ハリ天狗の日々奮戦

天狗のごとく山を駆け、野を走る(かな^^;)。 東京は西の端・青梅発、全国行き。日々鍼を打つランニング鍼灸師の奮戦記。

14回目のハセツネだ

2012年10月10日 | 大会レポート


【Go~al Photo by chin サンキューです】
お待たせでした。昨日の続き。。。一気ゴールまで。

【スタート~第1関門】3時間23分50秒・男子257位
前後する知人と会話を楽しみつつスタートを味わう。
 
広徳寺を過ぎてのシングルトラックで早くもプチ渋滞。でも先を急ぐ気持ちがないと穏やかに待てる。今熊神社からの上りもあくせくせず着実に。周りは息が上がっている選手が多い。なんだか一人余裕モード。これでいいのだ。午前中降り続いた雨はしっかり上がったが、予報のようには太陽は顔を出さない。このままなら涼しくていいな。
肋骨骨折中のさんぽさんやぴれきちパパのあっきーさんと前後しながら進む。

順調に入山峠到着。手術後のせいごさんやラックさん、お馴染みの女将さん、雲助さん&かおちゃん他大勢の応援を受けてまた一段と盛り上がる。まだまだ慌てない。
市道山分岐、今年はボランティアスタッフのhisabonさんの案内で左へぐいと折れる。ここは何だか好きなポイント。
11km付近。今年は滝汗ではないな。去年ここらあたりでやけに汗をかいているなぁと思っていたんだ。ランパンからしたたり落ちる汗はやがてはっきりと腿裏をつたい、シューズの中へ。一歩ごとにグジョッグジョッ。グッジョブ!んな訳ない、あり得ない!ようやくまさかのハイドレパンクに気づいたのはこんな状況の時だった。大丈夫だとは思っていても、顔を合わせる知人達は皆一様に「ハイドレは大丈夫?」と尋ねてくる。一応気にして背中のinoxをグイグイと押してみる。大丈夫大丈夫。
 
醍醐丸。ここもここ数年は応援ポイントとしてすっかり定着してきた。上からの応援が聞こえてくると力になる。元気ににこやかに通過。今年は一度もコースに入らなかったけど、相変わらず前半繰り返されるアップダウンは半端ない。
 
勢いづいてパワーをここでかなり使い過ぎてしまうのだ。うっすらとガスがかかっているが陽も差してきた。去年に続いて素敵な光の帯が現れる。前を行く選手のザックにチビちゃん人形を発見すると声をかけて抜く。今年もだいぶ目についた。嬉しい出来事だ。
 
 
さて、20km手前軍刀利神社前でリキちゃん発見。ハリマネが監督を務める「ズッコケ3人組」のメンバーの一人だが、今年の参加はリキちゃん一人。ベストタイム出せることを願って先行。ハリ天のライバル達はずいぶん前らしい。
すぐ後ろにはずっとさんぽさんの黄色いDMJウエアが見えている。肋骨骨折が癒えておらず痛みとの闘いだけど、いい感じの走りだ。数年前、富士登山競走で彼を引っ張り続けたことがあった。今回、互いに押さえた走りが上手く行けば、このまままた部活モード再開の予感。

間もなく第一関門・浅間峠。さんぽさんは3時間半を切ってしまうと突っ込み過ぎと自分を抑えている。ハリ天は具体的なタイムは立てていなかったけど、斑尾で膝を痛めてしまい今年のようにのんきに走っていた5年前、ベストタイムで年代別優勝をしてしまった時とさほど変わらないタイムに気を良くしていた。3時間23分。さんぽさん、トルデジアン後のりんさんと元気に浅間峠だ。
【すずちゃんママより】

