kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

ソフトバンクは復活できるのか

2016-01-27 07:40:09 | 日記
2月1日にはプロ野球のキャンプインです。パリーグは2年連続日本一のソフト
バンクが今年も本命のようです。黄金時代を迎えている球団とは裏腹に親会
社のソフトバンク株の低迷は深刻のようです。2015年末時点で6139円だった
株価は26日現在4849円、年初からの下落率は21%です。勿論日本株全体が
年明け以降大幅に下落した影響もありますがソフトバンク固有の問題も大き
いようです。

ソフトバンク株がもっとも勢いよく上昇したのは2013年です。2012年に2000円
から3000円のボックス相場でした。2012年10月米国の通信キャリア3位のスプ
リント買収の報道が伝わると巨額買収による財務懸念から当初は売り込まれる
場面もありましたがボーダフォンから買収した携帯事業を立て直した孫社長の
経営手腕が評価され株価はそれまで上値の壁だった3000円を突破したことから
弾みがつき翌2013年はほぼ一貫して上昇トレンドで推移し12月27日には9320円
の高値を付けました。この時点で時価総額は10兆円を越え首位のトヨタについで
2位まで上り詰めました。

もっとも振り返ってみればこの時がソフトバンクの絶頂期だったようです。2014年
には年初から軟調な動きで下値7000円上値8000円のボックス相場を1年8ヶ月近
く続けることにあります。8月に下値抵抗ラインの7000円を割り込んだ後は一時的
に反発するもそれまでの下値7000円が壁となりました。12月初旬以降は見事な右
肩下がりで20日には終値ベースでも5000円を割り込む場面が増えこの水準で下げ
止まれるかどうかの正念場です。

ソフトバンクの下げ材料は大株主のアリババ株の下落で含み益の減少もあります
が一番の原因は巨額な資金を投入したスプリントの業績低迷が続いていることで
す。3位から4位に落ちたこともありリストラを強化して一段の固定費削減をはかっ
ています。一般的にはリストラ強化で業績立ち直りが期待でき株価は好感する場合
が多いのですが市場の評価はリストラしか業績改善の方法がないという悲観的な
ものです。米国のジャンク債市場では経営環境の厳しさを嫌気してスプリント債が
売り込まれていることもマイナス材料です。

ソフトバンクの経営は巨額な借り入れを使った企業買収で業容を拡大してきました。
買収した事業が利益を生みソフトバンク本体が10兆円を越える借り入れにも拘わら
ず市場の信任を得てきました。ところがスプリント再建には予想以上に難航し市場
の期待は大きく後退しました。そこに米国が緩和モードから利上げ局面に移るとリス
ク資産には逆風が吹き投資先のアリババやインドのネット通販企業への投資で含み
益が減少するという逆風に晒されています。市場はその巨額な借り入れに懸念を示
すようになりました。

結局市場が当初期待したソフトバンクがスプリント買収でグローバル企業として飛躍
する計画が一転お荷物になりソフトバンク本体への成長期待が大きく後退したのが
下げの背景にあるようです。ニュースには出ていませんが成長期待の剥落から海外
投資家の売りが続いているのではないでしょうか。一時はあのサードポイントが将来
性を見込んで保有したこともありましたからそれだけ失望も大きかったのでしょう。
孫社長はスプリント再建には自信があるようですが市場からのシグナルは手厳しい
ようです。スプリントの経営が軌道に乗せられるのかソフトバンクの浮上はその一点
にかかっているようです。

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郵政3社宴の後

2016-01-26 08:35:46 | 日記
年明け以降郵政3社の株価も低迷しています。日本郵政の株価は年末時点で
1865円、22日時点で1596円この期間の下落幅は269円、下落率は14.4%ちな
みに初値は1631円でした。同じくゆうちょ銀行は年末時点で1750円22日現在で
1478円下落幅は272円、下落率は15.5%、初値は1680円かんぽ生命は年末時
点で3115円、22日時点で2670円、下落率は14.3%初値は2929円でした。

日経平均は年末1万9033円22時時点が1万6958円で2027円下落で下落率は
10.9%でしたから郵政3社はいずれも市場平均を超える下落率でした。かんぽ
生命を除く2社は年末時点でも株価が高値圏を維持していたことから年明け以
降利益確定売りが多めに出たと言えばそれまでですが、中国景気不安、原油
安、円高といずれに対しても影響の少ない内需銘柄であることを考えると人気
の陰りは明らかです。しかも3社とも初値を割り込んでしまい計算上は上場後
買ったすべての投資家が含み損に転じたことです。

