一難去ってまた、、（３）

金を貸したか、保証人になったか、どういうこ
とから、そうなってしまったのか、ほなさんは
壮絶な話をそれ以上聴いてはいけないと思った。

かの紳士の話は、ここ数年のことだった。
諦めのついた話し方はしてくれてはいるが、退
職金に相当する金額となれば、人生設計が大き
く狂う。いや、設計変更で済む程度で収まるこ
とはなかったろう。

これが３０歳や４０歳の時なら、挽回のしよう
もある。だが、定年でリタイアしてからでは、
あまりに酷過ぎる。若かりし頃からの汗の結晶
が消えたのだ。
そう思うと、ほなさんは一言も言えないのだっ
た。

かの紳士の場合、それでもなおゴルフができる
環境にあるだけ恵まれているが、分別のつく歳
になってからの躓きへのショックは大きいかっ
たにちがいない。心からご同情申し上げる。

子育てが終わり、これで一息つくことができる
年齢になると、多くの人は「退職」の季節を迎
える。ほなさんのような自営業でも、退職金は
無いだけで、似たりよったりのことになる。

かの紳士は、やっと一息つける、そう思った瞬
間、足元をすくわれたのだ。世の中には、そう
いう隙を狙う悪党がいるし、悪党ばかりじゃな
く、せっかく買った土地や家が半値八掛けに下
がり、処分しても銀行ローンだけが残る計算に
なる人も多い。

人生とはきびしいなぁ。ほなさんらもその只中
にいて、それぞれの直面している問題とダブっ
てみえる。彼だけに起こり得ることではない、
それだけは事実のようだ。

「人生の大波をやっと越えたと思ったら、その
　先にもっと高く大きな波が、こちらへ押し寄
　せようとしているのが見える---それが人生」
と恩師は言った。

いつになったら一息つけるのか、という問いに、
神は人間には死ぬまで安息の場を与えなかった
のかもしれない、と思った。

打ち上げの４番ホールで使った７番アイアンの
感触が、この日ばかりは、ほなさんの手にも、
記憶にも残らなかった。

一難さってまた、、（２）

営業職だった彼は、仕事上の仲間も多くいた
が、ゴルフで知り合った友達は、過去の友人
たちと異なっていた。
「仕事仲間はしょせん仕事なんだ。」
と５０歳を過ぎて悟ったというのだ。彼はそ
れに気付いて以来、真剣にゴルフをやるよう
になった。

この紳士、穏やかな表情とは異なり、ぽつり
ぽつり話す内容が、人生の核心をついている。

４番の打ち上げホールにつくと、前の若者達
がグリーン周りでワアワアと声をあげていた。
４番ホールは難しいホールなのだ。急な打ち
上げで風になびく旗の頭だけしかみえない。
グリーンは小さく、そのアンジュレーション
はきつい。しかもグリーンの左右はバンカー
が待っていた。
ほなさんの腕なら、ダブルボギー（+2打）に
ならないことを祈るホールだから、ビギナー
の若者たちの手にあまるはずだ。

かの紳士は、
「ほなさんから私は見れば、リタイア後の人生
　を悠々と過ごしているように思うかもしれな
　いが、そうではないのだ。」
と、さっきまで、今週はあと二日コースへ出る
楽しい話をしていたのに、急に憂鬱そうに言っ
た。

以下、こんなやりとりが続いた。

「リタイアしてから、信じていた人に騙されて
　ね。」
「え？お金をとられたんですか？」
「裁判して勝ったんだけど、、なあ、、。」
「持ってない人からは、裁判所も取れないでし
　ょう。」
「そうなんだ。でも金額が大きくて。」
こういったあと、彼は深い息をフーッと吐き出
した。

先を見ると、若者達がやっと終わったと旗を立て
た。
彼は８番アイアンを抜き、二度三度と素振りした
後、ほなさんの顔をみて、
「やられた金額が、退職金の額ぐらいだったん
　だ。大金だった、、、。」
と言い、何事もなかったようにアドレスして、ス
イングした。
球は乾いた音を残し、４番ホールの旗めがけて
飛んでいった。

