ハリ天狗の日々奮戦

天狗のごとく山を駆け、野を走る(かな^^;)。 東京は西の端・青梅発、全国行き。日々鍼を打つランニング鍼灸師の奮戦記。

奥信濃100④【58kmA4エイド〜FINISH】

2022年06月15日 | 日々奮戦

【さぁ、残すはフルマラソンだ】

さて、応援団の私設エイドを出発。一応公式エイドに立ち寄りサイダー補充。した途端豪雨!エイドのテントの端っこで慌ててレインウエアを取り出す。今回14、5年ぶりにレインウエアを新調して臨んだ(OMMのHALO JACKET)。レースで使うことってあまりないのにいきなり出番が来た。ここでもシンヤが傘をさしてヌーっと目の前に現れ、ハリ天さんいいペースじゃないですかとか言いつつ雨仕度を見守ってくれていた。ここからフルマラソンだよ。じゃ、サブスリーでお願いしますって。クワッ、倍はかかるは!
ツルツルの土手をよじ登り、コース復帰。ここからは林道をひたすら行く14kmのダウンヒル。雨脚は強い。バチバチと音を立てて体を射抜いてくるような降り方だ。途中雹らしきものも落ちて来た。まさに土砂降り。こんな豪雨の中を走るのも久し振り。最近なかったなぁ。ウキウキして来る懐かしい感触。
前後に選手はポツリポツリ。リズムに乗るまでは慌てない。無理にスピードを上げずとにかくリズム良く走る。50kmの部の選手が次々と追って来るようになった。やたら女性に抜かれる。競り合わないよう淡々と行け。自分に言い聞かせる。
山側にはかなり雪が残っている部分もある。これらが沢に流れ込むのだから冷たい訳だ。



普通に調子も出て来て、普通に走っているうちに雨も上がり、レインウエアは暑いので脱ぐことにした。、、、ら、後方からハシモくん登場。いやいや、かなり先行していると思っていたのでびっくりした。先に行ってもらう。そして後を追うことにした。やがて後ろ姿が見えるようになり追いついた。しばらく並走。あれこれ話をしながら楽しい時間が過ぎる。突如、先行ってというのでまたまた先行。一人になるとペースが上がり出した。
それでも勢いのある選手は速い。知り合いが追いついて来たり、50kmの部のマイケルがいつもの元気で抜いて行ったり。その後、雨はまたまた激しくなって来て、レインウエアを再び着ることに。



ロードに出て2度目の糠塚エイド(A5・72km)に到着。ボラで案内棒を振るっていた舎弟松永くんとカヤの平から降りて来ていたYAJさん夫妻がざんざん降りの中、元気に迎えてくれた。