ここの応援は益々賑やかに華やかになった。とても山中とは思えない明るさがある。これではどんなに疲れていても笑顔がこぼれてくる。
【Photo by chin】

ハリマネはじめひげちゃん、chinさん、ケノさん、あんちゃん、naokop、晴実さんにぴれきち等々、もの凄い数の応援を受ける。ホントすげぇ~。

【~第2関門・月夜見】6時間30分10秒・男子159位
さぁ、浅間峠(22km)までは思い通りの走りが出来た。全く欲をかかずに省エネで通過。日は傾き気温も下がってきた。益々走りやすい。ここを余裕で通過出来れば一気に色々な可能性が見えてくる。ここからは走れるのだ。自分の中の押さえていた何ものかが小躍りを始めている。徐々にスピードを上げていく。後方からは私設ぺーサーというKegさん、そして変わらずさんぽさんがピタリ。空はまだ明るさが残っているが、コース上はかなり暗くなっている。ライトはぎりぎりまで灯さない。ハンドライト1本を右手に持ち、下りだけ点灯。順調だ。特にやっぱり上りはいい感じだ。それにしても練習不足とは言え、足の痛みなくこうして普通にレースを走れるのはなんとも幸せなことだ。長いことまともにスピードを上げられなかったし、下れなかったのでつくづくそう感じた。走れるだけでいいじゃないか。
やがてよっちマンゲット。一昨年と同じような場所だ。付いていきますとのことで後方から突き上げられるようにさらにペースアップ。浅間峠までにだいぶ使い果たしてしまったらしき選手が次々落ちてくる。呼吸が荒く、この後を思うと気の毒だ。逆に心拍は130~140台キープだったハリ天、どんどんペースアップ。
25km通過、30km通過。もうそろそろ三頭山への本格的上りと気を引き締める。かなり長く感じる上り坂だけど、冷静に計算すると意外と短い。いつもの坂路調教と比べたら屁でもない距離。そう思った途端一気に足も軽くなってしまった。
前が5~6人のパックになって黙々と上る。ハリ天、かなり余裕。心拍数がなんと131まで落ちている。道理で楽なわけだ。そうか、オレはもっと行けるんだよな。じゃ、いっちょ行くか。そんな自問自答の末に途中で前に出させてもらった。完全スイッチオンだ。あっと言う間に振り切ってしまった。よっちマンやさんぽさんともこの時離れてしまったかな。
 
ほぼ中間点の三頭山山頂で「もう三頭山か」と感じるか「やっと三頭山か」と思うか。ハリ天の場合、ここでの感覚がこの後の走りを大いに左右する。
さ、どっちだ。どちらでもない。何を思うもなく一気に下りに入ってしまったからだ。ひたすら前の選手を追い、道を譲られたらダッシュを繰り返す。鞘口峠過ぎで初の60歳のサブテンランナー誕生かと期待していた生駒山賊さんに追いついた。ハンガーノック気味だと。自分はどうだ。補給はきちんと定期的にやってきている。大丈夫だ。
 
上りは一気に行く。下りは安全第一だけど調子は出てきている。前に見える灯りにはあっと言う間に追いつく。そしてあっと言う間に後方に流れていく。いいぞ、ホントにいいぞ。
いいぞいいぞだけど、ちゃんと冷静に押さえる気持ちも忘れていない。ペースが合えば無理には抜かず後ろに付かせてもらう。第2関門の月夜見駐車場へはこうして若い選手と共に向かった。が、一人前にいるのがどうやら同じ50代の強豪・まらそんもんくさんらしい。俄然やる気!ここまでずいぶん5000番台のゼッケン(50歳台の選手)を抜いてきた。圧倒的な力の差がある数人はともかく、頑張れば手が届きそうな50代ライバル達のことは・・・今日は競り合わないんじゃなかったのか。はん、スイッチが入っちまったのさ。チャンスは確実に手にするのだ。煌々と輝く第2関門の灯りの向こうにはそんな色気が見え隠れし始めたのだった(6時間30分)。

【~第3関門・長尾平】9時間08分52秒・男子132位
となれば給水は急げ。水1リットルとポカリ500mlをリクエスト。ポカリがうまく入らないので「飲んで行きます!」そして即リスタート。一気に順位が上がった模様。確認しなかったけど、たぶんまらそんもんくさんとの順序もひっくり返ったはず。
止まらぬ勢いで駆け下る。給水でちょっと止まっただけで急激に足の疲労感も薄れている。すごいもんだ。昔は一番の頭の痛いつらい道のりだった御前山までの上り。もう御前とだまされる急登で若手一番の経験のある708くんゲット。とにかく上り足は冴えまくっている。ローラーも含めてバイクトレの効果抜群とみた。先行している知人に一人、また一人と追いつくという5年前のあの展開と同じで、自分メーターは俄然急上昇だ。
 
御前山を越えてしまえばさらに気は楽だ。相変わらず抜く一方で一気に大ダワへ下る。
大ダワではいつも雲助さんとかおちゃんが熱烈応援してくれる。去年はよれよれで励ましてもらったけど、今年は超元気な走りでお返しだ。ここでも数人を一気にかわし置き去ってやった。なんか異様に気分がいい。やっほ~だ。何でだか自分でもよくわからなくなっているけど、とにかく走れる。ぐんぐん足が前に出る。上りも走る。もちろん苦しくなる。だけどなぜか足は出る。止まらない。ならばそのまま行け、だよ。
けっこうゼーハーしているのだ。だけど周りに人がいるのはイヤ。この辺りの山は一人きりで走りたい。いつもそう思っている。だから前の選手に追いついたら一気に抜き去り、後方に灯りが見えなくなるまで飛ばす。前後に灯りを見たくないし、見せたくない。ぜいたくな時間!
 
