A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

今こそ再評価!素顔女子の家具ロック~サボテン(SABOTEN)『フロアとサティー(FLOOR et SATiE)』

2013年07月12日 00時24分14秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


BiS階段のLPを予約するためにログインしたインディーズ専門レコードショップJET SETのホームページに見覚えのあるジャケットを発見。白地に赤丸。これは!新大久保名物の日章旗ではなくトゲのある植物・・・しかもアナログ2枚組。今年1月に突然聴きたくなり、棚の奥から引っ張り出して想い出に浸った女子バンドサボテンではあーりませんかっ!1982年突然段ボールのレーベルFLOORからリリースした1stアルバム『サボテン』全曲と、EP『いつもある』(1984)、カセット『レッツ・サティ!』(1992)、2ndアルバム『目覚める』(1992)からのコンピレーション。全曲リミックス/リマスタリング、メンバーによるセルフライナーノーツ、当時の写真やフライヤーをあしらったカラー内袋付き豪華版。

何故突然このタイミング、しかもアナログで?と不思議な気がするが、突然段ボールの未発表音源ボックスや突然段ボロイドがリリースされたり、影響を受けたハズの女子ポストロックバンド、にせんねんもんだいの新作が話題になったりしているので、サボテンが再評価されるべき時代が来たと言えなくもない。また80年代初頭のパンク/ニューウェイヴに憧れる若いファンが増えているので、当時の作品をアーカイヴするのにもいい機会だろう。

派手な話題もなく、こつこつと自分らしい活動を続けた突段やサボテンの実験精神に隠れた狂気は、緩やかに沈滞するテン年代にこそ相応しい自己表現の在り方を示唆している。30年前は、自室で練り上げたアイデアは、バンド形態で揉み合い、スタジオで録音し、レコードやカセットのメディアに複製し、最終的に流通経路に乗せなければ伝播することは有り得なかった。インディー・レーベルにとっての鬼門は、音楽性やコンセプトで揉めることではなく、ユーザーの手に渡った商品の代金を回収する作業の煩雑さにあったと言っても過言ではない。その手間を惜しんだために制作費が回収出来ず、次作まで活動が続かなかったアーティストは数多い。

突段やサボテンがそうした末路を辿らなかったのは、ひとえに徹底したマイペース主義だったためであろう。費用が回収出来なければ、回収するまで焦らずのんびり待つ。例え10年待つことになろうとも気にしない。あくせく急がないで一休み。やりたいことはそこにいつもある。オプティミストぶりが肩の力の抜けたサウンドに反映され、聴き手はいつ何時聴いてもその度に新たな発見をして、ヨロコビに浸るのである。スルメ烏賊のような音楽。



故ロル・コクスヒルの流れるようなソプラノ・サックスと対照的に、ぎこちなく蛇行する家具のロックが聴き手の聴覚を脱臼させる。東京タワーの下に佇む普段着女子の憑き物が取れてスッキリした素顔が、国境も時代も超越する永遠の循環運動となりグルグルグルグル加速をつけて堕ちてゆく。




人類究極の防御には、兵器などなくとも平気である。

低い椅子
未来の記憶
エテンラク

カオスの時代こそ、プラネタリウムの低い椅子に座ってグッとおさえて思考を巡らせよう!
グルグルグルグルグルグルグルグル 



コメント
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