マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

グッド・シェパード

2007-10-25 11:04:05 | 映画ー劇場鑑賞
ーグッド・シェパードー
2006年 アメリカ ロバート・デ・ニーロ監督 マット・デイモン 、アンジェリーナ・ジョリー 、アレック・ボールドウィン 、タミー・ブランチャード 、ビリー・クラダップ 、ロバート・デ・ニーロ 、ケア・デュリア 、マイケル・ガンボン 、マルティナ・ゲデック 、ウィリアム・ハート 、ティモシー・ハットン 、リー・ペイス 、ジョー・ペシ 、ジョン・タートゥーロ 、ジョン・セッションズ 、エディ・レッドメイン 、オレグ・ステファン 、ガブリエル・マクト

【解説】
CIAの誕生をめぐり、1人の男が運命に翻弄(ほんろう)されていく様を描いた壮大な人間ドラマ。『ブロンクス物語/愛につつまれた街』以来13年ぶりにメガホンを取ったロバート・デ・ニーロが、監督、製作、出演の3役をこなす。主演の諜報部員役にマット・デイモン、その妻役にアンジェリーナ・ジョリーがふんする。これまであまり描かれることのなかったCIAメンバーの、1人の人間としての苦悩が胸に突き刺さる。

【あらすじ】
1961年4月17日、キューバのカストロ政権転覆を狙った上陸作戦がCIA内部の情報漏れにより失敗し、CIAは窮地に立たされる。その数日後、作戦を指揮したエドワード(マット・デイモン)の元にCIA内通者と敵側スパイと思われる男女が映ったテープが届く。彼は部下のレイ(ジョン・タートゥーロ)にその分析を依頼するが……。 (シネマトゥデイ)

【感想】
時系列がわかりにくくて、結局パンフレットで確かめて、やっとつながりました。
こういう腹芸みたいな話には、ほんと、弱いのですが、わかってみれば、なかなか重厚な映画といえます。

タイトル「グッド・シェパード」にこめられた意味は「わたしは良き羊飼いである。良き羊飼いは羊のために命を捨てる」という新約聖書のキリストの言葉の引用だそうです。
CIAが組織される初期の話を、綿密に取材してロバート・デ・ニーロが監督、出演しています。

主人公のエドワード・ウィルソンにはマット・デイモンが扮していますが、ディカプリオの代役とも言われています。
でも、とても適役だと思いました。
マットの地味で誠実な感じがいいと思いました。

この人物はジェームズ・アングルトンという人がモデルになっているそうですが、その他にも2、3人のキャラクターが重ねてあるそうです。
たくさんの個性的な人物が登場しますが、それぞれ、そんな風に肉付けしてあるようで、それが、とてもリアルな効果を出していました。

これが本当の意味でのスパイ映画だと思いました。

映画は、第二次世界大戦から始まったスパイ工作。その後の「冷戦時代」まっただ中のキューバ危機「ピッグス湾」事件のからくりまでを、エドワードを中心に組織と家族の間で揺れる心理も含めて、描こうとしていました。
そこは、いわゆるスパイ映画にあるような華やかさも派手さもなく、裏切りと疑心暗鬼の非情な世界でした。

エドワードの父は「嘘をつくな」と言いながら、自らの命を絶った。
これがトラウマとなってかれは育つのだが、大変優秀で、名門イェール大学に進む。
栄えある秘密結社「スカル&ボーンズ」に迎えられたエドワードは、やがてサリバン将軍(デ・ニーロ)に紹介され、CIAの前身であるOSSに、いわゆる一本釣りをされる。

私生活では耳の不自由なローラ(タミー・ブランチャード)と恋愛関係にあったが、友達の妹、名門令嬢のクローバー(=マーガレット、アンジェリーナ・ジョリー)との一夜の過ちで彼女は妊娠。



二人は結婚するが、結婚式から1週間後、エドワードは海外への赴任を命令された。

イギリスで思いがけない人物と出会う。
ナチの赴任先の協力者のレッテルを貼られたフレデリックス教授(マイケル・ガンボン)。
彼から「誰も信用するな」と教えられる。
さらに、ドイツに赴任。
女性スパイにはめられたり、辛酸を味わう。

それから5年後に帰国を許されるのだが、長い別居生活の空白を埋めることは難しく、ただ一人息子の成長だけが夫婦の絆だった。

同僚であるはずの人間の裏切り、敵であるはずの人間との友情にも似た交流。
エドワードの仕事は難問山積で、重責のかかることの連続だった。
それでも耐えて国家に忠誠を尽くすエドワード。

しかし、因果は巡るとしか言いようのない結末が!!


