マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

母と暮せば

2016-09-27 11:00:41 | 映画ーDVD

ー母と暮せばー

2015年 日本 130

 

監督=山田洋次 キャスト=吉永小百合 (福原伸子) 二宮和也 (福原浩二) 黒木華 (佐多町子) 浅野忠信 (黒田正圀) 加藤健一(上海のおじさん) 

 

【解説】

「父と暮せば」などの戯曲で有名な井上ひさしの遺志を名匠山田洋次監督が受け継ぎ、原爆で亡くなった家族が亡霊となって舞い戻る姿を描く人間ドラマ。原爆で壊滅的な被害を受けた長崎を舞台に、この世とあの世の人間が織り成す不思議な物語を映し出す。母親を名女優吉永小百合が演じ、息子を『プラチナデータ』などの二宮和也が好演。ほのぼのとした中にも戦争の爪痕を感じる展開に涙腺が緩む。

 

【あらすじ】

194889日、長崎で助産師をしている伸子(吉永小百合)のところに、3年前に原爆で失ったはずの息子の浩二(二宮和也)がふらりと姿を見せる。あまりのことにぼうぜんとする母を尻目に、すでに死んでいる息子はその後もちょくちょく顔を出すようになる。当時医者を目指していた浩二には、将来を約束した恋人の町子(黒木華)がいたが……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

宮沢りえ、原田芳雄出演の「父と暮せば」をずいぶん前に見ました。

すごく感動したことを覚えています。

2004年の黒木和雄監督作品。

 

この作品はタイトルと長崎原爆投下を描くと言う構想だけを井上ひさしさんが残していたものを山田洋次監督が引き継がれたのですね。

 

映画を見始めてたちまち涙です。

私にも息子がいるし、息子が原爆で死ぬと思うだけで、涙が溢れます。

なので、ちゃんとこの映画を鑑賞できるのかどうか、自信もなくなります。

 

一瞬で命を奪われた若者。

この世に未練を持って母親の前に亡霊となって現れたとしても不思議はないし、母親も、たとえ亡霊になった息子にでも会いたいと願っているので、このシチュエーションは素直に受け入れてしまいます。

 

最後も、栄養失調に加え、亡霊と話すことで精神的にも弱って亡くなってしまうというのも納得できるラストだと思いました。

 

それほどまでに、母の息子への思いは強いと思う。

あの戦争で息子を亡くしたすべての母親は、自分の一部が死んだ気持で生きてこられたと思う。

戦争はいけないと言うけれど、その時代にその国に生きた人間としての責任は免れない。

理不尽だけれど、その結果は引き受けないといけない。

事実、そうして人はすべてを潔く飲み込んで、時代を生きていくわけです。

 

死んでいる浩二(二宮和也)は町子(黒木華)のことを深く思うけれど、なにもしてやれることがない。

町子は浩二のことを思いつつも、新たに愛する人と出会い自分の人生を歩み出す。

自然のことですよね。

よかった。

 

でも、母は息子二人を亡くして、新たな人生を歩くことはできなかった、というお話でした。

 

悲しくて何度も涙が出るけれども、母にも生きて欲しかったなあ。

現実には、悲劇を乗り越えて強く生きてこられた方がたくさんおられたと思う。

そしてこの先、二度と悲劇を繰り返さないようにと願うばかりです。

 

今も北朝鮮の核開発問題とか、福島原発事故の後始末がなかなかうまくいかないとか、同じレベルで語るべきではないのかもしれないけど、原子力にまつわる問題がたくさんあります。

人類が未だに制御できないパワーとエネルギーをもつ原子力。

有効利用したい気持ちもわかるけど、持て余しているのが現状でしょう。

特に原子爆弾。

次に爆発させたら人類は滅亡に近づくとわかっているのに、一度持ってしまったものは捨てることができないのか?

