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プロジェクトZ第13回

2008年05月10日 | Weblog
柔道スポーツ少年団

  同じ時期、青年は町の体育協会の幹部である同じ会社の大先輩から、町にスポーツ少年団が結成されるにつき、その指導員をとの要請を受けた。二度と柔道着を着ることはないかもしれないと悲嘆していた青年に、小学生相手の新たな柔道復帰の道が開けた。青年の心に強い光が差し込んで来た。

  少しして、テレビの桜木健一「柔道一直線」が大ブレークした。町の柔道少年が急増する。青年は一人ひとりに柔道着の着方から帯の結び方を教え、体育館の床に畳を敷きまた収納する作業までをこなした。ボランティア活動という言葉が今ほど定着していなかった当時、そんな青年の活動を、期せずして直接視る機会に出くわした会社工場幹部から、甚く評価されたりもした。

  青年の若さは子供たちにも魅力的である。休みの日には子供たちが幾たびも青年の寮に押しかけたりした。ある卒業生の母親からは英語講師を依頼された。中学生になった息子は英語が苦手で困る。先生の指導ならば必ず喜んで英語を勉強するようになるという。しかし、これはお断りするよりなかった。国、数、理、社なら兎も角、外国語は苦手中の苦手であったから。

  子供たちへの指導は23歳から転勤でかの地を離れる35歳までの12年近くに及んだ。しかし、思えばいやなこと悔いることも多々あった。ボランティアがために協力者は拒まずの町や青年の姿勢が、初心者程度の技量の指導員も生んだ。青年の柔道とて未熟であった。そんな自分が指導を続けたことは、良いことだったのか振り返ってみれば疑問も湧いた。所詮自己満足に過ぎなかったのではないかと。ただ、子供たちに日本の武道の心の幾許かでも伝えたかった。その一心は紛れもない事実であったのだけれど。
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