地道な努力こそ価値を生む

今日は朝から曇り空、気温も上がりません。
今朝、昨晩の残骸（飲んだ残骸ね）を台所まで運ぼうと（片付けないと大目玉ですから）趣味部屋にはいると、アルコールと煙草の香りが混ざったような、そう『飲み屋の朝の香り』がします。（笑）これはいつものことですが、今朝はいつもとちょっと違った香りが漂ってきました。煙草とはあきらかに違う焦げ臭さというか・・・・そうでした昨晩はついにストーブを焚いたのでした。
「あ～あ、これぞまさに冬の香りだなぁ」
他人様より一枚多いぶ厚い脂肪という防寒着を着ている私でも、さすがに師走の夜中には暖房も必要となるのでありまして、『飲み屋の朝の香り』＋『石油ストーブの残り香』が我が趣味部屋の冬の香りなんです。
えっ？だれですか「＋オヤジ臭もだよ」なんて言うひとは？
失礼な！！！！・・・・・って、胸を張って反論もできない自分がいたりしてね。（笑）

ストーブといえば、
今朝の朝日新聞「be work」に女性下着メーカー、ワコールの人間科学研究所主任研究員、平田多津子さんという方の記事が載っておりました。「早くて正確な人間メジャー」と人は呼ぶ（笑）彼女は、一般職から研究職に転じて25年余、下は４歳から上は69歳まで延べ１万２千人を超える女性の体型データをメジャー一本で取られてきたのだとか、
（えっ？ストーブがぜんぜん出てこないって？まぁまぁ）
平田さんがデータを取られるモニターは一般募集した方々ですから、いかに女性同士とはいえ、赤の他人の前で半裸になることに緊張なさるんだそうで、そんな時「誰でも美しいところがある」を持論とされる平田さんは、巧みにその美しいところをほめ、モニターをリラックスさせるんだそうです。さらに人の体に触れる前は、ストーブで必ず手を温めてから測定されるという（ほら出たストーブ．．．笑）、女性ならではの気配りで貴重なデータを取り続けてこられたのです。
当然ながら下着メーカーにとってこのデータは貴重なノーハウへとつながるわけで、女性の気配りがトップメーカーを支えているというお話のであります。

これを読んでいて思い出したのが、今やあたりまえとなった洗浄機能付き便座「ウォシュレット」の開発秘話であります。
開発にあたってまず問題になったのは、お湯をあてる位置、すなわちお尻の穴の位置だったんだそうで、とうぜん個人差があってしかるべきものですから、ＴＯＴＯの開発グループは「針金をはった便座に座ってもらい、座ったときに肛門がきた位置に印をつけてもらう」という前代未聞のデータ収集を始めたんだそうです。
最初はグループ内で、しかし数人のデータでは役に立つわけもなく、次に社員への協力を求め・・・・・
とはいっても、男性ならまだしも女性は特に会社のためとはいえ協力することに躊躇があったようで、当時開発グループは変態グループとまで陰口され、彼らの部屋に近づく社員がいなくなったとまで聞いたことがあります。
しかし、そこは努力と熱意ですかね、最終的に300人以上のデータを集めることに成功。さらに、湯温や噴出口の工夫等々でもデータを取り続け、ヒット商品「ウォシュレット」を生んだという、今ではおそらくはワコールの『女性体型データ』に劣るともしない『お尻のデータ』を蓄積されているのでしょうねぇ。

ともかく、こういった地道なデータ収集が多くのヒット商品を支えているわけで、それを嫌がりもせずに続ける研究者には頭が下がります。「地道な努力こそ価値を生む」ということなのでしょう。

ところで、紹介した記事によれば、女性用下着の市場は年々縮小傾向にあって、今後注目されるのは男性用下着なんだそうですよ。
「ちょっとまてよ、女性の体型データを集めるのは女性でしょ、男性のデータは誰が集めんだろ？？？？？？ 俺はできるんだったら女性に計ってもらいたいなぁ・・・・」
「この変態野郎！っていうかあんたの体のサイズ計らして欲しいなんていう物好きな女性は、世界中何処探してもいないから！」
「・・・・・・」

さて、今日の一枚は、リー・モーガンです。
一度はお蔵入りになったものが、モーガンの死後に再発された一枚です。
何故にお蔵入りになったんでしょうかねぇ？
メンバーだって、ジャッキー・マクリーン、カーティス・フラーとの三管、そんでもってアート・ブレーキーでしょ・・・・・・やっぱマッコイ・タイナーですかねぇ？
でも４ヵ月前には「NIGHT DREAMER」でもマッコイとモーガンはいっしょにやってるし、半月後には「MR.NATURAL」でしょ、その後も何回も共演してますもんねぇ。
お蔵入りになった理由が今ひとつつかめない私です。（笑）
ただ、「NIGHT DREAMER」よりはモーガンの音が緊張気味には感じます。
あっ、ひょっとして「おいおい、俺はブレーキーから卒業したんだぜぇ、しかも三管って、メッセンジャーズじゃねぇんだから」みたいなモーガンの気持ちが出ちゃったとか？
はたまた、これもブルーノートの完璧さ？

ともかく聴いてみれば、けしてお蔵入りさせるような演奏ではありません。
たしかに若干異質なマッコイのピアノも私には魅力に感じますし、三管もそれぞれ良さを出していると思いますよ。でも「変形ジャズ・メッセンジャーズと言われても」ってところはあるかもなぁ・・・・・・・・・・！？

TOM CAT / LEE MORGAN
1964年8月11日録音
LEE MORGAN(tp) JACKIE MCLEAN(as) CURTIS FULLER(tb) MCCOY TYNER(p) BOB CRANSHAW(b) ART BLAKEY(ds)

1.TOM CAT
2.EXOTIQUE
3.TWICE AROUND
4.TWILIGHT MIST
5.RIGORMORTIS