話を中断させた現実とは（４）

調子が悪ければ遠慮せず診察にきなさい、と言われて
いたので、電話をすると、
「熱があるのはカゼひいてませんか？」
と受付嬢は尋ねます。風邪か？と問われれば、そうか
もしれない、風邪なんてものは知らないうちになるも
のですから、、、いやいや、そうは言っても、熱が出
始めたのは歯痛がきっかけ、顔半分が、宍戸錠になっ
てからですので、ここは診てもおうと、診察をお願い
しました。自分で運転する自信がないので、息子に頼
みました。いざという時、こいつが一番優しいのです。

クリニックに行きますと、息子がファンの衛生士さん
が、向こうの方からほなさんの顔をじっと見ました。
その態度から、ほなさんの頬は、やっぱり膿んでいる
のが原因と確信、待つ身はソファーの隅で熱くて寒く
かったです。

やがて呼ばれ、椅子に腰掛けると、先生は、ほなさん
の顔を一度も見ることなく、すぐさま
「上むいて、はい、口開けて」
口に中をざっとみると、
「シンマ！」
と衛生士に告げました。腫れた患部を切開するもよう
です。

パンパンに腫れた頬の裏に射す麻酔注射は痛かった。
切開したのち、膿みをだそうと、腫れた頬をなんどか
押しました。切開した部分にはガーゼを詰め込んで、
終わりでした。体がガタガタ寒いやら熱いやらです。
腫れた患部を切開したためでしょう。でもおかげで、
一眠りしたあとは、すっかり熱も下がりました。

一般に、歯医者に行くときは、ハンカチが必需品です。
ほなさんの場合、口の周りを拭くためでなく、目頭の
涙をぬぐうためなんです。痛くても痛くなくても、ほ
なさんは必ず涙がでます。手にハンカチを握り締め、
それから以降、毎日通いました。
「ほなさん、少しは慣れました？」
お金を払う際、受付嬢と事務のスタッフが気の毒そう
に尋ねました。
「ええ、少しは。」
私が応えると、
「今度はしばらく通ってくださいね。」
と二人はやさしい笑顔でおくってくれました。

抜歯の時は、衛生士さん、先生、受付嬢、それぞれが
「今日はお風呂に入ってはいけませんよ。」
「今夜は食事してはいけませんよ。」
と各一回づつ念を押すように言いました。

女房と息子は言います。
「なんで親父にはそれほど丁寧なんだ？」
私は知っています。（腫れ物に触るほど）やさしくし
ないと、怖がりのほなさんは絶対に行かなくなるので
すから。
アラカンでも、心は子供時代から成長なしです。

話を中断させた現実とは（３）

歯痛で眠れない夜を過ごすと、諦めがつくより
この痛みから逃れたい一心で、
「今度こそ真面目に通いますから」
という気持ちになりました。

「ほなさんは痛くならないと来ないんだから」
と、もっと早く来てれば痛くならないうちに治
すことができると、なじみの医者は言外に匂わ
せてくるのですが、そんなこと無理！
ほなさん一家は、
「痛くないのに、歯医者にいくことはない」
と思い込んでいます。
デンタルクリニックは、一家中の鬼門なのです。

受付の前で待っている時間の長いこと、辛抱し
ているうちに、ほなさんの頬は腫れてしまいま
した。医者は、とりあえずの処方をし、そのう
ちに、これ抜くよ！と言いました。

息子が、かわいい娘と言ってた衛生士さんから
注意をうけ、痛み止めをもらい、化膿止めもも
らい、消毒薬ももらい、ぐったりして帰りまし
た。
痛み止めを飲んでも、効きが悪く、まだ痛いの
でした。頬はどんどん腫れそうでした。
夜中に心配になり、女房に尋ねました。

私「痛み止めが効かんのよ。また飲もうか。」
妻「そんなに飲んだらいかん、痛み止めやけんな」

しばらくし、
私「頬が腫れて、エースの錠になっとるんよ。痛
　いわ。心配ないやろうか。」
妻「歯が痛いときは、頬が腫れるもんよ。仕方な
　い。黙って寝なさい。」
これを深夜、二度繰り返しました。女房は頬が腫
れても当たり前だ、と言います。それでまたこの
日も、眠れないままの朝を迎えました。

そして昼前、仕事場に行くと、ほなさんのほっぺ
を見た皆が、その異常ぶりに驚き、それはどうし
た？と聞きました。
仕事をしはじめましたら、寒気もします。
それで帰宅し熱を計ると、３８度ありました。

話を中断させた現実とは（２）

それは、、、、　歯が痛い！！！！のでありました。

年末から、これは大変なことになるぞ、
そういう予感はありました。
先週から痛みがはじまると、予感は悪寒をともな
って、頬を腫らしました。

しかし、ほなさんの歯医者ぎらいは有名で、
クリニックの受付で、
「次の方は、、ほなさん、こちらへ。」
と呼ばれたとたん、理由をつけて家に逃げ帰った
過去もあるのです。＜--ホントの話

それほど大変な目にあったこともないのに、
極端な怖がりなのです。
小心者の怖がりは、年齢も経験も関係ありません。

今回も一晩辛抱し、眠れない夜を過ごし、その痛み
に耐えかねて、
デンタルクリニックに行きました。
地元で、高校の後輩のその医者は、私も怖がりを
知っています。クリニックのスタッフも知ってい
るであろうと思われます。なぜかというと、女房
や子供への態度とは、まったく異なり、腫れ物に
触るように親切、丁寧であるそうです。

そういうわけですから、私が受付へ顔をみせると、
そこに居た事務スタッフと受付嬢が、まあ！という
顔をして出迎えてくれました。
嫌いでもなんでも、歯医者通いがはじまりました。

