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“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術ニュース●東芝エネルギーシステムズ、再生可能エネルギーのマッチングサイト「EneHub」の公開を開始 

2025-02-04 09:37:31 |    エネルギー
 東芝エネルギーシステムズは、再エネマッチングサイト「EneHub」の公開を開始した。

 「EneHub」は、再生可能エネルギーで発電した電気を、売りたい発電事業者と買いたい小売電気事業者・需要家をマッチングするWebサイト。

 同社は両者の間に入り、電力の売買を行うフィジカルPPA(電力購入契約)や環境証書のみの売買を行うバーチャルPPAなど、オフサイトPPA締結を支援する。

 同社がインバランスリスク(再エネ発電事業者が計画と実績の同時同量を達成できずに発生する電力の需要量(使われる分)と供給量の差分のこと)を負担することで、電力などの売買当事者はリスクを抑えられるほか、売買当事者はサイト上でいつでも簡単に再エネの販売先・購入先を見つけることが可能。

 2022年4月より開始されたFIP制度により、発電事業者の月々の売電収入は市場価格と連動して変動することから、発電事業者が事業を安定的に営むためには、より戦略的に販売方法・販売先を探すことが重要となる。

 一方、小売電気事業者や需要家は、市場価格の不安定さや気候変動対策の必要性から、長期的に安定した再エネ電源を確保する必要性が高まっている。

 しかし、昨今のFIP基準価格の低下や非FIT/非FIPの電源の増加などにより、売買当事者双方にとって、最適な相対先を見つけることが難しくなっている。

 そこで同社は、発電事業者と小売電気事業者・需要家を効率的に結び付けるためのマッチングサイトを立ち上げたもの。
 
 売り手である発電事業者は、発電量や発電所の開発ステータスなどの発電所情報や希望する売電価格・契約期間などを、また、買い手である小売電気事業者・需要家は、希望するエリアなどをそれぞれサイト上で登録する。

 買い手側の小売電気事業者・需要家は発電事業者の登録情報を確認し、電気の購入を希望する発電所を選択すると、同社が仲介役として随時、該当する発電事業者に連絡を行い、マッチングを行う。

 これにより小売電気事業者・需要家は、条件に合う売り先や必要とする再エネを都合の良いタイミングで確保することが可能となる。

 なお、同マッチングサイトの利用者が電力や環境証書の売買を行う場合、同社のアグリゲーションサービスを契約することが利用条件となる。<東芝エネルギーシステムズ>
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●科学技術ニュース●QSTとKF、核融合炉のプラズマ加熱システム「ジャイロトロン」で236GHzの大電力マイクロ波の発生に成功

2024-11-21 09:33:50 |    エネルギー
 量子科学技術研究開発機構(QST)と京都フュージョニアリング株式会社(KF)は、フュージョン (核融合)エネルギー実現のための研究開発として、核融合炉の中核機器であるプラズマ加熱システム「ジャイロトロン」の開発において、236GHzの大電力マイクロ波の発生に成功した。
 
 このジャイロトロンは、QSTが開発した104GHz、137GHz、170GHz、203GHz ジャイロトロンをベースに、KFが磁場設計して新たに開発した9.5Tの強磁場発生超伝導コイルを組み合わせて236GHz の電磁波を発振できるようにしたもの。

 この度、世界で初めて1基のジャイロトロンで5周波の発振が可能であることを実証した。

 5つ目の周波数である236GHzは、フュージョンエネルギーによる発電を検証するため建設が検討されている原型炉や、将来的に実用化された場合に建設される商業用発電炉などの、ITERより強磁場となる核融合炉にも適用可能な周波数。

 この成果は、フュージョンエネルギーの実用化ひいては地球環境問題・エネルギー問題解決に大きく貢献するものと考えられる。

 ジャイロトロンは、磁場閉じ込め方式の核融合炉において、核融合反応の条件となるプラズマ状態を作り出すために必要な加熱システム。

 今回、QSTとKFの共同研究により達成した成果は、既存のジャイロトロン技術をベースに、より高周波数の電磁波を出力するための研究開発を進めてきた結果。KF においては、今回の成果を核融合業界に広く普及させるために、周辺機器を含めたシステムパッケージとして産業化を進め、世界中の研究機関やスタートアップ等の顧客が利用できるよう取り組んでいる。

