲み込んだような口跡(台詞の言い回し)があまり好きでは無かったが、今回観てそういう部分が無くなって大きくなっているのに感心した。もとよりどこから見たってイイ男だし(笑)。これから十八番(←この言葉も團十郎由来だ)の演目が目白押しだろうし、もっと名古屋に来て欲しいものだ。

 


 

一、三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ)大川端庚申塚の場 

お嬢吉三 莟玉
お坊吉三 廣松
和尚吉三 男女蔵


二、湧昇水鯉滝 鯉つかみ(こいつかみ)

滝窓志賀之助/滝窓志賀之助実は鯉の精 右團次
小桜姫 玉太郎


三、歌舞伎十八番の内 外郎売(ういろううり)

八代目市川新之助初舞台相勤め申し候

外郎売実は曽我五郎 新之助
大磯の虎 魁春
小林朝比奈 男女蔵
化粧坂少将 廣松
遊君喜瀬川 莟玉
遊君亀菊 玉太郎
梶原平次景高 男寅
茶道珍斎 市蔵
梶原平三景時 家橘
小林妹舞鶴 萬次郎
工藤祐経 梅玉

四、吉野山(よしのやま)

佐藤忠信実は源九郎狐 海老蔵改め團十郎
逸見藤太 九團次
静御前 雀右衛門

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片岡仁左衛門 坂東玉三郎 錦秋特別公演 「東海道四谷怪談」「神田祭」 @名古屋市・御園座

2023年10月22日 | 歌舞伎・文楽

片岡仁左衛門 坂東玉三郎 錦秋特別公演 「東海道四谷怪談」「神田祭」(10月17日・御園座)

新しくなってはや5年以上が経つ「御園座」。ただ歌舞伎となるとどうも今ひとつ盛り上がりに欠けているような気がするのはどうしてだろう。先日の刈谷での公演で勘九郎や七之助も話していたが、公演中でも名古屋駅周辺ではアピールに乏しく、伏見の会場周辺でもさほど目立っていないので盛り上がりに欠けていると感じることが多い。そんな冷めた名古屋でも、W人間国宝の仁左衛門、玉三郎の共演となれば話は別。チケットの購入もいつもより大変だった(もちろん完売だとのこと)。今回も老母を連れての観劇。すぐ隣にあるいつものホテルに部屋を取って、会場入りする前に少し休ませ、いざ御園座へ。

 

全公演売切御礼なので観られるだけでもラッキー。今回はネットで粘って粘ってポッと空いた席をゲット。嬉しいことに上手(かみて)の桟敷席。実質8列目ぐらいだし、席の位置が高いので観易くて母もとても喜んでいた。

一幕目の「四谷怪談」はお馴染みの話。でも実際に歌舞伎の舞台で観るのは自分も初めてだと思う。色悪(いろあく・二枚目の悪役)を演じる仁左衛門はもう御歳79歳とは思えない立ち姿。クールな姿と台詞がかっこいいが、酷い人格の役なので憎たらしいのなんの。大して玉三郎のお岩は徹頭徹尾不幸で不憫で悲しい役。化粧も衣装もみすぼらしいが、台詞もいたたまれない。「元の浪宅の場」で終わるのだが、伊右衛門の最後の台詞が「執念深けえ奴だなァ…。」。え、ここで終わり? 調べてみると2年前に歌舞伎座で演った時にはこの後の「本所砂村隠亡堀の場」も上演したが、今回はわざと省いたのだそう(ただしその場面でも人を人とも思わない伊右衛門らの姿が描かれるだけだが…)。何ともやりきれない(苦笑)。

幕間を挟んでもまだ心が晴れないが、二幕目が始まり浅葱幕(あさぎまく)がストンと落とされると、先程まで暗くて侘しかった舞台にはパァッと明るく賑やかな神田明神が出現。極悪人を演じていた仁左衛門がいかにも粋な鳶頭の姿で登場。そして花道から登場した芸者姿の玉三郎の美しいこと美しいこと。さっきまであんなに侘しい姿だったのに…。そのギャップが大き過ぎてすっかりあちらの術中にハマっている(笑)。仁左衛門と玉三郎が絡んで踊るのだが、その所作ひとつひとつがカッコよく、玉三郎が仁左衛門と見つめあってふと明るい表情を見せる所なんざ思わず引き込まれてしまう(さっきはあんなに酷い仲だったのに!・笑)。大きい舞台からの引退を表明している玉三郎だけに、もうそろそろ観る機会は無くなってしまうのかなと思うと名残り惜しい。最後に「松嶋屋!」「大和屋!」と声がかかると割れんばかりの拍手で幕を閉じた。

