おやじ特別便

ひまじんおやじの日常

46年間の転落

2014-08-27 08:55:58 | インポート
【今日の 本】

もしあなたが
九州大学の法学部在学中に、司法試験を受験し
受験者数約1万人中、合格者344人の中でトップで合格し、
戦後の九州大学でトップ合格は、初の快挙だと訪ねてきた新聞記者に言われ。

2年間の司法修習を終了した時にも優秀な成績を残し、裁判官になって、
「このままいけば最高裁判事の道だ」
と言われていたら。

もしあなたが29歳で、
みそ会社の家族、男女4人が亡くなった放火強盗殺人事件の主任裁判官になったが
「こんな証拠で有罪は無茶だ」と思い
3人で構成される裁判官の中でただ一人無罪を主張したが
多数決が原則の最終判決で被告を有罪、しかも心にもない死刑判決文を
いやいや書く羽目になったら。

◆この、当時29歳の静岡地方裁判所の判事補は「熊本典道」昭和12年生まれ。
この裁判は、2014年3月27日に死刑及び拘置の執行停止並びに
裁判の再審が決定(再審開始については即時抗告審での審理中のため未確定)された
袴田事件である。


P8231567

この裁判官は判決後程なくして裁判所を退官し
弁護士となるが、その後坂を転げ落ちるように人生を転落していく。

これが死刑判決文を書いたせいなのか
無類の酒好きのせいなのか
家族からも見放されたせいなのか
他に原因があったのかワシには分らないが

そういった数奇な人生を送った一人の男を
袴田巌と言う元プロボクサーと
無罪を確信する姉、熊本を支える
女性などの人生を織り込みながら
綴られていく。

壮絶なルポルタージュである。






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