 これまでQSTにおいて、ITER向けに開発した170GHzジャイロトロンをベースに1基のジャイロトロンで104GHz、137GHz、170GHz、203GHzの4周波数の発振に成功していたが、今回は新たに236GHzの電磁波(パルス幅30 μs)の出力を可能にした。

 これにより、世界で初めて5周波数の実用化に道を開いた。

 核融合炉のプラズマ加熱においては、プラズマ閉じ込めのための磁場がより強力であればあるほど、より周波数の高いマイクロ波が必要になる。従って、この成果は高温超伝導マグネット(HTS)等による強磁場にて実現可能なコンパクトな核融合炉設計においても新たな可能性を与えるもの。

 今回の達成を踏まえ、今後は出力の最適化や発振効率の検証を行いながら、長パルス運転の実現に向けた開発を推進していく。
 
 なお、今回のジャイロトロンの開発においては、キヤノン電子管デバイス株式会社がジャイロトロンの製作を担当し、ジャパン スーパーコンダクタ テクノロジー株式会社(JASTEC)が超伝導コイルの製作を担当している。また、KFの実験実施においては関西電力株式会社の協力を得た。日本の優れた技術がフュージョンエネルギーの実用化に貢献することを改めて示す結果となった。<量子科学技術研究開発機構(QST)>
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●科学技術ニュース●QSTと三菱重工、南フランス・核融合実験炉イーター向けダイバータ外側垂直ターゲットのプロトタイプ完成

2024-11-20 09:48:04 |    エネルギー
 量子科学技術研究開発機構(QST)と三菱重工業は、南フランスで建設中の核融合実験炉イーター(ITER)に用いられる、ダイバータの重要な構成要素である「外側垂直ターゲット」のプロトタイプの製作に2020年6月より取り組んでいるが、2023年、「外側垂直ターゲットの高熱負荷試験体」がITER機構による認証試験に合格、今回、外側垂直ターゲットの実機大のモックアップとなるプロトタイプが完成し、実機量産化に向けた準備が整った。

 QSTと三菱重工は、プロトタイプ製作を通じて獲得した技術を活かして、実機製作に全力を注ぎ、ITERプロジェクトの推進に貢献していく。

 ダイバータは、トカマク型をはじめとする磁場閉じ込め方式の核融合炉における最重要機器の1つ。

 核融合反応を安定に持続させるために、炉心プラズマ中の燃え残った燃料及び核融合反応で生成されるヘリウム(He)等の不純物を排出する重要な役割を担う。

 ダイバータの熱負荷は、最大で20MW/m2に達する。これは、小惑星探査機が大気圏突入の際に受ける表面熱負荷に匹敵し、スペースシャトルが受ける表面熱負荷の約30倍に相当する。

 ダイバータは、トカマク型装置の中で唯一プラズマを直接受け止める機器であり、プラズマからの熱負荷や粒子負荷などにさらされる厳しい環境下で使用されるため、高融点であるものの難削材であるタングステン等の特殊な材料が用いられる。

 さらにプラズマ対向面には微小な形状加工が施されており、全体形状と共に、個々のプラズマ対向材の傾斜、段差、隙間には0.5ミリ以下の精度が必要となる等、高精度の製作・加工技術が求められる。

 QSTは、革新的な研究開発力を背景にITER計画当初からダイバータの研究開発に注力しており、三菱重工の卓越した製造能力を活かして、ITERの炉内機器の中で最も製造が困難とされるダイバータの構成要素である外側垂直ターゲット プロトタイプの製作に成功した。

 QSTは、これまでITER向けの主要機器であるトロイダル磁場コイル(TFコイル)の製作に取組み、2023年までに全てのTFコイル9基(うち三菱重工は5基を担当)を出荷しました。

 さらに三菱重工は、QSTがITERに納入するダイバータの外側垂直ターゲットの製作を進め、2025年度には6基分の納入を計画している。

 今回のダイバータの外側垂直ターゲット プロトタイプの完成を契機に、世界の持続的発展のために非常に重要な技術開発に取り組むITER計画に、日本の産学官を挙げて一層貢献していく。<量子科学技術研究開発機構(QST)>
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●科学技術ニュース●京都フュージョニアリング、2030年代に核融合発電を実現するための実証プロジェクト「FAST」始動

