ある日、息子に嘆いた。
「平日と間違ごうて、土曜日にATMからお金を
引き出したんよ。」
「いくら?」
とたずねた息子に、
「迷ったあげく5千円。」
とほなさん。ATMの前で、金額を決めるのに当分
かかった。後ろに人が居なかったら、もっとかかっ
たかもしれなかった。
「そしたらな、108円の手数料が引かれたんよ。
うわ、やってしもうたわっ!」
とほなさんは、嘆いたのだった。
5千円を引き出すのに108円も手数料を払わざ
るをえなかった経済効率の悪さに、我ながらアイ
ソがついた。曜日がわからなくなっている、手数
料に気づかなかった迂闊さの一方で銀行の非情さ
?に腹をたてつつ、訴えたのだった。
すると、息子はこう言った。
「父さんは、まだいいわ。オイラはこの前の日曜
日にお金が必要になってATMで千円下ろした
ら、108円引かれて、あとは下ろすことがで
きなんだんよ。千円札1枚だけに108円かか
ったんだから、、、。」
と泣きそうな声である。
千円で108円とは、10%以上もの手数料を払わざる
をえなかったのだ。可哀想というより悲惨だ。
貧乏人の息子にとっては、一般の銀行が街金と同
レベルになってしまうのだと、この時はじめて知
った。
気の毒としかいいようがなかった。
ところがである、ふと疑問がわいた。
「あとが下ろせないのはどうして?」
とほなさんがたずねると、
「残高が2千円だったのよ。だから千円下ろした
からもう千円残るはずだったのに、最後の千円
から手数料の108円とられたら、残るのは小
銭しかなく、お札だけしか出ないATMはもう
使えなかったんよ。」
と肩を落としている。
「そうか、最後の千円が崩れてしまったのか。可
哀想に。」
とほなさんは疑問は解けたものの、そう口にする
のが精いっぱいだった。ほなさんとしてもカンパ
できるだけの財力はない。
ほなさん親子は、お互い、TVニュースを相手に
天下国家を論じることもあったのに、たった10
8円の手数料がために、これだけ苦労するとは、
息子も苦労しているなぁ、と思ったのでありまし
た。
108円が重くのしかかるこの親にして、この子
でありました。というか、お互い悲惨な状況であ
ります。「誰か、カンパしておくれ」と言いたい
のをぐっと我慢しております。今はそんなこと言
える状態じゃありません。哀れなほなさんでさえ、
熊本・大分へ向けて募金を送らねばなりませんの
で。
しかし、この息子なら、地球がゴキブリしか住め
なくなっても、なんとか生き延びていけるんじゃ
ないか、と思います。そう結論づけることによっ
て、親の責任を終えようとする自分も情けないの
でありました。
でもその前に、親としての責任から叫びましょう。
「カムバック、岩倉具視さま!」
500円札よ、甦れであります。
さすれば、わが貧乏親子もATMで引出しするこ
とができるのであります。
いや板垣退助氏にも、ご登場頂きたいですな。
「平日と間違ごうて、土曜日にATMからお金を
引き出したんよ。」
「いくら?」
とたずねた息子に、
「迷ったあげく5千円。」
とほなさん。ATMの前で、金額を決めるのに当分
かかった。後ろに人が居なかったら、もっとかかっ
たかもしれなかった。
「そしたらな、108円の手数料が引かれたんよ。
うわ、やってしもうたわっ!」
とほなさんは、嘆いたのだった。
5千円を引き出すのに108円も手数料を払わざ
るをえなかった経済効率の悪さに、我ながらアイ
ソがついた。曜日がわからなくなっている、手数
料に気づかなかった迂闊さの一方で銀行の非情さ
?に腹をたてつつ、訴えたのだった。
すると、息子はこう言った。
「父さんは、まだいいわ。オイラはこの前の日曜
日にお金が必要になってATMで千円下ろした
ら、108円引かれて、あとは下ろすことがで
きなんだんよ。千円札1枚だけに108円かか
ったんだから、、、。」
と泣きそうな声である。
千円で108円とは、10%以上もの手数料を払わざる
をえなかったのだ。可哀想というより悲惨だ。
貧乏人の息子にとっては、一般の銀行が街金と同
レベルになってしまうのだと、この時はじめて知
った。
気の毒としかいいようがなかった。
ところがである、ふと疑問がわいた。
「あとが下ろせないのはどうして?」
とほなさんがたずねると、
「残高が2千円だったのよ。だから千円下ろした
からもう千円残るはずだったのに、最後の千円
から手数料の108円とられたら、残るのは小
銭しかなく、お札だけしか出ないATMはもう
使えなかったんよ。」
と肩を落としている。
「そうか、最後の千円が崩れてしまったのか。可
哀想に。」
とほなさんは疑問は解けたものの、そう口にする
のが精いっぱいだった。ほなさんとしてもカンパ
できるだけの財力はない。
ほなさん親子は、お互い、TVニュースを相手に
天下国家を論じることもあったのに、たった10
8円の手数料がために、これだけ苦労するとは、
息子も苦労しているなぁ、と思ったのでありまし
た。
108円が重くのしかかるこの親にして、この子
でありました。というか、お互い悲惨な状況であ
ります。「誰か、カンパしておくれ」と言いたい
のをぐっと我慢しております。今はそんなこと言
える状態じゃありません。哀れなほなさんでさえ、
熊本・大分へ向けて募金を送らねばなりませんの
で。
しかし、この息子なら、地球がゴキブリしか住め
なくなっても、なんとか生き延びていけるんじゃ
ないか、と思います。そう結論づけることによっ
て、親の責任を終えようとする自分も情けないの
でありました。
でもその前に、親としての責任から叫びましょう。
「カムバック、岩倉具視さま!」
500円札よ、甦れであります。
さすれば、わが貧乏親子もATMで引出しするこ
とができるのであります。
いや板垣退助氏にも、ご登場頂きたいですな。