上場直後の郵政人気の株高が投資家層の裾野の拡大や株式市場への新規
資金流入期待が11月の日経平均上昇に追い風になったこともありましたが現
在はその時の反対の影響が今後懸念されます。もともと上場前の郵政3社に
対しては市場の評価は分かれていました。配当利回りの高さは魅力的ですが
成長性に乏しく国の関与が残る間は政治に振り回されるリスクもあり郵政3社
の人気がこれほど盛り上がるとは予想されませんでした。

これは新規公開株一般に言えることですが公開当初は需給関係優先の株価
形成に成り易く実力に見合った株価かどうかはある程度の期間が経過しない
と分かりづらいという要因があります。特に民営化株は大型株がほとんどです
から上場直後の人気に加えて新たに株価指数に採用されるという思惑も手伝
い株価にプレミアムが上乗せしやすいことが背景にあります。

上場後1年ほどすれば本当の姿が見えてきます。その時に株価が上場後の
高値圏で推移しているのかそれとも公開価格前後で低迷しているのかそれを
決めるのは3社の収益力です。宴の後に本当の株価が見えてきます。民営化
の成功事例のJR3社やJTのように収益を伸ばして株価が評価されるのかどう
かまだその答えは出てきません。
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株価2万円の妥当性

2016-01-25 08:42:36 | 日記
22日の急反発で何とか止めどもなく下げる相場に歯止めがかかった日本株
またも市場の救世主は中央銀行でした。ドラギ総裁の追加緩和発言が世界
の市場を落ち着かせました。事前に期待が大きくなりすぎ失望を生んだ12月
のケースとは全く逆で市場がほとんどノーマークだっただけに効果も高かった
のでしょう。

年明け以降中国景気懸念やイランの市場復帰で需給バランスの崩れを囃し原
油安が進みそれが株式などのリスク資産からの逃避で世界の市場の動揺が収
まりませんでした。この機会に乗じて短期筋は売りの順張りトレードを仕掛け売
りが売りを呼ぶ世界的な株安に繋がりました。そして市場がパニック寸前になっ
た時ドラギ総裁の発言が飛び出し投機筋の手じまいが急反発の背景にあったよ
うです。

ドラギ総裁の発言はキッカケになりましたがその背景には売り方主導での余り
にも極端な下げ相場に対する警戒感もあったのでしょう。22日の1000円近い上
昇は今後は買いが買いを呼ぶ上昇という相変わらずの一方通行の相場展開に
あらわれました。今月の大幅安も先週末の急反発も売り方主導の相場でした。

一旦手じまった投機筋は次の仕掛けのタイミングを虎視眈々と狙っているかも
しれません。買い方が主導権を失ったままの相場は脆さを常に抱えたままだと
いうことをこれからも忘れてはいけません。日本株のよりどころだった業績好調
と欧米市場に比べての割安感という前提条件に暗雲が漂ってきました。

6月にピークを受けた円安と新興国経済の停滞が下期の業績にブレーキになり
そうです。決算の先陣を切った安川電機も下期減速で下方修正に追い込まれま
した。24日の経済紙には郵船が中国景気減速と円安効果の剥落で10~12月期
は4割減益となり通期でも減益幅が拡大するとの観測記事が出ていました。2社
の決算には中国景気減速が米国経済の好調でもカバーできない企業も今後増
えてくるという前兆なのかもしれません。

これから本格化する決算で市場予想通りの増益を達成できるのか。その結果次
第では今後も上値の重い状況が続く可能性も出てきます。市場の期待通りの円
安も進まず頼みの米国経済の足取りも怪しくなりつつあります。決算の内容次第
では少なくとも今年前半は2万円どころか2015年末の1万9000円さえも高い壁にな
るかもしれません。2万円にふさわしい企業業績が上げられるのかどうか日本株
にはまだまだ試練が続きそうです。
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M&Aに警戒

2016-01-23 08:24:22 | 日記
2015年は日本企業による海外M&Aが初めて10兆円を超えました。1件当たり
の買収金額が巨額になったのも特徴です。東京海上HGが9400億円、三井住
友海上HGや第一生命や明治安田生命も5000億円以上の大型買収が明らか
になりました。日本郵政は豪物流企業を7000億円弱で買収しましたまた事業
会社でもキャノンが監視カメラ大手を3300億円弱で日立はイタリアの複合企業
から鉄道・信号機事業を2600億円余りで買収しました。2015年は円安局面だっ
たにも拘らず日本企業のM&A熱は沸騰していたようです。