2024-11-20 09:47:38 |    エネルギー
 京都フュージョニアリングは、カーボンニュートラル社会でのエネルギー源に向けた新たな一歩として、フュージェンエネルギー発電(核融合発電)の実証プロジェクト「FAST (Fusion by Advanced Superconducting Tokamak)」をこのほど始動させた。

 同社は、2030年代にフュージョンエネルギーによる発電(核融合発電)技術を実証するために、FASTを通じて以下の技術的課題の解決に取り組む。

 ①D-T燃焼の実証:フュージョンエネルギーの中核技術であるトリチウムを使用した燃焼プラズマの生成と持続、制御

 ②エネルギー取り出しと利用:核融合反応により発生するエネルギーの取り出しと変換(発電等)と利用

 ③トリチウム生成と燃料サイクルの実証:核融合反応の燃料となるトリチウムを増殖し、抽出、利用する技術の実証

 ④システムインテグレーション:フュージョンエネルギーシステムを統合し、安全で持続的に運転するプラント技術の開発と実証

 FASTは、フュージョン炉内で実際に重水素(Deuterium)と三重水素(トリチウム:Tritium)による核融合反応(D-T)による燃焼プラズマの生成・維持を行うとともに、エネルギー変換、燃料システムを一体化したフュージョンエネルギー発電システムを実証するプロジェクト。

 このFASTの核融合システムには、トカマク設計に基づくプラズマ閉じ込め、エネルギー変換(発電)、D-T燃料サイクルの統合サブシステムが含まれる。

 プラズマの閉じ込め方式には、データベース構築が最も確立し、コストと技術のリスク管理が可能なトカマク型を採用している。

 2030年代のフュージョンエネルギー発電(核融合発電)実証を実現するため、いまだ残る技術課題を解決する重要な通過点となるべく、設計は炉工学の進展に寄与するエネルギー出力とプラズマ持続時間を考慮して進める。

 同プロジェクトは、京都フュージョニアリングを中心に、国内外の最先端の大学や研究機関に所属する研究者や、国内産業パートナー、国際連携パートナーと共同で推進していく。

 これにより現在までの世界の核融合科学技術を基盤にしながら、最先端の炉工学技術へと統合することで技術課題を解決するとともに、研究開発から実用化への技術ギャップを埋め、産業化の基盤構築を目指す。<京都フュージョニアリング>
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●科学技術ニュース●川崎汽船など5社、NEDO「浮体式洋上風力発電の次世代技術開発委託事業」に採択され大型浮体式垂直軸型風車実現性検証

2024-10-11 09:31:02 |    エネルギー
 アルバトロス・テクノロジー、電源開発(Jパワー)、東京電力ホールディングス(東電HD)、川崎汽船と住友重機械マリンエンジニアリング(SHI-ME)の5社は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による「浮体式洋上風力発電の導入促進に資する次世代技術の開発」の実施者公募において「大型浮体式垂直軸型風車の実現性検証」を共同提案し、実施予定先として採択された。
 
 再生可能エネルギーを主力電源化するうえで洋上風力発電への期待は高く、特に国内は浅い海が限られるため、浮体式洋上風力の商用化が求められている。
 
 今回の実現性検証では、浮体式洋上風車のゲームチェンジを狙う次世代技術として、風車と浮体が一緒に回転する垂直軸型(浮遊軸型)風車の大型商用機の実現可能性を検証し、基本設計承認取得に向けた設計を行う。

 大型化した垂直軸型風車は、従来型(水平軸型)風車と同等の効率が得られるほか、浮体部分が小型・低コストとなる。

 さらに、水深や底質が変わってもほぼ同じ設計で生産できるため、大量導入によるコスト削減も期待される。
 
 5社は、それぞれの知見を活かして浮遊軸型風車の開発に取り組み、洋上風力発電の主力電源化を目指し、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していく。<川崎汽船>
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●科学技術ニュース●八戸工業大学、東京電機大学と高砂熱学工業、温水を使用した氷スラリー製造の連続化に成功

2024-09-26 09:39:52 |    エネルギー
 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業である「革新的プラスチック資源循環プロセス技術開発」で、八戸工業大学は、東京電機大学、高砂熱学工業株式会社と共同で、温水から氷点下冷熱を製造する吸収冷凍機と氷スラリー製造機を組み合わせた「熱リサイクルパッケージ(冷熱出力3kW)」を開発し、低温温水から氷片と水が混合した流動体である氷スラリーを連続して製造することに成功した。