 


 

一、東海道四谷怪談(とうかいどうよつやかいだん)

 四谷町伊右衛門浪宅の場
 伊藤喜兵衛内の場
 元の浪宅の場
 
お岩          坂東 玉三郎
小仏小平      中村 隼人
お梅          片岡 千之助
按摩宅悦      片岡 松之助
乳母おまき    中村 歌女之丞
伊藤喜兵衛    嵐  橘三郎
後家お弓      上村 吉弥
民谷伊右衛門  片岡 仁左衛門


二、神田祭(かんだまつり)

鳶頭          片岡 仁左衛門
芸者          坂東 玉三郎

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錦秋特別公演2023 「女伊達」「桑名浦乙姫浦島」 @愛知県刈谷市・刈谷市総合文化センター

2023年10月16日 | 歌舞伎・文楽

錦秋特別公演2023 「女伊達」「桑名浦乙姫浦島」 (10月13日・刈谷市総合文化センター「アイリス」 大ホール)

秋の中村屋の巡業「錦秋特別公演2023」で刈谷市総合文化センター「アイリス」へ。こちらの施設への訪問は初めてのはず。やっと過ごしやすい季節になり、歩いていても快適。金木犀の香りが漂う市内をウロウロと散策した後に会場へ。さすが中村屋、客入りは上々。2回公演でどちらもほぼ満席のようだ。

まずはトークコーナー。兄弟2人が登壇し、司会者を交えてざっくばらんなお話。勘九郎が中日ファンになったとは知らなかった(ご愁傷さま…)。ちなみに七之助は阪神ファンらしい。名古屋の話になって「御園座」の不甲斐無さを熱弁するのが印象に残った。確かに中村屋は名古屋に縁があるにも関わらず(初代中村屋は名古屋の中村区出身)2人を呼んだのは今年4月になってやっと初めてだったし、名古屋駅を降りてもポスターも何も無く、歌舞伎をやっているかどうかも全然分からないと。これは本当にその通りだと思う。伏見を通っても、御園座周りだけで全然”祭り”になっていないものなァ。御園座の客入りは悪いらしいが、さもありなんといった感じ。

次は舞踊の「女伊達」。主演の鶴松は一般人から部屋子になった、この世界では珍しい役者。それでも最近は歌舞伎座で主役を演じたりと活躍がめざましい。濃い血が何よりも物を言うこの世界で、猿之助のああいう事が起きたりすると、今後はこういう役者も増えていくのかもしれない。背の高くない鶴松の演じる女伊達が、男伊達との対比で強く強調されていい感じ。鶴松の女形は初めて観たかもしれないが、顔立ちとかからは意外にも線の細い感じではないんだな。

最後は勘九郎演じる浦島太郎と、七之助演じる乙姫の「桑名浦乙姫浦島」。こちらも舞踊だが、誰でも知っている浦島太郎の話。舞踊としては156年振りに演じられるのだとか。もちろん音楽や衣装の資料が残っていないので新作のように作り上げたらしい。シュッとした浦島太郎と美麗な乙姫の品のある舞い。竜宮城での踊りには”鯛やひらめの~”という訳で、鯛、平目、蛸が出てくるのだが、これはもう完全に笑わせにかかっていて、アクの強いこと、強いこと。特に一門のいてう(いちょう)のタコと、澤村國久の鯛は衣装も舞いも独創的過ぎて、浦島や乙姫の姿や舞いが頭に入ってこない。卑怯だなァ(笑)。お馴染みの話だけれどお笑いになるとは思っていなくてそれだけで楽しめた。

公演が終了した帰り道。刈谷駅のコンコースを歩いていると人だかりで歓声が上がった。ふと見ると七之助が。え、名鉄で帰るの?