持つことが抑止力なんて、よくもまあ。

そういう自分勝手な論理だから、小国の北朝鮮にもつけ込まれるんです。

 

いまこそ、人間の叡智の結集する時が来ていると思います。

この時代に生きる私たちに、責任はあります。

 


幸せをつかむ歌

2016-09-27 10:54:44 | 映画ーDVD

ー幸せをつかむ歌ーRICKI AND THE FLASH

2015年 アメリカ 101

 

監督=ジョナサン・デミ キャスト=メリル・ストリープ (リッキー) ケヴィン・クライン (ピート) メイミー・ガマー (ジュリー) オードラ・マクドナルド (モーリーン)

 

【解説】

かつてロックスターになる夢を追って家族を捨てた女性が、離婚した娘との再会をきっかけに、疎遠になっていた家族との絆を取り戻そうとする人間ドラマ。監督は『羊たちの沈黙』などのジョナサン・デミ、脚本が『JUNO/ジュノ』などのディアブロ・コディ、主演はハリウッドのレジェンドともいうべきメリル・ストリープという、オスカー受賞者による夢のタッグが実現。ギターを猛特訓したメリルは劇中で圧巻の演奏シーンを披露し、娘を演じた実の娘メイミー・ガマーと母娘共演を果たしている。

 

【あらすじ】

夢だったロックスターへの道を突き進むべく家族を捨てたリッキー(メリル・ストリープ)は、ロック歌手となり音楽活動を続けていた。ある日、離婚した娘(メイミー・ガマー)と再び会う機会が訪れる。疎遠になっていた娘と、何とか関係修復しようと考えるリッキーだったが……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

メリル・ストリープがロックミュージシャンに!?

そんな違和感を吹き飛ばしてくれる演奏です。

ギターはニール・ヤングに習ったとか。

すごいね。

 

原題の「RICKI AND THE FLASH」はリッキー(メリル・ストリープ)が率いるロックバンドの名前。

といっても、週末に場末のライブハウスで歌って、演奏しているだけ。

とても成功しているとは言えない生活。

普段はスーパーのレジ係。

 

そこに昔々に別れた元夫ピート(ケヴィン・クライン)から電話がかかってくる。

長女のジュリー(メイミー・ガマー)が、離婚してそれがショックで自殺未遂した、と。

リッキーは、ジュリーの結婚式にも欠席した。

家庭を捨ててミュージャンの道に進んでしまった自分を、娘は恨んでいるはず。

いまさら帰っても…。

と逡巡するリッキーに夫は「新しい奥さんのモーリーン(オードラ・マクドナルド)は実家に帰っているし、遠慮はいらないからぜひ」という。

 

飛行機に乗って、高級住宅地の中にあるピートの家へ。

案の上、ジュリーからは厳しい拒否を受ける。

 

リッキーとピートには他にも息子が二人いて、そのうちの一人がもうすぐ結婚式を挙げると言う。

久しぶりに家族でディナーに出かけるが、何年かぶりの再開にもぎくしゃくして打ち解けられない。

 

☆ネタバレ

リッキーは家族を愛していないわけではなく、家族も音楽も両方欲しい。

ピートとはうまくいかなかったし、新しい恋人ともうまくやれる自信がない。

でも、音楽は捨てられない。

人生のすべてだから。

 

そういうリッキーの生き方を周りの人たちがどれだけ理解して受け入れられるのか。

リッキーもたくさんの犠牲を払ったけど、生き方を貫くというのも理想です。

 

ジュリー役のメイミー・ガマーはメリルの実の娘。

見終わって心がほんわか温かくなる作品でしたよ。

ただ音楽をやりたいというリッキーの純粋な気持が伝わってきました。

 


おやすみなさいを言いたくて

2016-09-05 10:59:42 | 映画ーDVD

ーおやすみなさいを言いたくてーTUSEN GANGER GOD NATT/1,000 TIMES GOOD NIGHT

2013年 ノルウェー,アイルランド,スウェーデン 118

 

監督=エリック・ポッペ キャスト=ジュリエット・ビノシュ (レベッカ) ニコライ・コスター=ワルドー (マーカス) ローリン・キャニー (ステフ) アドリアンナ・クラマー・カーティス (リサ)

 