 同パッケージは、廃プラスチックなどを燃焼によってエネルギー回収する際に排熱として捨てられている低温の未利用熱エネルギーを氷スラリーに変換するもので、排熱回収として高い熱利用効率を実現するとともに、農産物、水産物などの輸送時冷蔵保冷剤として年間を通じて排熱の利用を可能にする。

 同パッケージを使うことで、工場などから排出される低温の未利用熱を、工業、運輸、農林水産といった分野と連携するハブとなり、脱炭素社会実現へ貢献する。

 冷媒が水の場合、水は0℃以下で氷になる(凝固)ため、そのままでは氷点下冷熱の製造に使うことができない。そこで氷点下での凝固防止効果が期待でき、安定した溶解状態を保つアルコールを添加した。

 水に溶解し、蒸気圧の低い1-プロパノールを使用し、水と1-プロパノールの組成比を調整した結果、凝固点がマイナス10℃の冷媒を得ることができた。

 作動液は水、1-プロパノールと臭化リチウムの水溶液になる。この水溶液の結晶化温度を実測し、装置が作動する温度域で安定した溶解状態が得られる組成比に調整した。

 2022年度には、冷熱出力4kWを目標とする氷点下冷熱を製造する吸収冷凍機を製作し、2023年度には、マイナス5℃の冷熱を7時間、安定製造することに成功した。

 また、2023年11月には並行して開発した氷スラリー製造機と連結し、氷スラリーを7時間、安定製造することを確認した。連結試験では、吸収冷凍機を加熱する温水温度は65℃であった。

 氷スラリー製造機は、水および水溶液を熱交換器(過冷却器)で過冷却状態にした後、過冷却状態を超音波照射によって解除することで氷スラリーを製造する。

 氷と水の比率である氷分率の制御は、過冷却状態を維持した水溶液を循環させ、循環流路中に設置した過冷却解除器で徐々に氷を生成させることで行う。
 
 氷粒子が粗大化すると配管の閉塞が起こる。これを防ぐため、氷粒子の粗大化抑制剤としてPVA(ポリビニルアルコール)を添加し、効果が得られることを確認した。<新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)>
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●科学技術ニュース●NEDO、グリーンイノベーション基金事業で新たに「浮体式洋上風力実証事業」に着手

2024-09-20 09:49:16 |    エネルギー
 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、グリーンイノベーション基金事業の一環として、浮体式を中心とした洋上風力発電のコスト低減によって導入拡大を目指す「洋上風力発電の低コスト化」プロジェクトを進めているが、このたび、同プロジェクトの研究開発項目の一つである「浮体式洋上風力実証事業」について、2件の研究テーマを採択した。

 同プロジェクトでは、浮体式洋上風力発電設備の将来的な大量生産に向けたコスト低減を図るため、フェーズ1として実施した要素技術の開発成果も取り入れつつ、フェーズ2として、日本の産業競争力強化に資するよう、グローバル市場を見据え、コスト目標・タクトタイム目標などを設定した、1基10MW以上の大型風車を用いた実海域における浮体式洋上風力発電実証事業を実施する。

 同プロジェクトでは洋上風力産業のうち、現状では技術成熟度が比較的低いながらも、長期的な支援によって技術開発の進展と大きな政策効果が見込める分野を支援対象としている。

 具体的には「洋上風力の産業競争力強化に向けた技術開発ロードマップ」に基づくサプライチェーン8分野のうち、対象として「風車」、「浮体式基礎製造」、「浮体式設置」、「電気システム」、「運転保守」を重点化した上で、まずはフェーズ1として要素技術の開発を進めてきた。

 今回はフェーズ2として、浮体式洋上風力発電設備の将来的な大量生産に向けコスト低減を図るため、フェーズ1での成果も踏まえ、企業から目標へのコミットメントを得たうえで、10MW以上の大型風車を用いた実海域での実証事業を実施し、早期のコスト低減を実現することで、浮体式洋上風力の早期社会実装を図るとともに、日本の洋上風力産業の競争力強化を目指す。<新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)>


【実施内容】

事業名:グリーンイノベーション基金事業/洋上風力発電の低コスト化

予算:約850億円(NEDO支援規模)

期間:2024年度~2030年度(予定)

