kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

東芝

2015-07-21 17:48:28 | 日記
連休明けの東京市場は191円高の2万841円ま上昇しました。年初来高値2万868円
まであと27円まで迫りました。前場は高値警戒感も2万700円台で揉み合いでした
が引けにかけて先物主導の買いで高値引けとなり先高観が再び盛り返した格好
です。ギリシャ問題や上海株暴落で今月初旬に急落したことで裁定買い残が15億
株まで減少したことが再び先物主導での上昇を誘発したようです。

もっとも個別銘柄では株価水準が高いところにあるだけに決算発表で今後ボラの
高い展開も予想されます。米国市場のように事前の期待が低く減益決算でも市場
予想を上回り上昇する銘柄も出ています。安値圏にある銘柄で決算をキッカケに
目先反発する銘柄も出てくるでしょう。

21日の東京市場の注目は何といっても東芝株でしょうか。東芝の不適切会計を
調査していた第3者委員会は20日に報告書を発表しました。リーマンショック後の
歴代トップによる利益至上主義による現場へのプレッシャーが今回の不適切会
計の温床になったと結論付けています。

東日本大震災で東芝が収益の柱と期待した原発事業が大きな逆風を受けテレビ
やパソコン、半導体、インフラ事業へのシワ寄せが過大な収益目標となり不適切
会計の積み重ねが大きくなったようです。一部にはライバルの日立に大きく水を
あけられる不安も背景にあったとに指摘もあります。

第3者委員会の報告を受け株価は当面の悪材料は出尽くしたとの見方から21日
の東芝株は大幅に上昇しました。上場廃止という最悪の事態が当面回避された
のも売り方の買い戻しも誘ったのかもしれません。21日の動きをみると噂で売っ
て事実で買い戻す典型的な動きだったようです。

過去不適切会計で問題を起こした企業は何社がありますが内容も様々です。
西武鉄道やカネボウ、ライブドアは上場廃止に追い込まれました。IHIやオリン
パスは上場廃止を免れ株価は一時的に大きく下落しましたがいずれもその後
株価は回復に向かいました。IHIは事件後に発生したリーマンショックが影響し
て低迷期間が長引きましたが航空機分野などの好調もあり2014年には2007年
高値を更新しました。

オリンパスはソニーの資本支援と主力事業の内視鏡の競争力の強さも手伝い
株価は事件発覚前の高値を大きく上回りました。両社に共通している点は主力
事業の競争力の高さです。稼ぐ力が健在なら株価も時間はかかっても上昇する
ことを示しています。

では東芝の収益構造はどうでしょう。2014年決算では利益の6割以上を世界第
2位のシェアを持つフラッシュメモリで稼いでいます。今回の不正会計でフラッシ
ュメモリ以外の事業で水増しされた分野が広範囲に及ぶことから依存度は益々
大きくなっていることが想定されます。

テレビやパソコンなどここ数年業績の足を引っ張っている事業をどうするのか
存続か撤退するのか。両事業とも既にコモディティ化しているうえに上位メー
カーでも黒字基調を続けることが難しくなった分野です。継続するとしても大幅
な規模の縮小とコスト削減は避けられません。撤退するとなれば一時的に多額
のリストラ費用が掛かるでしょうが業績の不透明要因はなくなります。

21日は大幅高で終わりましたがこのまま悪材料出尽くしで順調に上値を追える
かどうかは新経営陣の打ち出す経営計画に左右されます。いずれにしても会社
が立ち直るためには聖域のない事業構造の見直しは避けられません。反対に
既存事業の大幅な見直しを避ける再建計画なら東芝株の低迷は続きそうです。
新経営陣がどんな方針を示すか市場の注目が集まりそうです。

明日の更新は所用のためお休みします。

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敗戦の将、敢えて兵を語る

2015-07-21 07:49:31 | 日記
2015年相場も既に半年が経過しました。2014年末の日経平均は17450円
7月17日時点では20650円でしたから3200円の上昇しました。率にして18%
値上がりしたことになります。因みに2014年は年間で7%の上昇率でした。
後半もこのペースで上昇することはないでしょうが年間で2割前半の上昇は
十分可能かもしれません。

今年の相場の特徴は何と言っても調整期間の短さと下げ幅の少なさです。
年初から幾度か下げる場面がありましたが10%を越えた下げは一度もなく
短期間で上昇トレンドを取り戻しました。調整のたびに市場関係者の下値の
目処まで下げることなくあっという間に戻しました。調整の短さと下落幅の少
なさが大幅な値上がりを生み出しました。

物色銘柄は4月末までは円安基調それに大幅な増配や自社株買いなど株主
還元策を囃して機械や電機銘柄も薬品や食品、小売、電鉄など内需株ととも
に幅広く上昇しました。幅広い業種が代わる代わる物色されました。ところが
ギリシャ問題の混迷、上海市場の暴落から中国景気の失速懸念などが嫌気
され円安基調に大きな変化がない中で外需銘柄の多くは一部の銘柄を除い
て下落トレンドに転じました。

食品銘柄の値上げ浸透による収益改善やインバウンド需要による小売各社
や電鉄銘柄の売り上げ増期待。一方アジアなど新興国の景気減速がマネー
の外需銘柄回避の内需銘柄選好という大きな流れを作ったようです。外需銘
柄はここ数年間では類を見ない低PERに沈んでいる一方内需銘柄のPERは
相対的に切り上がる一方です。

前者の銘柄中心のポートフォリオを組んだ投資家はおそらくここまでかなりの
苦戦を続けていることでしょう。私もその投資家のひとりとして完全に相場の流
れを見誤ったことは素直に反省しなければなりません。PERを重視した銘柄選
びだとどうしても割高の内需系銘柄よりも割安感の目立つ外需銘柄に目が向
いてしまいます。

割安感のある買い易い銘柄を選んでしまったことがやはり敗因です。今年は
年間通して主役は内需系銘柄なのでしょうか。外需銘柄は一時的には反発し
ても日本株を引っ張る主役にはなれないのでしょうか。PERの割高、割安とい
う見方をゼロベースでもう一度考え直さなければならないのかもしれません。


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