A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

DANCE with CLASSIC~爆音クラシック、世界プレミアDJの夢、そして現存する世界最高齢のクラブDJ

2013年07月18日 00時18分14秒 | こんな音楽も聴くんです


流しっぱなしのラジオから聴こえたイベント告知に耳が反応した。”爆音でクラシック音楽を聴く「爆クラ」”。そのイベントが今夜開催されるとのアナウンス。爆音映画祭に続き爆音クラシックとは面白い。後述するように個人的な所縁もある。オルタナロックやダンスミュージック中心のラジオから思わぬ収穫。さっそくググってみると、著述家の湯山玲子企画のイベントらしい。

湯山のブログには『クラシック音楽を爆音で聴く「爆クラ」。教養としてのクラシックではなく、ポップスやクラブミュージックに親しんでいる人にこそ体験していただきたい爆音音浴&トーク。』とあり、今回で24回目。過去のゲストは、坂本龍一、島田雅彦、高野舞衣、飯野賢治、大谷能生、菊地成孔など錚々たる面子。現場主義をモットーに、クラブカルチャー、映画、音楽、食、ファッションなど文化全般に通じ、「クラブカルチャー!」「女ひとり寿司」、野宮真貴等との共著「エレガンス中毒ぎりぎりの女たち」などユニークな著作で知られる湯山ならではの発想と人脈の豊かさに惹かれる。



『思えば。クラシック音楽を爆音で聴く、爆クラの発想の元は、私が四十路越え時にハマったクラブについての考察本『クラブカルチャー!』の菊池成孔さんのインタビュー中、ポストクラブについて語り合った一件。私のNYのクラブ体験での感想は、「こりゃ、ワグナーのヴァルジファルじゃん!」だったのですが、クラシックの音楽スタイルは大いにクラブカルチャーと呼応するところがある。』(湯山温泉・湯山玲子公式BLOGより)



15年ほど前、私は史上初のクラシック専門DJとしてデビューを目論んでいた。ブリットポップが下火になり、オルタナが姿勢ではなくジャンルに堕し、クラブはデジロックのマンネリに陥り、ロック/ポップ・シーンがつまらく思えた世紀末。フォーキーやパンクへの先祖がえりも気が乗らず、悶々としていた時に出会ったのが電子音楽。プログレ繋がりで名前は知っていたピエール・アンリに痺れ、ミュージックコンクレートの斬新な世界に引き込まれた。ちょうどアンリやスティーヴ・ライヒのリミックス盤がリリースされ、テクノの元祖として電子音楽/ミュージックコンクレートへの注目が高まっていた。りミックスでは飽き足らずオリジナル楽曲を探し求めた。ライヒやフィリップ・グラスなどミニマルミュージックはある程度CDショップで入手できたが、アンリやピエール・シェフェール、リュック・フェラーリやヤニス・クセナキスといったミュージックコンクレートの音源は、殆どCD化されておらず、オリジナル・アナログ盤を探すしか聴く術はなかった。プログレやフリージャズ、ノイズのレア盤ならディスクユニオンでも扱っていたが、現代音楽・電子音楽の希少盤は、数少ないマニア・ショップでしか見ることはなかった。なかでも渋谷のクララレコードは充実度では群を抜いていた。公園通りの教会の横のマンション2Fの狭い店内に初めて入った時、灰野敬二が椅子に座って店主と話しており、内心ビビりながらも「スミマセン」と真横でレコード箱を漁った覚えがある。品揃えが驚異的な分、値付けもハンパなかった。仏PHILIPSのミュージックコンクレート・シリーズLP、通称銀ジャケは大抵5桁の高値がついており、憧れるだけで手が出なかった。



そんなとき、西麻布のクラブのアンビエントDJイベントに行った。お香の煙漂う店の床にマットやソファを置き、DJも客も床に座ったり寝転がって楽しむ。目をつぶり瞑想して聴くドローンやインド音楽がとても心地よかった。そこでハタと閃いた。こんな環境でミュージックコンクレートや電子音楽を聴いたら最高だと。いっそのこと現代音楽だけじゃなく、ベートーヴェンやモーツァルトもプレイする、クラシックDJイベントなんていいのでは?カラヤンのパワフルな第9で踊った後は、ショパンのピアノ曲でチルアウト。次のピアノの一音で「グールド キタ--------------ッ!!!!」と盛り上がるダンスフロア。妄想は広がり、「世界初!クラシックで踊らせるDJ登場!!」という見出しが浮かんだ。



善は急げと、知り合いのイベントに無理矢理参加させてもらった。クラブではなくDJバーだったが、深夜のいい時間。最初はミュージックコンクレートやミニマルでウォームアップ。徐々にコアなクラシックの世界へ。グレゴリオ聖歌やピアノ曲はアンビエントとして聴けばOK。弦楽四重奏など室内楽も何とかいける。しかし、肝心のクライマックスの交響曲とオペラがキビシイ。フォルテッシモからいきなりピアニッシモになったり、ソプラノの金切り声がグルーヴをぶち壊したり、予想がつかず手に負えない。シンフォニーオーケストラは表現の起伏が激しすぎて、盛り上がりが持続しない。最大の弱点は、音のダイナミズムが過多で、クラブ仕様のスピーカーでは低音が出過ぎて、大音量だとほとんどハウリング同然の音になってしまうこと。客は身内ばかりとはいえ、余りのハズシっぷりに酔いが一気に醒めてしまった。






これに懲りて世界初の試みは断念。クラシックへの挑戦は、曲のつなぎとしてミュージックコンクレートの電子音を効果音的に紛れ込ますのが限界だった。というわけなので、爆クラがどんな現場なのか大変興味深い。もしかしたらこれに乗じて、忘れていた世界初のチャレンジへの夢が叶うかもしれない、と再び妄想モードに突入。ようつべで選曲するワタクシである。

爆クラと
爆音映画と
ゴールデンボンバー(金爆)

【ビックリ情報】
今年87歳になるピエール・アンリが健在!。2011年、85歳でDJとして音楽フェスで演奏する映像!誰か日本に呼んでケロ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする