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●科学技術書・理工学書<新刊情報>「システム理論による安全工学」(Nancy G. Leveson著/共立出版)

2024-10-04 09:47:10 |    情報工学



<新刊情報>



書名:システム理論による安全工学~想定外に気づくための思考法STAMP~

著者:Nancy G. Leveson

監訳・訳:兼本 茂、福島 祐子

訳者:青木 善貴、石井 正悟、岡本 圭史、沖汐 大志、片平 真史、金子 朋子、日下部 茂、野本 秀樹、橋本 岳、向山 輝 、山口 晋一、吉岡 信和、余宮 尚志

発行:共立出版

 安全工学のパラダイムシフトともいえる新しいアプローチSTAMP(システム理論に基づく事故モデルとプロセス)について実例豊富に解説。工学の世界は大きな技術革命を経験しつつあるが、安全・信頼性工学における基本的な方法論は信頼性理論をベースとしたもので、長年にわたってほとんど変化していない。この画期的な同書の中で、著者のナンシー・レブソンは、今日の複雑でソフトウェア集約型の社会技術システムの安全設計のために、より適した新しい考え方・アプローチであるSTAMP(システム理論に基づく事故モデルとプロセス)を提案している。これはシステム思考とシステム理論に基づいた安全工学のパラダイムシフトともいえる新しいアプローチであり、「故障の防止」から「振る舞いに関する安全制約の強化」へ、「信頼性の確保」から「安全のコントロール」へと焦点を変えた。このアプローチは、米国のブラックホーク・ヘリコプターに対する味方への誤射による事故、バイオックスの薬品リコール、アメリカ海軍のSUBSAFE安全管理プログラム、そしてカナダの町の公共水道の細菌汚染など現実の事例に適用され、その有効性が確認されている。これらの事例は同書でも解説されているが、このアプローチは、このほかにも大規模システムにおいて数多く試されてきており、従来の技術よりも効果的で、コストがかからず、使いやすいことがわかってきた。このSTAMPに基づくアプローチは、安全性を後付けするのではなく、システム工学の初期段階から組み込むことにより、はるかに低いコストでより安全な世界の実現を目指すものである。
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