ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

伝統芸能 華の舞 「楠露」「楠公」「鳴神」 @岐阜県多治見市・バロー文化ホール

2021年11月10日 | 歌舞伎・文楽

伝統芸能 華の舞 「楠露」「楠公」「鳴神」 (11月6日・バロー文化ホール)

 

岐阜県多治見市で行われた「伝統芸能・華の舞」。市川右團次と息子、右近が共演し、同じ東濃地方の中津川出身の市川笑三郎が女形で出演するという興味深い催し。ただ、自分がこの公演を知ったのは、たまたま他所の会場にパンフレットが置いてあったから。一応松竹が協力という形になってはいるが、松竹の公式ページ「歌舞伎美人」には案内も無く、チケットも探して初めて購入出来た。案の定、会場に赴くと観客が少ない。自分は後ろの方の席を取っていたのだが、係員に「本日は観客が少ないので…。」と8列も前の席を案内された。しかも移動しても自分よりも前10列はがら空きの状態。この大ホールは1300人収容出来るらしいが、観客数は約150人…(←一番後ろだったので何度も数えた・苦笑)。人気者の右團次が”鳴神”を演るのに。自分は1日2回公演の2回目だったが、1回目はちゃんと客が入ったのかどうか…。

幕が開き「楠露」は、能楽師の独調という、謡(うた)が1人、鼓が1人という舞台。シンプルだけれど、故に緊張感がある。能の言葉遣いをそのまま理解するのは難しいので、以前に文楽を観た時のような字幕装置があるといいと思うんだけど。

次の「楠公」は演者が化粧せず、衣装も着る事なく、羽織袴だけで演じる。ここで右團次の息子、右近が登場。廣松と共に端正な舞いを見せ、後から登場した父・右團次と共演して父子の情を表現する。右團次の顔は歌舞伎界でも最も男らしい顔つきだと思うが、息子もまだ小さいながらしっかりと血を受け継いでいる。ハンサムでいい顔付きだ。右團次のブログでもいつもキリッとした顔を見せている。将来が楽しみ。

休憩を挟んでお待ちかね「鳴神」。中津川市出身だという笑三郎を観るのは2回目だと思うが、美人で艶っぽさは充分。初役だそうだが、口跡も聴き易くとても良かった。さすがにちょっと”とう”は立っていたが(笑)(←歌舞伎では年配の女形が姫を演じることはよくあります)。ここから1時間もかからない故郷の方達がもっと参集してくれれば更に盛り上がったろうに…。右團次はあの顔だもの、見得を切ると決まる決まる。純真な鳴神が真実を知って怒りが頂点に達するところも爆発力が凄い。坊主役でユーモラスな演技を見せた弘太郎。自分は弘太郎を観るのは初めてだったが、憎めない風貌と演技でいっぺんで好きになってしまった。こういうキャラクターが居ると舞台が俄然面白くなる。自主公演や配信イベントもやっているんだそう。次にどの催しで会えるか楽しみだ。

 


 

一、楠木正成二題

・能楽 独調 『楠露(くすのつゆ)』

 謡:坂口貴信 大鼓: 亀井広忠

・素踊り 『楠公(なんこう)』

 市川右團次、市川右近、市川弘太郎、大谷廣松 他

二、歌舞伎十八番の内 『鳴神』

 鳴神上人  市川右團次
 所化白雲坊 大谷廣松
 所化黒雲坊 市川弘太郎
 雲の絶間姫 市川笑三郎


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