語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【旅】復興を絵画で表現できるか ~平町公の試み~

2012年12月20日 | □旅
(1)兵庫県立美術館
 兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通1丁目1番1号

(2)特別企画展
 「現代絵画のいま
 
(3)特別企画展の会期
 2012年10月27日(土)~12月24日(月)

(4)特別企画展の観覧料(コレクション展は別途)
 当日:一般 1,200円

(5)特別企画展の出品作家
 (a)野村和弘(1958年高知市・生/神奈川県・在住)★
   <見えることの極限を示す絵画を出品。壁画のタイプとタブローのタイプの両方からなる。>
 (b)平町 公(1959年広島県・生/神奈川県・在住)★
   <何十畳もの大きさの巨大パノラマ絵画を出品。神戸を題材にした新作。>
 (c)奈良美智(1959年青森県・生/栃木県・在住)
   <忘れがたい印象を残す子どもや動物などを描いて、幅広い層の人々を魅了してきた作家が、本展では最新作を展示します。>
 (d)丸山直文(1964年新潟県・生/東京都・在住)★
   <画面にアクリル絵の具を染みこませるステイン絵画の新作を出品。染みを形象化させる表現。>
 (e)法貴信也(1966年京都府・生/同・在住)★
   <ドローイングのような線、二重の線など、線を追求する絵画(新作)を出品。>
 (f)渡辺 聡(1967年兵庫県・生/同・在住)★
   <ドット・シール紙をキャンバスに貼ってから絵を描き、ドットを貼り直した絵と、ドットを剥がしたあとの残る絵を制作。>
 (g)石田尚志(1972年東京都・生/同・在住)
   <白い部屋に描いていく行為の軌跡をコマどりによって映像化した作品を出品。映像が、絵画の世界をあらわにする。>
 (h)居城純子(1974年静岡県・生/奈良県・在住)
   <マスキングを駆使して塗り残しや余白を表現にした絵を出品(近作及び新作)。>
 (i)三宅砂織(1975年岐阜県・生/大阪府・在住)★
   <透明シートに描いた絵を写真に転写する、いわゆるフォトグラム(新作)を出品。写真と絵画の境界。>
 (j)大のぶゆき(1975年大阪府・生/愛知県・在住)★
   <絵画をベースにした映像作品(新作)を出品。絵画が崩壊する過程をとらえる。>
 (k)横内賢太郎(1979年千葉県・生/三重県・在住)
   <光沢のあるサテン地に染料などで描いた作品を出品(新作を含む)。技法の混交性は、モチーフである文化の混交した文物によって増幅される。>
 (l)彦坂敏昭(1983年愛知県・生/京都府・在住)★
   <写真をコンピューターの画像処理など、複雑な過程を経て作成された絵画を出品(新作を含む)。>
 (m)二艘木洋行(1983年山口県・生/神奈川県・在住)★
   <コンピューターのお絵描きソフトで描いた作品を出品。シンプルな機能、低解像度だからこそ、生み出されるユニークな作品。インスタレーションも展示。>
 (o)和田真由子(1985年大阪府・生/同・在住)
   <透明シートを支持体にして、描いたり、透明メディウムを重ねたりした作品を出品(新作を含む)。三次元空間の構造を二次元に表す試み。>

 【注】作家/出品作品の特徴は、兵庫県立美術館の「出品作家」紹介から引いた。

(6)注目した作品
 展示会でカメラ撮影が許可された作品/作家がある((5)の★)。
 例えば、平町公「阪神工業地帯の暦・神戸港の図・六甲アイランド沖の図」(2012年)/墨、アクリル、キャンバス。



 これだけ大きいと細部に目が届かなくなりがちだが、細部がアナーキーなまでも独立した画面を作っている。
 江戸時代か、もっと昔に瀬戸内海を疾駆したであろう帆船も見える。





 海の底でつながるパイプ。 



 港を支える働き手の姿も垣間見える。





 絶滅した日本狼のように野性的な風貌の労働者がいる。



(7)平町作品のテーマ、制作の流れ
 兵庫県立美術館は「現代絵画のいま」展の図録を発行している。その中に、出品作家に対するインタビューが載っていて、平町は今回の出品作品のテーマ/コンセプトなども語っている。いわく・・・・
 テーマ/コンセプト・・・・2001年に「神戸 布引の滝図」を発表したが、布引の滝は現在も神戸市民の水瓶だ。目に見えない天に上がる滝に、阪神・淡路大震災で亡くなった人々の魂を鎮魂する思いを込めて制作した。今回、二度目の神戸を題材にした作品「阪神工業地帯の暦・神戸港の図・六甲アイランド沖の図」は、2006年に発表した「京浜工業地帯の掟・三部作」の対になるように企画した。一生懸命に復興を果たした神戸の人々の努力の跡を形にしてみたいと思った。
 本作品の具体的な制作プロセス・・・・今年5月、神戸を取材した。ポートタワーから俯瞰し、取材できない場所についてはインターネットの航空写真を利用して下絵を描き、イメージを固めた。そして、「神戸港」を2場面に分割して制作することに決めた。描く作業は、まず使用するロールキャンバス(2m×10m)8本を2回に分けて下塗りした。4本のキャンバスを床に広げ、2回上塗りした。この作業の後、キャンバスに木炭で下書きし、その上に墨とアクリル絵の具で彩色して構図を決めた。それから細部を詳しくしていった。
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