採択テーマ:【研究開発項目:フェーズ2】浮体式洋上風力実証事業 浮体式洋上風力発電設備の将来的な大量生産に向けコスト低減を図るため、フェーズ1として実施した要素技術開発成果も取り入れつつ、日本の産業競争力強化に資するよう、フェーズ2として、グローバル市場を見据え、コスト目標・タクトタイム目標などを設定した1基10MW以上の大型風車を用いた実海域における浮体式実証事業を実施する。

【「グリーンイノベーション基金事業/洋上風力発電の低コスト化」プロジェクト 実施予定先一覧】

<研究開発項目:フェーズ2>浮体式洋上風力実証事業 実施予定先

① 低コスト化による海外展開を見据えた秋田県南部沖浮体式洋上風力実証事業

丸紅洋上風力開発株式会社
東北電力株式会社
秋田県南部沖浮体式洋上風力株式会社
ジャパン マリンユナイテッド株式会社
東亜建設工業株式会社
東京製綱繊維ロープ株式会社
関電プラント株式会社
JFE エンジニアリング株式会社
中日本航空株式会社

② 愛知県沖浮体式洋上風力実証事業

株式会社シーテック
日立造船株式会社
鹿島建設株式会社
株式会社北拓
株式会社商船三井
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●科学技術ニュース●NEDOなど、国内初、洋上風力発電における風況観測機器の精度検証試験サイトを産学官連携により整備し本格運営を開始

2024-09-13 09:42:21 |    エネルギー
 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業である「洋上風況観測にかかる試験サイトのモデル検討・構築」において、NEDOと神戸大学、レラテック株式会社および日本気象協会は、産学官共同で国内一例目となる風況観測に利用するリモートセンシング機器の精度検証が可能な「むつ小川原洋上風況観測試験サイト」を青森県六ヶ所村むつ小川原港内に整備した。

 同試験サイトを管理・運営する組織として、レラテック、日本気象協会、北日本海事興業株式会社および株式会社神戸大学イノベーションの4者で、同試験サイトを共同運営する「一般社団法人むつ小川原海洋気象観測センター」を設立し、本格的な運営を開始した。同試験サイトでは洋上風況観測マストなどの観測データを提供する。

 今後、風力発電事業の関係者、研究開発プロジェクト(風況、気象、生態系、環境など)の事業者、港湾の安全や教育に関わる地元関係者などに広く利用される試験サイトとして展開することを目指し、風況観測の精度を向上させることで洋上風力発電をはじめとする再生可能エネルギーの導入促進および地域社会の発展に貢献する。

 同事業では、試験サイトのモデル検討・構築のため、業界のニーズを調査し試験サイト設置の指針となる基本的な仕様の整理を行った。さらに、整理した仕様をもとに事業期間中に試験サイトの仮運用を実施し、利用状況の整理、サイト利用者に対してのヒアリングやアンケートを行った。

 このように業界のニーズを反映しながら風況観測に必要な設備設置やリモートセンシング機器の多様な観測に対応できるように整備を進め、2023年度に同試験サイトの整備が完了した。

 さらに、整備完了を受けて同試験サイトの運営を行う管理法人としてむつ小川原海洋気象観測センターを2024年3月に設立し、この度、受付を開始していた同試験サイトの本格運営を開始した。

 これにより一般向けに観測機器の事前検証試験を可能とし、日本の洋上風力発電の進展が加速することが期待される。

 同試験サイトは、青森県むつ小川原港内に整備された設備であり、NEDOの調査事業である「洋上風況調査手法の確立」において、現場観測の主サイトとして利用された。

 同事業で作成された「洋上風況観測ガイドブック」では、国内の洋上風力発電事業で利用するリモートセンシング機器には事前の精度検証が求められており、この精度検証が可能な国内初の試験サイトとして整備した。<新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)>
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●科学技術ニュース●NEDOのグリーンイノベーション基金事業で日立造船と鹿島建設、洋上風力発電の浮体式基礎の量産化技術を開発

2024-09-03 09:33:27 |    エネルギー
 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業「洋上風力発電の低コスト化」プロジェクトで、「浮体式基礎製造・設置低コスト化技術開発事業」に参画する日立造船、鹿島建設は、今回、セミサブ型浮体式基礎の量産化技術を開発し、水上接合による基礎製造工法の実証を行った。