【解説】

世界各地を飛び回る女性報道写真家のひたむきな生きざまを描き、2013年モントリオール世界映画祭審査員特別賞など数々の賞を受賞した人間ドラマ。監督は、報道カメラマン出身で『卵の番人』の撮影を務めたエリック・ポッペ。信念を持って戦場カメラマンの仕事に打ち込むも、愛する家族と危険を伴う仕事との間で揺れ動くヒロインを、オスカー女優ジュリエット・ビノシュが熱演する。また人気ロックバンドU2のドラマー、ラリー・マレン・Jrが出演しているのにも注目。

 

【あらすじ】

報道写真家のレベッカ(ジュリエット・ビノシュ)は愛する家族の理解に支えられ、世界各地の紛争地域を取材で飛び回っていた。常に家族と一緒にいられなくても全て順調だと思っていたが、取材中に巻き込まれた事故を心配した家族から危険な場所へは二度と行かないと約束させられる。それをきっかけに、彼女は自らの信念をささげた仕事が家族を苦しめていることに気付き……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

何が彼女をその仕事に駆り立てるのか、と思って見入っていました。

戦場カメラマンの女性の話。

 

報道写真家のレベッカ(ジュリエット・ビノシュ)は、女性が自爆テロに出て行く姿をカメラに収めていた。

砂漠の中の墓地に横たわった女性が、女たちに導かれて起き出し、祈りの中で禊を受け、爆薬を体に巻き付け、起動装置を手に握りしめて車に乗り込んだ。

レベッカは同乗を申し出て、一緒に車に乗り込み、町へ入った。

レベツかが車を降りたときに警官が職務質問に来て、運転手も逃げ出し、女性が自爆した。

レベッカも爆風に巻き込まれ、病院に運び込まれた。

 

海洋学者の夫マーカス(ニコライ・コスター=ワルドー)が駆けつけて、レベッカは愛する二人の娘の待つアイルランドに戻って来た。

 

リサは幼く、単純に母の帰りを喜ぶが、ティーンエージャーのステフの顔に笑顔がなかった。

心を閉ざしていたのだ。

 

夫から「家族のために危険な場所には行くな」と言われたレベッカは、その言葉に従う決心をするが…。

 

☆ネタバレ

アフリカをテーマにグループの活動をしているステフは、レベッカの有人から持ち込まれたケニアでの難民キャンプへの取材に同行したいと父に頼み込む。

「100パーセント安全」と言われた場所だったが、暴徒に襲われ、レヘッかはそこでも飛び出していってシャッターを切り続けた。

 

ショックを受けたステフは、帰ってからもふさぎ込み、マーカスにレベッカの取った危険な行動がバレてしまった。

約束を破ったとマーカスは激怒。

レベッカは出て行き、ふたたび中東の現場へと戻る。

 

そこでは少女が自爆テロに出ようとしていた。

吐きそうになり、シャッターも切れないレベッカ。

 

ステフが、ケニアのことを学校で発表して、母の仕事に理解を示せたことは救いでした。

女性でないと撮れない写真があり、それが微力でも世界への理解に繋がっていることは理解できるのですが、いざ、私、家族だったらと考えると、なぜそこまで、と思ってしまいました。

尊い仕事ですが、危険過ぎると思いました。

 

いつか世界中が平和になって、レベッカの危険な仕事が無くなる日がくればいいのですが。

 

東ベルリンから来た女

2016-09-01 10:02:03 | 映画ーDVD

ー東ベルリンから来た女ーBARBARA

2012年 ドイツ 105

監督・脚本=クリスティアン・ペッツォルト キャスト=ニーナ・ホス (バルバラ) ロナルト・ツェアフェルト (アンドレ) ライナー・ボック (シュッツ) ヤスナ・フリッツィ・バウアー (ステラ)

 

【解説】

ドイツの新鋭クリスティアン・ペツォールトが監督と脚本を担当し、旧東ドイツで疑心暗鬼に駆られつつ生きる女医の姿を描いた衝撃作。ベルリンの壁崩壊前の不自由な時代、厳しい監視の目をかいくぐって脱出を試みようとするヒロインの揺れ動く感情を牧歌的な風景と共に描き出す。美ぼうの下に情熱を秘めた主人公を演じるのは、『ブラッディ・パーティ』のニーナ・ホス。苦難の日々の中で、もがきつつも必死に生き抜こうとする女性の姿に涙があふれる。

