マーベラスS

King Of Western-Swing!!
歌と食と酒、それに声のページ。

北新地は葡萄酒色に暮れて

2007-02-28 00:24:35 | 


 酒仙O氏、編集者と酒場へ。たいがいは町場の立ち飲みか居酒屋へご一緒することが多いが、今回は彼のホームグラウンド北新地のワインバーへ。「素人が葡萄酒をより美味しく飲むには、どうすればいいのか」って辺りを伺いながら、一杯やろうって寸法。でないと、ずっと疑問も何も持たず、ガブガブ飲んでるだけで人生費えてしまいそうなのだ。

ラインホールト・ハート・ピースポーター・ゴールド・トルッフェン
 O氏がワインにのめりこむキッカケとなったのは、ドイツ・モーゼルワイン。赤を飲んで「不味い!」と思った彼は、リースリングのフレッシュで清らかな甘さと酸味のあるピースポーターに瞠目した。
「まずは理屈やないねん、自分が美味しいと思うワインを見つけることやねん」。それが自分の基本、スタンダードとなる。
そこから甘すぎるなぁと思ったら辛口に、コクのある物に、赤にと移行していけばいい、とO氏。
 ときにドイツワインは商売がヘタというか、どうも本邦においては不当な扱いを受けている気がするなぁ。

ジュブレ・シャンベルタン2004・ドメーヌ・アルロー
 ナポレオンが愛したことで知られるブルゴーニュの代表的な赤。原料はピノ・ノワール。深いルビー色。ベリー系と動物系の皮をなめしたような香りがこの葡萄の特徴。最初は甘さ、そして酸味が来る。残る味わいはドライ・・・こんなことイキって書いてるが、O氏は「素人は腐ってるのだけ判ったらそれでええやん」とも言う。御意。

シャトー・カロン・セギュール2001
 ボルドーと飲み較べてみた。ハートを形どったラベルは、バレンタインなどに引っ張りだこだという。
香りはカシス、黒胡椒のようにも。植物では松、杉。鉱物。酸を被いかぶすタンニンがあるのがボルドーの特徴。原料はカベルネ・ソーヴィニオンと数種のブレンド。これによってより複雑な味を形成する。
ふ~ん、なるほどなぁ、今までこんな飲み方してこなかった。

 普通はブルゴーニュから入って、ボルドーへと移行する。渋み、苦味の中に甘味、旨みがあるのが解かるようになるのは、なかなか高度な味覚なんだそうだ。  
ブルゴーニュは酸が強く胃酸を刺激、逆にボルドーのタンニンは胃を動かしてくれるので、疲れた時はボルドーやとO氏は言う。


 O氏、他のテーブルの客に請われてワインの抜栓に行く。常に携行しているオープナーは30年以上使っているもの。その無骨さに肥後守を出したのかと思ったぐらい。きょうびの人気ソムリエナイフ、ラギオールとはえらい違い。

 これでひゅるっと抜いてきたのは「ドメーヌ・ド・ラ・ロマネコンティ・モンラッシェ1999」。おそらく1本40~50万円はするという名醸白ワイン。
まだバブルが続いておったか・・・クラブのホステス嬢に紛れて、ほんの少しおこぼれにあずかったが、ハーブとナッツのような香り、それでいてバニラのようなクリーミーさがある。しばらく空気に触れさせていると、見事にカドが取れて、ハチミツのような香りに変わった。不思議なもんだ…。

ガブ飲みワインばっかり飲んできたが、まったくブランド名も覚えずに来たので、少しは前頭葉も使って飲むべきなのかなぁ、なんてちょいと思ったりして。(葡萄酒だけでは終わらぬのだ・・・つづく)


嵐山の一夜 つづく

2007-02-24 12:02:51 | 


かわらけ製の器を木槌で割ると、中から包みが二つ。

この中には・・・

まながつをの幽菴焼  たらの芽

燗酒に切り替えてみた。

ごくありきたりの燗酒。冷酒に力を入れる割に、燗酒が全くの手付かずとはどういうわけだろう。最適な温度帯の異なる数種類の燗酒を用意していてもいいのではないだろうか。

焚合  フカヒレ野菜あんかけ
       赤楽蓋物

フカヒレとカブラにジャガイモのフリット、水菜。

酢物   焼白子 焼霜ふぐ   水仙向


御飯  白魚御飯  土鍋

衣揚げした白魚を取り混ぜ、紅白に仕立ててある。


炊き上がりの白い御飯も届く。女将が卵かけ御飯でもどうどすか…と
一言。料亭の卵かけ。もとより、そいつはいただく腹づもりで来た。

ぴかっと光った新米は越後の契約農家より。

白魚の炊き込みご飯も食べておきながら、卵かけを2杯も食っちまう。
今までのご馳走は何だったんだ…この卵かけは言うなれば、クイズ番組のラストの逆転問題みたいなもんだ。
削り立ての上等なかつをと焼き海苔を載せて掻き込めば、
さらに言うことなどなし。