 両社は、同事業を通じて開発した同工法が技術的に実現可能であり、浮体式基礎の製造工程が1割以上短縮可能であることを確認した。

 同事業で検討している量産化コンセプトは、15MW級の風車を搭載する大型の浮体式基礎が収まるような大型のドックが国内に少数しかなく、浮体の大量生産のボトルネックになり得ることに着目し、ドックでの作業期間を最小化して、浮体式基礎の量産化につなげるというもの。

 そこで、浮体式基礎の分割ブロックを造船・鉄構メーカーなどのサプライチェーン先で製造し、既存ドックなどへえい航輸送後、ブロックを接合して浮体式基礎を完成させるという量産化技術を開発した。

 この量産化技術の実現により、最小の設備投資でサプライチェーンを強化するとともに、より多くの浮体式基礎を製造することが可能となる。

 当初はブロック入渠(にゅうきょ)後に排水して、大型台車やクレーンを用いて接合のための位置調整を行うことを検討していたが、この位置調整にはミリ単位の精度が求められるため、その重量や大きさから多くの時間を要することが課題であった。同工法では、浮力を活用し重量による問題を軽減し、大組立工程の1割以上の短縮を実現できる。

 今回、同工法の妥当性を確認するため、15MW級の風車を搭載することを想定した浮体式基礎のブロックの接合部を実寸サイズで製造し、2024年1月末から2月末に日立造船の堺工場でブロック接合試験を実施した。試験の結果、同工法が技術的に実現可能であることを確認した。

 同成果の活用により、今後、導入拡大が見込まれる浮体式洋上風力発電において浮体式基礎の量産化、低コスト化実現の一助となることが期待される。

 2040年までに洋上風力発電を30~45GW導入するという政府目標の達成に向けて、NEDOは、風車、浮体、係留システム、ケーブルの挙動・性能・施工性・コストを考慮した一体設計により、浮体式洋上風力発電の信頼性の向上と低コスト化を目指し、システム全体として関連技術を統合した実証を行う。

 これにより、2050年カーボンニュートラルへの道筋を示し、電力分野における温室効果ガスの排出量削減に貢献する。<新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)>
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●科学技術ニュース●核融合発電を目指す京都フュージョニアリング、液体金属を用いた実証実験を開始

2024-08-01 09:33:44 |    エネルギー
 核融合発電を目指す京都フュージョニアリングは、シリーズCラウンド(エクステンション)において、2024年4月の資金調達(1st close)に続き、新たにアメリカのベンチャーキャピタルのIn-Q-Tel(インキュテル:IQT)、ニチコン、丸紅を含む計4者を引受先として総額10.7億円の資金調達を実施した。

 この2nd closeによりシリーズCの累計調達額は131.3億円になり、同社の累計資金調達額は148.1億円となった。

 フュージョン(核融合)エネルギーを取り巻く環境は国内外で急速に変化している。日本国内では、2024年6月に閣議決定された骨太の方針や成長戦略にフュージョンエネルギーが改めて盛り込まれ、官民の開発力強化や国際連携の推進、そして2030年代の発電実証について明記された。

 同社は、カナダ原子力研究所(CNL)との新会社「Fusion Fuel Cycle Inc.」の設立ならびに業界のエキスパートであるChristian Dayの参画によって、「UNITY-2」を軸にしたフュージョン燃料サイクルの領域はより具体的な展開を迎えている。

 また、京都リサーチセンターに建設中の発電試験プラント「UNITY-1」(UNITY-1の試験では、核融合反応を起こさず、放射性物質を取り扱うこともない)は、最初の大型設備の設置が完了し、2025年夏ごろに予定している世界初の模擬環境下での発電実証に向け、発電に利用する高温の熱を運搬するための液体金属を用いた実証実験を開始した。

 さらにジャイロトロンシステムにおいては、産学の連携による技術開発に取り組み、高周波数や複数周波数の発振を検証している。

 今後はこれらの事業を、新たに設立した3つ目の海外拠点Kyoto Fusioneering Europe Gmb(KFEU)も含めて推進していく計画。

 今回の資金調達によって獲得した資金と、投資家の持つ知見を活用して、技術開発を一層加速させ、フュージョンエネルギーの早期実現に向けて全社一丸となり取り組んでいく。<京都フュージョニアリング>
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