 

【あらすじ】

1980年夏、医師のバルバラ(ニーナ・ホス)は東ベルリンの大病院からバルト海沿岸にある小さな町の病院に赴任する。西ドイツへの移住申請を却下され左遷された彼女は、上司のアンドレ(ロナルト・ツェアフェルト)にも笑顔ひとつ見せず同僚とも打ち解けようとはしなかった。そんなある日、矯正収容所から逃げようとするも病気になってしまったステラ(ヤスナ・フリッツィー・バウアー)が運び込まれ……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

先日見た「あの日のように抱きしめて」に感銘を受けて、クリスティアン・ペツォールト監督と主演のニーナ・ホスのコンビのこの作品を見ました。

 

「あの日のように抱きしめて」は第二次世界大戦直後のベルリンのお話でしたが、こちらはベルリンの壁崩壊の9年前の東ドイツのお話。

「あの日のように~」の方は、爆撃で損傷した顔を直したというお話だったので、あまりニーナさんの顔に感想を持たなかったのですが、この作品は彼女のアップで始まり、アップで終わります。

美人だし、印象的な瞳。

女優さんらしい女優さんだなあ、ととても印象的でした。

 

医師のバルバラ(ニーナ・ホス)は

東ベルリンの病院からバルト海沿いの小さな村に赴任してきた。

赴任といっても事実上は左遷だった。

当局の監視員がバルバラを見はっていた。

同僚とは距離を置くが、仕事は熱心で患者には優しい医者の表情を見せていた。

 

ある日、矯正収容所から逃げようとするも病気になってしまったステラ(ヤスナ・フリッツィー・バウアー)が運び込まれてきた。

バルバラは親身に治療した。

回復してもステラは収容所に戻りたがらなかったが、強制的に帰されてしまった。

 

バルバラには西ベルリンに住んでいる恋人がいた。

恋人はバルバラに西に亡命する手はずを整えていた。

バルバラも監視員の目を盗んで、準備を整えていた。

 

いよいよ準備が整って決行の日、ステラが収容所から脱走してバルバラの元に逃げてきた。

亡命は海岸から小さな船で沖の船まで運んでもらことになっていて、費用も一人分しかない。

バルバラは、ステラを小舟に乗せ、自分は残ることを決断した。

 

バルバラの恋人も、あまりに西の人間らしい軽い人間だったし、西に行ってバルバラがどうなったかもわからないけど、そこまでのバルバラは西に亡命するというのが心の支えだったから、すごい決断だったと思います。

 

「善き人のためのソナタ」で、壮絶な監視社会だった東ドイツの実態を知ってショックだったけど、こちらも監視が当たり前みたいな社会に生きるバルバラの心情がひしひしと伝わってきて、とてもいい映画でした。

 

あと9年でベルリンの壁が崩壊するから、頑張ってね、という気持で見終わりましたが、その9年のバルバラの人生、ななかシビアだったでしょうね。

いま、バルバラはどうしているでしょう。

幸せだったらいいのになあ。

 

オデッセイ

2016-08-17 16:29:26 | 映画ーDVD

ーオデッセイーTHE MARTIAN

2015年 アメリカ 142

監督=リドリー・スコット キャスト=マット・デイモン (マーク・ワトニー) ジェシカ・チャステイン (メリッサ・ルイス) クリステン・ウィグ (アニー・モントローズ) ジェフ・ダニエルズ (テディ・サンダース) マイケル・ペーニャ(リック・マルティネス) ケイト・マーラ(ベス・ヨハンセン) ショーン・ビーン(ミッチ・ヘンダーソン) キウェテル・イジョフォー(ビンセント・カプーア)

 

