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経営に活かす品質管理第9回

2012年05月25日 | Weblog
商品企画7つ道具

 多くの人は“QC7つ道具”という言葉を聞いたことがあり、その中のほとんどの人は何となくその内容を知っている。“新QC7つ道具”となると知っている人の割合は少なくはなるけれど、品質管理の世界では有名な言葉だ。しかし、同じ“7つ道具”でも「商品企画7つ道具」という言葉は聞いたことのない人の方が多いかもしれない。

 専門家にとってみれば常識と思われる大切な言葉も、意外とその身近に居る人まで知らないことは多い。その一例として、日本品質管理学会「JSQCニュース」5月号にあった“SDCA”なども当たるかもしれない。

 『最近あちこちで「SDCAを知っていますか?」と尋ねている。残念なことに、ほとんどの人が「知りません」と答える。PDCAと比べて、あまりにもギャップが大きすぎるのではないかと感じている。・・・異常なのか正常なのか、その判断の拠り所となるものが標準であり、S(Standardize)-D-C-Aは問題発見のマネジメントと位置付けられ、・・・極めて重要なのだが・・・』*12)

 「品質管理」というと未だに規格大量生産における均一な製品を効率よく作り出す管理手法という位置づけに留まっている人は多いけれど、新商品を生み出すための手法も「品質管理=TQM」は準備している。と言うより、長年のそして多くの識者、企業のTQM活動の中から、次々と企業活動に有益な手法が開発され、付け加えられて来たのである。

 「商品企画7つ道具」は、1994年に成城大学経済学部経営学科の神田範明教授が経営学、マーケティングおよび品質管理の研究から体系化し提案したものである。何をつくるべきかが明確になってからの商品開発手法には、「QFD(品質機能展開)」が有名であり、「タグチメソッド」そしてサムスン電子がいち早く導入して成果を上げたといわれる「TRIZ」などの手法があるが、「商品企画7つ道具」は、何を作るか決まっていない段階、すなわち商品企画段階で適用するツールであり、それらとは一線を画している。

 また、たとえばQC7つ道具であれば、7つの道具はそれぞれ別々に活用されるが、この商品企画7つ道具は、一つ一つ独立のツールではあるが、それらが企画の進捗ステップでつながってあり、全体として商品企画に結びつくところに特徴があるように思う。

 神田教授は、ヒット商品を生むポイントは4つであるという。それはまず、感動(魅力的)商品を目指すこと。そして、商品企画は誰か天才的な担当者のひらめきに依存するのではなく、誰が担当してもある程度売れる商品が企画できる。すなわち組織として「システム」として社内で標準化できる手法を持つこと。定性的(右脳的)手法と定量的(左脳的)手法をバランス良く使いこなすこと。最後のポイントはやはり顧客の意見は最後まで活用すること。の4つであり、「商品企画は顧客とのコラボレーション(共創)というくらいの意識が大切である」と言っている。

 商品企画7つ道具とは、これら4つのポイントを意識した商品企画のための方法論であり、①インタビュー調査→②アンケート調査→③ポジショニング分析→④アイデア発想法→⑤アイデア選択法→⑥コンジョイント分析→⑦品質表の7つの手法から成っている。それぞれについては、またの機会に。





*12)JSQCニュースNo.316「私の提言」トヨタ自動車(株)古谷健夫氏。

 本稿は、「革新のための7つの手法」日経BP社2006年8月刊より第4章「商品企画七つ道具」神田範明先生執筆を参考にしています。
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