 


 

1、トークコーナー

中村 勘九郎
中村 七之助
 

2、女伊達 長唄囃子連中

女伊達 中村 鶴松
男伊達 中村 仲助
男伊達 中村 仲侍

河竹黙阿弥 作

竹柴徳太朗 補綴
杵屋五吉郎 作曲
田中佐 幸 作調
中村梅 彌 振付

天日坊五十三次より


3、桑名浦乙姫浦島 長唄囃子連中

百五十六年ぶりの復活舞踊劇

浦島 中村 勘九郎
乙姫 中村 七之助
鯛  澤村 國 久
蛸  中村 いてう
平目 中村 仲四郎
官女 中村 仲之助
官女 中村 仲 弥

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松竹大歌舞伎 「土屋主税」「汐汲」 @岐阜県岐阜市・岐阜市民会館

2023年09月19日 | 歌舞伎・文楽

松竹大歌舞伎 「土屋主税」「汐汲」(9月18日・岐阜市民会館)

久しぶりの巡業公演。雁治郎が座頭の公演。残暑厳しい中、岐阜市民会館へ出かけた。予想はしていたが、祝日でも客入りは低調。自分の席は12列目だったが、その後ろはほとんど誰も居ないくらいの客入り。雁治郎には悪いが知名度の高くない通好みの共演者ということもあるしなァ。でも岐阜市民会館はいつも客が少ないのでこんなものか(写真は入場時)。

「土屋主税(つちやちから)」は”玩辞楼十二曲”と呼ばれる初代雁治郎の当り役のひとつで雁治郎家のお家芸として代々に伝わる演目だそう。上方歌舞伎の世話物のイメージが強い雁治郎なので意外な演目だと思っていたらそういう訳があったのか。季節は外れているが忠臣蔵のスピンオフといった感じで、俳諧を織り交ぜて赤穂浪士の討ち入りにまつわる人々を描いた作品。酷暑の中、舞台に降る雪が涼し気でいい感じ(笑)。雁治郎演じる殿様の主税が俳諧の意味(討ち入りの予告)を知って喜ぶ姿、最初はふがいない奴と思われていた亀鶴演じる大高源吾が討ち入りを果たし、勇ましい姿で去っていく姿が印象的。

「汐汲」は都に帰ってしまった恋人を想って浜で海女・苅藻が舞う歌舞伎舞踊。演じるのは上村吉弥。ただ海女とは思えない島田髷に振袖姿のお姫様風っていうのが不思議。先程赤穂浪士を演じた大活躍の亀鶴は海女に絡んでくる此兵衛を演じている。横恋慕しているという設定だそうだが、舞台上はどう見ても海女を殺しに来ているとしか見えない(笑)。変化で苅藻の振袖の色が変わる度に会場からワァという歓声が上がる。ちゃんと大向う(「〇✕屋!」と声をかける人)も居る。コロナ禍では禁止されていたが、やはり見栄を切った時にはひと声欲しいもの。

自分は忠臣蔵の人間関係に詳しくないので楽しめるか不安だったが、一応色々予習して頭に入れていたし、分かり易い設定だったので充分楽しめた。にしてもこの忠臣蔵にまつわるストーリーはどうしてここまで昔の人々の心に訴えるんだろう。もっと勉強してみないと。

 


 

渡辺霞亭 作

一、玩辞楼十二曲の内 土屋主税(つちやちから)

土屋主税     中村 鴈治郎
大高源吾     中村 亀鶴
お園         上村 吉太朗
西川頼母     中村 寿治郎
晋其角       嵐  橘三郎


二、汐汲(しおくみ)

蜑女苅藻     上村 吉弥
此兵衛       中村 亀鶴

 

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松竹大歌舞伎 「菊畑」「土蜘」 @愛知県春日井市・春日井市民会館

2023年08月02日 | 歌舞伎・文楽

松竹大歌舞伎 「菊畑」「土蜘」(7月30日・春日井市民会館)

松竹大歌舞伎の巡業公演が4年ぶりに開催された。もうそんなになりますか。今回の巡業は尾上松緑がメイン。ゴタゴタが続く歌舞伎界で、あまりメディアでちやほやされないこの人の立ち位置が重要になってくるかも。酷暑の中、昼食を摂った後、「春日井温泉」でひとっ風呂浴びてから会場へ。夕方の部だったがまだまだ暑い。客入りは前と一番後ろの方はまあまあ埋まっているものの、真ん中辺りは空席が目立つ5分の入りといったところ。

