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経営に活かす品質管理第10回

2012年05月28日 | Weblog
経営の見える化

 経営の見える化と言って、ここで上場企業のディスクロージャー(情報開示)の話をするわけではない。自身の会社を点検するために、勿論決算書からの経営分析もあるが、日常業務が標準化され、ムダ・ムリ・ムラなく行えているかの見える化(可視化)を図る必要がある。

 ある程度の規模の会社になると、担当者が処理する業務を私物化している場合があったりして、一部業務がブラックボックス化していたりする。ISO9000の認証取得などの目的のひとつに、これら担当者のやっている業務の棚卸的なこともある。ISO9000取得事業所でさえ安心はできない。内部監査が担当者に配慮して行われる場合も現実にはある。担当者が変な権限を持ち、横滑りの人事でマネージャーになった人間に厳しさが欠けると管理の穴は拡大する。

 それでも、何となく日常業務は無難に処理されているように見えるが、企業が求めなくてはならない効率的な経営には程遠く、組織としての規律も体を成しているとは言えない場合がある。組織は人体と同じで、血流を盛んにしないと、淀み、そこには癌細胞が増殖する。

 ISO9000の導入によって、特に設計部門の可視化が図られ、部品の共通化などが進み、コストダウンに貢献したという話は良く聞いたけれど、大手自動車会社のリコールが車種を超えて広がったのは、部品の共通化が進んでいたためだと聞く。ロット管理によるトレーサビリテイーの充実も併せて当然に必要であるが、物事は常にいいことばかりではないから、効率化に対応するリスク管理も必要である。

 業務はまずフロー図で表して見ることが大切である。企業の全体像をフロー図で見ると、業務の流れが効率的かどうか、また部門間の業際(インターフェイス)について、責任部署も明確になる。昔ながらの帳票で情報伝達しているところをIT化出来ないかなども見えてくる。

 業務の全体像を品質保証の切り口でまとめれば「品質保証体系図」となる。ISO9000にいうプロセス管理などは、サービス業などでも取り入れられるようになった。新版「品質保証ガイドブック」*13)には、ホテルにおける予約からチェックアウトまでの品質保証の仕組みが、個別可視化の例として上げられている。品質管理は確かに製造業から起こったけれど、あらゆる業種に有効な経営のツールであり、経営管理そのものなのである。




*13)(社)日本品質管理学会編 2009年11月 (株)日科技連出版社発行
P.225(品質保証のプロセス第13章サービス提供)
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