大岳山の上り。これが最後の本格的上りだ。岩場もあるけど三頭山の上りよりさらに短いのだ。ただかなり飛ばしてきたツケも回ってきていて気を抜くとふらつきもある。そ、バテてもいるのだよ。
大岳山頂、いつものスタッフ大リーガーさんは海外勤務で留守。代わりにMightyおーほりさんの息子さんがボランティアスタッフをしていると聞いていたので、呼び止めて元気頂戴する。
岩場を慎重に下り、先を急ぐ。浅間峠以降、なんとここまでたったの一人も抜かれていない。実に気分いい。そんなことを意識した途端、大ダワ過ぎて抜き去ってきたはずの若い選手が一人迫ってきた。ずっと後ろにつかれていたけどとうとう鍋割山の先で先に行ってもらった。綾広の滝上の湧き水でジェルボトルを薄める。そして水をがぶ飲み。美味い!!美味すぎる!!去年はここのベンチでさんぽさんとうつむき地蔵と化していたのだ。お見事リベンジだ。
目指すは女将さんが待っていてくれる第3関門・長尾平。かなりへばって来ているけど足は相変わらずよく動く。スピードは落ちるけど上り坂もしっかり走って長尾平へ。ここまで9時間8分、今年こそは早くにやって来たよ!

【~ゴール】10時間42分37秒・男子130位
熱烈応援を合わせた両手と背中にたっぷりと受けて日の出山へと向かう。旅館街では「花の50代ガンバレ!」と声援を受ける。そうだよ、頑張っちゃうよ。
一人旅を続ける。前にも後ろにも灯りは見えない。ちょっとへたれてきた。日の出山通過。急な石段がこたえる。さっきまで灯りは全く見えなかったのに金比羅尾根に入った途端、迫ってきたのは若き女性だ。大ダワで抜いてきた選手だ。勢いがある。流石に疲労感が浮き出てきた自分、悔しいけど譲る。
ここ数年最後の踏ん張り用に準備していたけど使えなかったベスパ投入。今日は12時間目標でスタートしたけど、その後目標の上方修正を繰り返してきた。11時間は固い→久々のサブ11→自己ベスト狙えるか。嬉しい「まさか」だ。ただ10時間30分をクリアするには勢いが弱って来ていることにも気づいている。昨年、イヤって言うほどハリマネを待たせたのだから、今年は1分でも早く戻るのだ。そのことが実現出来そうなんだから踏ん張れ、オレ、だ。
レース的に目指すのは前にいるはずの手が届くかも知れない50代ライバルの一人・アカさんの姿。だけど気配が全くない。後半これだけ走れても追いつかないのならこれは完敗。しょうがない(って、御岳の手前で抜いたらしいと後で判明)。
もう流石に苦しい。誰もいないから声を出しながら走る。決まり文句、「あと少しなんだから頑張れ!」何度も何度も自分に向かって声をかける。声を出すと少し楽になるのだ。この期に及んで前にライトが見えたら抜く。何が起こるかわからないから全力を尽くしておけ。たぶんこうして年代別順位が6位に上がった模様。同じ50代でも走力差は雲泥の差がある強豪の一人をかわしていたらしい。頑張っておくものだ。
あと2km。iPhoneの電源オン。恒例のハリマネへの「もうじきコールだ」。が、無情にも「ただ今電話に出ることが出来ません」だとぉ~!早く出てくれ~。後ろから選手が迫ってくる。たぶんまらそんもんくさんが追ってきているはずだ。2度目、3度目。ダメだ。何をしてるんだ。速報で御岳通過がわかっていないのかなぁ。それとも12時間宣言は本気だったからそれをきちんと信じてくれているのか。もう一度、もう一度。コンクリートの急坂も終わり、住宅街に出てしまった。あと500mくらいだよ。ラストチャンス。
出てくれ~

ルルルルル、ルルルルル、

ど~ん!