ひとつめの演目は「菊畑」。歌舞伎ではお馴染みの源平時代が舞台のお話。五十手前の松緑が、息子の左近を含む若手を引き連れてといった感じ。虎蔵(実は義経)を演じる梅枝の顔立ちの相変わらず綺麗なこと。女形ではひときわ光るが、姫に惚れられてしまう義経役もはまっている。弟の萬太郎はどんな役柄でも器用にこなすなァ。ちょっと貫禄が出てきた。歌舞伎の役名は”○○実は✕✕”という風に”身をやつす”役柄が多い。その場合その背景を知っていないと突然登場人物の態度や扱いが変わったり、解せない部分が多くなってしまう。昔の人がどれほどそういったことを知識として知っていたかは知らないが、演目の筋や役柄はあらかじめ頭に入れておくのが基本。慣れていない人はしっかり予習してかかるとより楽しめますよ(←そういう自分は銭湯で疲れて危うく舟を漕ぎそうに…)。

菊五郎家の家の芸として選定されている「土蜘」は、松羽目物(能を模して舞台正面に老松が描かれている)。何といっても松緑演じる土蜘の精の迫力ある演技と、綺麗に次々と宙に拡がる蜘蛛の糸(←あのモンキーマジックのやつです)が見もの。他の端正な顔付きの演者らと違って一等迫力ある顔付きの松緑(失礼)はこの役にピッタリだ。何とも恐ろしい形相で舞台を右へ左へ。完全にホラーと化している(笑)。松緑の手から蜘蛛の糸がぱっと拡がる度に客席から「わぁ」っと歓声が上がる。あれ、自分も一回投げてみたいナ。亀蔵のキレのある口跡(台詞回し)もいい。

そういえば長唄囃子連中(長唄、三味線、鳴物を舞台で演奏する楽器演奏者ら)は、コロナ禍では黒い口鼻隠しを使っていたが、今回はもう外されたようだ(あれはちょっとかっこよかったけれど)。巡業公演の場合、軽めの演目であっけなく終わることも多いが、今回は2つとも見応えのある演目でしっかりと楽しめた。

 


 

鬼一法眼三略巻

一、菊畑(きくばたけ)

吉岡鬼一法眼      尾上 松緑
奴智恵内実は吉岡鬼三太 中村 萬太郎
笠原湛海        尾上 左近
皆鶴姫         坂東 新悟
奴虎蔵実は源牛若丸   中村 梅枝


河竹黙阿弥 作

二、新古演劇十種の内 土蜘(つちぐも)

叡山の僧智籌実は土蜘の精 尾上 松緑
源頼光          中村 梅枝
渡辺源次綱        中村 萬太郎
坂田公時         尾上 左近
侍女胡蝶         坂東 新悟
平井保昌         坂東 亀蔵

 

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陽春花形歌舞伎 「怪談乳房榎」 @名古屋市・御園座

2023年04月15日 | 歌舞伎・文楽

陽春花形歌舞伎 「怪談乳房榎」 (4月11日・御園座)

老母を連れて久々の歌舞伎観劇。昼の部は七之助の早替り七変化、夜の部は勘九郎の三変化。どちらにするか迷ったが自分が見ていない演目の方にさせてもらった。母は脚が弱いので今回もすぐ近くのホテルに部屋を取った(芝居が跳ねた後に一緒に呑むためもあるが・笑)。昼に軽く蕎麦を手繰った後、少しホテルで休憩させてから御園座へ。今回は早くから計画していたこともあって自分の都合のついた日程で席を探すと花道真横の席が取れた。ラッキー。母は花道の真横に座るのは初めてだそうでワクワクもひとしお。席に座ると花道はちょうど自分達の顔の高さくらいになるので迫力も満点だ。

 

