マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

インモータルズ

2012-11-20 14:05:02 | 映画ーDVD

ーインモータルズ-神々の戦いーIMMORTALS

2011年 アメリカ

ターセム・シン・ダンドワール監督 ヘンリー・カヴィル(テセウス)ミッキー・ローク(ハイペリオン)ジョン・ハート(老ゼウス)スティーヴン・ドーフ(スタブロス)フリーダ・ピント(パイドラ)イザベル・ルーカス(アテナ)ルーク・エヴァンス(ゼウス)ケラン・ラッツ(ポセイドン)

 

【解説】

ギリシア神話の世界を舞台に、世界支配をたくらむ暴虐な男の蛮行を阻止すべく立ち上がった勇者の活躍を描くアクション・アドベンチャー。『ザ・セル』『落下の王国』のターセム・シンが監督を務め、光の神であるオリンポスの神々と闇の神タイタン族の戦いが壮大なスケールで展開する。主演は、新スーパーマンに抜てきされた注目株のヘンリー・カヴィル。共演には『レスラー』のミッキー・ローク、『スラムドッグ$ミリオネア』のフリーダ・ピントら豪華キャストがそろう。

 

【あらすじ】

神話の時代のギリシア、全能神ゼウス(ルーク・エヴァンス)は人類の平和と繁栄を願い地上の営みを見守ってきた。そんな彼の前に、ギリシアを滅ぼし世界支配をたくらむ邪悪な王ハイペリオン(ミッキー・ローク)が現れる。彼のたくらみを阻止するためゼウスに選ばれた人間の勇者テセウス(ヘンリー・カヴィル)が立ち上がり、やがて世界を揺るがす戦いへと発展していく。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

インモータルズとは、モータルズ=死ぬ存在に対して、死なない存在=神のこと。

ギリシャ神話の神の時代には、神が不死の存在であることは当然のことと考えられていたが、あるとき、お互いに闘えば死ぬのだということを知り、タイタン族とオリンポスに分かれて闘いがあった。

これがティーターノマキアー、タイタンの闘いです。

 

破れたタイタン族はタルタロス山の奥深くに封印された。

 

ギリシャ征服を狙うハイペリオン(ミッキー・ローク)が、タイタン族を解放するためにエピロスの弓を探していることを、巫女のパイドラ(フリーダ・ピント)が夢に見た。

ほどなく、ハイペリオンが軍隊を率いて神殿を襲い、巫女たちを幽閉した。

 

一方、貧しい農夫のテセウス(ヘンリー・カヴィル)が、信心深い母と暮す平和な村にも、ハイペリオンの噂が伝わってきた。

村はハイペリオン軍に征服され、テセウスの母はハイペリオンに殺され、テセウスも捕虜となった。

 

囚われの場所で出会ったパイドラとテセウスは、囚人たちを仲間に率いれて脱獄することに成功した。

パイドラの夢のお告げのお陰で、テセウスは弓を手に入れ、ミーノタウロスを倒し、ハイペリオンの屋敷に行くが、それは罠だった。

危ないところを神たちに助けられたが、弓はハイペリオンの手に渡った。

ゼウス(ルーク・エヴァンス)は、神たちに「これ以上人間に関与してはならない」と言い渡した。

 

ハイペリオンを追ってタルタウロス山へ。

タルタロスの大壁の向こうには、大勢のギリシャ人が避難していた。

 

ギリシャ軍対ハイペリオン軍、テセウス対ハイペリオン、神対タイタンの凄まじい闘いが始まった。

 

この作品の見所は、もちろんこの戦闘シーンです。

それまでは、ちーと退屈です。

でも、この闘いは徹底しています。

これでもかというくらい、人の首が落とされ、まっぷたつに切られ、あるいは見るかげもなく潰され、血が飛び散ります。

ちょっとしつこいくらい。

最後には、気持ち悪いとも思わなくなるから、怖いです。

 

そのくらい、闘いというのは無意味で虚しいものだということかな?

というより、この作品は映像表現を楽しむものでしょうね。

 

ミッキー・ロークがいい!