【解説】

『グラディエーター』などのリドリー・スコットがメガホンを取り、『ボーン』シリーズなどのマット・デイモンが火星に取り残された宇宙飛行士を演じるSFアドベンチャー。火星で死亡したと思われた宇宙飛行士が実は生きていることが発覚、主人公の必死のサバイバルと彼を助けようとするNASAや乗組員たちの奮闘が描かれる。共演は、『ゼロ・ダーク・サーティ』などのジェシカ・チャステインや『LIFE!/ライフ』などのクリステン・ウィグなど。スコット監督による壮大なビジュアルや感動的なストーリーに注目。

 

【あらすじ】

火星での有人探査中に嵐に巻き込まれた宇宙飛行士のマーク・ワトニー(マット・デイモン)。乗組員はワトニーが死亡したと思い、火星を去るが、彼は生きていた。空気も水も通信手段もなく、わずかな食料しかない危機的状況で、ワトニーは生き延びようとする。一方、NASAは世界中から科学者を結集し救出を企て、仲間たちもまた大胆な救出ミッションを敢行しようとしていた。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

火星の有人探索チームは、突然嵐に襲われた。

作業していた場所から宇宙船に退避する途中でマーク・ワトニー(マット・デイモン)は壊れて飛んできた器具にぶつかり飛ばされてしまった。

生命反応もなく、嵐が益々ひどくなって、マークが死んでしまったと結論づけたチームは地球への帰途につく。

 

しかし、マークは死んでいなかった。

だが、宇宙服が破損して生命の危機に瀕していた。

なんとか自力で基地にたどり着いたが、次の火星探査計画までの食料はなく、自分が生きていることを地球に知らせる術もなかった。

 

「もう宇宙ものはいいか」という考えで、劇場で見なかったのですが、サバイバル映画としてとてもよくできていると思いました。

マット・デイモンの名演技で、あまり深刻にならずに楽しく見られました。

 

水も空気も食べ物も通信手段もない火星で、いかに生き延びるか。

絶望的な状態でも、究極のポジティブシンキングで生きる道を探すワトニーに共感しました。

水を作り、土を作り、じゃがいも畑を作っちゃうなんて、すごいです。

 

また、彼の生存を技術力で知ることができたNASAの涙ぐましい努力も良かったです。

この双方の努力が実を結ぶ時、彼の帰還が現実味を帯びてきます。

 

最後の最後に中国資本に助けられるというストーリー。

なんだかなあ、と思いましたが、ハリウッドも中国資本を頼っていることを思えば、時代の流れかなあ。

 


君がいた夏

2016-08-17 16:26:02 | 映画ーDVD

ー君がいた夏ーSTEALING HOME

1988年 アメリカ 99

 

監督=スティーブン・カンプマン、ウィル・アルディス キャスト=ジョディ・フォスター、マーク・ハーモン、ハロルド・ライミス、ブレア・ブラウン

 

【解説】

うだつのあがらないプロ野球選手が回想する、高校時代のある夏のほろ苦い恋の物語。ちょっと大人びた年上の女性と純情な少年の心の交流が、美しく切なく描かれている。肩の力を抜いたゆったりとした演出と、年上の女性をナチュラルに表現したJ・フォスターの演技が感動的。ラストが泣ける。(allcimnema ONLINE)

 

【感想】

原題「STEALING HOME」=ホームスチールが示すように、主人公はプロ野球選手。

 

一流選手にはなれなかった。

今は酒浸りで自堕落な生活を送っている。

そこへ、幼なじみの女性が自殺したという知らせが入る。

しかも、彼女は両親の墓には入らず、彼にどこに眠るか決めて欲しいと遺言を残した。

なぜ、自分に?