果物  摘み立て苺   手篭
     三宝柑ゼリー  銀皿

大粒で縦長のあきひめ(静岡)と、さがほのか(佐賀)の二種。
お菓子はすべて自家製。


菓子  白玉椿 きんとん   千家盆
おうす


料理はどれも結構なものだったが、嵐山と大堰川という借景の素晴らしさに勝るものはないと思った。この同じ景色の中で平安貴族達は川遊びに打ち興じた。膳の上の料理だけを楽しむとなると、ここでなくても良い。日本文化の粋が盛り込まれた贅沢な空間の中で遊ぶ、その充実した濃密な時間…そこに吉兆という料亭の存在価値がある。

商談や政談のひとつもして、仕事の一つも決めたくなるが、そこは貧乏性というものだろう。それをせずに非生産的に美味い美味いと頂くのも、これもまたとても贅沢なことなのかもしれない。

まだまだ場が持つ「格」というものに自分が気合負けしていると悟った。とりわけ気負いを持って臨んだわけではないのだけど、
情けないが、翌日ヘナ~ッと疲れてしまったのである。
どこか変なところに無駄な力が入っていたと思われる。
淡々と伸び伸びとこの座敷を使いこなせるようになるには、あと何度
生まれ変わればいいのだろう、ふと胸のうちを北風が通り抜けた。

ご馳走さまでした、勉強になりました。


嵐山の一夜

2007-02-22 17:39:35 | 

読んで下すってる方には甚だ冗長になるかもしれないが、備忘録の意味もあるので、長くなることお許し願っておく。

嵐山の天空は晴れて月が照らし、大堰川の水面を屋形船が行く。

・・・・・・ところが、長くなるよと言い残したまま記事が一切アップされないとは、トンズラでもかましやがったかとお思いの方もいるようで。
いいえ、単に休憩に入っておりました。画像の枚数の多さにたじろぐばかり。いや、そんなことも言ってられません。それでは失敬して再開!

7時前だというのに観光地嵐山はすでに暗く、寒々として歩いている人の姿はほとんど見えない。例年ならば嵐山から大堰川へと吹き降ろす冷たい風に震え上がるだろうが、今年のこの暖冬に背を伸ばして歩けるのは有難い。
橋から東を桂川、橋より西を大堰川(おおいがわ)、さらに遡れば保津川となる。この川に沿って、数分そぞろ歩いた所にある。

車で乗りつけるお客が多い中、こちらは徒歩さね。
わびた門構えに「吉兆」の表札。
入って右方向にある離れへ。本当は薄暮の時間に到着して、
庭などを拝見したかったのだが諦めた。



部屋は暖房がきき、掃き清められ、寸分の緩みもない。
まず福茶をいただきほっとする。ほどなく盆が運ばれる。
盆の上には紅い酒盃が置かれ、まずは迎えの酒を女将から注がれ、
ゆるりと一夜の饗宴が始まった。

向附  春菜このこ  
      永楽得全 黄交趾梅鉢

こごみ、うるいなど、春の山菜を生このこで和えてある。

煮物   かに 焼豆腐
        鶯宿梅 蒔絵碗



出雲、十六島(うっぷるい)の岩海苔を浮かべると、さらに磯の薫りが
加わる。圧巻。仲居さんが味付けの濃淡を訊ねる。すこ~し濃いめ。
連れは薄めを所望。僕は酒を飲むため、このままとする。

麦酒から冷酒へ。「吉兆貞翁」という自社ブランド。大変結構なり。


造里   ふぐ薄造  古染付皿 

小浸け三種。左より、ふきのとう醤油、あん肝醤油、ちり酢。
仲居さんの助言により、あん肝醤油を取りおき、酒肴とする。

同、  いかとろ  惺入 黄瀬戸梅鉢

烏賊とトロのたたき 葱生姜 大蒜のチップを添えて。

箸やすめ  蛤小茶碗  粉引小茶碗

蛤の茶碗蒸し、揚げ米が香ばしい

八寸  蟹酢、海老とキャビア、赤貝ぬた、からすみと蕪、
     小松菜おしたし、ぐじ・もろみ味噌、厚焼き玉子、         
            黒盆  紅白梅飾り 水仙



