【今日の いちゃいちゃ】
朝の電車が隣町の駅に着くと、どっと降車した客に代わって数人の客が乗ってくる。
その内の2人に目がいった、その若い男女はピタッと寄り添って、まるで体の隙間を開けたら悪いウイルスが入ってしまうからそれを防いでいるようだ。
残念なことにワシの斜め前に坐った。
生憎の雨模様で、持ってきた傘をお互いにもてあそんでいるが身体はくっつけたままだ。
その内に、なにやらひそひそ話を始めた。くくっと笑ったりしている。
普通の会話はそんなに気にはならないが、不思議なものでこっそり話はとっても気になる。
その間にも電車の中とは思えないほどいちゃいちゃしながら、今にも口と口がくっついちゃうんじゃあなかろうかと。
ワシは、そんなの見たくネー、どうぞそこまではしないで、お願いします。と読書をしながら、いや読むふりをしながら祈っていた。
毎朝の電車の日課である読書は、今朝はたまたま小難しい本で、ただでさえ内容が頭に入りにくいのに、これではさっぱりである。
終着の川越し市駅に着くまでその「ピッタリいちゃいちゃ」は続いた。
ワシの方が先に降りてプラットホームを歩いたので
商業高校の女生徒と普通高校の男子生徒の2人連れは、その後どんな行動をとったのかは知らぬ。