ほなさんは宿の部屋にかえるなり、風呂に入った。
口の達者さと反比例するように、心と身体は奈落
の底をはいずりまわっているから、身体の硬直を
取るために、湯につかり温めなくてはならないと
思ったのだ。 オレも歳とったもんだ、でも、歳
とると、こうなってゆくのね、と思った。90歳の
オヤジの姿が脳裏に浮かぶ。
重い身体に鞭うち、湯に浸かったが、ちっとも楽
にはならない。もう寝るにかぎる、と万一の時の
ために持ってきた「安○剤」を一錠のんだ。
すぐ眠くなるはずが、疲れすぎて眠くならない。
しばらくゴルフ雑誌をながめつつ、ベットで横に
なっていた。
TVチャンネルを間違え、波打つ画面の合間から、
「いやーん」
というエッチなおねえさんの声が聴こえてきても
「なにがあって、イヤーンなのだ?」
と日頃は思うのに、おじさんの心は沈んだままだ
った。
やがて、宿泊客が外から帰ってきたのだろう、大
声で騒がしくなってきた。酔っているとみえ、数
人でふざけあっているようだ。
すると、腹がたってきた。体力が無くなってくる
とカチンと来易いというもの。ベットから飛び起
き、ドアを開けるなり、
「コラー、やーかましいぞ。静かにせんかい!」
とこのときだけは鬱を忘れ、巻き舌関西弁で怒鳴
った。
相手がどんなヤツかしらない、でも、さあ寝よう
という時間に、おめえらは酒に酔ってええ気分し
て楽しいかもしんねえが、こちとら’車酔い’で
シンドイんだ。
必要とあらば、「オエーっ!」をやってみせよう
か、「オエーっ!」を。ほなさんの「オエーっ!」
はいったん始まりだしたら長いぞ、それでもいい
のか。
てな迫力を向こうは語気に感じたのか、すぐ静か
になった。そこで、もう一錠飲むことにした。
「2錠飲めば、すぐ寝てしまうよ。」
とクスリを処方した医者はそういっていたから。
目覚めたら、朝5時30分。6時間ぐっすり眠った。
7時にNARASETUさんが迎えにきてくれることになっ
ていた。さあ、準備だ。
もう昨日の欝のほなさんは、どこにも居なかった。
いよいよ決戦、このために来たのだ!
今日こそは、ライオンの準優勝を返上させてもら
うぞよ。
口の達者さと反比例するように、心と身体は奈落
の底をはいずりまわっているから、身体の硬直を
取るために、湯につかり温めなくてはならないと
思ったのだ。 オレも歳とったもんだ、でも、歳
とると、こうなってゆくのね、と思った。90歳の
オヤジの姿が脳裏に浮かぶ。
重い身体に鞭うち、湯に浸かったが、ちっとも楽
にはならない。もう寝るにかぎる、と万一の時の
ために持ってきた「安○剤」を一錠のんだ。
すぐ眠くなるはずが、疲れすぎて眠くならない。
しばらくゴルフ雑誌をながめつつ、ベットで横に
なっていた。
TVチャンネルを間違え、波打つ画面の合間から、
「いやーん」
というエッチなおねえさんの声が聴こえてきても
「なにがあって、イヤーンなのだ?」
と日頃は思うのに、おじさんの心は沈んだままだ
った。
やがて、宿泊客が外から帰ってきたのだろう、大
声で騒がしくなってきた。酔っているとみえ、数
人でふざけあっているようだ。
すると、腹がたってきた。体力が無くなってくる
とカチンと来易いというもの。ベットから飛び起
き、ドアを開けるなり、
「コラー、やーかましいぞ。静かにせんかい!」
とこのときだけは鬱を忘れ、巻き舌関西弁で怒鳴
った。
相手がどんなヤツかしらない、でも、さあ寝よう
という時間に、おめえらは酒に酔ってええ気分し
て楽しいかもしんねえが、こちとら’車酔い’で
シンドイんだ。
必要とあらば、「オエーっ!」をやってみせよう
か、「オエーっ!」を。ほなさんの「オエーっ!」
はいったん始まりだしたら長いぞ、それでもいい
のか。
てな迫力を向こうは語気に感じたのか、すぐ静か
になった。そこで、もう一錠飲むことにした。
「2錠飲めば、すぐ寝てしまうよ。」
とクスリを処方した医者はそういっていたから。
目覚めたら、朝5時30分。6時間ぐっすり眠った。
7時にNARASETUさんが迎えにきてくれることになっ
ていた。さあ、準備だ。
もう昨日の欝のほなさんは、どこにも居なかった。
いよいよ決戦、このために来たのだ!
今日こそは、ライオンの準優勝を返上させてもら
うぞよ。