衝撃を受けた彼は、ホームスチールから始まった自分の野球人生を振り返る。

人生の分岐点となった彼女と過ごした青春の一夏を思い出し、思い出の海を訪ねる。

そして、彼女の気持ちがわかった時、人生を再び建て直して1歩踏み出す勇気を蘇らせた。

 

アメリカお得意の青春映画。

若いジョディ・フォスターがまぶしいくらいキラキラした女性を演じています。

 

夏の終わりに、こんな映画もいいですね。

 


ハッピーエンドの選び方

2016-08-08 10:20:27 | 映画ーDVD

ーハッピーエンドの選び方ーMITA TOVA/THE FAREWELL PARTY

2014年 イスラエル 93

監督・脚本=シャロン・マイモン、タル・グラニット キャスト=ゼーヴ・リヴァシュ (ヨヘスケル) レヴァーナ・フィンケルシュタイン (レバーナ)  アリサ・ローゼン (ヤナ) イラン・ダール (ドクター・ダニエル)

 

【解説】

71回ベネチア国際映画祭ベニス・デイズ BNL観客賞などを受賞した、人生の終盤に差し掛かった老人たちの最期の選択に迫るヒューマンドラマ。監督の実体験をベースに、命尽きる瞬間まで自分らしく生きようとする人々の姿をユーモアを交えて映す。ベテラン俳優のゼーブ・リバシュとレバーナ・フィンケルシュタインが夫婦役で出演。死に直面しながらもポジティブに生きる主人公たちの姿に勇気と元気をもらう。

 

【感想】

発明が好きなヨヘスケル(ゼーブ・リバシュ)は、妻のレバーナ(レバーナ・フィンケルシュタイン)と共にエルサレムの老人ホームに住んでいる。ある日、彼は死の床にある親友マックスに、何とか自らの意志で穏やかな最期を迎えられる装置を発明してほしいと頼み込まれる。人のいいヨヘスケルはレバーナの反対にも耳を貸さず、新たな発明に挑む。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

老人ホームで暮しているヨヘスケル(ゼーブ・リバシュ)と妻のレバーナ(レバーナ・フィンケルシュタイン)。

一人娘の孫を預かったり、ホームの友達に神様のマネをして電話で励ましたり、明るく暮らしている。

しかし、親友のヤナ(アリサ・ローゼン)の夫マックスに死が間近に訪れていた。

苦しむマックスと、それを見るのが耐えられないヤナ。

 

ヨヘスケルとレバーナはヤナが自殺しようとしているのを止める。

苦しみを打ち明けるヤナ。

マックスも安楽死を願っていた。

 

ヨヘスケルは同じホームに暮す医師(医師は医師でも獣医師)から安楽死に必要な薬をもらい、安楽死装置を発明した。

 

反対するレバーナには内緒で、元警官も仲間に加えてマックスにその装置を使わせた。

秘密のはずが、ホームでも噂になり、ある男につきまとわれる。

男は癌末期の妻に安楽死装置を使いたいと言う。

 

☆ネタバレ

イスラエルでも、安楽死は殺人になります。

ヨヘスケルが発明した装置は、死にたい人が自分でスイッチを入れるものですが、それでも自殺幇助になるでしょう。

 

レバーナは激しく反対しますが、レバーナ自身は思い認知症にかかっていて、ついには安楽死装置を望むようになります。

そうなると、一番抵抗するのがヨヘスケル。

愛する妻を失いたくはありません。

 

生きるのも死ぬのも、人生の大問題です。

私はレバーナの結論に絶対反対ですが、当人になればどんな判断をするか、難しいと思いました。

 

老いと死、人類永遠のテーマを、ハートウォーミングに描いて秀作です。

 

完全なるチェックメイト

2016-08-08 10:16:55 | 映画ーDVD

ー完全なるチェックメイトーPAWN SACRIFICE

2015年 アメリカ 115

監督=エドワード・ズウィック キャスト=トビー・マグワイア (ボビー・フィッシャー) ピーター・サースガード (神父ビル・ロンバーディ) リーヴ・シュレイバー (ボリス・スパスキー) マイケル・スタールバーグ (ポール・マーシャル)

 

【解説】

『マイ・ブラザー』などのトビー・マグワイアが実在の天才チェスプレイヤー、故ボビー・フィッシャーを怪演した白熱の心理ドラマ。米ソの冷戦時代、盤上での代理戦争を死にものぐるいで戦ったアメリカの奇才対ソ連チャンピオンの手に汗握る対戦を活写する。貫録ある世紀のライバルを『ラスト・デイズ・オン・マーズ』などのリーヴ・シュレイバーが熱演。変わり者の奇才の波瀾(はらん)万丈の人生と、緊張感あふれる頭脳戦に手に汗握る。

