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煩悩を解脱した前期高齢者男のぼやき

“自殺病”撲滅をめざして

2014-02-05 17:39:16 | 健康・病気

痛みは人間から正常な生活の営みを奪う。
それがさらに強い痛みであれば、
それから逃れるために
自らの命を絶とうとすることもありうる。
理不尽な痛みが根絶されることを
強く願わずにはいられない。

1月31日付 ABCNews.com

Girl Has 2nd Brain Surgery to Alleviate Painful 'Suicide Disease'  
少女は痛みを伴う“自殺病”の緩和をめざし2度目の脳手術を受ける
By GILLIAN MOHNEY,

Painfulsuicidedisease
KatieRose Hamilton さんは三叉神経痛の緩和を求めて2度目の脳手術を受けたところである。

 10代女性の KatieRose Hamilton さんは頭痛が起こるとアスピリンを飲むことも横になることもできない。それだけでなく、trigeminal neuralgia(三叉神経痛、さんさしんけいつう)と呼ばれる疾病に関係する頭痛で彼女はまともな生活はできなくなり、暗い部屋の中でほとんど動くこともできずに横たわる以外何もできない。
 KatieRose さんの母親 Mogan Hamilton さんによると、娘がこのような強い頭痛に襲われたときには彼女のためにしてあげられることは何もないという。
 「彼女に発作が起こると、すすり泣き、足を蹴り、うめき声を上げ、神にそれを止めてくれることを願うしかありません」と Hamilton さんはABCNews.com に語った。「それはひどいものです。私は親としてそこに横たわり彼女のそばで泣くのでした」
 KatieRose さんは三叉神経痛と呼ばれる疾患で、この病気は三叉神経という脳神経を侵し、激しく、しばしば燃えるような、あるいは刺すような痛みを引き起こす。三叉神経は頭部に最も広く分布する神経の一つであり、National Institute of Neurological Disorders and Stroke(米国立神経疾患・脳卒中研究所)によると、こういった疼痛のエピソードは数時間続くことがあるという。
 通常この痛みは、動脈や静脈が拍動時にこの神経を圧迫するなどして生ずる。最終的にこの拍動が神経を損傷し激しい痛みにつながる。
 三叉神経痛は患者にとってあまりに苦痛なため、その軽減を求め人が自殺に追いやられることもあることから“suicide disease(自殺病)”とも呼ばれてきた。本疾患は多くは50才以上の人にみられ、通常女性に多い。
 「太い包丁があるでしょう?2~3時間、誰かに自分の頭の横をそれで突き刺されている感じですが、為す術は何もないのです」ABC News 系列の KABC-TV に KatieRose さんは語った。
 米国立神経疾患・脳卒中研究所によると、この疾患は年間 10 万人あたり12人に見られるという。
 症状緩和のために Hamilton 家の人は内服薬から脳手術まですべてを試みてきた。
 一部の抗てんかん薬が痛みの予防に有効だったが、それらは KatieRose さんに“brain fog(脳の霧=頭のもやもや)”をもたらし、簡単な計算問題を解いたり文章を読んだりすることも時にできなくなった。
 加えて、それらは彼女に対して永続的な効力を発揮できないと医師は言う。彼女の身体がその薬に慣れて、投与量を増やさなければならなくなるからである。
 1月28日、KatieRose さんは University of California Irvine のメディカルセンターでその痛みを和らげる脳手術を受けた。それはこの2年で2度目となる脳手術である。
 Johns Hopkins Medical Center で行われた以前の手術で彼女の痛みを和らげることはできたが、それはわずか8ヶ月間だった。
 「再発し、貨物列車のように彼女を襲ったのです」と Hamilton さんは言う。「発作は3時間にも及びました。私たちはそれに打ち勝ったと思っていたのでひどく打ちひしがれました」
 今回は娘は自身の回復に対してより神経質になっていると Hamilton さんは言う。
 手術の翌日、娘が外科医に次のように言ったのを Hamilton さんは思い出す。「私の手術をしていただきありがとうございます。もしうまくいかなかったとしても、そのことであなたを責めたりはしません」
 KatieRose の医師は彼女の神経を圧迫している静脈は以前から存在していたように考えていると Hamilton さんは言う。しかし、拍動する静脈が神経の外側を覆っている髄鞘を磨り減らすのには何年もの期間を要すると彼らは考えている。
 「あたかも裸の電線のようであり、発火すべきでないときに発火し始めるのです」とこの脳神経について Hamilton さんは言う。
 今回の2回目の手術の際、外科医によって彼女の脳神経に、何本かの静脈と一本の動脈による圧迫箇所が少なくとも10ヶ所認められたと Hamilton さんは言う。それら圧迫のいずれもが彼女の激しい疼痛発作を引き起こしている可能性があった。
 KatieRose さんに薬が処方されるまでは 12時間~48時間毎に発作が起こっていたと Hamilton さんは言う。
 今回の術後、娘の病状に対してはこれまで以上に期待を寄せていると Hamilton さんは言うが、この手術がどれくらい長く頭痛を抑えてくれることになるかの保証はないという。
 もし痛みを6~10年間止めることになれば、その手術は成功と見なされる。23年間痛みのなかった人もいれば、わずか数ヶ月から2、3年で痛みが再発した人も知っていると Hamilton さんは言う。
 「結局私たちは彼女のこの先の人生に何が起こるかを見守っていくことになるでしょう」と Hamilton さんは言う。「私たちが望むことは、この手術で長期間彼女に痛みがなく薬が不要な状態を保つことができ、その間に治療法が見つかることです」

