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2012年版ものづくり白書を読む第20回

2012年11月28日 | Weblog
号外!「衆議院選挙」

 2012年版ものづくり白書の第1部第2章までを読み込んで来た。以降第3章「ものづくり中核人材の育成を中心とした製造基盤の強化」、第4章「ものづくり基盤を支える教育・技術開発」と続き、第2部「平成23年度においてものづくり基盤技術の振興に関して講じた施策」と続くが、すでに全体の2/3まで進み、ほぼ所期の目的は達した。敢えて最後に紹介しようと考えていたのは、製造現場を支える中核人材の育成を如何に進めるかという課題への企業の取り組みについてだった。

 私ども団塊の世代の先頭集団が大学進学を迎える時代、大学進学率は20%台ではなかったかと思う。現在は50%を超えるようになっている。すなわち1960年代半ばに高校卒業後すぐに就職した連中は、現代であればどこかの大学に入っていたであろう人材が豊富に居た。この国のまた企業の中間層が、極めて厚かった時代なのだ。

 大学進学率の増加に伴い、当然にその質は低下した。「平均」を解さない大学生が1/4だとか、分数計算の出来ない大学生が多数居るともいわれるようになってしまった。しかし、同様に県立の工業高校などのレベルも相当以前から低下しているように聞く。

 大企業においても、ものづくり製造現場は高卒技能者を中心として成り立っている。係長可能ならば課長くらいまで、現場生え抜きの人材で固めてゆくことが、技能者のやりがいにもつながり、企業にとっても将来リストラ必至の大量の技術者や幹部候補生を採用する必要性を少なくさせるのだ。さらに「現場力」は彼らの双肩に掛っている。だから製造現場の中核人材の育成は、企業の人事戦略の重要な一角を占める。

 ところで、11月16日に衆議院が解散され、事実上の選挙戦に入っている。以前本稿で、民主党、自民党の良いとこ取り議員による政界再編を訴えたことがあったけれど、その後の民主党議員の言動を見ていて、それは大きな過ちだったことが分かった。

 「私は民主党が大好きです」と言って代表になった方が、結局党を分裂させた。このたびは遂に党の創始者追放にも成功した。現代版下剋上である。そのことは日本の政界にとっていいことではあるけれど、言っていることとやることのギャップの大きさが気になる。この3年間、この国を大きく後退させたあげく、生き残りをのみを掛けて、「2030年代には原発0」の空手形を切り続けている。当然20年も先のことは知ったことではないのだろう。離散した議員を見れば、要は個人あって党はなく、国家もないように映る。

 「原発は即0」などという日本国の社会・共産主義化を志向する政党や、情緒で割り切る一部の政治家は本気なのだろうが、「脱原発」を唱えるその他の政党や政治家は、この選挙を乗り切るためだけの嘘も方便の無責任としか思えない。原発50数基の残存資産は如何程なのか。国に貸借対照表があるなら、資産の部のこれだけの資産を0にすれば、途端に債務超過となる恐れはないのか。雇用問題もあるし、原発を持つ自治体への交付金はどうする。高度な核関連技術の維持の問題もある。エネルギー輸入は高止まりする。廃炉のための雇用は残るけれど、付加価値の伴わない膨大な費用を税金等で賄えば、国家は亡国へとひた走るしかない。本来脱原発は、選挙目当てに政治家が軽々に口にできる問題ではなかろうに。

 「命とお金どちらが大事か」とは、市民活動家もどきの常套句だけれど、国が貧しくなれば、新たな生命を繋ぎとめることも出来難くなり、無法者国家に制圧される懸念も大きくなる。結局国民の命と財産は守れない。ただでさえ、他国の固有領土を自分のものと言い募り、または戦利品とうそぶく隣国、さらに他国民を拉致する国に囲まれているのだ。

 勿論原発を推進しろと言うのではない。すでにあるものは活用し、当面技術の進歩を見ていくしか無かろうと思うのだ。再生可能エネルギーが先か、核エネルギー活用の安全性向上が先か、それは分からない。今、原発の可能性を見切る必要はない。
 
 また、躍進する新興政党を民主党と同じような寄せ集めの野合と詰る向きもあるが、似て非なるものというか、少なくともリーダーの器と心根が全く違うように見る。国家観のしっかりした人達で構成する本格派政党の連携で、近い将来憲法改正も実現し、統治機構を改革し、この国を一流といわれた経済だけでなく、政治も一流、そして豊かな自然と歴史伝統文化を持つ、世界に良い影響を与え続けられる国にして欲しい。

 そのためにも、この国の「ものづくり」は永遠に不滅でなければならない。
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