ほなさんの汗かき日記

かくれ肥満の解消に50歳を超えてはじめた健康徒歩ゴルフ。登場する個人名、会社名、内容はフィクションである。

再録「汗かき日記」第三部(後の中)

2010年11月14日 | 日記
(「ほなさんの汗かき日記」のアメブロに
 載せたものを再録 現在はありません。)


     練習再開か

 それから1週間経って、雨上がりの合間に、汗をふきふき、
ゴルフ練習場へ行った。いつものアル○トロスというこの練
習場は、低い山肌のさらにその裾野を開いて、長さ150ヤー
ドの練習場が作ってある。1階に24打席あり、同じく2階打席
もある。

 ここのよいところは、一面が天然芝なので、夏の昼下がり
でも、裏山から吹いてくる風が涼しく、練習の合間、うしろ
の席に腰掛け、火照った体と頭を冷やすことができた。平日
の昼は、夕方までずっと居ても最低料金だから、リタイヤ組
のおじさんが仲間を募って、和気あいあいと練習しているこ
とが多い。
それでも、さすがにこの時期は蒸し暑すぎるためか、お客は
居なかった。地面を覆う緑色の芝から、湿気を多く含んだ水
蒸気が、霧のように昇っていく。それを見た瞬間、来るんじ
ゃなかったと思った。冷たいコップの周り一面、水滴にまと
わりつかれた「うっとうしさ」を連想した。むっとする、よ
どんだ湿気。

ええい、こうなりゃ、さらに汗をかくしかない。
夢にみた一番大きなクラブ、あこがれのドライバーを振って
みた。一振りするごとに二度は「ふぅっ」と息がでる。小さ
なクラブは振れても、もともと振れなかったこういう大きな
ものは、まわすだけで肩で息をしてしまう。傷口はまだまだ
開いていて、動くたびに汗がしみた。こんなことでくじけて
はいけないが、練習開始は、ちょっと早かったみたいだ。サ
ウナの中で、息をしているようだ。やっとこさ、辛抱して30
分間練習し、傷口を押さえながら帰った。暑さが通り過ぎる
か、もう少し体力をつけてからか、どちらにせよ、しばらく
練習は中止だ。手術の跡の傷口に触わるから、今はズボンの
ベルトさえ満足に締めることができないのだ。ドライバーが
振れるようになるのは、いつの日だろう。

シャワーを浴びたら、疲れていたのだろう、そのまま眠りこ
けた。巣にもどる鳥の群れが飛んでゆく、夕暮れはもう近い。


       リラックスの難しさ

 私は左ききなので、意識せずクラブを振れば、当たったボ
ールはゆっくりと左に曲がりながら飛ぶ。これをスライス、そ
の反対側にカーブすることをフックというのだそうだ。初心者
はカーブするような球を打つ必要はないので、まずストレート
を打ちたいと思うのだが、これがどこまでもうまく行かない。
小さなクラブならまだしも、大きな長いクラブになるにしたが
って、それこそ一番長いクラブ、ドライバーになると、当てる
ことすら困難なのだ。

 物の本によると、ゴルフのスゥイングは、円形というより「
だ円形」を描いているらしい。このスゥイングがいつも規則正
しいものなら、その円周上の一点に球を置けば、間違いなく当
てることができるし、また、毎回同じような球の飛び方をする
はずなのだが、私のような初心者は、肝心の円の形が、一回、
一回のスゥイングごとに異なるから問題なのだ。だから球がク
ラブのどこに当たるか、たとえうまく当たっても、ボールの行
く先は、
「おーい、今度はどっちにいくの?」とボールに問うてみなけ
ればわからない。しかしボールの方も、
「今日は天気がいいから、右の方へいってきますわ。ほな、さ
 いなら」とでも返事するものでなし。

 また、ボールの行方を左右するものは、クラブの握り方を変
えただけでも異なる。野球のように同じバットを振るのと違い、
ゴルフクラブの種類は少なくとも10数種類以上あり、その使い
方によって、長さ、重さがみんな違うのだから参った。試行錯
誤のあげく握り方が決まっても、9番アイアンが7番アイアンに
変わっただけで、まるでスゥイングの感触が異なるのだ。もう
その瞬間から、まともな球の飛び方はしない。ひとつひとつの
クラブごとに、握り方、振り方を変えることは初心者には不可
能だし、結局、同じ握り方で、同じ円周を描けるように、同じ
スゥイングを心がけるしかない。そして、クラブが同じ軌道を
えがくために必要なことは、まず「リラックス」する、体の力
を抜くことだと、最近気付くようになった。

 ゴルフは心理ゲームだったのだ。止まったボールを打つゲー
ムの面白さは、プレッシャーからの焦りや力みを生み出す、あ
まりにも人間臭いものが魅力なのだろう。人と人の勝負という
より、自分自身をプレッシャーの中でどれだけ解放させられる
か、リラックスできるかが、自分の円軌道のスゥイングができ
る最短の道なのだろう。

 よく考えてみると、リラックスというのは、なんの局面でも
当てはまるように思う。うまく生きていくことの基本なのかも
しれないなぁ。

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