ほなさんは、何も言えなかった。ただ球を見送
るだけのことだった。

一難さってまた、、、

徒歩で独りゴルフの多いほなさんなのだが、
前後が混んでくると、
「一緒に周ってもらえませんか。」
とお願いすることにしている。

たいていのゴルファーは、その趣旨「紳士の
スポーツ」を理解されているので、快く同伴
をしてくれる。まれに、練習したいからとの
理由で、断られるケースもある。

ある日のこと、ほなさんの前に3人組のビギナ
ー若者たちが居て、とても時間がかかってい
た。パブリックコースは、本コースへの練習
のために来る方が多いのだ。私も最初はそう
だったなぁと、つい4、5年前の姿がだぶって
みえた。

スタートの次の2番ホールでほなさんが待って
いると、後ろから独りでやってきた方がおり、
お願いして一緒にラウンドすることになった。
ここは、正面に映画で有名になった眉山を望み、
そこから吹き降ろしてくる風に、すべてが左右
されるパー４のホールなのだ。ほなさんの飛距
離ならドライバーが打てる。
独りより二人の方がゴルフは面白いに決まって
いる。

がっしりした体格と、紳士的な優しい物腰は、リ
タイアする前から落ち着きがみについているよう
だった。この方なら、ほなさんの仰天ショットを
みても、たぶん表情に出すことなく、自分のプレ
イに専念してくださることだろう。自己の恥知ら
ずなショットに、他人を巻き込むだけはさけたい
と思う。それがヘタッピゴルファーのせめてもの
願いである。

かなたの若者たちの奮闘ぶりに目をやりながら、
ほなさんとかの紳士は自然とお互いのことを話し
はじめた。

携帯電話は持ちたくない（2）

メーカーさんや問屋さんと名刺交換すると
「で、あれっ、携帯番号は？」
と聞かれます。
「いやあ、あのね、持ってないんですよ。
　だから直接店の方へ。」
というと、
「携帯持ってない！？なけりゃ不便でしょ
　う。万一のことがあったら仕事できます
　か。」
と相手は言う。

本当のところどうなんだろうか。
持ってないほうが仕事がはかどるように思
うのは、ほなさんだけなんだろうか。

先に書いたような、1ヶ月も前に決めた仕入
れ商品が来るの来ないのやっていたって、
我がお客様はちっとも喜ばないことだろう。

だから一度打ち合わせをしたらそれで終わり、
という習慣もつく。携帯電話になら必ず来る
ような用件は、店の電話へかけづらいのか、
メッタにかかってこなくなった。
それなら携帯電話は仕事に必要なかったのだ。

なら、個人的なことに必要だったかというと、
悲しいかな、過去十数年の着信履歴を思い返
してもみても、かわいいオネエちゃんからの
こころ踊る秘密の電話はなかった。オカマち
ゃんの営業電話ぐらいのものだった。

しかし人はモノを持つと、なにか使わないと
ソンをしたような気になる。
女房に、
「電話をもっても誰からもかかってこない。
　息子とお前は固定電話にかけてくるし。」
と言うと、
「お母さんからのホットラインなんだから、
　何を妙な期待をしてるの。使い方、間違
　えたらあかんよ。」
きっちり釘を刺された。ほなさんがフラフラ
しやすいこと、よく知っている。女は鋭い。

結局のところ、母が無理を言い出すと、迎え
に行くための専用電話となった。
これが本来の役割ではあるが、、、うーん。

だれか電話をくれ！

携帯電話を持ちたくない

母のホーム入所に際し、また携帯電話を持つ
ことになりました。
過去重くてデカイ電話の時代から持ちつづけ
てきたので、いいかげん飽き飽きしてしまい、
ここ2年半やっと開放されたと喜んでいました
が。

仕事モードから抜けるための休みは、もちろ
ん徒歩ゴルフです。
汗をかきつつボールを追いかけ、グリーン上
でラインに集中した頃に電話がかかってきま
す。また、打ち下ろしのホールで、ボールを
左に曲げ、バンカーかＯＢ（隣のホール）か
と、慌てて下り坂を駆け下りていると、きま
って着信音が聴こえ、心からウンザリしてき
たのでした。

たいしたことない内容ならそれでおわりなの
ですが、ほとんどそうもいかない事柄ばかり
でした。

明日からのチラシ商品が未着。大問題です。
メーカーさんの返事は、
遅れる（または無い）という、スタッフから
の相談です。スタッフも最後まで着荷するこ
とを信じて待っていたのに、来なかったので
、そのことを報告しておかなければなりませ
ん。