仲居の志賀夕子さんが取り分けてくれる。彼女の微笑をたたえたほどのいいサービスによって快適に過ごせた。

焼物  宝楽割

突然、お多福の面と木槌が登場。
二月は節分の趣向だという。客が食事の手を止めて参加する、
こういう遊びを持ってくるところも吉兆流と推察する。

このかわらけの器を、客が槌で叩き割る。
愛宕山でしたか、かわらけ投げをするところは。
このかわらけを叩き割ったり壊したりすることで、
昔の人は厄落としになると考えたのか。
割る際に唱える文句がある・・・

「鬼は外、福は内、壬生大念仏 厄おとし」と唱える。
本当は地方のお姐さんの三味の音でも入るといいのだろうが。
これは外国からの客もさぞ喜ぶだろう。

中からお多福の絵と、「宝珠」「萌」と書いた和紙の包みが出てきた。
一体何が入っているのか・・・?

⇒何しろ、画像の枚数が多い!なので後日へと続くのだぁ~!。


新旧中華そば、醤油系

2007-02-20 03:08:37 | 

大阪はラーメンが難しい場所だ。だしをきかしたうどんにはうるさいクセに、ラーメンというと敬遠気味なのか、圧倒的に京都に水をあけられている。他府県から流入する学生などが多いからだろう。大阪にはやたらニンニクやキムチを利かせばいいと思ってるラーメン屋が多過ぎる。

神田小川町にあった「ピカ一」はほんとに美味かった。澄んだ醤油らーめんなのだが、縮れ麺によくからむ上品なスープ。あのネギや生姜の味がプーンと爽やかな後ろ髪をひく感じは、いまだ他でお目にかかれない。名古屋の「江南」という店の中華そばも40分ぐらい並んで食ったが、さすがに美味かったし、鰻谷にあった「とんとん」もバカウマだった。そんなピカ一もとんとんも、すでにない。


東淀川の菅原にあった「麺や輝」が支店を出した。ホテル・阪急インターナショナルからすぐ近くの、実に目立ついい場所にある。
今までの場所が車で行かねばいけない辺鄙なところなので、不法駐車にますますうるさくなってくる中、新たな場所を探していたという。

輝のラーメンが近くで食えることは大歓迎だ。和風とんこつ醤油が旗印だが、OLなども多いことから、新メニューを考案したと主人はいう。

鶏にぼしラーメン@¥650 
鶏ガラに煮干を効かせた、ややあっさりしたスープ。2種類の部位の異なるチャーシュー、メンマ、白髪ネギ、水菜は少しでも野菜を、という心遣いか。麺とスープのバランスは悪くない。かん水を抑えた自家製麺。無化学調味料は茶屋町界隈のリーマンたちに受けるか。近くには藤平ラーメンもあり、讃州・たけうちなどの讃岐、得正のカレーうどんなどがあり、麺エリアでもある。出てきた限りは頑張ってもらいたい。

ところ変わって高槻・・・商店街の中の「力餅食堂」にうどんを食いにいくことがままあるのだが、ここでご婦人達に静かな人気を誇るのが、中華そば@¥550 ヘタすりゃ半数以上の女性がうどん屋でラーメンすすっている。どれほど旨いのか。いっぺん食ってみなければと思い続けて幾星霜。

たっぷりのモヤシ、煮込んだ小さなチャーシューが3枚。何の変哲もない昔ながらの鶏ガラ醤油味だが、これがアッサリしていて中年以降のご婦人には食べやすいのだろう。ラーメン専門店の味はエッジが立ち、ダブルスープや何やらと喧しく、ともすればげん骨だ頭蓋骨だと店頭に獣くさい臭いをさせ、脂や塩分がかっているケースが多い。そんなどぎついモノは欲しくないのだ。

そこいくと、ここの中華そばはスタンダード中のスタンダード。しかもうどんのメニューにそっと隠れる日蔭の身、俺が俺がという主張はなく、ただ寄り添ってくれる感じ。よく言えば、ほっとできる陽だまりの味である。主婦が自腹でのお昼にはこんな感じがラクなのかもしれない。
これはこれでいい。


うちの近所の梅林

2007-02-19 16:43:35 | Weblog


近所を歩いていて、公園に猫の額ほどの梅林を見つけた。
白梅がほぼ満開。よく見たら、メジロが花の蜜を吸ってました。
梅にうぐいすっていうけども、あれほとんどがこのメジロ。
キレイな鶯色をしてるのでて、ウグイスと混同されてるんですな。
ウグイスはってぇと、もっと茶色くて野生的で、その落差に驚きます。