 

【あらすじ】

1972年、アイスランドで行われたチェス世界選手権で、ボビー・フィッシャー(トビー・マグワイア)とボリス・スパスキー(リーヴ・シュレイバー)が対戦する。長きにわたりソ連がタイトルを持ち続けてきたが、史上初のアメリカ人挑戦者が誕生。若き天才の登場に世界中が注目する中、ボビーは第2局に出現することなく不戦敗となり……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

これは実話らしいです。

映画の最後にご本人の映像が出てきました。

それにしても変人ですよ、このボビー・フィッシャー(トビー・マグワイア)。

 

幼いときからチェスに夢中で、チェスに心血を注いで精進してきたボビー・フィッシャー。

チェス界に彗星のごとく現れ、当時冷戦状態だったソ連の選手ボリス・スパスキー(リーヴ・シュレイバー)と対戦する。

 

1972年、アイスランドで行われたこの試合の第1戦に、ボビーは現れず不戦敗。

さらに第2戦以降について、場所や環境にクレームをつけ、会場も替えさせて行った。

対戦相手のスパスキーの人格者ぶりが対照的です。

果たして、この世紀の勝負の行方やいかに。

 

この作品、冷戦時代のピリピリ感もさることながら、ボビーの稀代の変人ぶりが際立っている作品でした。

トビー・マグワイヤの演技が素晴らしいです。


ディーン、君がいた瞬間(とき)

2016-07-26 10:56:34 | 映画ーDVD

ーディーン、君がいた瞬間(とき)LIFE

2015年 カナダ/ドイツ/オーストラリア 112

監督=アントン・コービン キャスト=デイン・デハーン(ジェームズ・ディーン) ロバート・パティンソン(デニス・ストック) ジョエル・エドガートン ベン・キングズレー アレッサンドラ・マストロナルディ

 

【解説】

ハリウッドの伝説的スターであるジェームズ・ディーンと天才写真家デニス・ストックの若き日の友情を描く青春ドラマ。初主演作『エデンの東』の試写を観たデニスがジェームズに密着し、刺激を受け合い友情を築き、歴史に残る写真が生まれる瞬間を映す。『誰よりも狙われた男』などの監督兼写真家のアントン・コービンがメガホンを取り、ジェームズを『クロニクル』などのデイン・デハーン、デニスを『トワイライト』シリーズなどのロバート・パティンソンが演じる。才能ある若者たちの奇跡的な出会いに驚かされる。

 

【あらすじ】

1955年、写真家のデニス・ストック(ロバート・パティンソン)は映画監督のニコラス・レイ(ピーター・ルーカス)主催のパーティーで、ジミーことジェームズ・ディーン(デイン・デハーン)に出会う。ジミーの出演作『エデンの東』を観てその演技に衝撃を受けたデニスは、フォトエッセイを撮ることを決意。最初は警戒していたジミーだったが、デニスが写真を撮り始めたきっかけを聞いたことで……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

これは鏡に装飾したジェームス・ディーンの写真です。

昔、ガラス関係のバラエティグッズを作っていた友達からいただいて、大切に飾っています。

この写真にまつわるお話。

 

なんといってもジェームズ・ディーンの活動は1955年の「エデンの東」で認められてから、自身3本目の出演となる「ジャイアンツ」の撮影後1週間後の1955年9月30日に交通事故で亡くなるまでのたった1年間です。

 

この作品は、「エデンの東」のあと、「理由なき犯行」の主役に決まるまでの、ジェームズ・ディーンのもやもやしている期間に出会った新進気鋭の写真家との交流を描いたもの。

私も大好きなタイムズスクエアで撮られたこの写真も、そのときのものだそうです。

 

演じているデイン・デハーンも最近私のお気に入り俳優さん。

似てるとか似せていると感じることはなく、デインがディーンになり切っているところが見所です。

 

一方の写真家はロバート・パティンソン。

 

二人の相性がよくて、こんなふうにうち解け合ったのかなあという感じはしました。

映画の中のように鬱屈した青年ではなく、故郷に帰ったディーンはくつろいで、ほんと、普通の青年だったんだなあと、あらためて早世したカリスマ俳優を忍びました。

 

こういう映画が作られるなんて、いまだにディーンは大スターなんだなあって思います。

ジェームズ・ディーンファンはぜひ!!