舞台の定式幕は通常と違い、黒、白、柿色の中村屋仕様。落語から歌舞伎の演目になったこの「怪談乳房榎」は、三遊亭圓朝による創作噺で明治21年の作品だそう。名古屋を含む地方の歌舞伎公演ではあまり通し(話の最初から最後まで)の演目を観る機会が多くないのでそれも嬉しい。

絵師の菱川重信が勘九郎、妻のお関が七之助。実悪(残忍な悪役)の磯貝浪江を演じるのは喜多村緑郎。現在は新派の俳優だ。勘九郎は下男の三助、ならず者の三次の役も早替りで演じる。その早替りの早いのなんの。もちろん仕掛けに目を留めさせたり、代役の背中を見せておいたりとこちらの目を惑わす手法があるのだが、替わっているように見せかけて替わっていなかったりもするので、母は肘で突いて教えてあげないとついていけてない場面もあるほど。いったい舞台の裏側ではどうやっているんだろう。

怪談なので話のすじは総じて悲惨なのだが、勘九郎が三助を演じる時に笑わせたりするので、上演中は笑いと早替りの時の「ほおぉ」という感嘆のため息がいくつもやってきて飽きさせる暇もない。クライマックスは1トンの水を使うという本物の滝。3列目くらいまでは水避けのビニールシートも配られているから水族館かテーマパークのアトラクション並み。また勘九郎が悪ノリしてわざと観客に向かって水を跳ねるので結構濡れていたようだ。その時の勘九郎の嬉しそうなことといったら(笑)。

それにしても勘九郎は亡くなった勘三郎によく似てきたなァ。もちろん以前から似ているのだが、今回は口跡、おどける時の表情、花道を通る時の背中からみた横顔までそっくり。血っていうのは凄いもんだ。それが弟の七之助は全く違うタイプで、これぞ女形っていう顔付きなのだからホント奇跡としか言いようがない兄弟だ。今回の演目はその両方の顔を観ることが出来たし、ド派手な演出だしで母も喜んでくれたようで良かった。

 


 

三世實川延若より直伝されたる
十八世中村勘三郎から習い覚えし

三遊亭円朝 口演

怪談乳房榎(かいだんちぶさのえのき)

中村勘九郎 早替りにて相勤め申し候
菱川重信
下男正助
うわばみ三次

重信妻お関    中村 七之助
松井三郎     中村 虎之介
重信弟子信鳥   中村 鶴松
住職雲海     市川 男女蔵
磯貝浪江     喜多村 緑郎

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陽春花形歌舞伎 「相生獅子・雪」「歌舞伎のみかた」「身替座禅」 @名古屋市・御園座

2022年04月22日 | 歌舞伎・文楽

陽春花形歌舞伎 「相生獅子・雪」「歌舞伎のみかた」「身替座禅」 (4月19日・御園座)

老母の接待で(笑)、御園座での歌舞伎観劇。コロナの具合は一進一退といった感じでまだ油断ならないが、もう取り敢えずこうやって日常を取り戻しつつ付き合っていくしかないんだろう。脚が弱い母と一緒だが、御園座はすぐ近くにバス停があるのでバスを使って会場入り。身元記入、検温、消毒を済ませ会場内へ。

場内はもう席の間隔を空けずに客を入れている。この日の客入りは自分の見回した範囲では8分といったところ。平日昼の部にしてはまあまあだろうか。チラシだけでなく演目の解説や見どころを説明した冊子が配られたのは気が利いている。これ、どの公演でもやればいいのに(そうするとパンフの売上が落ちてしまうか…)。

まずは梅枝と莟玉(かんぎょく)による「相生獅子」。莟玉(読めない・笑)は以前まで梅丸という名前だったが、最近梅玉の養子になってこう名乗るようになったのだそう。演目は能を基に作られたいわゆる「石橋(しゃっきょう)物」。今回は姫2人なので前半は大人の女の顔立ちの梅枝と、可愛らしい顔立ちの莟玉の舞踊がたっぷり楽しめる。梅枝を観るのは3年ぶりくらい。以前から舞台での美しさは白眉だったが、姫ではあれど大人の雰囲気も湛えた女形ならではの女性を演じられる貫禄が出てきたように思う。莟玉は現代的な”可愛い”感じの美しさなので対比も面白い。後半は獅子の精となった2人が豪快な毛振りを見せる。