脳裏に、明日朝、開店前から待ってくれるお
客さんの個々の顔が浮びます。多い時は２０
人ぐらいの方が、駐車場で開店を待ってくれ
ます。○○さん、△△さん、おなじみのお客
さんらが楽しみにしてくれているのです。
（困った、困った、どうしよう。）

メーカーや問屋さんは、「店長の私」をなん
とか説得し、
「次回サービスしますから、今回だけは許し
てチョウダイ、お願いだから。」
とその場を逃れようと電話をかけてくるので
す。

１回のチラシに１５０アイテム以上の商品が
載ります。ここ２年で取引先は２５０社を超
え、ひとつひとつがやたら細かくなりました。

中国のギャーザ事件の時は、すべての船が停
まり、着荷がそうとう遅れました。倉庫が火
事になったこともありました。ＴＶで流れる
情報が、そのまま仕事にふりかかることが増
えました。
メーカーさんのミスという、単純な理由だけ
ではなくなり、責めさえすれば解決できるわ
けではありません。

「広告はお客様へのラブレター」
だと師の須田泰三は言いました。チラシに
書いたことは、
「実印を押したも同じ」
とも教えてくれました。
メーカーさんの話に納得することはできま
せん。

源流を守ることからすべてはじまる

母のお世話になったホームは、里山の家の関係先
だったらしく、うちの店ともどこかでつながって
いるんだなぁと思いました。

ＮＯＰ法人で、四国三郎吉野川の源流を守る活動
をしているそうです。
「田んぼの水を人が飲める」
当たり前のことなんですが、読んでみて、ほぉっ
と思いました。

里山の家

自由気まま

kakoさんのカキコ、
>なんか、初登園の幼稚園児みたいですね(^_^;)
>私までうるうるきちゃいました

ほんとうにその通りです。
ありがとうございました。
kakoさんの優しさ、こちらにも伝わってきます。


北海道のだまこさんからのカキコ、
>うちも祖父がグループホームに入っていたのですが
>実の子である息子（おじ）娘たち（母やおば）たちの
>ほうがなんとなくクールで。
>私も実の親にはやっぱり冷たいかも(笑)
>そんなことを思い出して

そうなんですねぇ。
子供はクールですよ。

母が入所したコープ経営なんですが、ここは木造平屋
つくりになっていて、木の匂いがしています。二人に
ひとつぐらいの割りあいでトイレがあります。
入り口には鍵がかかっていません。母が散歩に出かけ
ようとすると、すぐスタッフが現れ一緒に散歩してく
れます。
「どこへ出かけるん？」とか、
「どうしたの？」とか、
一切疑問の言葉はないそうです。自由気まま、普通
におしゃべりをしながら散歩してくるのだそうです。

とても居心地の良いところに入れてもらったと子供達
は素直に喜んでいます。　

いくつになっても

本業の「ファッションむかい」のＨＰが突如
１週間で4000カウントして驚いています。
なぜなの？
理解に苦しんでいる日々です。
それ以後、日々300カウント。どうしたんで
しょうね。

はてさて、涼しくなりました。
気温が低くなりますと、肩こりがひどくなっ
てきます。でも、ゴルフのやりやすい絶好の
シーズンですな。

昨日、グループホームへ入所した母でしたが
6時間経つと、退屈なのか、寂しいのか、帰り
たいというので迎えに行きました。

あらあら、慣れるでしょうか？
心配ですね。
女房は、
「お継母さん、帰って一緒に住もう。」
と言いそうになって、慣れない場所で住む苦労
を口にして、涙うるうる。

実の息子である私と、姉は、
「これ以上の良い環境はない。自分が住みたい
くらいだ。」
と赤の他人の女房とは温度差があります。
実の子のほうが冷たいかも？

しかし、入所したグループホームは過去にみた
うちで一番良いところでした。
こんなに良いところ、ほなさん夫婦は入れない
こと請合います、経済的にもね。

母が慣れるまで、毎日でも行ったり来たりしよ
うと思ってます。
幼稚園に子供が行きはじめた頃を思いだします。

ゆっくり、ゆったり、行きましょう。
私も急がなきゃいけない人生は、とっくの昔に
終わってしまったようですから。
母さん、どこまでもお付き合いしますよ。

日焼け顔、未熟な腕、諦め顔

Ｋ村さんが
「月曜の早朝、○○ゴルフ場いかへんで？」
と誘ってくれましたが、残念ながら良い返事が
できませんでした。ほなさんは、前もっての休
みがほとんどとれません。そんな生活も４０年
近く、もう慣れました。Ｋ村さんが「いかつい
男」であったので、これもさらりと諦められま
した。これが妙齢のご婦人なんかであったなら
当分夢に出てくることでしょうね。
まぁそういうことは一度もありませんが。

