カリスマＣＥＯ

ユニクロを展開するファーストリテイリングが10日決算を発表しました。売り上げ
高は日本の小売業としては初めて1兆円を超えました。もっとも国内のユニクロ
事業は営業減益と苦戦し好調なアジアがけん引する構図でした。またＮＹのマン
ハッタン地区に出店するなど話題をふりまいた米国事業は依然として赤字が続
いています。

柳井正会長兼社長がライバルとする「ＺＡＲＡ」や「Ｈ＆Ｍ」が海外売上高それぞ
れ8割と9割に対してファーストリの売り上げは3割と大きく見劣りします。「真の
グローバルブランド」を目指すとしてもライバルの背中はまだまだ遠くです。ライ
バル２社は国内市場が小さいために早くから海外展開に力を入れていました。
それに比べたらファーストリのグローバル展開は２社と比較して周回遅れである
ことは否めません。そんなこともあり柳井氏が公言していた６５歳での社長引退
を撤回しました。

アベノミクスでこの１年大きく上昇した日本株ですが、その中でも外国人投資家
に特に評価が高い企業は前記のファーストリ、ソフトバンク、楽天、日本電産な
どです。いずれの企業もＰＥＲが市場平均（１５倍台）よりも高く強い成長期待が
背景にあります。そしてオーナー経営でしかも強烈な個性の持ち主で積極経営
という共通点があります。

米国市場でも故ジョブズ氏のアップルやベゾス氏率いるアマゾンまたかつては
ゲイツ氏のマイクロソフトなどオーナー経営者でカリスマと呼ばれるＣＥＯがいる
企業の株価が人気を集めていました。株式市場の物差しは期待であり希望です。
市場平均よりも高い評価の背景にあるのは業績プラス将来性です。

強烈な個性で企業を引っ張る経営者には人も金も引き付ける魅力があるよう
です。日本でも柳井社長や孫子社長、三木谷社長それに永守社長と並ぶような
あるいは超えるような経営者が一人でも多く出てくれば一段と東京市場も活性化
するでしょう。