続いて舞台が暗転し、菊之助による舞踏「雪」。シンプルな背景の元で暗い照明の中に菊之助演じる女が浮かび上がる。美しい。三絃(三味線のルーツ)と地唄、そして琴に似た筝(そう)の音色が物寂しくとても良い。いつも思うが、こういう舞踊ってどれもちゃんと型があるのだろうけれども、あれだけ長いのをどうやって覚えていくんだろう。

続いて幕間無しで萬太郎による「歌舞伎のみかた」。歌舞伎のあれこれを舞台上で説明する流行りの趣向だ。こういうのを今まで何度も観ているので知っていることばかりかもなんて思っていたが、普段混同してしまいがちな「常磐津(ときわづ)」と「長唄」の違いなど、とても分かり易かった。まだまだ知らないことだらけ。萬太郎は喋りも上手い。

そして今回のメインは「身替座禅」。自分は仁左衛門でも、父君の菊五郎でも観たことがある。理屈抜きで笑える演目。ちょっと女々しい感じの旦那役が菊之助にもよく似合っている。酔って浮気先から帰る道すがらの何ともふわっとした雰囲気(←「春風駘蕩(しゅんぷうたいとう)」と表現するのだそうだ)が、浮気とはいってもあまり生々しさを感じさせず、思わず女性も(客の大半は女性だが)笑って許してしまいそうになる柔かさがいい。この演目では大抵いかつい感じの役者が奥方の玉ノ井の役に充てられるが、彦三郎の玉ノ井もなかなかの迫力だ。老母もまあまあ楽しんだとは思うが、横で見ていると途中で舟を漕ぐことも多くなってきた。歳だものなァ(また三味線の音色がちょうど眠気を…)。

 


一、

上 相生獅子(あいおいじし)

姫     中村 梅枝
姫     中村 莟玉

下 雪(ゆき)

女     尾上 菊之助


二、解説 歌舞伎のみかた

中村 萬太郎


三、新古演劇十種の内 身替座禅(みがわりざぜん)

山蔭右京     尾上 菊之助
太郎冠者     中村 萬太郎
侍女千枝     中村 莟玉
同 小枝     上村 吉太朗
奥方玉の井   坂東 彦三郎

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中村勘九郎 中村七之助 春暁特別公演2022 「高坏」「隅田川千種濡事」 @愛知県一宮市・一宮市民会館

2022年03月20日 | 歌舞伎・文楽

中村勘九郎 中村七之助 春暁特別公演2022「高坏」「隅田川千種濡事」 (3月15日 一宮市民会館)

 

コロナ禍になって、ずっと地方巡業は中止されたままだったが、第6波の真っ最中とはいってもだんだんスケジュールが組まれるようになってきた。ただし公演によっては途中で中止なんてこともあり、まだなかなか完遂することは難しい。この勘九郎・七之助の巡業も、前半の4公演は関係者に具合を悪くした人が出たとかで中止になってしまった。自分がチケットを買った日はどうなのかと気を揉んだが、無事開催されることに。会場は自分の居た2階席は少なかったが、まあまあの入り。

一幕目の「高坏」は、以前に菊之助で観たことがある演目。自分はやはり十八代勘三郎のイメージが強い。背景の満開の桜が今の季節にぴったり。次郎冠者の酔っぱらったコミカルな動きと、下駄で奏でるタップダンスのようなスピーディーな流れが楽しい。こういうにっこり笑顔の”人たらし”みたいな役柄は勘九郎にはピッタリだ。やはり親子、しっかりその血を受け継いでいる。

二幕目はトークコーナー。女性アナウンサーと共に、まず七之助と、父勘三郎の部屋子だった売り出し中の鶴松の3人がステージに立ち、来場者の質問を基に進行していく。他の地方会場でもよくあるのだが、名古屋市内でない周辺の会場でも、役者もアナもここが名古屋だという認識で話が進む。まあ名古屋圏には間違いないし、市内からの客も多いようだが、いつもそんな大きな括りにしなくても、と引っ掛かるのだが…。途中で着替えの終わった勘九郎と、これから三幕目の準備をする七之助が交代。鶴松は全くの一般人からこの特殊な世界に入り、昨年には異例の歌舞伎座での主役を務めたという逸材だ。でもトークは苦手とみえて、いつもちぐはぐな答えで会場から失笑が漏れる。もう27歳になるんだけれど(笑)。

