誕生日プレゼント（2）

娘と婿殿から頂戴したプレゼント品を自宅で
開けてみると、ブランド品のハンケチ２枚が
入っておりました。

「おー。」
という声がほなさんの口をついて出ました。
なかなか渋い柄でありまして、スーツにもお
似合いだと、誰の目にも明らかでした。

そういえば、ほなさんのこのところのハンカ
チはタオル地ばかりですから、オシボリと見
間違いそうな実用ものばかりです。紳士の持
つハンケチなるものは、箪笥の隅のふるーい
、柄が白けているものしかありません。そん
なものは全部捨てちまおう、と勇気をくれた
誕生日プレゼントでした。

うれしかった、、、。
初恋の人からのもらったプレゼント（そんな
ものをくれたうれしい過去はありませんが）
にも匹敵する歓喜を得たのでありました。


それから２週間、
そのハンケチがどこに行ったものか、、、。
探しているものの、見つかりません。
女房にも言えません。ひどく叱られるのは
判っていますし、それだけで許してくれそう
にはありません。娘の婿殿は、女房にとって
神様の次の存在なのですから。

誕生日プレゼント（1）

この２月、ほなさんは６６歳になりました。
我が家の誕生日儀式は、そばにいる家族が集まり、
簡単なケーキでお祝いすることになっております。

今年は息子が用事で居ないので夫婦だけでと予定し
ていましたら、娘とその婿さんが参加してください
ました。それじゃぁ奮発して、外食でと相成ったの
でありました。

ありがたいことに、ケーキはひとり当たりショート
ケーキが２個だけなんて、いつもの景色ではありま
せん。娘夫婦が立派なモノを用意してくれたおかげ
で、お店のスタッフも協力してくれ豪華で素晴らし
い一夜となったのでありました。

親という立場はありがたいものだと感謝感激の時を
過ごさせていただき、最後に婿さんに、娘と共にお
幸せになってくださいと、ひたすら親父の薄くなっ
た頭を下げお願いしたしだいです。酒のせいもあり、
うっすら涙が湧いて、「頼んだよ」と声をあげて泣
きそうになる自分がそこにはおりました。

結婚式の泣かせる名司会者も呼んでないのに、花嫁
の父の思いへ一気に昇華してしまうのは、ほなさん
という人間の単純さゆえでありますが、常にクール
なほなさんを演じている私も歳をとったもんだワイ
と思ったのありました。