という訳で、先の約束事がなかなかできません。
ですが、今年も同級生のコンペがあり、日曜な
んですが、これだけはどうしても出たい思いま
す。

なんてったって、ゴルフをはじめた時の想いが
同級生コンペに出たいというのが目標でしたか
らね。最初参加させてもらった時、幹事から
「ほなさん、皆に迷惑かけるようではあかんよ。
恥ずかしくない程度になってこい。」
と叱咤をうけ、Ｋ女史らからの応援指導、声援
と、ダブルペリアのハンデのおかげで、その後
２位が頂戴できました。

確かにそうなんです。ゴルフはじめは、とくか
く１１０（ライオン）狙い、そこまでくれば十
分と考えていたのが、男子みな１００ギリとい
う同級生のレベルの高さについていきたいと思
うようになりました。

でも、だが、しかし、であります。腕は一向に
上がらない、ゴルフ蟻地獄に陥っている昨今で
す。

そしてコンペは来月だ！
首や顔ばかり色黒になってはいても、腕はへな
ちょこ、青いままだ。

いつになったらドライバーは当たるようになる
んだ、と思いながらも、ゴルフ蟻地獄はけっこ
う居心地がいい、と諦め顔の自分がみえてくる
ではありませんか。

マスクの内輪話

仕事の話になって申し訳ないが、今年春から
マスクの在庫がどこも薄い。
ほなさんの店は、洋服が主だけど、お客さん
の要望で昔から日用雑貨品もやってきた。地
域密着だからね。

去年は、柔軟材「ダウニー1.89Ｌ」を特売かけ
たらやたら売れた。売価は￥599だ。
メーカーが間違えて大量に送ってきたので、
「ええい、ままよ」とチラシを出したのだ。

この当時は￥980が市場相場だったから、ケース
で買っていくお客さんもいたりして、この時は、
洋服より人気があったものだ。だから人気商品の
特売は面白い、お祭りは好きだ。

某有名雑貨店にゆくと、「ダウニーといえば○○
（店名）」とＰＯＰにあったが、￥699だった。
これなら十分に儲かる値段設定だ。
うちはこの下旬はさらに、￥499で予定している。
完売するでしょう。

無い品といえば、今その代表は
「マスク」
世の中、マスクが足りない。ご存知、インフルエ
ンザ騒動だ。

例年6月ともなれば花粉も終わり、その時期か
ら冬のはじめまでマスクは売れない。
だからどこも在庫を持たないからだ。

私は夏に売れなくてもいいや、と思って少し
だけ持っていた在庫は、ニュースの翌日、
「マスクありますか？あるだけください。」
という一人のお客様で無くなった。

それで、この9月は、あちこち持ちうるかぎり
のマスクを仕入れることにした。
販売の2年分以上だ。残るかもしれないが、
無くてお客様に迷惑かけるのはしのびない。
相手はにっくき病原体なんだから。

多くの小売店は、先週注文したマスクの入荷が
12月だと言っていた。
メーカーの協力のおかげで、うちは10月中旬ま
でに納品してくれそうだ。（でもあくまで現物み
るまでわからない世界。安心はできるもんじゃな
い。）

というのも、春のマスク騒動の時、注文していた
マスクは全く来なかった。メーカーは価格を吊り
上げて、私らの予約分を高値で横流したらしいの
だ。みな、怒り心頭。神戸の商友は、お客様との
約束を果たせないで、涙を流した。水戸黄門に
でてくる悪徳米屋のような奴は今も生きている。
強い毒素は病原体並み。これにつけるワクチン
は永遠にないだろう。

ＰＳ.
この汗かき日記をお読みで、もし１０月以降に
マスクが手に入らなくて困った方がおられました
ら、ほなさんまでメール下さい。マスク発送いた
します。ご注文メールは「ファッションむかい」
のＨＰからお送りください。

○三重構造　不織布マスク　５０枚組の箱入り　
　￥499
（関東近辺で５００円ほど運賃がかかります。）