【ご覧の土砂降りの中、エイド出発】

もうなるべく早くゴールしたいから頑張って来るよ、って言える程かなり元気だったハリ天。



残り約28km。高低図をみれば確実に「走れる」区間だ。よしっ。速度は上がらないまでも上りもしっかり走り続ける。



一人ずつ先行する選手を捕まえながら進む。気力は充実している。次のエイドまでの上りのピークは75km地点。下りに入ったが足がなかなか切り替わらない。仕方なくノロノロ下る。2、3kmも進んでからようやく下りのペースが出てきた。エイドのケヤキの森から戻って来たあっくんとすれ違う。カヤの平で会った時とは別人の輝きが戻っている。いいぞいいぞ。エールを交換しつつ一気に下る。あと7kmでエイドですと、山中のボラスタッフから。まだ7kmも下るのか。息が上がって来る。さぁ、間もなく到着かという頃、後ろを見ると遠くにハシモくんの姿が。いやぁ、追いついて来たか、今日はすごいな。
公園が見え一気にケヤキの森エイド(A6・84km)へ。とその前にトイレ。
紙コップに入った蕎麦を飲み物のように一気に放り込む。美味い。休んでいても時間ばかりかかるのでサッサと出発。が、しばらく進んでレインウエアをまたまた脱いで仕舞い込み、そろそろ暗くなって来ているのでライトの用意。ザックに自家点灯式のライトもつける。昔、ナマさんにもらったオリジナルサインライト。一列に並んだライトが左右に流れるのだ。2012年の八ヶ岳100マイルの時に大活躍。遠くから目立ってよかった(前に付けたので)と妻から評判だったやつだ。
道端でそんなことをしていたらハシモくんがやって来た。口調がやたら明るく勢いがある。まだ走り始められないでいたら、とりあえず先に行ってると。また追いついて来てと言われたけど、わかってしまった。勢いが違う。ハリ天もまだ動けるけど、ここまでの下りでとうとう大腿四頭筋が破壊された様子。とにかく緩い下りも痛い痛い。上りはポールに思い切り頼り、腕の力でようやく進む感じ。彼に何かトラブルでも起きて落ちて来ない限り、とてもじゃないが今日は追いつくことは無理だ。諦めというより理解したという感じ。
と、そんなことをブツクサ感じながらもとにかく止まらずに進むことだけを考える。ほんとノロい。林の中は闇に包まれ、後方にヘッドライトの灯りが見えたと思うとあっという間に追いつかれ追い越される。今自分が相当にノロいということを嫌という程に実感する。林道の下りとの合流、90km地点通過。程なく下りに入るも痛くて足を置くのがやっと。ポールを勢いよく着いて衝撃を吸収してもらう。ひたすら抜かれる一方になってしまった。
また雨が強く降ってきた。遠くで雷の音もする。辛い場面だがもうあと10kmを切っている、もうすぐゴールだ。そんな感覚はしっかりあるのだけど、やたらと時間だけが過ぎて行く。
それでも止まらずに進み、ようやく最後のエイド、この日3度目の糠塚エイド(A7・95km)に到着。
初めて舎弟松永くんにノロノロとしか動けないと弱音を吐いてしまう。しっかり休んでと言われ、温泉まんじゅうとコーラを手に初めて椅子に座ってみた。って、その椅子に座るという動作が大変。前腿が痛過ぎて座るという動作をコントロール出来ない。いきなりドスンと腰を下ろすという有様だ。ため息が出る。饅頭食べてコップのコーラを飲み干し、多分この感覚は休んでも変わらないな。ならば少しでも早くゴールに向かおう。即立ち上がる。後ろのボトルの水は少しでも軽くするため捨てた。


【動かぬ証拠写真を撮られていた💦】

舎弟松永くんに一日ありがとうと声をかけると、兄貴、お疲れさんと思いっきり手を握られた。なんか泣きそうになったよ。


【ピンボケだっていいじゃない。1日中ありがと】

残り5km、iPhoneを取り出し妻に電話をかけた。あと1時間、いやもっとかかるかな。
1日、変な欲はかかずに黙々と走り、歩いた。筋肉の痛みはあるけどその他のトラブルや故障なしで戻って来られた。今年はこれだけでも十分じゃないか。結局この日一番絡み合ったハシモくんはもうゴールしただろうか。あの勢いならエイジ入賞可能じゃないだろうか。珍しく、くそ〜、負けた、、、みたいな悔しい気持ちは全く湧いて来ない。このところずっとロングトレイルに集中してトレーニングも重ねていたのを知っているだけに、うーん、努力は裏切らないなと賞賛の気持ちでいっぱいだった。こういう長い距離のレースはしっかり自分の力を見極めて走る限り、はっきりと実力差が現れるものだ。
あと3km、あと2km、1km。ノロノロでも、相変わらず次々抜かれても、前に進みさえすれば着実にゴールは近づいて来る。最後の距離500m直登。真下に来たときにもう一度妻に電話。もうこれで終わりと思うと案の定しっかりと足も動く。ライトアップされた最後の坂をしっかり上り切ったところで妻が待っていてくれた。いつも本当にありがとう。







妻の予想を軽く1時間半以上もオーバーだ。待たせてしまってごめんごめん。
フィニッシュゲートをくぐる。10時49分。嗚呼長い1日だった。フィニッシュラインでは実行委員長の琢也さんとカメラマンの翔くんが迎えてくれた。



想像を遥かに上回る厳しさだったけど、終わった瞬間に笑顔がこぼれ、結局は楽しかったよと思えるレースは、やっぱりいいものなのだ。2022年6月11日、奥信濃100、これにてジ・エンド。



【壮太さんにも迎えていただきました】
【翔くんともお久でしたね。憔悴してると自分の親父に似てきた😅】
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