JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

もっと観たい

2007年10月31日 | y-その他

今日は久しぶりにモンク話であります。
というのも昨晩、WOWOWの「JAZZ FILE」で、1966年4月のヨーロッパツアーでのモンク・カルテットの演奏を放映していたものですからね。
内容は「ジャズ・アイコンズ・シリーズ」のVol.3としてDVD化もされている、ノルウェー、オスロとデンマーク、コペンハーゲンでの演奏です。(オスロの映像はLDでも見たことがあります。)

この映像、演奏云々よりもモンクの表情がとてもよく見えて嬉しくなります。これはコンサートを録画したのではなく、このTV用に録画を行ったおかげでしょうが、その分モンクであろうとも意識したのか、れいの「歩き回るモンク」はピアノの脇で足踏み程度にとどまっています。(笑)
演奏そのものは、空輸が間に合わなかったドラムを、トップ・シンバル、ハイハット、スネア、バスドラというシンプルな(?)最低限のものをかき集めて代用したり、チャリー・ライズがみょうに張り切っているわりには、モンク自身のソロが短すぎるようにも思えて・・・つまりモンクはテーマとソロ以外はほとんどピアノを弾かないわけですから、ラウズのトリオといった時間帯が多すぎる感が出てしまうというか・・・いやいや、ラウズが悪いと言っているんじゃないですよ。もっとモンクのピアノの量を増やしてくれれば嬉しかったということです。

そうそう、モンクの映像と言えば、以前もお話ししたかと思いますが、1963年の来日時にTBSで収録された「THELONIOUS MONK '63 IN JAPAN」のLDを未だに探しています。
以前に一度だけ観たとき、なんだかとても感動したんですよねぇ「JUST A GIGOLO」のソロもあったりして・・・・・・
「DVD化して発売にならないかなぁ、TVで放映されないかなぁ」
なんて、他の映像にふれるたびに思うのであります。


こういったデザインのLDなんですが
どなたかお持ちですか?
もちろん実物は色が付いてますよ。

いずれにせよ、こういった映像をテレビで見られることはじつにありがたいはなしです。悲しいかな、モンクもコルトレーンも、生で観たことのない私が、彼らに会う手だては映像でしかないわけで、できればもっと数と量を増やしてもらえればとも思います。

さて、今日の一枚は、セロニアス・モンクかと思いきや、デニー・ザイトリン医師です。
今日の話に無関係に選んだわけじゃないんですよ。

ジャズ評論家レナード・フェザーが考えたとされる『ブラインドフィールド・テスト』なるものをご存じでしょうか?
何の情報も提供せずに他者の演奏を聴かせ、聴き手のミュージシャンに、偏見のない意見をインタビューするという、毎月その内容が掲載されるダウンビート誌では、人気のコーナーであったそうです。モンクも一度だけこのテストを受けたことがあります。時期は今日紹介した映像の直前、1966年の始めでした。
ダウンビート誌への掲載は同年の4月号だったそうですが、私は現物を見たわけではありませんので、聞き伝えの話です。

モンクは他のミュージシャンがモンクのオリジナル曲を演奏したもの以外には、さほど感心を示さず、それらに対して原作に反する箇所を全て指摘していったそうです。
オスカー・ピーターソンの演奏に対する感想など、聴き終わった後トイレに行って「わたしがどこへいったかわかるだろう。」と答えたそうで、つまりトイレに行きたいくらい気分が悪くなったという、なんとも強烈な態度をとったわけです。

そんな中、モンクが最も上機嫌になったのが、デニー・ザイトリンのピアノを聴いたときだというのです。
前置きが長いですよね(笑)、それで、私が唯一保有するザイトリンのアルバムを紹介しようというわけです。

このアルバムも昔ジャズ喫茶でけっこう人気があったんですよねぇ
ザイトリンを、ビル・エバンス系と言う方もいらっしゃいますが(復帰後はどうか分かりませんけど)、私にはまるで違うピアノにきこえてきます。このジャケ写真がエバンスにどことなく似てるとは思いますけどね。
「QUIET NOW」をビル・エバンスのそれと聴き比べるという方法もありますけど、そうしなくても、ビル・エバンス系とはどうにも私には思えません。
精神科医らしいと言えばそれまでですが、とてもメカニカルで、音にも固さがあって、それでいて優雅さを持っている・・・ある意味とても不思議なピアニストのように思います。(「ST. THOMAS」なんて、ロリンズのサキコロと聴き比べてみてくださいよ...笑)

私は、二曲目の「CAROLE'S WALTZ」が好きかなぁ、「ST. THOMAS」とは明らかに雰囲気が変わります。ロマンチックでまさに奥様に語りかけるがごとく・・・・・
う~~ん、やっぱりザイトリンという人は不思議な人なんです。何処がとか、何がとか訊かれると上手く答えられないのですが、
 ♪ 荒いようで荒くない 暗いようで暗くない
   それが何かと訊ねれば
   ザイトリン ザイトリン ♪
みたいな(笑)

ともかく、モンクを上機嫌にしたザイトリンを、このアルバムでお試しください。

LIVE AT THE TRIDENT / DENNY ZEITLIN
1965年3月22~24日録音
DENNY ZEITLIN(p) CHARLIE HADEN(b) JERRY GRANELLI(ds)

1.INTRODUCTION/ST. THOMAS
2.CAROLE'S WALTZ
3.SPUR OF THE MOMENT
4.WHERE DOES IT LEAD
5.LONELY WOMAN
6.MY SMINING HOUR
7.QUIET NOW
8.AT SIXES AND SEVENS
9.WHAT IS THIS THING CALLED LOVE



最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ありがとうございます (swing a-go-go)
2007-11-01 10:27:01
いつも興味深いお話をありがとうございます。これ、聞いてみたいです。

YouTubeにいくと、かなりレアものの映像も見つけられるかもしれません(もうお試し済みでしょうか?!)。
私は、ジョアンジルベルトが観客のうるささに怒って演奏しないで帰る、というのを見ました。
返信する
JAZZ FILE ()
2007-11-01 22:09:01
こんばんは.お久しぶりです.

先日のジャズ・ファイル,僕も見ました.あのドラムセットは空輸が原因だったのですねwなんてシンプルなドラマーなんだ!と驚いてしまいましたがww来月は(もう今月か)58年のガレスピーだそうで!!こちらも要チェックですね!!!!
返信する
swing a-go-goさん (バブ)
2007-11-02 22:03:45
いやぁ、ありがとうございました。
YouTubeにありました。
全5曲の内4曲を見つけました。ただ、ちょっと残念なのはピアノソロ「JUST A GIGOLO」が見あたらないことですが
ともかく、明日にでもPCをアンプに接続して、ゆっくり見たいと思います。

返信する
悠さん (バブ)
2007-11-02 22:07:20
次回はガレスピーと言ってましたね。
私の場合、ガレスピーが楽しみかと言われると、考えてしまうところもありますが(笑)

ともかく、何でもいいからどんどんいろんな貴重映像を放映して欲しいものです。
返信する

コメントを投稿