三叉神経痛の詳しい情報は
脳神経外科疾患情報ページを参照されたい。

直接脳幹に入る12対の脳神経のうち
顔の感覚(温痛触覚)を伝える神経が三叉神経である。
脳腫瘍など明らかな病変によるこの神経への圧迫で
顔面の痛みを生ずる場合もあるが、
特に病変が見当たらないのに三叉神経痛が見られる場合、
その多くは脳の動脈あるいは静脈がこの神経に接していることで
起こっていると考えられる。
三叉神経痛は突発的に起こる非常に強い痛みである。
電撃的な一瞬の走るような痛みで、
通常数秒から数十秒の持続にとどまる。
洗顔、化粧、ひげ剃り、歯磨き、食事などの動作で誘発され、
寒い時期に増悪する傾向が見られる。
その痛みは想像以上に激しいもので患者の苦しみは深刻である。
三叉神経への血管の圧迫が
脳のMRI検査で描出される場合もあるが確認できないこともある。
鑑別診断として、
帯状疱疹後三叉神経痛、副鼻腔疾患、群発頭痛などが挙げられる。
治療には内服治療、三叉神経ブロック治療、定位放射線治療、
手術療法がある。
内服治療では抗てんかん薬のカルバマゼピンが用いられ
8割以上の人で一時的に痛みが消失したり軽減するが、
内服を続けても再発や増悪が見られることがあり、
増量でのふらつきや眠気などの副作用も問題となる。
このほかバルプロ酸ナトリウム、フェニトインなどの
抗てんかん薬や筋弛緩薬のバクロフェンなども用いられるが
カルバマゼピンの有効性には及ばない。
ブロック治療は三叉神経に直接局所麻酔薬や
神経破壊薬を注射して除痛を図るものである。
いずれも一時的には効果が見られるが再発は避けられない。
ガンマナイフやサイバーナイフと呼ばれる定位放射線治療が
行われることもある。
これは三叉神経に集中的に放射線を照射する方法で
6~8割の患者に有効であると言われているが、
再発も認められる。
現在、三叉神経痛に対しては
三叉神経を圧迫している血管を外科的に解除する
手術療法が最も有効である。
圧迫部位は脳幹から三叉神経が出てくる箇所であり
手術は耳の後ろ側で頭蓋骨に穴をあけて
目的の場所に到達する。
神経を圧迫する血管が同定できれば
この圧迫を解除することで手術の目的が果たされる。
この手術では5~6年程度の経過観察で
7~9割の患者で痛みが改善もしくは消失したとの
報告が多いが、無効例や再発例も見られる。
本記事の少女のように若年にも見られることから
血管の圧迫には動脈硬化以外の要因も考えられている。
また血管の圧迫以外の原因が関与しているのかもしれない。
本疾患のすべての患者を救う
確実な治療法の確立が待たれるところである。

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