kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

中国の光と影

2012-09-30 06:03:43 | 日記
尖閣列島国有化に始まった中国国内での反日デモや日本製品不買運動は
円高や世界的な景気減速に苦しむ日本企業をさらに窮地に追い込む事件
です。領土問題という微妙な案件の扱い方には国有化の時期や発表の仕方
で日本政府にももう少し配慮が必要だったかもしれません。そこには物事の
善悪などでは判断できない複雑な問題があります。

10年に一度の指導部交代という微妙な時期に国有化という発表は中国の
権力闘争との関連もあり事態を一層複雑にしてしまいました。今更言っても
仕方ありませんが国有化の発表をもう少し時期を見計らってしたら結果は
また違ったものになっていたかもしれません。ロシアとの北方4島返還問題
が戦後60年以上たっても解決の目処が付かないように領土問題はそんな
に簡単に片付く問題ではありません。尖閣諸島においては領土問題は存在
しないというのが日本側の主張ですが、中国は少なくともそう考えていない
のでこの問題が早期に解決する見込みはありません。

反日デモの背景にあるのは中国で貧富の差が依然として拡大している事に
対しての貧困層の不満が底流にあるという指摘も眼にします。特に今回の
反日デモが激化した地方都市は急激な発展から地方出身の労働者が急増し
彼らは地元住民に比べて不当に差別されていると言う不満があるとニュース
は伝えています。都市の戸籍を持たない地方からの出稼ぎ労働者の子供の
地元の子供たちと同じ小学校に通えないそうです。

急激な発展を遂げた中国社会の歪みがそこにはあります。貧富の差の拡大
に加え賃金上昇による労働集約産業の競争力の低下、輸出と投資の成長か
ら消費中心の成長への変換が進まないこと。国有企業が民間企業に比べて
銀行融資などの恩恵をたくさん受けていて民間企業の成長を阻害しているこ
となど中国が乗り越えなければならないことはたくさんあります。

鴻海(ホンハイ)精密工業の中国子会社、富士康科技(フォックスコン)の太原
工場で起きた暴動も地方労働者の不満が一気に爆発した象徴的な出来事で
す。世界の工場として低賃金と豊富な労働力で高い経済発展を遂げた中国
社会はその高成長の裏で起こっている様々な歪みとこれから対峙していかな
ければなりません。

戦後の日本だって高度経済成長の最中で激しい労働争議がいたるところで
発生しました。JRがまだ国鉄と呼ばれていた時には国労、動労という組合が
度々大規模なストを決行しました。まして言論の自由や人権の問題を抱えて
いる中国社会ではなお更です。中国で現地生産を行っている企業や消費市
場として中国に進出している外国企業はこれからも幾度となく中国ビジネスの
リスクを実感するでしょう。しかし人口13億人を抱える中国市場の魅力は変
わりません。これからもリスクを旨くコントロールしながら付き合っていかなけ
ればなりません。

週明け以降の東京市場はまだまだ中国から目が離せません。上海市場は国慶
節で1週間休場ですが、その間にも経済は動いています。中国関連と言われる
銘柄で流石にここまでは売られすぎだと思われるものも出てきましたが不安
心理の高まりが冷静な判断を邪魔しています。これらの銘柄がどこで下げ止ま
るかによって日経平均の下値の目処も違ってきます。目の離せない1週間に
なりそうです。
コメント
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