 

エージェント・ウルトラ

2016-07-11 11:39:00 | 映画ーDVD

ーエージェント・ウルトラーAMERICAN ULTRA

2015年 アメリカ 96

 

監督=ニマ・ヌリザデ キャスト=ジェシー・アイゼンバーグ (マイク・ハウエル) クリステン・スチュワート (フィービー) トファー・グレイス コニー・ブリットン ジョン・レグイザモ

 

【解説】

『ソーシャル・ネットワーク』などのジェシー・アイゼンバーグ、『トワイライト』シリーズなどのクリステン・スチュワートが共演したアクション。CIAの洗脳プログラムによって工作員へと育成された青年が、巨大な陰謀と恋人に迫る危機に立ち向かう。メガホンを取るのは、『プロジェクトX』のニマ・ヌリザテ。『ロスト・ハイウェイ』などのビル・プルマン、『スパイダーマン3』などのトファー・グレイスらが脇を固める。ダメ青年から敏腕工作員へと瞬時に変貌する主人公の姿が痛快。

 

【あらすじ】

片田舎のコンビニでバイトをしているダメ青年マイク(ジェシー・アイゼンバーグ)は、一緒に住んでいる恋人フィービー(クリステン・スチュワート)とハワイ旅行に出て結婚を申し込もうと決意する。だが、出発前にパニック発作を起こして旅行は中止に。ある日、彼は店に乱入してきた暴漢たちを無意識のまま瞬殺してしまう。それを機に、マイクがCIAの極秘マインドトレーニング計画で育成されたエージェントであったことが判明。やがて計画の封印を進めるCIAから次々と刺客を放たれ、フィービーを誘拐されてしまうが……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

はちゃめちゃなアクション作品ですが、私は結構気に入りました。

脚本が「クロニクル」のマックス・ランディス。

なるほど。

 

片田舎のコンビニでバイトをしているマイク(ジェシー・アイゼンバーグ)。

すごく暇なコンビニで、合間にサルの飛行士を主人公にしたマンガを書いている。

そのマンガを気に入ってくれる、イカした恋人フィービー(クリステン・スチュワート)と同棲中。

ドジなマイクの面倒をすごくよく見てくれる。

マイクは、指輪を買って、ハワイでプロポーズしようと計画したが、空港のトイレでパニックを起こし、旅行も中止になる。

それでも怒らない優しいフィービー。

ただ、マイクには過去の記憶がない。

 

あるとき、マイクのコンビニに強盗が入り、マイクはなぜかスプーンで撃退してしまう。

 

それを感知したのがCIA。

マイクが覚醒したので、マイクを抹殺する命令が下りる。

 

CIAの中でも、マイクを救おうとするもの、殺そうとするものとの間で争いが起き、友人(ジョン・レグイザモ)の家に逃げ込んでいたマイクも見つかり大騒ぎに。

 

☆ネタバレ

マイクは18歳で麻薬の常習犯で捕まり、CIAプログラムにより実験的にエージェントにされていたが、実験そのものが終了し、市民としてこの田舎で暮らすことになった。

フィービーはCIAから派遣されたマイクのお世話係だったが、役目が終わっても残ってマイクの面倒を見ていたのだった。

 

つまりはマイクとフィービーの純愛のお話。

絶妙のタイミングでエンゲージリングを渡します。

 

ラストはマイクのマンガのおサルが活躍してエンディング。

マンガテイストのなかなかおしゃれな作品でした。

 

ジェシー・アイゼンバーグとクリステン・スチュワートがなかなかお似合いの恋人同士で、見ている私も嬉しくなりました。