ガリバー通信

「自然・いのち・元気」をモットーに「ガリバー」が綴る、出逢い・自然・子ども・音楽・旅・料理・野球・政治・京田辺など。

素人のミュージカル

2005年03月21日 | 地域の話題

 春分の日の昼下がり、わが町で音楽教室を主宰しているグループが、「たのしい3つのミュージカル」と題して、手づくりのミュージカルを近くの町のホールで上演するので、楽しみに出かけて鑑賞した。

 過去にも、わが町にちなんだ「一休さん」や「かぐや姫」をテーマにした、創作ミュージカルを市内の会場で文化祭などで披露しているグループなので、期待して出向いたのである。

 「白雪姫」「森は生きている」「シンデレラ」の3本立ての上演だったが、前半の2本の作品は、どうも地元の音楽教室の何と二歳半から中学生くらいが主体のミュージカルというより学芸会的な出し物で、まったく退屈というか、孫や子どもの舞台を楽しみに来られたご家族にとっては、嬉しく愉しい舞台だったかも知れないが、私には見るに耐えない内輪受けだけの出来栄えだった。

 しかし最後の作品「シンデレラ」は、何とか鑑賞に堪えられるというか、主役のシンデレラ役の女性も、音楽大学の学生であり、歌う声や発声も練習された成果も感じられる、素人とは言え、愉しく鑑賞できる作品となっていたので、ほっとしたのが正直な感想であった。

 この音楽教室の生徒さんたちを中心とした創作ミュージカル上演の試みは、約5年前から続けられており、全くのずぶの素人だった人たちも、一定の歌とお芝居の練習を重ねられて、堂々と「宝塚歌劇団」よろしく演技と歌をそつなくこなしておられたと思えた。

 出演者の中には60歳代の女性たちも数人おられて、きれいな舞台衣装に身を包んで演じておられるのだが、どう見ても近所のおばさんにしか見えない感じで、何でシンデレラなのにと違和感を感じてしまう部分もあって、失礼かもしれないが申し訳ないと思う。

 しかしながら立場を替えて考えれば、60歳を越えても堂々と舞台に立とうとする意欲や好奇心を持った女性たちは大したものだし、素人ミュージカルと割り切って大目に見て、鑑賞しなければならないのかも知れない。

 ともかく3才未満から60歳を越える、素人の老若男女が歌と台詞を覚えて演技することは、大変なことである。さぞこの3ヶ月間、寝ても覚めても、この日の上演のために練習を繰り返して、緊張気味の中で初舞台だった人もいると思うと、ひとりひとりの気持ちは何にも変え難いくらいの面持ちだったと察することが出来るのである。

 観客席で見るだけの立場からの好き勝手な感想と、舞台に立って演じ歌う立場とでは、月とすっぽんほど温度差というか、感じ方は違うだろうし、演ずる側の人たちの緊張感と責任感は並大抵の心境ではなかったと思える。

 今日の上演にこぎつけられた企画者、音楽教室のスタッフを初め、舞台制作などの裏方さんたちと出演者全ての方々のご苦労と、上演日を楽しみに練習の日々を過ごしてこられた皆さんのご努力をイメージしながら、拍手と喝采を送らざるを得ないだろう。

 何事も最初の一歩があって段々に上達して、いずれは素人のはずなのに玄人はだしと言われるような演技力と歌唱力の備わったミュージカル集団に成長するかもしれないと、心から期待とエールを送り続けたいと思いながら会場を後にしたのである。

 素人集団のミュージカルもいずれは玄人はだしになるかもしれないよ。
コメント
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