悪の化身。

これぞ悪役の極みでした。

 


ザ・セル

2012-11-20 12:52:24 | 映画ーDVD

ーザ・セルーTHE CELL

2000年 アメリカ

ターセム・シン監督 ジェニファー・ロペス(キャサリン・ディーン)ヴィンス・ヴォーン(ピーター・ノヴァク)ヴィンセント・ドノフリオ(カール・スターガー)マリアンヌ・ジャン=バプティスト(ミリアム・ケント)ジェイク・ウェバー(ゴードン・ラムジー)

 

【解説】

TVCFやミュージック・ビデオで活躍しているターセムの初監督作品で、サイコ殺人鬼の心の中に入り込んで事件解決をしようとする心理学者の異様な体験を描いたスリラー。「アウト・オブ・サイト」のジェニファー・ロペスが初主演している。シカゴ郊外にあるキャンベル研究所。若き心理学者キャサリンは人間の潜在意識や夢の中に入り込む技術を研究していた。そんな彼女のもとに、ガラス張りのセル(独房)に女性を閉じ込め溺死する姿を見て性的快楽を得る殺人鬼の心の中を覗いて欲しいという依頼が舞い込む……。(allcinema ONLINE

 

【感想】

「白雪姫と鏡の女王」で興味を持ったターセム・シン監督。

これが彼の最初の作品です。

 

犯罪映画としてはヒッチコック監督の「サイコ」や「羊たちの沈黙」のようなサイコ・ホラー。

でも、作品の作り方は「マトリックス」のようで、映像はターセム・シン的としか言えません。

面白かったです。

 

精神分裂症患者の心の中に入り、深層心理の中から原因を突き止めるという実験的な治療に取り組んでいる心理学者のキャサリン(ジェニファー・ロペス)。

 

そこへ、発作を起こし意識を失った犯罪者スターガー(ヴィンセント・ドノフリオ)の心理の中へ入り込んで、誘拐された女性の居場所を突き止めて欲しいと言う以来が、FBIからもたらされた。

スターガーは若い娘を誘拐し、水死させたあと、漂白剤に漬けた姿を見て興奮すると言う異常者だった。

しかも、誘拐された女性がどこかに囚われていて、今にも水死しそうだというのだ。

 

キャサリンは、スターガーの心理の中に入って行った。

そして、彼女の見たものとは…?

 

この映画の衣装も石岡瑛子さんが担当していて、スターガーの心の中の姿やジェニファーの衣装など、とても面白かったです。

 

ターセム・シンって、どこかユーモラスな造形を好むみたい。

それが、私の感性ともあう感じがして楽しめます。

 

犯人が悪いんじゃない、親や育った環境が悪かったんだ、ということは簡単だけど、歪んでしまった人物が犯す犯罪は、容認できない。

いつか、こんな治療法が確立される日がくるんだろうか?

精神の疾患で苦しんでいる人が、楽になる日も来るのだろうか?

そもそも、心の中に入るなんてことができるのかしら?

 


声をかくす人

2012-11-20 12:10:41 | 映画ー劇場鑑賞

ー声をかくす人ーTHE CONSPIRATOR

2011年 アメリカ

ロバート・レッドフォード監督 ジェームズ・マカヴォイ(フレデリック・エイキン)ロビン・ライト(メアリー・サラット)ケヴィン・クライン(エドウィン・M・スタントン陸軍長官)エヴァン・レイチェル・ウッド(アンナ・サラット)ダニー・ヒューストン(ジョセフ・ホルト総監(検察))ジャスティン・ロング(ニコラス・ベイカー)アレクシス・ブレデル(サラ)ジョニー・シモンズ(ジョン・サラット)コルム・ミーニイ(デヴィッド・ハンター)トム・ウィルキンソン(リヴァディ・ジョンソン上院議員(元司法長官))

 

【解説】

『明日に向って撃て!』などの名優ロバート・レッドフォードが、『大いなる陰謀』以来となる監督作として放つ実録ドラマ。リンカーン大統領暗殺の一味としてアメリカ初の女性死刑囚となったメアリー・サラットの姿を、担当弁護士との絆を絡めて映し出す。『ギルティ・オブ・ラブ』のロビン・ライトが、死刑を求刑されてもかたくなに無実を訴えるメアリーの強さや、その中に秘めた思いを体現。『つぐない』のジェームズ・マカヴォイをはじめトム・ウィルキンソン、ケヴィン・クラインら、実力派ぞろいの共演陣も見ものだ。

 

【あらすじ】

南北戦争終結から間もない1865年のワシントンで、アメリカ合衆国大統領リンカーンが暗殺される。すぐさま犯行グループは拘束され、その一人として下宿屋を営む南部出身のメアリー・サラット(ロビン・ライト)も捕らえられる。罪状は犯行グループへのアジト提供であったが、彼女は一貫して無実を主張。メアリーの担当弁護士を引き受けることになったフレデリック(ジェームズ・マカヴォイ)は、北軍の英雄であったこともあって彼女と向き合うことに抵抗を覚えるが、実際に無実で何かの事情から自身を捧げようとしているのではと考える。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

