自宅近くの銭湯(同級生宅)の姉妹で、そこを手
伝っていた70代のお姉さまが買い物にきてくれ、
「○○ちゃん、私もゆうこちゃんの朗読劇に行っ
てたのよ。」
といった。(’ゆうこちゃん’とは町内会の幼馴
染みで、今年、数十年ぶりで話をした人だ。)
突然の「○○ちゃん」(下の名)よばわりに唖然!
ほなさんは、もう60歳を前にしたいい大人である
のに、町内会のこのお姉さまの中では、幼稚園や
小学校の低学年で止まっているようだ。
この銭湯は家族全員がお掃除好きで、お客としゃ
べりながら、広い脱衣所の木の床をしょっちゅう
箒をかけ、ぞうきんで拭いていたから、どこもい
つも清潔だから人気だった。
場所も盛り場に近いから、夜の仕事に出かける女
や男は出勤前の早い時間、仕事終わりの深夜まで
よくにぎわっていたものだ。
その中に、二の腕や背中に墨をいれたイナセな兄
チャンも多かった。刺青の若い衆の彫り物は、湯
から出てくると、湯に入る前と違い、ピンク色に
上気した肌に絵が浮き上がってみえきれいだった。
白い肌に般若の面はいっそう怖く凄みをまし、桜
の花びらはとても可憐にみえたものだ。誰かの小
説に、刺青の人の皮膚をアルコール漬けにし、集
めたものがどこかにあると書いてあった。そうい
うものに興味は湧かないが、男も女も若いハリの
ある肌に描かれた刺青は、子供にさえ息をのむほ
どうつくしかったように思った。
どういう気持ちで刺青を彫るようになるのか、私
は知る由もなかったが、子供心に、美というもの
はやがて衰えるものであることも理解できた。
このおばちゃんの、「○○ちゃん」の一言で、
湯煙のむこうに見えた過去の記憶がよみがってき
たのだった。
伝っていた70代のお姉さまが買い物にきてくれ、
「○○ちゃん、私もゆうこちゃんの朗読劇に行っ
てたのよ。」
といった。(’ゆうこちゃん’とは町内会の幼馴
染みで、今年、数十年ぶりで話をした人だ。)
突然の「○○ちゃん」(下の名)よばわりに唖然!
ほなさんは、もう60歳を前にしたいい大人である
のに、町内会のこのお姉さまの中では、幼稚園や
小学校の低学年で止まっているようだ。
この銭湯は家族全員がお掃除好きで、お客としゃ
べりながら、広い脱衣所の木の床をしょっちゅう
箒をかけ、ぞうきんで拭いていたから、どこもい
つも清潔だから人気だった。
場所も盛り場に近いから、夜の仕事に出かける女
や男は出勤前の早い時間、仕事終わりの深夜まで
よくにぎわっていたものだ。
その中に、二の腕や背中に墨をいれたイナセな兄
チャンも多かった。刺青の若い衆の彫り物は、湯
から出てくると、湯に入る前と違い、ピンク色に
上気した肌に絵が浮き上がってみえきれいだった。
白い肌に般若の面はいっそう怖く凄みをまし、桜
の花びらはとても可憐にみえたものだ。誰かの小
説に、刺青の人の皮膚をアルコール漬けにし、集
めたものがどこかにあると書いてあった。そうい
うものに興味は湧かないが、男も女も若いハリの
ある肌に描かれた刺青は、子供にさえ息をのむほ
どうつくしかったように思った。
どういう気持ちで刺青を彫るようになるのか、私
は知る由もなかったが、子供心に、美というもの
はやがて衰えるものであることも理解できた。
このおばちゃんの、「○○ちゃん」の一言で、
湯煙のむこうに見えた過去の記憶がよみがってき
たのだった。