A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

シュギー・オーティス@ビルボードライブ東京 2013.3.31 (sun)

2013年04月02日 00時16分48秒 | ロッケンロール万歳!


Blues, Soul / Guitar
シュギー・オーティス
Shuggie Otis

R&B界の大御所ジョニー・オーティスの息子として1953年に生まれ、若干16歳にしてアル・クーパーの『クーパー・セッション』に参加。若き天才ギタリストとして一躍注目され、1970年にソロ・デビュー。父親ゆずりのブルース/R&Bフィーリングに加え、スライ・ストーンなどに影響を受けた音楽性が話題に。1971年の「ストロベリー・レター23」はブラザーズ・ジョンソンにカヴァーされ、No.1ヒットとなった。1974年の傑作『インスピレーション・インフォメーション』では独自のクールかつメロウなファンクネスを確立。早すぎた天才の貴重なステージを間近で堪能できる千載一遇のチャンス!

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80年代後半レアグルーヴ/フリー・ソウルの文脈で再発見され1974年の3rdアルバム「インスピレーション・インフォメーション」がブルース/ソウルの名盤と言われるようになったシュギー・オーティス。ブラック系に疎くてもデヴィッド・バーン主宰ルアカ・ボップ・レーベルのWORLD PSYCHEDELIC CLASSICSシリーズで2001年に再発された同アルバムには馴染みがあろう。殆どの楽器をシュギーが演奏しリズムマシーンを使って多重録音で制作されたこのアルバムにはソウル的なブラックネスよりも漂白されたような浮遊感が色濃く漂い内側から滲み出る精神的才気=Psyche溢れる時代を超えた名盤となっている。ローリング・ストーンズ加入のオファーを断ったという逸話にも奇人変人ぶりが伺え、同レーベルから発掘されたブラジルのムタンチスと同質の辺境サイケの味わいがある。



長らく表舞台に登場せず半ば伝説の存在だったシュギーが一躍脚光を浴びたのは昨年秋、名作3rdアルバムが大量の未発表音源を追加して再リリースされることが発表された時だった。同年11月にヨーロッパを皮切りにツアー開始。古くからのソウル/ブルース・マニアは勿論若いファンにも大歓迎された。そんなシュギーの初の単独日本ツアー(父親ジョニー・オーティスのバンド・メンバーとして来日経験あり)はビルボードライブ東京2DAYS4回公演としてひっそりと発表された。ソールドアウトはしなかったが会場は熱心なファンの期待で始まる前から異様な熱気に包まれた。

59歳のシュギー・オーティスは細身で精悍な顔つき。ちょい悪オヤジ風にスーツを着崩している。アメリカのライヴではギブソンのセミアコだったが今回はアーム付ストラトモデルを構える。バックバンドは弟のドラム、従弟のキーボード、息子のギターを含む7人編成。このメンバーでのステージはまだ数回目なので多少荒削りだが逆にそれがシュギーの魅力を際立たせている。前半はスウィートソウルとスローブルースのメロウな曲調で酔わせる。機材の調子が悪く何度かローディーを呼びマーシャルのヘッドを取り替えたりしたが結局シールドを替えて復活。「今度出るニュー・アルバムからのナンバー」とMCしてプレイした「ウィングス・オブ・ラヴ」はAOR風のソフト&メロウ・ナンバーだが後半延々と続くウーマントーンのギター・ソロが圧巻。「サイケデリック・ソウル」の枕詞がピッタリのサンタナを思わせる耽溺プレイには狂気が内包されている。「ストロベリー・レター23」のエンディングの息子とのツインギターによる倒錯的ミニマルフレーズ、ラストナンバーでは倍音ディストーションのジミヘン顔負けのアグレッシヴなアドリブが唸りを上げ最後は片膝ついて決めポーズ。ギターをフィードバックさせたままステージを去る。漢だね!カッコいいね!隠遁して錆びつくどころか息子と対等に張り合う暴力オヤジぶりを堪能した。日本公演最初のステージでもありアンコールもサイン会もなかった(物販には再発CD BOX1種類のみ)がシュギーの変態オーラに大満足。シュギーが本質的にエキセントリックなサウンドヲタクであることを証明したクールな熱に溢れたステージだった。



シュギー主義
サイケ思想
涅槃ギター

新スタジオ作品を待ち望むと共に次は野外フェスで観てみたいものだ。
コメント (1)
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