kanekoの陸上日記

毎日更新予定の陸上日記です。陸上競技の指導で感じたことやkanekoが考えていることなどをひたすら書きます。

心の変化

2015-07-20 | 陸上競技
色々と思うことがあって卒業生に連絡を取りました。ここ最近会うことが増えていましたし、こちらが今やろうとしている事に協力してくれる選手です。色々と苦しんで苦しんで強くなりました。話はめちゃくちゃしますが、本音の部分をきちんと聞いた気がしません。いや、聞いていたのですが「本人だけの感覚」を言葉で教えてもらいたいなと思ったので。

苦しい時期を乗り越えてどうやって復調したのか。これは選手にとって永遠のテーマだと思っています。大半の選手はここで立ち止まってしまう。そこを抜け出す手段を見つけることができないから。これまで上手くいっていた事が怪我などをきっかけに動きのリズムが変わってしまい走れなくなる。これを克服するのは難しいのです。この卒業生も本当に苦しんでいました。

インターハイ出場して終わった日に足を痛める。これからだ!というときに足を痛めました。そこから数ヶ月は地獄のような日々でした。今だからなんとなくこうやって書けますが、本人はそれ「陸上競技を辞めたい」と本気で思っていたはずです。怪我をして焦る気持ち。そこに追い打ちをかけるように仲の良いクラスの生徒が進路変更で学校を去る。更には唯一の部活での同級生が「陸上競技よりは恋愛」という形で部活を引退去る。国体に選ばれているのに走れない。周りが調子を上げているので更に焦る。国体メンバーを外されそうになり毎日が不安定でした。私にできる事はこの子がスタート地点に立てるようにする事だけ。北九州や小野田へ何度も通いました。

なんとかスタート地点に立つ事はできましたが思うように走れませんでした。秋のシーズンの最後になんとか12秒台が出ました。「もう12秒台で走れないんじゃないかとずっと不安だった」と涙していました。走るのが強くなっていたのではないかと思います。逃げたくて逃げたくてたまらなかったのかも。それを無理やり私に止められて。あるとき吹っ切れて冬季練習は死ぬほどやりました。ここでは私の指導の未熟さが本人に辛い思いをさせる事になったのですが。

県総体、前年度12秒3で走っていたこの子が準決勝で落ちました。

ここに関しては当時の記事を貼っておきます。書くとめちゃくちゃ長くなるので。

乗り越える1

乗り越える2

この子の強さに本当に驚かされました。その後大学でも同じように苦しむ事がありました。そこの事を本人に聞いてみたかった。話を聞くと色々とあって走る事自体から距離を置きたくなっていた。そんな時、もう結果を出そうと思うのを辞めようと思ったそうです。とりあえず楽しもうと気持ちを切り替えたそうです。


色々あって2年でも結果出せずに冬季入って
そのときに、もう結果出そうとか思うを止めました。
とりあえず楽しもうと。
陸上自体を楽しむ気持ちをいつの間にか忘れてました。
勝負にこだわることは大切ですけど、
ずっと気を張っておくのはやっぱりしんどい部分があります。
自分自身を追い込んでしまうと
気持ちに余裕がなくなるので…
これは自分が感じたことですけど


きっとこれが一番素直な言葉なんだと思います。周りが期待する。記録を出す事を求められる。勝ったことにより周りから「次も勝つんでしょ」と期待される。負けられなくなる。人は勝ち続ける事はできません。今回勝ったからと言って次も勝てるのかは誰にも分からないのです。「勝たないといけない」って自分以外のところに気持ちを持っていってしまう。だから楽しくないんだと感じるようになる。勝たせてあげたい。それは関わる全ての選手に。しかし、レースで勝てるのはたった一人。複数を指導したらそのうち1人しか勝てないのです。

だったら何をするか?自分が走っていて楽しいと思わせてあげることなんじゃないかと思います。自分の一番の走りをする。それはやはり楽しい。勝ち負けという基準にとらわれ過ぎず「力を出し切る」ことをさせる。そこが一番大切なんじゃないかと。もちろん、勝つことを目指したい。が、そこだけにとらわれたら99.9%の選手は楽しくありません。自分の持っている力をそこで出せるようになる。そこを目指さないといけない。

複数を指導するとやっぱり難しい。その中でそれぞれに何をするか。誰かが勝てば誰かが巻ける。そこを選手も指導者も周りも理解していかないといけない。結果だけを追い求めたらダメなんだと思います。選手が苦しくなるから。そこに到達するプロセスの中で成長を認めていく。それがきっと大きなプラスになるんだと思っています。

気になっていた事を卒業生に聞く事ができました。この話を苦しんでいる選手に伝えていけたらと思います。同じ経験をした選手がいる。その中でどうやって乗り越えてきたのか。これが大切なんだと思います。今苦しんでいる選手、これから苦しむかもしれない選手。たくさんの選手がいます。ここを越えていく力になる。それがわたしの「使命」なのかなと。

競技を楽しむ。それができたら表情が明るくなります。どうやったら強くなれるか分からなくて苦しんでいる選手がいる。その子達に教えてあげたい。「競技を楽しもう」「ここがゴールじゃないよ」と。きちんとやっていければもっと強くなれるのだから。好きだからやっているはず。いつの間にか「走らないといけない」という義務になっていないだろうか。そこを打破できる指導ができるようになりたい。そう感じています。やはり卒業生から学ばせてもらう事は多いですね。大好きな選手です。感謝したい。

思う事をツラツラ書いています。お許しを。

コメント
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