話を中断させた現実とは

「汗かき日記」が第6部に入ると、すこぶる
ペースが遅くなったとお気付きのことと存じ
ます。散逸したものを閑にまかせやっていま
すのと、ほなさんのなおさら遅い作業のため
であります。

ですのに、、、、
さらに困難な事態が発生したのであります。
不運は、さらなる障害を呼ぶ習性がある、
ということを思い出しました。

そうなると、もう結果からお教えしなければ
ならないでしょう。過去の「第6部」を中断し
悲しい「現実」をお話します。
それは、今、「りある」に起こっている出来
事であります。そう、あなたが元気に生活し
ている同じ時刻に、ほなさんに起こった悲し
い事件でありました、、、

再録「汗かき日記」第６部（４）

怖いくらい吹く風の中、三人はアウトコースへ。
このゴルフ場は、雷が多いせいで、逃げ込む避難
小屋があちこちにあった。それらを横目にみなが
ら、セルフカートはタクシー屋がハンドルを握っ
た。
「車はお手の物ですよ。今日は最後まで運転しま
　すから。」
と好青年ぶりが伺えた。

坊さんとタクシー屋さんは、だんだんと普段の勝
負モードへ入っていった。
坊さんは、両手をあわせると、相手がショットを
ミスするよう「呪文」をぶつぶつなにやら唱えた
のち、
「覚悟しろ！」
とおもしろおかしく言った。

タクシー屋のほうは、おやまあそんな呪文が唱え
られるまで腕を上げたのか、と副住職である坊さ
んの身分をからかっている。

さて、こんなそんなで、１番ホールでのティショ
ットがはじまった。

再録「汗かき日記」第６部（３）

ドライバーの苦手意識が抜けないまま、そして進歩のなさに
うんざりした日々を送っていますと、パブリックでたまにお
会いする若いお坊さんから、一緒に行きましょうと連絡をく
れた。

「どこへ行きたいの？」
と親切に希望まで尋ねてくれたので、前回のような山岳コー
スはコリゴリと、平坦なコースが良いと頼んでみた。アップ
ダウンに翻ろうされることない平坦なコースでなら、腕前を
試せると思ったのだ。

まだ半年が過ぎたばかりとはいえ、ほなさんにとっては腹を
切る手術より、ドライバーが当たらないほうが困ったことな
のだ。手術はえらいお医者さんがやってくれたから安心して
いられたが、ドライバーがボールに当たらないのは自分の責
任以外になく、なぜうまくいかない？という思いが渦巻いて
いた。

地元の大きなタクシー会社の息子さんと地元のお坊さん、私
の三人のグループになった。行く先は、コートベールという
県がからんだゴルフ場で、金曜日は「県民パック」とかで食
事つきで安いからとその日が決行になった。

お坊さんは朝のお勤めがあり、タクシー屋さんは運転手の段
取りがあり、私というヘタッピを考えて最終組ということに
なり、お昼スタートとなった。早く着いてしまった私は、ひ
とり食事をいただいたが、魚定食のサバがたいそう美味く、
ゴルフ場の名物料理にしてあった。

時間があまったおかげで、下調べができた。
「○○大会」の成績表を張り出してあったり、それには、私
のレベルも堂々とのっていたから、ちょっと安心した。
受付で各ホールの地図をもらう。セルフなので、それをじっ
くり見る。
無料だときいて練習用のカゴに入り、打つ練習をする。
練習グリーンでパターを打つ。

やがて二人が到着、スタートとなった。
強風で有名なこのゴルフ場は、冬場は、コースレートが変わ
るそうだ。ゴルフ場はどこも同じで、規定打数（パー）７２
と漠然と考えていたら、そうではなく、特にここは海岸淵に
沿ってコースがあるものだから、冬場の強風の日は規定打数
が変わるときいた。

海岸線の防波堤の先に白波が立っている。沖のかもめが数羽、
空中で静止していた。上昇気流にのって餌を探すかもめでさ
え、その向い風の強さに目を細めているんじゃないかと思った。

明けましておめでとうございます。

正月はじめのブログアップが、ほなさんの悲しい
過去の再録で、申し訳ありませんでした。
それはそれとして、

今年もよろしくお願いします。

みなさんのご健康とご繁栄をお祈りしております。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ほなさん

　平成23年　お正月

再録「汗かき日記」第６部（2）

だが、向こう側のどこにもボールは落ちていなかった。
今も巨木の上に、乗っているとしか思えません。
ゴルフコンペは終わってしまったというのに、私のボー
ルはまだ夢の続きを演じ、はるかに見えるグリーンで転
げまわることを念じていることでしょう。
打たれることのない第三打目を、今も待っているかと思
うと可哀想な気がします。

このコンペは、すべてこういう調子でありました。
Ｎカントリーのすべての谷、Ｊでは池にほりこんできた
ものが、ここは「谷」と「池」の両方の天敵が障害物と
して待ち受けていました。ここはなおさらいけません。
谷という谷、池という池、すべてに放りこんで、結果
「１４１」。

三回目のコンペも３度目のブービーでありました。
今回のホタルは、今日はじめてコースに出た女性でした
から、実質「べべと」が私の指定席ということになりま
す。スコア提出する椅子で
「あーあ」
と大きく、己にため息が出ました。

この日は、あまりの不甲斐なさに、まっすぐ自宅へ帰れ
なかったのでした。まったく知らない入ったことのない、
帰途でゴルフ練習場をみつけ、悔し紛れの打ちっぱなし
を1時間連続。

力むとマメができ、そして破れました。
めちゃくちゃなスイングになっていることは判っていま
した。こんな荒れた気持ちで練習しても、うまくなるは
ずはありませんが、まっすぐ家に帰れなかったのでした。