三幕目の「隅田川千種濡事」は、通称「お染の七役」と言われる早変わりが見ものの演目。抜粋なので四役だが、七之助の早変わりを手っ取り早く楽しむことが出来る。前幕のトークコーナーで七之助が演じる役を説明してくれているので客も分かり易かったろう。でなければ七之助も言っていた通り、パッパッと早変わりして何のことかさっぱり分からなかったに違いない(演目を端折ってもいるので)。早変わりするたびに会場からどよめきが起こる。でも早変わりよりも、気のふれたお光の物悲しい表情と舞、それに大勢を相手に立ち回る男勝りのお六のかっこよさが際立っていたと思う。

 


一、高坏(たかつき)

次郎冠者:中村勘九郎
大名某  :中村小三郎
太郎冠者:中村仲侍(夜)
高足売  :中村鶴松

二、トークコーナー 

中村勘九郎
中村七之助
中村鶴松

 

『於染久松色読販』より

三、「隅田川千種濡事」(すみだがわちぐさのぬれごと) 

中村七之助四役早替りにて相勤め申し候

許嫁お光/油屋娘お染/丁稚久松/土手のお六:中村七之助

猿回し夫婦

長三:中村いてう
お作:澤村國久

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伝統芸能 華の舞 「楠露」「楠公」「鳴神」 @岐阜県多治見市・バロー文化ホール

2021年11月10日 | 歌舞伎・文楽

伝統芸能 華の舞 「楠露」「楠公」「鳴神」 (11月6日・バロー文化ホール)

 

岐阜県多治見市で行われた「伝統芸能・華の舞」。市川右團次と息子、右近が共演し、同じ東濃地方の中津川出身の市川笑三郎が女形で出演するという興味深い催し。ただ、自分がこの公演を知ったのは、たまたま他所の会場にパンフレットが置いてあったから。一応松竹が協力という形になってはいるが、松竹の公式ページ「歌舞伎美人」には案内も無く、チケットも探して初めて購入出来た。案の定、会場に赴くと観客が少ない。自分は後ろの方の席を取っていたのだが、係員に「本日は観客が少ないので…。」と8列も前の席を案内された。しかも移動しても自分よりも前10列はがら空きの状態。この大ホールは1300人収容出来るらしいが、観客数は約150人…(←一番後ろだったので何度も数えた・苦笑)。人気者の右團次が”鳴神”を演るのに。自分は1日2回公演の2回目だったが、1回目はちゃんと客が入ったのかどうか…。

幕が開き「楠露」は、能楽師の独調という、謡(うた)が1人、鼓が1人という舞台。シンプルだけれど、故に緊張感がある。能の言葉遣いをそのまま理解するのは難しいので、以前に文楽を観た時のような字幕装置があるといいと思うんだけど。

次の「楠公」は演者が化粧せず、衣装も着る事なく、羽織袴だけで演じる。ここで右團次の息子、右近が登場。廣松と共に端正な舞いを見せ、後から登場した父・右團次と共演して父子の情を表現する。右團次の顔は歌舞伎界でも最も男らしい顔つきだと思うが、息子もまだ小さいながらしっかりと血を受け継いでいる。ハンサムでいい顔付きだ。右團次のブログでもいつもキリッとした顔を見せている。将来が楽しみ。

休憩を挟んでお待ちかね「鳴神」。中津川市出身だという笑三郎を観るのは2回目だと思うが、美人で艶っぽさは充分。初役だそうだが、口跡も聴き易くとても良かった。さすがにちょっと”とう”は立っていたが(笑)(←歌舞伎では年配の女形が姫を演じることはよくあります)。ここから1時間もかからない故郷の方達がもっと参集してくれれば更に盛り上がったろうに…。右團次はあの顔だもの、見得を切ると決まる決まる。純真な鳴神が真実を知って怒りが頂点に達するところも爆発力が凄い。坊主役でユーモラスな演技を見せた弘太郎。自分は弘太郎を観るのは初めてだったが、憎めない風貌と演技でいっぺんで好きになってしまった。こういうキャラクターが居ると舞台が俄然面白くなる。自主公演や配信イベントもやっているんだそう。次にどの催しで会えるか楽しみだ。

