新型？「育毛剤」（4）

ほなさんは妻の愛情を受けて、
「ガンガンと痛い」思いをしつつ三日間使い続けて
おりました。
頭皮の一部は間違いなく赤くなっていたことでしょ
う。

すると、ぽとっ、と一滴のしずくが頭皮に落ちまし
た。私は、仲間の中で急な雨を感じさせたら、常に
一番でありました。髪ふさふさの連中は、ほなさん
のいう「雨」を信じることができないで、大雨にな
ってからの対処で、ずぶぬれになりました。
薄毛にも特典はあるのです。

さてほなさんの頭皮に落ちた一滴の育毛剤のしずく
は、荒れてヒリヒリする皮膚に染み込んでいきまし
た。
「これは柑橘系の育毛剤だ。」
とほなさんにもわかりました。通販で、今、流行っ
ていますね。

まだ瓶を3回振って一滴しかでませんが、頭皮を叩
いて刺激するという「育毛グッズ」でないことだけ
は判明したのでありました。

「愛する妻よ、疑って申し訳なかった。」
と心の中でクロスを切りながら叫びました。
そして1週間が経ったころ、申し分のない量がたらた
らと瓶から流れ出るようになったのです。

できるならほなさんは「踊る宗教」の「喜びのダンス
」をしたかったのでありますが、どうしたわけか妻は
それを見るたびに機嫌が悪くなるのでありましたから
止めときましょう。

「もうこれで同窓会に行ける！」
ほなさん夫婦は、涙を流してともに喜んだのであり
ました。

しっかし、本当に、本当に、ほなさんの毛が増えた
かどうか、それは「明日という字は明るい日と書く
のね」と歌ったように、明日という日を信じるほか
ないのでありました。

今晩もまた、明日という日を信じて、育毛剤を振り
かけることにしましょう。信じる者こそ救われるの
でありますから、、、。