訳もなくコンクリート壁に右の肘打ちを喰らわせ、側溝に左のニードロップを見舞うハリ天。何事だ!痛いぞ。右手のiPhoneがゆっくりと道路に落ちるのが見えた。壁にケンカを売っていたのだ。バカヤロ!

走れない?まさか?
な、なんとか大丈夫だ。まいったなぁ。またやってしまったよ。

連絡がつかないということはゴールにハリマネはいないのかもしれない。せっかくの快走だったけどしょうがない。
一気にスピードダウンしてゆっくりとゴールに向かう。
ひげちゃんが見えた。ライトを振るけどわかってないよな。
だけど、やっぱり歓喜のゴールだ。あんな練習でよく走り切れたものだ。しっかり走り切ったぞ。って久々の本気ガッツポーズでゴールに飛び込んだら、目の前にまん丸の目を見開いたハリマネがいたのだった。まさかのセカンドベスト10時間42分、14回目のハセツネゴールはちょっと不思議な光景だったのだ。

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20 コメント

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いや~、素晴らしいレースレポ一気読みさせていた... (Diet Go Go!!)
2012-10-11 00:41:40
いや~、素晴らしいレースレポ一気読みさせていただきましたm(_ _)m!。
結果が良いと、文章のノリも良いですね~!

リザルトを見ると、周りに惑わされることなく、実に落ち着いて安定した走りですね!

私は、PB更新しようと欲をかいたためか最後はバテバテになってしまいました(汗;
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流石ハリ天さん、かっこいいわー! (chin)
2012-10-11 08:36:03
流石ハリ天さん、かっこいいわー!

お疲れ様でした。
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わくわくどきどきしながら一気に引き込まれました。 (みなちゃん)
2012-10-11 09:31:53
わくわくどきどきしながら一気に引き込まれました。
凄い臨場感!さすがハリ天さん、かっこいいです!!
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ハリ天さん、いつも凄いです。感動しました。 (take)
2012-10-11 11:06:05
ハリ天さん、いつも凄いです。感動しました。
返信する
一気に読ませていただきました! (さんぽ)
2012-10-11 12:09:58
一気に読ませていただきました!
浅間過ぎまで一緒に走れて楽しかったです。ライトが故障していまいいじっていたら一気に離されました。数年前の富士のように「付いてこい」というハリ天さんの声が聞こえているかのようで、ずっと鈴の音と背中を追いかけていました。
う~ん、あと少し。
素晴らしい激走、追いつかない訳ですね!
でも今回は見えないハリ天さんに引っ張ってもらいました♪
ありがとうございました!
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凄い臨場感あるレースレポですね。一気に読ませて... (アカ)
2012-10-11 12:41:31
凄い臨場感あるレースレポですね。一気に読ませて頂きました。
登場させて頂き有り難うございます。あまりにもリアルすぎて、悔しさまで蘇ってきました(笑)
CP3で4分差、ゴールでも4分差。ずっと平行移動でした。

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セカンドベストおめでとうございます!やっと飲め... (春山)
2012-10-11 12:55:52
セカンドベストおめでとうございます!やっと飲めたガス抜きコーラが勝因でしょうか?(笑) レース展開もかっこいいですが、レースウェアもかっこいいー!
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あれえ???浅間峠が明るい~っ!! (マロン ノワール)
2012-10-11 14:19:21
あれえ???浅間峠が明るい~っ!!
ここは、夜の街だったはず、、、
奥多摩の山も六本木も夜の街!!(マロンだけか?)
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確かに、ノリノリのレポートですね。 (じゅん)
2012-10-11 15:04:55
確かに、ノリノリのレポートですね。
今回はハセツネでのスタートポジションを完全にミスりました。CP1での一時間の遅れは、順位を150位上げても追いつかず、フィニッシュでも一時間遅れの13時間20分台。争わず完走狙いなどと言ったものの、4年前のタイムに近づけなかったのは、やっぱり残念です。下りは相変わらず苦手ですが、大した転倒も無くこなせたのは成果です。
来年は60歳台で参戦いたします。
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レースレポ☆完全に引き込まれ一気読み! (けえこ)
2012-10-11 15:51:11
レースレポ☆完全に引き込まれ一気読み!
ハリ天さんがおっしゃってたキモチイイ~を追体験させていただいちゃいました♪ 大ラス残り500mのど~ん!も一緒になってギョッとして(笑)、ハリマネさんのまん丸目もいただきでした^^v
セカンドベスト、おめでとうございました!
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