 


 

一、楠木正成二題

・能楽 独調 『楠露(くすのつゆ)』

 謡:坂口貴信 大鼓: 亀井広忠

・素踊り 『楠公(なんこう)』

 市川右團次、市川右近、市川弘太郎、大谷廣松 他

二、歌舞伎十八番の内 『鳴神』

 鳴神上人  市川右團次
 所化白雲坊 大谷廣松
 所化黒雲坊 市川弘太郎
 雲の絶間姫 市川笑三郎

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人形浄瑠璃・文楽 「曽根崎心中」 @岐阜市・岐阜市民会館

2021年10月22日 | 歌舞伎・文楽

人形浄瑠璃・文楽 「曽根崎心中」 (10月16日 岐阜市民会館大ホール)

コロナ緊急事態宣言が明けて古典芸能の公演も中止されることなく無事開催されている。先週の御園座の歌舞伎に続いて、今回は文楽を観るために岐阜市民会館へ。買ってあったチケットは夜の部の「曽根崎心中」。人形浄瑠璃文楽は、歌舞伎の題材にされることも多い古典芸能。人形浄瑠璃が始まったのは江戸時代、徳川綱吉の時代に大阪において、というから自分が思っていた程古い時代のものではない。そもそも”文楽”は人形浄瑠璃を行う団体のひとつで(文楽座)、大正時代以降は唯一となったため、文楽と人形浄瑠璃は同義に語られることが多いとのこと。

老母を先に会場に送り届け、市役所の駐車場に車を停めて会場入り。大ホールだが1階席のみで、ついこの間まで緊急事態宣言が出ていたとあってまだ1つおきの間引き客席だが、思ったよりも多くの観客が集まっていた。まずは簡単な文楽の歴史と演題の内容の説明があった(→古典芸能のほとんどは話の筋を事前にちゃんと理解した上で楽しむことがほとんど)。舞台袖には太夫(たゆう・浄瑠璃を語る人)の台詞が逐一表示される縦型の字幕機械があり(名称は”Gマーク”と言うのだとか・笑)、これが古い言葉の理解をとても楽にしてくれて良かった。便利になってるんだなァ。

一体の人形に3人の人形遣いが付く。舞台脇の床(とこ)には太夫と太棹の三味線方(奏者)。人形遣いのひとりは完全に顔出しで操作している。それが物語とともに人形の方に感情移入していくとだんだん人形遣いの存在が視野から消えていくのが面白い。それほど人形の動きは滑らかでリアルで艶めかしく、これを3人で息を合わせて操作するのは凄いものだ。人形の表情も瞼の開け閉じがあるくらいで無表情なはずなのに、だんだんこちらの方が勝手に表情を見るようになるのが興味深い。馴染みの話(心中物)なので理解もし易かったし楽しめた。太夫と三味線方は最初に紹介もあって拍手も受けるが、人形遣いは名も告げられず、その仕事に徹するのみで幕を引かれる。なんと報われない役だろう…(そういう所がかっこいいんだけれど)。機会があったら他の物語も観てみたい。

【夜の部】

「解説」

 豊竹希太夫

「曽根崎心中」

<生玉社前の段>

 竹本三輪太夫、鶴澤清馗

<天満屋の段>

 竹本錣太夫、竹澤宗助

<天神森の段>

 お初・竹本藤太夫、鶴澤清介
 徳兵衛・豊竹希太夫、鶴澤清公
 豊竹亘太夫、鶴澤清方

[人形役割]
 手代徳兵衛・豊松清十郎
 丁稚長蔵・桐竹勘次郎
 天満屋お初・桐竹勘十郎
 油屋九平次・吉田玉輝
 田舎客・吉田簑之
 遊女・吉田簑紫郎
 遊女・吉田玉誉
 天満屋亭主・桐竹紋吉
 女中お玉・吉田簑一郎

[人形部]
 吉田玉彦、桐竹勘介、吉田和馬、吉田玉峻
 桐竹勘昇、吉田清之助、吉田和登

コメント (4)
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