ロバート・レッドフォード監督は、2007年の「大いなる陰謀」も国家の大義と正義について、観客に何かを問題提起しているような作品でしたが、この作品も、アメリカ史で初めて女性で死刑判決を受けたメアリー・サラットの事件を題材に、正義とは何かを問いかける内容でした。

中身が濃いです。

なかなか素晴らしかったです。

 

南北戦争で北軍の大尉として陣頭指揮を執ったフレデリック・エイキン(ジェームズ・マカヴォイ)だったが、南軍の攻撃に倒れ、救援を待っていた。

戦友のベイカー(ジャスティン・ロング)は、瀕死の重傷を負って横たわっていた。

救援隊が駆けつけたとき、自分も傷が深いにも関わらず、瀕死の戦士を先に助けろというような人物だった。

 

そんな戦争の英雄として、フレデリックは恋人サラ(アレクシス・ブレデル)の待つワシントンに無事に帰還した。

そして、サラと再会したパーティーのその夜、1865年4月14日、リンカーン大統領暗殺事件が起きた。

 

フレデリックは、もう軍人はこりごりと弁護士になった。

自分が尊敬するジョンソン上院議員(トム・ウィルキンソン)から、大統領暗殺事件の犯人の一人、メアリー・サラット(ロビン・ライト)の弁護をするよう頼まれる。

戦争で南軍に殺されそうになった経験を持つフレデリックは、自分の周りの人間同様、大統領を暗殺した犯人に怒りと憎しみを持っていたが、「彼女は弁護を受ける権利がある」という強い主張に、彼女の弁護を引き受けた。

 

メアリーの裁判は、一般の法廷ではなく軍法会議で行われた。

すでに主犯のブースは逃亡中に射殺されていて、共謀者とされる8人がこの法廷で裁かれることになっていた。

 

メアリーは、夫を亡くした未亡人で、南部から息子と娘とともにワシントンに引っ越してきて、下宿屋をやっていた。

息子のジョンがブースと知り合い、仲間たちが集まるようになった。

メアリーは、暗殺計画と知って彼らに場所を提供していたのか?

共謀はあったのか?

原題はザ・コンスピレーター、共謀者という意味。

彼女は、自分が無罪と主張するだけで、肝心なことは何も言わなかった。

彼女には守らなければならない秘密があった。

 

エイキンがメアリーの弁護をすることを、誰もが快く思わなかった。

彼自身も最初は気が進まなかったようだ。

しかし、民間人が軍事裁判で一方的に裁かれる不平等に彼の正義感が燃えた。

証言をたどっても、彼女が有罪という証拠は出て来ない。

そして、せっかく探し出した証人も、法廷では証言を翻した。

 

そこには、スタントン陸軍長官(ケヴィン・クライン)の「(世間を納得させるために)犯人に重罰を課して、早く事件を終わらせる」という意向が強く働いていた。

 

☆ネタバレ

結局、軍法会議は彼女を含め4人を絞首刑にした。

フレデリックはぎりぎりまで彼女の延命に尽力するが、最後は大統領命令で処刑台に連れて行かれた。

 

彼女が守り通した秘密は、息子のジョンの共謀だった。

ジョンは逃亡先で母の処刑を知り、そののち囚われるが、一般法廷で裁かれ、無罪となったそうです。

母の有罪の証拠(逃亡した犯人に武器を供給したこと)が、息子のした行為だったのだから、それが母がやったこととなれば息子は無罪というわけです。

母の死が、みごとに息子をかばったというわけですね。

 

エイキンは、このあと法律の世界も離れ、ワシントンポストの初代社会部長になったそうです。

 

そのへんが、レッドフォード監督の「アメリカにも正義を守る人間はいるぞ」という気骨の表れだと思いました。

 

国家の大義と法の正義。

たいていは、国家の大義に潰されてしまうと思うけれど、そこに光を当てて、しかも自分の感情とは違うところへ自分を理性で導くという、これぞ正義!という結論にしびれました。

それを体現してくれたジェームズ・マカヴォイ。

今回も素晴らしい演技だったと思いました。

 

ロビン・ライトも素晴らしかった。

決して嘘はつかないが、母として息子は守る、信仰も崩さないという毅然とした態度。

処刑台に向かう気高い表情がメアリーの生き様を示していました。

 

いろんなことを考えさせてくれるいい映画だと思いました。