 出演もしているデ・ニーロ監督

デ・ニーロ監督が「テーマを語るのは難しい。観客に自分で判断してもらいたい」と言っているように、見終わった後も余韻の残る、いい作品だと思いました。

ルワンダの涙

2007-10-25 10:53:15 | 映画ーDVD
ールワンダの涙ー
2005年 イギリス/ドイツ マイケル・ケイトン=ジョーンズ監督 ジョン・ハート 、ヒュー・ダンシー 、クレア=ホープ・アシティ 、ドミニク・ホルヴィッツ 、ニコラ・ウォーカー 、ルイス・マホニー

【解説】
ルワンダのフツ族対ツチ族の抗争に端を発する大虐殺事件を題材にしたシリアスな社会派ドラマ。『氷の微笑2』のマイケル・ケイトン=ジョーンズが監督を務め、ルワンダ事件の真実を白人の視点から描く。ルワンダの人々と最後まで運命をともにしようとする神父を名優ジョン・ハートが、事件に戸惑う教師を『キング・アーサー』のヒュー・ダンシーが熱演。実際に虐殺が行われた公立技術学校を中心に、オールロケで撮影された迫力の映像が見どころ。

【あらすじ】
アフリカのルワンダで、フツ族によるツチ族虐殺事件が発生。公立技術学校を運営する英国カトリック教会のクリストファー神父(ジョン・ハート)とそこで働く青年協力隊の英語教師ジョー・コナー(ヒュー・ダンシー)は、生徒のマリー(クレア=ホープ・アシティ)ら、学校に避難してきたツチ族とともに不穏な状況に直面してしまう……。 (シネマトゥデイ)

【感想】
この映画は「ホテルルワンダ」と対をなす映画だと思いました。
「ホテルルワンダ」が2000人の命を救った映画なら、こちらは2500人の命が奪われた映画です。

でも、このルワンダの集団虐殺事件は約100日間で100万人以上が虐殺されているという事実を抜きには見れないでしょう。

原題は「SHOOTING DOGS」。
ルワンダの首都ギガリにある公立技術学校が舞台。
国連軍が駐留し、クリストフアー神父(ジョン・ハート)が責任者だ。
そご働く若い教師ジョー(ヒュー・ダンシー)。
彼はイギリス人で、生徒たちを愛し、理想に燃えていた。

そこに、大統領機が爆破され、クーデターが起きたというニュースが飛び込んでくる。
フツ族によるツチ族虐殺事件が発生。
近隣の村から、ツチ族の難民が学校へ保護を求めてきた。
クリストファー神父は受け入れるが、国連軍のベルギーから派遣されている大佐はあくまで平和維持活動しかできないと、虐殺を止める気配もない。

学校の周りに集まってくるフツ族の民兵たち。
裏で糸を引く国会議員の姿もある。

学校の周りに放置される死体のおびただしい数。
死肉を漁る痩せた犬たち。
「衛生上の問題もあるし、犬を撃ち殺そうと思う」と大佐が言う。
原題はここからきています。

神父は怒りに満ちて言う。
「犬は撃てても、この惨状を止める気はないのか。衛生上の問題はもっと増えるぞ」と。

惨劇を目の当たりにしたジョーは「この苦痛は、いつ終わるのか。死ぬ前には消えるのだろうか」と苦悩します。

神父は「30年もこの大地にいて、なにもなかったが、希望だけはあった。今はそれも失われた」と嘆きました。
彼は白人たちが去った後もひとり現地に残り、尊い犠牲となるわけですが、彼は実在した人物だということです。

この虐殺を免れた人たちが、スタッフとしてこの作品に関わっていることが、エンドタイトルで知らされます。

涙も出ない、辛い映画でした。
「ホテルルワンダ」ほど、ルワンダの歴史的背景や当時の事情については描かれていないので、理不尽さだけが残りました。

もっと国が落ち着いたら、ルワンダ人の力で、この虐殺を検証した映画ができるといいですね。
二度と悲劇が繰り返されないために。