国内市場の大きな伸びは期待できず一から海外で事業を立ち上げるよりもスピ
ーディに海外市場を開拓できるM&Aは今後も日本企業の戦略として増加しそ
うです。もっとも最近の株式市場の反応は今ひとつ盛り上がりません。その背景
にあるのが巨額なM&Aが企業の成長に結びつかない事例が出ていることです。
ソフトバンクは2013年に日本円換算で1兆8000億円という巨額な金額で米通信
キャリア3位のスプリントを買収しました。

当初旧ボーダフォンの買収を成功に導いた孫氏の経営手腕に高い期待がかか
りましたが4位のTモバイル買収が頓挫したあたりから再建の行方は混迷を極め
外から聞こえてくる話はスプリントの業績不振が一向に改善しないというニュース
です。上位2社の壁は厚く2015年8月には4位だったTモバイルに抜かれ3位から
ランクを下げました。孫氏の強気の姿勢とは裏腹に市場からの期待は大きく低下
したようです。

年末にはキリンも買収したブラジルのビール事業で1000億円の減損を計上しま
した。2011年キリンはブラジルビール大手のスキンカリオール(現ブラジルキリン)
を3000億円で買収しました。BRICSの経済成長が世界で注目されブラジルでの
ビジネスの将来は明るいと会社側でも判断して巨額買収に踏み切ったのでしょう。
しかしブラジル経済は資源安と物価高もあり2015年はマイナス成長になりました。
2016年も資源価格の大幅な拝復は見込めず2年連続のマイナス成長も懸念され
ています。ブラジル事業が回復するにはまだまだ時間がかかりそうです。

ビール世界1位のインベブが同2位のミラー買収で独禁法に触れることから欧米
事業の一部売却を発表しました。この案件に名乗りを上げたのがアサヒHDです。
しかし市場の反応は買収で今後自社株買いや増配といった株主還元策が期待
できなくなるとの見方から株価は下げ基調です。将来性よりも目先の還元策を歓
迎する傾向は日本企業の巨額なM&Aの成功例が多くないことの裏返しです。
数年前の歓迎姿勢が嘘のような市場の反応です。

米国の利上げ開始や資源安、中国景気減速と成長期待が後退して投資家は
将来性よりも目先の増配や自社株買いに関心が移っています。世界的な不透
明感が解消するまでこの傾向は続くのかもしれません。

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やっと土砂降りは収まったか

2016-01-22 14:53:45 | 日記
いつぶりだろうかこんなに気持ちよく日本株が上昇したのは。水、木曜日と午後
から大崩だった東京市場でしたが今日は一転午後からはさらに一段と上昇しま
した。終値は1万6958円(前日比941円高)週間ベースでは190円安と年明け以降
3週連続の値下がりでしたが週足チャートでは長い下ひげを引いての陽線で終わ
り当面の底入れを示しています。

来週もまだまだ売り込まれる場面は出てきそうですが底なし沼にはまり込んだよ
うな下げだけは回避できるかもしれません。とても手放しでの安心とは言えない
でしょうが。この3週間ほどの一方的な下げの峠は過ぎたのかもしれません。

しかし個別銘柄では来週から本格化する四半期決算の内容次第では急落する銘
柄で出るでしょう。勿論内容によっては反対に大幅反発する銘柄もあるでしょう。
個別銘柄ではボラの高い展開になりそうだということだけは頭に叩き込んでおいた
ほうが良さそうです。

中国景気懸念や原油安には何らかの政策当局の対策が必要です。既に市場任せ
だけでは安定は望めません。今回の件で中国の産業構造の転換は必要だけれど
市場の動揺を抑える対策とセットでの政策を打ち出さないと世界経済の混乱はまた
起きます。8月と年明け1月の世界的な混乱でそれは証明されました。

また原油価格も消費国には安ければ安いほど良いと悠長なことをいていられなくな
りました。原油安の負の部分が世界の金融市場にこれだけの悪影響を与えることが
分かり産油国と消費国双方とも痛みが大きすぎることを考えなければなりません。
反発のキッカケになったECBの追加緩和報道も時間稼ぎに過ぎません。根本的な
原因が解消されない限り再び市場に混乱をもたらすでしょう。
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